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コラム2024年09月13日

イノベーション・マネジメントシステムとは?ISO認証や導入メリットを解説

変化の激しい現代において成長力を確保できる組織であるためには、抜本的なイノベーションが求められることが増えています。ただ、イノベーションには様々なアプローチがあり、施策が100%成功するとも限りません。そのため、変革に踏み切れない企業は少なくないものです。

この記事では、企業の組織変革を支援するイノベーション・マネジメントシステムについて解説します。導入メリットや注目される背景、OKIの実践事例について紹介します。

イノベーション・マネジメントの理解を深めたい方や、OKIの社会課題解決のアプローチを知りたい方は、ぜひ参考にしてください。

目次

イノベーション・マネジメントシステム(IMS)とは

イノベーション・マネジメントシステム(Innovation Management System:IMS)とは、イノベーションの成功確率を上げるためのマネジメントをサポートするための規格です。

イノベーションの創出には、組織が抱えている課題に応じた適切かつ新規性のある施策が必要です。しかし、全く新しい取り組みは運用評価の見込みが立てづらく、実行に踏み切れないものです。

このような問題の解決に役立つのが、イノベーション・マネジメントシステムです。国際的に認められた規格に則って組織変革を進めることで、イノベーションの成功確率を高めることが期待できます。

イノベーション・マネジメントシステムが注目される背景

イノベーション・マネジメントシステムが注目される背景には、国内におけるイノベーションの必要性の高まりがあります。

労働人口の不足や技術の進化、市場ニーズの多様化など、国内企業をめぐる状況は常に変化しています。市場競争力の獲得や持続可能性の確保に向けた変革が必要であるものの、どのように進めていけば良いのかわからないわけです。

そこで役に立つのが、イノベーション・マネジメントシステムです。国際的に認められたプロセスに沿って進めることで、イノベーションが生まれやすい仕組みづくりができると期待されています。

「ISO 56000」とイノベーション・マネジメントシステムの関係

イノベーション・マネジメントシステムは、「ISO 56000」シリーズの名前でも知られています。

ISO 56000シリーズは、イノベーション・マネジメントを国際的に標準化した規格です。既に、ISO 56002としてガイダンス規格が国際標準として制定されています。国内企業だけでなく、世界中の組織がイノベーションのあり方の課題に直面しています。既存組織におけるイノベーションを効果的に進めるべく、ISO 56002を採用した組織改革が世界で進められています。
※2024年10月には、認証規格ISO 56001が制定される予定です。

ISO 56002は国内でも徐々に浸透している考え方です。経済産業省が2019年に策定した日本企業向けの手引書「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」の基になっています。
イノベーション・マネジメントを効果的に進めたいなら、ISO 56002に沿った議論やソリューションの導入が前提になるでしょう。

イノベーション・マネジメントシステムの導入は、具体的にどのようなメリットを企業にもたらしてくれるのでしょうか。ここでは2つのメリットについて紹介します。

1.組織としてのイノベーション体制が促進される

イノベーション・マネジメントシステムにおいて重要視されているのは、イノベーション活動を推進する組織文化の醸成です。そのため、組織の変革を促す具体的なプロセスが設定されています。

組織によっては、イノベーションを成せるのはカリスマ性のある人物だけであるという属人的な考え方や、変化を好まずイノベーティブな活動に拒否感を示す場合もあるでしょう。

イノベーション・マネジメントシステムは消極的な組織文化を変え、組織全体でイノベーションに取り組む土壌づくりを支援します。一過性ではなく継続的にイノベーションを創出していく組織基盤を築けるでしょう。

2.イノベーションに伴うリスクが軽減される

イノベーション・マネジメントシステムの導入により、イノベーションに伴うリスクの軽減が図れます。

標準化された国際規格に沿うことで、プロセス上で想定されるリスクが明らかにされ、ニーズを特定できるからです。投資すべき活動の選定や戦略策定、活動評価の際に、適切な判断が可能になります。

リスクと機会を明らかにし、不確実性を前提にした施策を講じることで、イノベーションの成功確率が高まるでしょう。

イノベーション・マネジメントシステムの構成

出典:一般社団法人Japan Innovation Network IMSコンパス

イノベーション・マネジメントシステムは、11の箇条によって構成されています。箇条0から3はイントロダクションや用語の定義で、注目したいのは箇条4から10の7つです。

  • 箇条4:組織の状況
  • 箇条5:リーダーシップ
  • 箇条6:計画
  • 箇条7:支援体制
  • 箇条8:活動
  • 箇条9:パフォーマンスの評価
  • 箇条10:改善

