COLUMN
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)とは?ISO認証や導入メリットを解説

この記事で分かること
- イノベーション・マネジメントシステム(IMS)が、変化の時代に求められる理由
- 国際規格「ISO 56000」シリーズがもたらす、イノベーション成功確率の向上
- 組織全体でイノベーションを創出するための具体的な5つのプロセスとは
- OKIの「Yume Pro」に学ぶ、全員参加型イノベーションの実践方法
現代のビジネス環境において、企業が持続的な成長力を確保するためには、もはや抜本的なイノベーションが欠かせません。しかし、イノベーションには多様なアプローチがあり、施策が100%成功する保証はありません。そのため、変革に踏み切れない企業は少なくないものです。
2026年現在、労働人口の減少や技術の進化、市場ニーズの多様化など、国内企業を取り巻く状況は一層の複雑さを増しています。こうした不確実な時代において、イノベーションを「偶然の産物」ではなく「管理可能なプロセス」へと変える仕組みが、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)です。
本記事では、企業の組織変革を支援するIMSの定義、導入メリット、注目される背景、そしてOKIの実践事例について詳しく解説します。
イノベーション・マネジメントの理解を深めたい方や、実装に向けたアプローチ方法を知りたい方は、ぜひ参考にしてください。
目次
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)とは
イノベーション・マネジメントシステム(Innovation Management System:IMS)とは、イノベーションの成功確率を上げるためのマネジメントをサポートする規格です。
イノベーションの創出には、組織が抱えている課題に応じた適切かつ新規性のある施策が必要です。しかし、全く新しい取り組みは運用評価の見込みが立てづらく、実行に踏み切れないものです。
このような問題の解決に役立つのが、イノベーション・マネジメントシステム(IMS)です。国際的に認められた規格に則って組織変革を進めることで、イノベーションの成功確率を高めることが期待できます。
「ISO 56000」シリーズとイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の関係
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)は、「ISO 56000」シリーズとして国際的に標準化されています。2026年現在の市場において、企業が把握しておくべき重要な区分は以下の通りです。
- ISO 56001(認証規格): 2024年に制定された要求事項規格。第三者機関による「認証」が可能となり、2026年現在、多くの企業が組織の価値創造能力を証明するために取得を進めています。
- ISO 56002(ガイダンス規格): イノベーション・マネジメントのあり方を示した指針。日本企業向けの手引書である「日本企業における価値創造マネジメントに関する行動指針」(経済産業省)の基にもなっています。
世界中の組織がイノベーションのあり方の課題に直面している中、ISO 56001/56002を採用した組織改革は、グローバルスタンダードな経営手法として定着しています。
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)導入のメリット
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の導入は、具体的にどのようなメリットを企業にもたらすのでしょうか。ここでは主な2つのメリットを紹介します。
1. 組織としてのイノベーション体制が促進される
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)において重要視されているのは、イノベーション活動を推進する「組織文化の醸成」です。そのため組織の変革を促す、具体的なプロセスが設定されています。
組織によっては、イノベーションを成せるのはカリスマ性のある人物だけであるという属人的な考え方や、変化を好まずイノベーティブな活動に拒否感を示す場合もあるでしょう。
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)はこうした消極的な組織文化を変え、組織全体でイノベーションに取り組む土壌づくりを支援します。一過性ではなく、継続的にイノベーションを創出する組織基盤を築けるでしょう。
2. イノベーションに伴うリスクが軽減される
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の導入により、イノベーションに伴うリスクの軽減が図れます。標準化された国際規格に沿うことで、プロセス上で想定されるリスクが明らかにされ、ニーズを特定できるからです。
投資すべき活動の選定や戦略策定、活動評価の際に、適切な判断が可能になります。リスクと機会を明らかにし、不確実性を前提にした施策を講じることで、イノベーションの成功確率が高まるでしょう。
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の構成
IMSコンパス
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)は、11の箇条によって構成されています。箇条0から3はイントロダクションや用語の定義で、注目したいのは箇条4から10の7つです。
| 構成要素 | 実務上の内容と重要性 |
|---|---|
| 箇条4:組織の状況 | 組織の内外の状況を正しく把握し、課題を発見します。専門のチームを立ち上げ、経営者レベルまでヒアリングを行う取り組みも求められます。 |
| 箇条5:リーダーシップ | ビジョン・戦略の策定や組織マネジメントを主体的に行うリーダーシップのあり方を示します。経営者自らが文化改革の旗振り役となり、社内の文化改革を促す必要があります。 |
| 箇条6:計画 | イノベーションを実現するための目標や、リスクと機会に応じた取り組みを計画します。売上目標や撤退基準の設定などが該当します。 |
| 箇条7:支援体制 | イノベーション支援の体制を確立します。理解を促進するための研修や、必要なリソースの提供などが含まれます。 |
| 箇条8:活動 | イノベーション活動の実践です。機会の特定からコンセプトの具体化、ソリューションの導入まで、具体的な創出プロセスを実行します。 |
