COLUMN
インフラの老朽化問題とは?インフラ整備の重要性と整備に欠かせないテクノロジーとは?

この記事で分かること
- 国内インフラの老朽化が引き起こす深刻なリスクと、最新の統計データに基づく将来予測
- 従来の「事後保全」から、コストと安全性を両立させる「予防保全」への転換の重要性
- 橋梁やトンネルの維持管理を効率化するAI、IoTセンサー、高度監視カメラの最先端技術
- OKIインフラDXの「ゼロエナジー高感度カメラ」「monifi」の具体的事例と導入効果
日本国内のインフラの多くは、1950年代中盤から70年代にかけての高度経済成長期に集中的に整備されました。建設から半世紀以上が経過し、いま、これらの巨大な資産が一斉に老朽化という深刻な課題に直面しています。
道路、橋梁、トンネル、下水道といった、私たちの日常生活や経済活動を支える基盤が劣化し、安全性が脅かされるなか、自治体や管理団体には「限られた予算、減少する熟練技術者」という厳しい制約下で、いかに効率的かつ確実に維持管理を行うかという、極めて困難な舵取りが求められています。
本記事では、深刻化するインフラ老朽化の現状を整理し、デジタル技術の活用によって維持管理のあり方を根底から変える「インフラDX」の最前線について、最新の市場データと公的資料に基づき、詳しく解説します。
目次
早急な対応が求められる「インフラ老朽化」問題とは?

まずは、インフラ老朽化問題の全体像と、現在日本が置かれている状況について、国土交通省が発表している最新の公的データに基づき解説します。
インフラ老朽化問題とは?
インフラ老朽化問題とは、橋梁、道路、トンネル、ダム、下水道といった公共の社会資本が経年劣化し、その構造的な安全性や本来の機能が低下している問題を指します。インフラは一度建設すれば永続的に使えるものではなく、時間の経過とともに摩耗、腐食、疲弊が進みます。これを放置することは、崩落事故や大規模な浸水、道路の陥没といった、国民の生命を直接脅かす重大なリスクを抱え続けることを意味します。
建設から50年以上経過したインフラが増加
国内の多くのインフラは、建設から50年以上という「設計上の耐用年数」の節目を迎えています。国土交通省が発表した「インフラメンテナンスの現状と課題(令和5年)」によると、以下の施設において老朽化が加速度的に進行すると予測されています。
- 道路橋:約72万橋のうち、建設後50年以上経過する割合は、2023年時点の約39%から、10年後の2033年には約63%へと跳ね上がります。
- トンネル:約1万箇所のうち、50年以上経過する割合は2023年の約27%から、2033年には約42%に達します。
- 下水道管:総延長約49万kmのうち、50年超の割合は2023年の約7%から、2033年には約25%へ急拡大します。
- 河川管理施設(水門等):約1万基のうち、2033年には約62%が建設後50年を経過します。
これらの施設が同時期に更新時期を迎えることが、財政および現場の対応リソースを圧迫する、最大の要因となっています。
自然災害によるインフラの劣化の加速と、複合リスク
日本は地震、台風、豪雨などの自然災害が極めて多い地域です。近年の気候変動に伴う線状降水帯の頻発や、記録的な短時間大雨は、老朽化した構造物に想定以上の負荷を与えています。
たとえば、腐食が進んだ橋脚が洪水による洗掘(河床が削られる現象)を受ければ、崩落リスクは飛躍的に高まります。南海トラフ巨大地震や首都直下地震などの大規模災害に対する備えが急務となるなか、老朽化インフラの「耐震性の不足」は、発災時の救助活動や物資輸送を妨げる致命的な問題となりかねません。
老朽化が進行する国内インフラの代表例
橋梁(きょうりょう)の場合
橋梁は常に振動、重量物の通過、気象条件の変動に晒されています。とくに鉄筋コンクリート橋では、コンクリート内部への塩分や水分の浸透による「塩害」や、中性化による鉄筋の腐食(錆び)が進行します。鉄筋が錆びて膨張すると、コンクリートが剥離し強度が著しく低下します。
トンネルの場合
