『CINO ism Vol.52』
「OKI World 2023」を終えて(開催後記)
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2023年11月17日に開催したOKIの姿勢やポテンシャルを展示するイベント「OKI WORLD 2023」についてご紹介します。
これまでのプライベートイベントでは、「OKIプレミアムフェア」「OKI Innovation World」を開催し、OKIの事業やイノベーション活動についてお伝えしていました。2023年はスタイルチェンジしたOKIのイベント「OKI World 2023」として、未来へつなぐ感動体験をコンセプトに、専門家やゲストを迎えてのセッションやカンファレンスを実施しました。
ご参加いただいたお客さまにはOKIが描く将来事業を共有していただき、OKIの持つポテンシャルを体感いただきながら、共創拡大につなげていく機会としていきたいと考えました。そして社員にもOKIの未来を“自分ゴト”として捉えてもらえるよう、各地でパブリックビューイングも開催しました。
全員参加型イノベーションをはじめとする「3つのスタイルチェンジ」
森社長によるウェルカムセッションでは、就任2年目を迎え、「全員参加型イノベーション」をさらに強化していくという決意をしっかりと表明できたと思います。森社長は、初年度から積極的に現場に足を運び社員と対話を重ねる中で、「元気がなくなっている」と感じていました。日本全体に目を向けても、日本の競争力が年々低下していることはご存じの通りです。しかし2020年から続いていたコロナ禍もようやく落ち着き、部品供給のめども立ちました。昨年度までのモノを作ることができない状況を脱し、今まさに“底”を脱却していくところです。そこで改めて森社長は「スタイルチェンジ」を掲げ、新体制での取り組みを始めています。
具体的には、「全員参加型イノベーション強化」「経営陣によるF2Fコミュニケーション」「組織・人事制度改革」、これら3つのスタイルチェンジだと明言しました。全員参加型イノベーションに必要なのは、社員一人ひとりがイノベーションを“自分ゴト”とすることです。「新しい事業を創ることはもちろん最重要事項ですが、それだけではなく人材育成や企業カルチャー変革も両輪で進めていかねばなりません」と、強調しました。そのためには、経営層が自ら社員にイノベーションについて語ること、そして制度などを含めた環境づくりも不可欠です。特に海外や生産現場への浸透も重要で、今後も社員との対話を積極的に進めながら、変革を進めてまいりますと熱い想いを語りました。
若手社員のチャレンジを、社長自ら本気で支援
ゲストを迎えして、OKIのカルチャー変革やイノベーションの取り組みを紹介するフューチャーセッションとイノベーターセッションを実施しました。
まず冒頭の「フューチャーセッション」では、「OKIの挑戦~カルチャー改革と環境ビジネスの方向性~」と題して、若手社員の挑戦とそれを後押しするカルチャー改革について紹介しました。これはOKIの社内ビジネスコンテスト「Yume Proチャレンジ2022」で大賞を受賞したプロジェクトを通して、森社長が率先して進めるカルチャー変革や全員参加型イノベーションについて紹介するものです。森社長と、「Yume Proチャレンジ2022」で大賞を受賞したイノベーション事業開発センターの鈴木さん、そして環境ジャーナリストであり若者の活躍を後押しするメッセージを発信する大学院大学至善館教授 株式会社未来創造部 代表取締役 枝廣淳子さんが登壇しました。
セッション冒頭で森社長は改めて「全員参加型イノベーションの定義」について述べました。一部の天才による破壊的イノベーションは社員からの距離が遠く“自分ゴト”にしにくいものです。「現場に即した足元の業務改善を含めて大きくイノベーションととらえ、全員が身近な業務の中から発想していくことに軸足を置いています。」と語りました。
