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コラム2025年06月27日

OKI産業用カメラレンズで実現!省スペース・高精度な製造現場の外観検査

省人化・省力化の切り札として期待される外観検査の自動化。しかし、従来の検査装置は設置スペースが大きく、導入を断念せざるを得ないケースも少なくありません。

そこで本記事では、OKIの産業用カメラレンズが、この「スペースの壁」をどのように解決し、製造現場に革新をもたらすのかを詳しく解説。省スペース化と高精度を両立するOKIの技術と導入メリットは、製造現場の自動化を検討するすべての関係者にとって必読の内容です。

目次

製造現場の自動化を阻む「スペースの壁」

近年、製造業では労働力不足が深刻化しており、生産性の向上が喫緊の課題となっています。少子高齢化が進む日本において、製造業における労働力不足は深刻な社会問題となっています。特に、熟練労働者の高齢化と退職は技術継承の難しさを生み出し、製造現場の生産性低下を招く大きな要因となっています。

このような状況下において、製造現場の自動化は省人化・省力化を実現し、生産性を向上させるための重要な手段として注目されています。特に、外観検査工程の自動化は、人手に頼っていた検査作業を機械に置き換えることで、検査時間の短縮、検査精度の向上、検査コストの削減など、さまざまなメリットをもたらします。

たとえば、外観検査が行われる分野として、電子機器や半導体、紙などの製造分野において微細な部品の検査や、高速な検査があります。具体的には、下記のような検査になります。

  • 電子機器製造:プリント基板の配線パターンや、部品の実装状態などを検査
  • 半導体製造:ウェハーの表面欠陥や、パッケージの封止状態などを検査
  • 紙製造:印刷物の色ムラや、インクのにじみなどを検査

外観検査工程の自動化により製造現場の省人化・省力化、生産性向上、品質向上が期待されています。

しかし、従来の検査装置は設置スペースが大きく、導入を諦めざるを得ないケースも少なくありません。特に、生産ラインが密集している工場や、既存の設備を最大限に活用したい工場などでは、新たな検査装置を設置するためのスペースを確保することが難しい場合があります。

「検査装置を導入したいが、設置スペースが確保できない…」

多くの製造現場で、このような「スペースの壁」が自動化を阻む要因となっています。この「スペースの壁」を乗り越えることが、製造現場の自動化を加速させるための重要な鍵となります。

OKI産業用カメラレンズが解決!省スペース・高精度な外観検査

OKIは、1980年に世界で初めてLEDを光源に用いたプリンターを商品化しました。LEDプリントヘッドは端から端まで歪むことなくLED像を感光ドラム上に結像するコンパクトな光学系のためコンパクトで省スペースのプリンター装置を提供してきました。このプリンター事業で培ったLEDプリントヘッド技術を応用し、歪みのない画像を撮れるコンパクトなレンズの研究開発を進め、プリンターのヘッド部分に使用される微細なレンズを応用することで、小型でありながらも高性能なレンズの開発に成功しました。

OKI産業用カメラレンズは、従来のレンズに比べ画像の端から端まで歪まない、どこにあっても見え方が同じ、ピントが合う範囲が広いという特長を持ち、省スペースと高精度を両立することで、製造現場の自動化を強力に支援します。

また、設置スペースの問題を解決するだけでなく、検査工程の効率化や検査精度の向上にも貢献します。これにより、製造現場の自動化を加速させ、生産性向上、品質向上、コスト削減など、さまざまなメリットをもたらします。

OKI産業用カメラレンズの特長

OKI産業用カメラレンズは、以下の特長を持ちます。

  • コンパクトな光学系で省スペース
  • テレセントリック画像を取得可能で画像歪み0%、広い被写界
  • 対応センサーサイズに上限がなく、大判エリアカメラやラインスキャンカメラ、長尺のコンタクトイメージセンサー(CIS)にも対応可能。

これらの特長は、製造現場における外観検査の自動化を強力に支援するための重要な要素となります。

マイクロレンズアレイで小型化と高性能を両立

OKI産業用カメラレンズの最大の特長は、マイクロレンズアレイを用いた光学設計技術です。マイクロレンズアレイとは、微細なレンズを規則的に配列したもので、OKIでは、このマイクロレンズアレイを独自の設計で配置することで、小型化と高性能を両立しています。

従来のレンズでは、歪みの補正やテレセントリック光学系の実現、大判センサーへ対応するために複数のレンズを複雑に組み合わせる必要があり、レンズ全体のサイズが大きくなってしまうという課題がありました。

しかし、OKIはマイクロレンズアレイを用いることで、レンズ全体のサイズを大幅に小型化しながらも、歪みのない画像、様々なセンサ―への対応と、広いピント範囲を実現しています。

具体的には、OKI産業用カメラレンズは、同じ画角の従来の産業用カメラレンズと比べて、被写体~カメラのサイズを約320mm → 約80mmに削減(※)。これにより、検査装置全体の設置スペースを大幅に削減し、省スペース化に貢献します。

※OKI調査による同一視野テレセントリックレンズとの比較

この省スペース化は、生産ラインが密集している工場や、既存の設備を最大限に活用したい工場などにとって、大きなメリットとなります。新たな検査装置を導入するためのスペースを確保する必要がなくなり、既存の設備を有効活用しながら、自動化を進めることができます。

