COLUMN
AI連載(4):生成AIを活用してイノベーション創出を支援する「ダ・ビンチ グラフ®」

この記事で分かること
- 生成AIとの対話と可視化でアイデアを深掘りし、イノベーション創出を加速する「ダ・ビンチ グラフ®」とは
- アイデアをBMC(ビジネスモデルキャンバス)などで自動分析、事業化への確度を高める戦略フレームワーク機能
- AIによる経営視点のアイデア評価など、組織の創造性を高める対話の仕組み
- アイデアの属人化を防ぎ、組織知の継続的な蓄積・融合で企業の持続的な成長を支える真の価値
生成AIの進化が加速する中、多くの企業が「どう安全に、そして効果的に活用すればいいのか」という課題に直面しています。本連載では、まず企業における生成AI活用の基盤となる「信頼」の重要性に着目し、連載第1回でEU AI法、第2回で独自のAIガバナンスを解説。そして第3回は、その堅牢な土台の上で実現した社内業務の効率化をご紹介しました。
今回お届けする第4回は、活用のステージを「業務効率化」から「イノベーション創出」へと一気に引き上げる、OKIが独自開発したシステム、「ダ・ビンチ グラフ®」の全貌に迫ります。
このツールは、単にアイデアを出すだけでなく、生成AIとの対話を通じてアイデアを自動で可視化・構造化。ビジネスモデルへの昇華を可能にします。
AIガバナンスを土台に開発された「ダ・ビンチ グラフ」が、いかにしてあなたの組織の知見を結集し、「全員参加型のイノベーション」を加速させるのか。その具体的な手法と、驚くべき機能をご覧ください。
生成AIを活用した「全員参加型イノベーション」の推進
OKIは、「ナルホド、その手があったか!」と市場と社会から共感される新たな価値を生み出すために、「全員参加型のイノベーション」を推進しています。それを強力に支援するのが「ダ・ビンチ グラフ」です。
「ダ・ビンチ グラフ」は、社内イノベーションアイデアコンテストである2023年度YumeProチャレンジ 準大賞を経て、2024年7月から「ダ・ビンチ グラフPJ」で開発を進めてきました。連載第3回で紹介したOAICSと同じ、OKIの厳格なAIガバナンス基準を満たす安全な生成AI基盤を活用しています。そのため、アイデア創出という機密性の高い検討も、安心して行うことができます。
「ダ・ビンチ グラフ」は、イノベーションのアイデアをさまざまな角度から深掘りし、広げることを目的としています。システムが優しく誘導し、誰でも簡単に、アイデアの属人化を防ぎ、組織知として蓄積しながら検討を進めることができます。

対話と可視化でアイデアを深める「ダ・ビンチ グラフ」の特長
「ダ・ビンチ グラフ」の最大の特長は、「対話」と「可視化(グラフ文書)」のシームレスな連携による、アイデア検討の質の向上です。
「ダ・ビンチ グラフ」は、まずアイデアのテーマ名を入力するところから始めます。課題や疑問、相談ごとでも構いません。テーマ名を入れると、カテゴリ別に整理されたさまざまなメニュー(「タスク」と呼びます)が表示されます。それらから選ぶことで、システムとの対話が始まります。

ここでは、上の画面のように、「植物の名前を覚えるアプリ」を思いついたということで、これをテーマ名にします。次に、このアイデアを広げてみたいので、「アイデア創出と深掘り」カテゴリにある「6ハット発想法」(6人の異なる視点でアイデアを出す方法)というタスクを選びます。すると、次の画面のように、真ん中にシステムとの対話画面が現れます。

テーマ名を入れてタスクを選んだだけなのですが、6ハット発想法の説明の後、このアプリの概要として「植物の写真をアップロードすると、AIが名前を判定!」とか「覚えた植物をコレクションできる機能付き」のように、テーマ名から想像できることをシステムが提案してくれます。
そして、「あなたが6ハット法で議論したい内容は、植物の名前を覚えるアプリで良かったでしょうか。」と聞いてきます。あっているので、「はい。」と答えると、次のような画面になります。

すると、議論の観点をこのアプリの特徴として選んで6人がそれぞれの意見を言ってくれます。主観的な視点からは「知らなかった植物をパッと知る楽しさ!」とか、想像的な視点からは「実際に外に出て探す“冒険”アプリにもできる」などと、本当に自分以外の6人とブレーンストーミングしているようにアイデアを広げることができます。
そして、画面の右に見えるのがグラフ文書。これが「ダ・ビンチ グラフ」の最大の特長です。このシステムとの対話内容を自動的に図式化して、見やすく構造化してくれています。このグラフ文書は自分で編集できるようにもなっていて、自分のアイデアをここに残すメモ帳(組織の知見や検討履歴も含む)としての役割を持っています。たとえば、先ほどの6人の意見で出たアイデアで不要なものを削除したり、内容を自分なりに書き換えたり、さらに新しいノード(四角の箱のこと)を追加して、自分のアイデアや思いつきを直接追加することができます。
ここでは、6人のアイデアを見て思いついたこととして、このアプリのユースケースとして、「小学生の校外学習での植物を見つける授業」「自治会などの地域活動で身近な植物を紹介しあう交流イベント」を追加してみましょう。

そうすると、「ダ・ビンチ グラフ」は、常にグラフ文書の内容を知識として参照してくれる仕組みになっているので、次の対話ではこれらのユースケースのことを考慮して話してくれるようになります。そのため、自分なりのアイデアや思いついたことをここにどんどん記入することで、システムの発話もそれに寄り添ったものになっていきます。思考の深度と質を、継続的に高めていくことが可能なのです。