この活動を全員に浸透させるには、仕組みが必要です。そこでOKIではISO 56002を先取りしたIMS(イノベーション・マネジメントシステム)“Yume Pro”を構築・展開しています。この活動で重要となるのは、若手の参画意識の醸成です。その一環として、社内ビジネスコンテスト「Yume Proチャレンジ」を実施しています。年々エントリー数が増え続け、「Yume Proチャレンジ2022」では300件を超える応募の中、「ブルーカーボン市場における高精度高品質な藻場計測の実現」が大賞を受賞しました。
ブルーカーボンとは、海洋生態系に取り込まれた二酸化炭素のことです。海草や海藻、マングローブといったものが主流です。脱炭素の取り組みが当たり前になる中で、J-クレジット制度のように海藻を使ってオフセットするような動きも徐々に始まってきています。このように非常に注目が高まっているブルーカーボンですが、地球温暖化など海の環境が変化するにつれ海草や海藻が生える場所「藻場」が減少してしまっているのです。
そこで重要となるのが、藻場の計測・見える化です。現状はダイバーによる目視確認が主流ですが、それだけでは限度があります。鈴木さんは、こうした課題を解決するためにOKIの強みである水中音響センシングや、AIを用いた藻場の判定による計測・見える化を提案しました。最終的には環境問題への貢献を見据え、OKI社内だけではなく地方自治体や漁協、そして枝廣さんが代表を務める未来創造部さんのように地域で活動していらっしゃる方々と共創を進めています。
この活動を踏まえ、枝廣さんから「社会課題と自社の強みを掛け合わせる取り組みは非常に素晴らしいと思います。ぜひ応援したいですね。」とコメントをいただきました。これはまさにOKIが掲げる「社会の大丈夫をつくっていく。」に通じるものであり、非常に嬉しく感じました。また枝廣さんは、若手のチャレンジを応援するためには「熱い気持ちと変えるためのスキルを身に付けること」そして「それを応援する場や仲間」の両輪で初めて形になるということもお話しされていました。こちらもまさに森社長が本気で推進する「3つのスタイルチェンジ」と共通している点だと感じました。
「Yume Proチャレンジ」へのエントリーにあたり、鈴木さんは森社長に直接アイデアへの意見を求めたそうです。もちろんそのことが大賞受賞に影響したということはありませんが、森社長は就任当初から社員とのコミュニケーションを積極的に取ってきたため、若手社員が自ら話しかけてくれたことはとても嬉しいと話していました。会社のトップに直談判することは、はなかなかできることではありません。鈴木さんも、もともとそういうタイプではなかったといいますが、これまでのイノベーション活動を通じて変化が生じたそうです。CINOとして、そうした若手社員の意識が育っていることは大変頼もしいことです。
最後に森社長は「海洋は未開の地といわれており、ビジネスとしていくのは相当難しいと覚悟しています。しかしOKIは『社会の大丈夫をつくっていく。』と宣言していますから、じっくり取り組んでいきます。その中で人材が成長していくことも重視したいです。そのくらいの甲斐性を持てなければ、会社の未来はない。そのくらいの想いを持っています」と、決意を明らかにしました。さらに社員に向けて「私は有言実行でやりきります。ぜひOKIを一緒に未来志向の会社に変えていきましょう」と呼びかけました。森社長の全員参加型イノベーションに対する強い想いが、社内外に伝わったのではないかと思います。
新規事業の専門家と歩んだ軌跡と、これからのOKIのイノベーション
午後には、「OKIが切り拓く新たなイノベーション」をテーマとするイノベーターセッションが行われました。セッションに先立ち、まず私の方から2018年より進めているOKIのイノベーション活動と将来事業の創出について紹介しました。
簡単に要約すると、グローバルでの日本の競争力は低下しています。インフラ面はまだある程度の強さがありますが、ビジネスの効率性やビジネスの創出は弱く、新規事業がなかなか生まれません。イノベーションは待っていれば「降ってくる」ものではなく、徹底的な顧客志向で現場の課題を捉えていくことが必要です。お客さまの現場に入り込み、課題を見つけていかない限り、マネタイズできる事業は生まれないと実感しています。OKIでは「中期経営計画2025」で将来事業4領域を設定しました。「物流」「ヘルスケア・医療」「高度遠隔運用」「クリスタルフィルムボンディング」です。いずれも国内・グローバルともに広大な市場が見込まれます。2031年にはこの4領域でグローバルを含め1000億円を目指していきます。ぜひご期待ください。