正立等倍光学系でテレセントリック光学系、歪み0%と高精度を実現

OKI産業用カメラレンズは、マイクロレンズアレイを用いた正立等倍光学系により、コンパクトでシンプルな構成でテレセントリック光学系、歪み(ディストーション)0%と高精度な画像取得を実現しています。

テレセントリックレンズは、撮影する物体の大きさや位置がカメラから遠くなっても、画像の大きさが変わらない特殊なレンズです。これは、レンズに入ってくる光線を光軸にできるだけ平行に保つことにより実現されています。通常のレンズでは、物体がレンズから遠ざかると画像が小さく映りますが、テレセントリックレンズの場合、距離が変わっても同じ大きさで写るのが特徴です。そのため、正確な寸法測定や外観検査など、工業用途でよく使われています。とくに、測定誤差が許されない場面や、物体の高さによる影響を避けたい場合に役立ちます。このような構造のため、像の歪みが少なく、形状や寸法を高精度に捉えることができます。しかし、レンズの構造が複雑となり、一般的なレンズよりもサイズが大きくなるという課題があります。

OKIでは、マイクロレンズアレイを用いた正立等倍光学系により、小型でありながらもテレセントリック光学系を実現し、画像の端から端まで歪みのない、高精度な画像を取得することを可能にしました。

そして、歪みのない画像を撮影できるため、画像歪み補正などの処理が不要となり、検査工程の効率化に貢献します。画像処理もスムーズに行えるため、検査時間の短縮にもつながります。

また、OKI産業用カメラレンズをCISに適用することで、CISの課題であった被写界深度を大幅に深くできます。これにより、部品実装された基板などの立体構造物や、搬送安定性が低くピントが合いにくい箇所でも、CISで撮影可能となります。

多様なカメラに対応し、システム構築の自由度も向上

OKI産業用カメラレンズは、エリアカメラやラインスキャンカメラ、コンタクトイメージセンサー(CIS)など、さまざまなカメラに適用可能です。これにより、さまざまな製造現場のニーズに合わせた検査システムを構築することができます。

  • エリアカメラ:平面的な画像を一度に撮影するカメラであり、部品の形状や位置などを検査するのに適しています。
  • ラインスキャンカメラ:細長い画像を連続的に撮影するカメラで、連続的に移動する物体を検査するのに適しています。
  • コンタクトイメージセンサー(CIS):被写体に密着させて撮影するセンサーで、紙やフィルムなどの平面的な物体を検査するのに適しています。

これらのさまざまなカメラに対応することで、電子機器や半導体、紙などの製造で必要な外観検査での活用を想定しています。エリアカメラやラインスキャンカメラに適用することで、従来のカメラレンズと比較して圧倒的にコンパクトな構成が実現します。
また、レンズが超小型であり、さらに軽量であることから、装置への実装に扱いやすいため、産業用カメラの適用の自由度が大きくなります。

この特長により、従来のカメラ構成では組み込めなかった製造装置の内部での検査が可能となり、また、ロボットアームによるカメラの取り回しが容易になるなどの付加価値も提供できます。

また、OKI産業用カメラレンズは、CISで用いられる長尺のセンサーにも対応できます。よって、前項で述べたように、検査対象を拡大することが可能となります。

下の画像は、OKI産業用カメラレンズをラインスキャンカメラに搭載し、厚さ1㎝程度の立体格子状被写体の一部を撮影した結果です。撮影画像を視野とピントの2つの視点で比較すると、右下の一般カメラ(広角レンズ)ではピントの合う範囲は広いものの真上から見えておらず、左下のスキャナ(CIS)では全部の視野で真上から見えるもののピントの合う範囲が狭くなります。OKIレンズの画像は全部の視野で真上から見え、ピントの合う範囲が広い画像となっていて、テレセントリック光学系となっていることがお分かりいただけると思います。

立体格子状被写体の撮影結果 上:OKIレンズ/右下:一般カメラ(広角レンズ)/左下:スキャナ(CIS)

OKI産業用カメラレンズが拓く、新たな製造現場の未来

OKI産業用カメラレンズは、電子機器や半導体、紙などの製造で必要な外観検査での活用を想定しています。これらの分野では微細な部品の検査や、高速な検査が求められるため、OKIの特長が最大限に活かされます。

たとえば、

  • 電子機器製造:プリント基板の配線パターンや、部品の実装状態などを検査するために活用できます。
  • 半導体製造:ウェハーの表面欠陥や、パッケージの封止状態などを検査するために活用できます。
  • 紙製造:印刷物の色ムラや、インクのにじみなどを検査するために活用できます。

OKI産業用カメラレンズは、外観検査工程の自動化を強力に支援し、製造現場の省人化・省力化、生産性向上、品質向上に貢献します。これにより、企業の競争力強化にもつながることが期待されます。

まとめ

OKIは産業用カメラレンズを通して、新たな製造現場の未来を創造。今後も、製造現場のニーズに応える革新的な技術開発に取り組み、製造業の発展に貢献していきます。

OKIは、お客様の課題やニーズに合わせて、最適なソリューションを提供します。OKI産業用カメラレンズに関するご質問やご相談については、コチラからお気軽にお問い合わせください。

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