アイデアをビジネスへ昇華させる戦略フレームワーク分析
対話によるアイデアの深掘りが完了したら、次は事業化への道筋を探ります。アイデアをビジネスとして成立させるための検証は、新規事業開発部門にとってもっとも重要なステップです。
「ダ・ビンチ グラフ」では、アイデアが膨らんだ状態で、これの(ビジネスモデルキャンバス)の叩き台を即座に作成することができます。ビジネスモデルキャンバスとは、ビジネスの全体像を「顧客セグメント」「提供価値」「収益の流れ」など9つの項目ごとに整理する戦略フレームワークです。
この検証を行うには、「戦略フレームワーク分析」の中にある「BMC」タスクをクリックします。すると、以下のようなBMCの叩き台が瞬時に表示され、これを基に本格的なBMCの検討をすることができます。

ここで注目すべきは、システムの連携力です。先ほどグラフ文書に追加した「小学生の校外学習での植物を見つける授業」「自治会などの地域活動」といったユースケース2つのアイデアが、自動でBMCの適切な項目に反映されているのが分かると思います。
このように「ダ・ビンチ グラフ」は対話から生まれた断片的なアイデアを、自動で戦略的なフレームワークにマッピングします。これにより、企画やDX推進部門は、初期段階のアイデアであっても抜け漏れなく、迅速にビジネスモデルとして検証することが可能です。
システムとの対話と、グラフ文書、そして戦略フレームワークの両方でアイデア・課題の検討や相談を進めることができるのが、「ダ・ビンチ グラフ」の強力な特長です。

経営視点での知見を反映:AI社長がアイデアの可能性を評価
最後に、アイデアの深掘りと戦略フレームワーク分析を経て、最後にアイデアが企業全体にとってどのような位置づけになるのかを検証します。
「ダ・ビンチ グラフ」のユニークな機能の一つが、「AI森さん」タスクです。これは、「全般」カテゴリに用意されており、当社の社長である森の視点や、OKIグループの経営哲学・進取の精神を反映したAIが、あなたのアイデアを経営層の視点から評価し、フィードバックを提供してくれるものです。
このアイデアがOKIではどんな位置付けになるのか、当社の社長である森のように話してくれる“AI森さん”に聞いてみましょう。「全般」カテゴリにある「AI森さん」タスクを選びます。

“AI森さん”は、このテーマを「自然とのふれあいや地域・教育連携の可能性もあり、非常にワクワクする取り組みですね。」「あなたの取り組みは、OKIの未来づくりにも直結しています。常に「進取の精神」を忘れず、日常の小さな課題や興味から発想を広げていく姿勢は素晴らしいです!」と言ってくれています。このように、アイデア検討に経営の視点を取り込むことで、その質とモチベーションを高めることができます。

「ダ・ビンチ グラフ」は、生成AIを活用しますが、生成AIをうまく使うテクニックなどはあらかじめシステムの内部に組み込まれています。そのため、ユーザーはメニューからタスクを選び、質問に答えたり、逆に質問したり、グラフ文書に記入するだけで、人とAIが自然と協力して、考えを深めることを実現します。これはOKIの技術とガバナンスへの知見を結集した結果であり、誰もが安心して、確度の高いイノベーション創出プロセスを推進することを可能にします。
まとめ
いかがでしょうか。OKIは業務効率化にとどまらず、今回ご紹介した「ダ・ビンチ グラフ」により、生成AIを活用したイノベーション創出という新たなステージへと歩みを進めています。
ご覧のように「ダ・ビンチ グラフ」は、生成AIをうまく使うための複雑なテクニックなどを機能としてあらかじめ備え、ユーザーはそれを気にせず、メニューを選ぶだけで、人とAIが自然と協力して、考えを深められます。
OKIでは現在、「ダ・ビンチ グラフ」をイノベーション創出支援として活用していますが、お客様の目的にあったカテゴリやタスクに入れ替えることもできるようになっています。また、今後継続的にバージョンアップしていく予定です。他の人のアイデアからヒントをもらったり、同じようなことを考えている人を見つけたり、組織の知見を継続的に蓄積し、未来に渡り知の融合が進むことを目指しています。
このイノベーション創出ソリューションにご興味をお持ちの新規事業部門、DX推進部門の皆様は、ぜひお気軽に、デモのご依頼またはお問い合わせください。
今回の内容をグラフィックレコーディング動画でおさらいできます!
本連載コラムは次回以降も、社会を支えるためのさらなる具体的なAI技術とソリューションをご紹介します。ご期待ください。
- 参考情報/関連リンク
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- AIを活用したビジネス創出における課題と、OKIが提唱するAIガバナンスの実践ガイド
- AI連載(1):グローバル企業必見! EU AI法が描く未来と、企業への影響
- AI連載(2):AI時代の企業責任 - OKIが推進するAIガバナンスとは?
- AI連載(3):社内で広がる生成AI活用! OKI AI Chatシステムの最前線と業務改革事例
- OKIのAI技術/OKIグループAI原則ページ
- OKIのAI技術/AI原則の推進体と取り組み
- OKIテクニカルレビュー No. 244 生成AI活用イノベーション創出支援システム「ダ・ビンチ グラフ®」
- OKIテクニカルレビュー No. 243 人とAIを共に進化させ、イノベーションを加速するグラフ文書技術
- 人とAIを共に進化させるグラフ文書技術
- YumeProとは
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