トンネルは地下水の浸透や地盤の動きによる外部応力を受け続けます。長年の使用により内壁のコンクリートにひび割れや浮きが生じ、剥落して走行中の車両を直撃する事故のリスクがあります。また、山間部のトンネルでは、背面の空洞化や岩盤の劣化など、外からは見えない部分の変状をいかに早く捉えるかが重要です。2012年に発生した笹子トンネル天井板崩落事故以降、5年に1度の近接目視点検が義務化されましたが、その点検費用と修繕費用の確保が、地方自治体の大きな負担となっています。
老朽化への対策だけじゃない!インフラ整備の重要性

インフラ整備は、単に「古いものを直す」という消極的な修繕にとどまりません。現代社会におけるインフラ整備の重要性は、以下の3つの観点から再定義されています。
1.国民生活の安心・安全を確保する
道路、橋、鉄道、港湾、空港、そして上下水道や電力網などの生活インフラは、社会の「血管」です。これらが適切に機能することで、私たちは交通事故のリスクが低減された道路を走り、清潔な水を使用し、安定した物流の恩恵を享受できます。とくに少子高齢化が進む地方自治体にとって、生活インフラの維持は、住民の生活圏を守るための最低条件です。
2. 産業の基盤を整え、経済競争力を向上させる
インフラの質は、国の経済競争力に直結します。物流の効率化には、渋滞のない道路網や強靱な港湾が不可欠です。たとえば、老朽化による「重量制限」がかかった橋があれば、大型トラックは遠回りを強いられます。これは輸送コストの増大、ひいては残業規制の強化に伴う2024年問題以降、より深刻化している「物流の停滞」を加速させます。国土交通省の試算では、適切なメンテナンスを行わずに橋の通行止めなどが発生した場合、地域経済に多大な損失を与えることが指摘されています。
3. SDGsの目標達成とカーボンニュートラルの実現
持続可能な開発目標(SDGs)の目標9「産業と技術革新の基盤をつくろう」には、質の高い、信頼でき、持続可能かつ強靱なインフラの開発が明記されています。また、環境負荷の観点からも整備は重要です。構造物を放置して「壊れてから作り直す(事後保全)」よりも、適切なメンテナンスで「寿命を延ばす(予防保全)」ことが、建設資材の消費や廃棄物、それに伴うCO2排出量の削減につながります。
国内で求められているインフラ整備
老朽化するインフラへの対策をはじめ、現在国内では以下のようなインフラ整備が求められています。
インフラのデジタル化
デジタル庁は、地方公共団体の基幹業務システムを全国で標準化・共通化し、ガバメントクラウドへ移行することで行政の効率化を推進しています。アナログ規制の見直しにより人口減少下でも持続可能なインフラ維持管理体制を構築、現場の負担軽減とコスト削減を目指しています。
老朽化したインフラの改修
高度経済成長期やそれ以前に建設されたインフラが老朽化してきており、これらのインフラの維持や改修が緊急に求められています。とくに、橋梁やトンネル、道路などの安全性を確保するための定期的な点検や補修が必要です。
防災に強いインフラの構築
自然災害のリスクが高まる中、インフラの耐震化や浸水対策が重要となっています。地震や洪水、台風などに対する耐性を持ったインフラを設計・建設することで、災害時の被害を最小限に抑えることができます。
電柱の地中化
都市部を中心に、景観の美化や災害時の安全性を高めるため、電柱の地中化が進められています。地中化によって、風景がよりクリーンになり、台風や地震などの自然災害時のリスクも低減します。
公園を増やす取り組み
都市部の過密化や緑地の減少に伴い、公園や緑地の設置・増設が求められています。公園や緑地は、市民の健康やリラクゼーションの場としての役割はもちろん、都市の熱島現象の緩和や生態系の保護といった環境面での効果も期待されます。
街の美化
都市部の景観向上や観光資源としての街の魅力を高めるため、街の美化が推進されています。これには、歴史的建造物の修復や保全、公共の場所の装飾やアートの導入、道路や歩道の整備など、多岐にわたる取り組みが含まれます
これらのインフラ整備は、国民の生活の質や安全性を向上させるだけでなく、経済的な活動や観光資源としての地域の魅力を向上させる効果もあります。そのため、計画的かつ継続的な投資や取り組みが必要とされています。
インフラ整備の効率化に欠かせないテクノロジーとは?