| 箇条9:パフォーマンス評価 | 事前に設定したKPIを参考に活動内容を評価し、目標達成状況を確認します。システムの有効性を客観的に測定します。 |
| 箇条10:改善 | 評価結果をもとに改善施策を検討します。得られた情報を整理して、次の新しいアクションに役立てます。 |
イノベーション創出の5つのステップ
イノベーションの実現において重要なのは、箇条8の「活動」です。ここではイノベーション創出につながる具体的な活動プロセスを5ステップに分けて紹介します。
1. 機会の特定
イノベーションの創出には、適切な機会を発見することが重要です。自社の状況や世界のトレンド、顧客の観察などを踏まえて新たな切り口を見つけましょう。
2. コンセプトの創造
特定した機会を踏まえて、コンセプトを創造します。課題発見と分析、仮説検証を行い、コンセプトを具体化しましょう。
3. コンセプトの検証
創造したコンセプトが正しく機能するかどうか、検証するプロセスです。ビジネスとしての実現可能性や、そのパフォーマンスを評価します。
4. ソリューションの開発
コンセプトの強靭さが確認できたら、具体的なソリューションの開発を進めます。要件に則り、コンセプトに合ったソリューションを完成させましょう。
5. ソリューションの導入
開発したソリューションの導入に際しては、その後の評価改善プロセスも踏まえた運用体制を設けましょう。導入ソリューションから得られた結果をもとに、新しい機会の特定につながる可能性にも目を向けることが大切です。
イノベーションを推進する企業事例
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)の認証を取得している企業は、日本国内では限定的です。しかし、フォーマットに基づいた変革に取り組む企業は少しずつ増えています。
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)を踏まえた、先進的な取り組み事例を紹介します。
沖電気工業株式会社(OKI)
国内製造業において、世の中に先駆けてIMSの本格実装に取り組んでいる一例がOKIです。OKIは2017年から、当時の国際規格策定の動きに合わせ、独自のイノベーション・マネジメントシステム(IMS)である「Yume Pro(ユメプロ)」を策定しました。
日本初・グローバル製造業初の「ISO 56001」認証取得
OKIは、2024年9月に発行された要求事項規格である「ISO 56001」に基づく認証を、2025年7月に日本国内で初めて取得しました。同時に、「ISO 56001」に基づく英国規格協会(BSI)グループにおいて、グローバル製造業として初めての認証取得事例となりました。
この認証取得は、同社の「機会の特定」から「価値の実現」に至るイノベーション創出プロセスが、国際基準の厳格な要求事項をすべて満たしていることを客観的に示す事実です。これにより、不確実な環境下においても継続的に価値を生み出す組織能力が担保されていることが証明されました。
「全員参加型」イノベーションの全社規程化
OKIのIMSは、新規事業部門などの特定部署のみならず、グループ全社員を対象とした「全員参加型」を基本理念としています。 2023年8月には、Yume Proの運用を全社規程として制定しました。これにより、イノベーション活動は個人の志向に基づく活動ではなく、組織として遂行すべき定常業務として明確に位置づけられました。
活動の範囲は、新規事業の創出に限定されず、既存事業の変革や社内の業務プロセス改善、生産性の向上といった広範な価値創造を包含しています。
「OKIイノベーション塾」による組織文化の醸成
組織文化の変革を実効性のあるものにするため、社内教育機関である「OKIイノベーション塾」を運営しています。
- 教育の規模と対象: 執行役員から一般社員まで、延べ数千人の社員が受講し、組織内での共通言語化を図っています。
- 実践的な習得スキル: デザイン思考、ビジネスモデル・キャンバス、SDGs(持続可能な開発目標)を起点とした社会課題の深掘り手法などを体系的に習得します。
- マインドセットの転換: 従来の自前主義(自社技術への固執)や受注体質からの脱却を促し、外部パートナーとの「共創」を前提とした課題解決型ビジネスへの転換を組織的に推進しています。
OKIは、自らが「実践者」としてIMSの導入・運用過程で直面した組織的な壁や、それを克服した試行錯誤のプロセスを体系化し、「IMS支援サービス」を外部へ提供しています。
- 支援の内容: OKIが培った実績・経験を基に、イノベーション活動を推進したい企業・組織の課題や要望に応じたコンサルティング、教育、実践支援を行います。

新たなビジネスの創出を加速する「OKIブレイクスルーキャンプ」
イノベーション・マネジメントシステム(IMS)のプロセスを体感し、デザイン思考による課題探索プロセスを体験できる1日完結型のワークショップです。
新規事業開発や既存事業の変革、業務改善に携わる方々に向けて、顧客視点から課題をとらえ、解決策の発想につながる実践的な学びを提供します。身近な例題を用いた演習形式で、理論だけでなく「実務にどう活かせるか」を体感できます。
まとめ
今回解説したイノベーション・マネジメントシステム(IMS)は、変化の激しい時代において組織の競争力を維持・強化するための、汎用的な経営基盤(OS)です。2024年9月のISO 56001発行を経て、2026年現在の経営環境においてIMSの実装は、企業の社会的信頼と持続的な価値創造能力を支えるうえで、もはや欠かせない要素となりました。
国際規格に基づいた共通のプロセスを構築することは、組織内の生産性を高めるだけでなく、外部パートナーとの共創を加速させ、一社では解決困難な複雑な社会課題に対して確度の高い解決策を提示することを可能にします。
OKIでは「オープンイノベーション」を通じた、社会課題解決へ共に取り組む共創パートナーを募集しています。
社会課題の解決と社内文化の改革の両立を実現するイノベーション・マネジメントシステムであるYume Proは、国際標準化が進んだ組織づくりにおける重要な役割を果たせるソリューションです。
OKIでは「オープンイノベーション」を通じた、社会課題解決へ共に取り組む共創パートナーを募集しています。
社会課題の解決と社内文化の改革の両立を実現するイノベーション・マネジメントシステムであるYume Proは、国際標準化が進んだ組織づくりにおける重要な役割を果たせるソリューションです。
グローバルスタンダードの導入を検討中の方は、お気軽にOKIまでお問い合わせください。
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