続いて、進行役として事業家でありラジオパーソナリティの大野泰敬さんと、長きにわたりOKIを支援していただいている新規事業家の守屋実さんをお迎えし、OKIのイノベーション活動の状況と最新トレンドについて語り合いました。
守屋さんはOKIのイノベーション活動に参画されて4年ほどになります。当初のOKIの印象について、守屋さんは「新しい事業をしたい時、まずお客さまのところに行って聞けばいいのに、当時のOKIはどうすればいいのかわからないという状況でした」と振り返りました。そして「参画して4年ほどが経ちますが、毎年進化しています。今では誰もが最初からお客さまのところに行き、仮説をぶつけています。そしてそれを、新たに入社した人にも伝えている。まさに文化として醸成されているのは素晴らしいですね」とお話ししてくださいました。
その進化はまさに守屋さんのご指導の賜物です。やはり新規事業に長年携わっていらっしゃるだけあり、鋭い指摘をどんどん投げかけられます。そこから逃げてしまったらイノベーションは実現できないと腰を据えて頑張ってきたからこそ、今OKIのビジネスモデルの質は進化していると思います。
さらに守屋さんと大野さんからは、「経営層が本気であること」の重要性も語られました。まさにその通りで、森社長は覚悟を持ってイノベーション活動にコミットしています。イノベーションは時間がかかりますし、投資も必要です。さらには、従来の仕組みを変える新たな「型」をつくったり、研修・教育をしなければなりません。お二人からは、「我々が知る限り、月に2~3回、1回あたり5~20名の社員とイノベーションについて対話する、これを続けているトップは、森社長以外にはいません。」と、「OKIの本気度」について語っていただきました。
また、大野さんから「大手企業が新規事業において顧客ヒアリングができなくなる理由」を問われ、守屋さんは「大手企業には強い事業があるからこそ、社員は『どの顧客にどんな価値を提供するか』など、大きな“問い”をすることがありません。分担された役割を誠実に日々こなしていると、大きな“問い”をするような感性や筋肉が退化していくのは当然のことです」と答えました。これはまさに以前のOKIの姿です。何もしなくてもお客さまからインプットが入ってきた時代は、大きな“問い”をする必要がありませんでした。しかし、時代の変化を感じた経営トップが危機感を抱いたことから、OKIのイノベーションは始まったのです。そして「Yume Proチャレンジ」が始まり、若手社員が興味を持ってどんどんエントリー数が伸びていきました。そうやってどんどん社内が変わっていくことで、今のOKIがあります。
これまで守屋さんには多くのサポートをいただきましたが、中でも印象的だったのが「マーケットアウト」という言葉です。「プロダクトアウト」「マーケットイン」については、みなさんご存じの通りです。ただ、それはどちらも「作り手から買い手に向かって何を提供するのか」という視点が共通しています。「作り手→買い手」に矢印が向いています。しかし時代はもっと進み、今は生産能力が消費能力を上回る状況です。販売促進費をかけてモノを売るくらいなら、お客さまが欲しいものを調達して作りこんで売る方がいいということになります。そうなると、「買い手→作り手」という逆の矢印になります。どれだけお客さまに向き合い、自分たちの都合を押し付けないようにするかを一生懸命考えなければなりません。それが、「マーケットアウト」です。時代の変化に合わせたこの考え方を、OKIにも浸透させているところです。
注力事業4領域をはじめ、OKIはこれからも「全員参加型イノベーション」で前進し続けます。オープンイノベーションも積極的に行っていきますので、共創の機会を探っていらっしゃる方は、ぜひお声がけください。
OKIは、これからも変わりつづけます。是非、ご期待ください。
(2024年1月17日、OKI執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当 藤原 雄彦)