老朽化への対応や防災対策、緑化など、さまざまなインフラ整備に欠かせないのがテクノロジーの活用です。とくに、「現場の担い手不足」と「自治体財政の逼迫」を克服する鍵は、テクノロジーによる「インフラDX」にあります。
OKIが実施したアンケート調査によると、インフラ現場では災害時の迅速な状況把握や点検の効率化が急務となっており、とくに電源や通信配線が不要でどこにでも容易に設置できる、遠隔監視機能の導入が強く求められています。
遠隔監視を可能にする「ゼロエナジー高感度カメラ」
かつては技術者が現地に赴き、目視点検を行うことが大原則でしたが、現在は高解像度カメラがその役割を代替し始めています。 OKIの「ゼロエナジー高感度カメラ」は、電源確保が困難な場所でも太陽光パネルで自立稼働し、夜間や悪天候下でも鮮明な映像を伝送可能な高度監視カメラシステムです。
ゼロエナジー高感度カメラ
- 点検の効率化:現場への移動時間を大幅に削減し、遠隔地からリアルタイムで異常を確認できます。
- AI解析の活用:AIが映像を解析し、平常時とは異なる変化を自動検知することで、監視員の負担を軽減しつつ見落としを防ぎます。
予兆を捉えるモニタリングシステム「monifi」
構造物内部の微細な変動を数値で可視化するのが、OKIのインフラモニタリングソリューション「monifi®(モニフィ:MONItoring service For Infrastructure)」です。
「monifi」は、多種多様なセンサーで取得したインフラ構造物の振動や河川の水位など、現場の情報を収集・分析することにより、インフラの劣化進行や災害状況を予測し、最適な予防保全を可能にするシステムです。「ゼロエナジー高感度カメラ」と連携させることで、広範囲でのインフラの巡回点検の自動化、遠隔地からの災害現場の目視確認など、総合的な防災DXが実現できます。
「monifi」サービスイメージ図
- 予防保全の実現:AIが劣化の兆候を早期に検知し、致命的な破損に至る前に処置を可能にします。これにより、大規模修繕を回避し、ライフサイクルコスト(LCC)を低減します。
- 災害時対応の迅速化:地震や豪雨の直後、現地確認が困難な状況下でも、遠隔から橋梁の健全性や水位を即座に把握。通行規制や避難指示の迅速な判断を支援し、防災・減災に直結する役割を果たします。
まとめ
私たちの生活基盤である道路、橋梁、トンネルなどの社会インフラは、いま、一斉に老朽化という大きな転換点を迎えています。限られた予算と人手でこれらを維持し、次世代へ安全な形で引き継ぐためには、従来の「壊れてから直す」管理から、テクノロジーを駆使した「予防保全」へのシフトが不可欠です。
AIやIoTを活用したインフラDXは、点検の効率化だけでなく、客観的なデータに基づく精度の高い維持管理を実現します。OKIは、長年培ってきた通信とAIの技術を融合させ、自治体や管理事業者の皆様が直面する課題解決を支援しています。
効率的なメンテナンス体制の構築や、最新の監視技術の導入をご検討の際は、ぜひOKIへご相談ください。日本のインフラをデジタルで守り、安心・安全な未来を共に切り拓いていきましょう。
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