箇条4:組織の状況

箇条4は、組織の内外の状況を正しく把握し、課題の発見などをおこなうものです。専門のチームを立ち上げ、経営者レベルまでヒアリングをおこなう取り組みも求められます。

箇条5:リーダーシップ

箇条5は、ビジョン・戦略の策定や組織マネジメントを主体的におこなうリーダーシップのあり方を示すものです。経営者自らが旗振り役となり、社内の文化改革を促す必要があります。

箇条6:計画

箇条6は、ビジョンに基づく計画策定を指すものです。イノベーションを実現するための目標や、リスクと機会に応じた取り組み内容を計画します。売上目標や撤退基準などの設定が該当します。

箇条7:支援体制

箇条7は、イノベーション支援の体制を確立することです。イノベーション創出に関する理解を促進するための研修などが該当します。

箇条8:活動

箇条8は、イノベーション活動の実践です。具体的には、機会の特定からコンセプトの具体化、ソリューションの開発や導入などを指します。

箇条9:パフォーマンスの評価

箇条9は、実施施策のパフォーマンスを評価することです。事前に設定していたKPIを参考に活動内容を評価し、目標達成の状況を確認します。

箇条10:改善

箇条10は、パフォーマンス評価の際に得られた情報をもとに、改善施策を検討することです。目標を達成できなかった場合、何を改善すれば良いのかを整理して、新しいアクションに役立てます。

イノベーション創出プロセス

イノベーションの実現において重要なのは箇条8の「活動」の部分です。ここではイノベーション創出につながる具体的な活動プロセスを5ステップに分けて紹介します。

  • 機会の特定
  • コンセプトの創造
  • コンセプトの検証
  • ソリューションの開発
  • ソリューションの導入

機会の特定

イノベーションの創出には、適切な機会を発見することが重要です。自社の状況や世界のトレンド、顧客の観察などを踏まえて新たな切り口を見つけましょう。

コンセプトの創造

特定した機会を踏まえて、コンセプトを創造します。課題発見と分析、仮説検証を行い、コンセプトを具体化しましょう。

コンセプトの検証

創造したコンセプトが正しく機能するかどうか、検証するプロセスです。ビジネスとしての実現可能性や、そのパフォーマンスを評価します。

ソリューションの開発

コンセプトの強靭さが確認できたら、具体的なソリューションの開発を進めます。要件に則り、コンセプトに合ったソリューションを完成させましょう。

ソリューションの導入

開発したソリューションの導入に際しては、その後の評価改善プロセスも踏まえた運用体制を設けましょう。導入ソリューションから得られた結果をもとに、新しい機会の特定につながる可能性にも目を向けることが大切です。

イノベーションを推進する企業事例

イノベーション・マネジメントシステムの認証を取得している企業は、日本国内では限定的です。しかし、フォーマットに基づいた変革に取り組む企業は少しずつ増えています。

イノベーション・マネジメントシステムを踏まえた、先進的な取り組み事例を紹介します。

沖電気工業株式会社(OKI)

OKIでは2017年から当時検討中であったISO 56002をベースに、独自のイノベーション・マネジメントシステム「Yume Pro」を策定して、自社の組織変革や他社の変革支援を積極的におこなっています。

特徴は、新規事業や研究開発など一部の部門だけでなく、グループの全社員を対象とする「全員参加型」であることです。2023年8月には、Yume Proを全社規程に落とし込み、より本格的に運用しています。

変革の実現に向けては、イノベーション推進プロジェクトチームを設置し、Yume Proを活用したPDCAサイクルを確立しました。既存事業部とイノベーションチームの連携体制を強化することで、新規事業をすぐに事業部へ発注できる仕組みを整備しています。

また、「OKIイノベーション塾」を立ち上げて社内教育もおこなっています。これはイノベーションチームの取り組みを社内全体でサポートする文化の構築を図るものです。自前主義や受注体質などから脱却し、変革に前向きな風土が定着しつつあります。

まとめ|国際標準化が近づくイノベーション・マネジメントシステムをいち早く取り入れよう

この記事では、イノベーション・マネジメントシステムのサービス内容、国内企業が注目する理由について解説しました。

イノベーションにはリスクがつきものですが、国際規格化されたシステムを組み込むことでリスクを最小限に抑えることが可能です。

OKIでは「オープンイノベーション」を通じた、社会課題解決へ共に取り組む共創パートナーを募集しています。

社会課題の解決と社内文化の改革の両立を実現するイノベーション・マネジメントシステムであるYume Proは、国際標準化が進んだ組織づくりにおける重要な役割を果たせるソリューションです。

グローバルスタンダードの導入を検討中の方は、お気軽にOKIまでお問い合わせください。

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