COLUMN
【2026年最新】920MHz vs 2.4GHz/5GHz無線LAN(Wi-Fi):IoTシステムに最適な無線の選び方

この記事で分かること
- Wi-Fi(2.4GHz/5GHz)とIoTで注目の920MHz、それぞれの違いと特性
- 製造現場や広大な敷地で、なぜ920MHz帯無線が適しているのか
- IoTシステムの導入時に考慮すべき、通信距離・速度・容量の最適なバランス
- OKIの独自技術が、製造業のDXやカーボンニュートラルにどう貢献するのか
スマートフォンの普及により無線LAN対応の機器が急増し、無線LAN対応機器の累積出荷数は、2026年現在で累計500億台規模へと拡大しました。Wi-Fi 7の利用も拡大する中、産業用IoTでは安定接続と低消費電力を両立する「920MHz帯」が有力な無線規格となっています。
本記事では、IoT 通信規格の中で主要な3つの帯域(2.4GHz/5GHz/920MHz)を比較。最適な速度と信頼性を確保するための、IoT向け周波数の選び方を簡潔に解説します。
目次
IoTシステムの導入でポイントとなる無線方式の選び方とは
無線LAN(Wi-Fi)規格はさらに高速化・進化を続ける
スマートフォン(スマホ)の急速な普及に伴い、ノートパソコンやゲーム機などさまざまなデバイスが無線LANに対応し、家の中だけでなく街中でも無線LANを使用してインターネットに接続できるようになっています。2026年現在、最新のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)などの普及により、IoT 無線LANの環境はより高速かつ、低遅延へと進化を続けています。
無線LAN(Wi-Fi)に対応したデバイスは、米国電気電子学会(IEEE)のIEEE802.11という通信規格を基に、開発されています。世代ごとに「IEEE 802.11x」(xには英字が入る)規格があり、IEEE 802.の部分を省略して「11ac」などの略称で呼ばれることもあります。
Wi-Fiの正式名称は、Wireless Fidelity。「ワイヤレス機器の相互接続性を保証する」という意味で、無線LAN製品の普及促進を図ることを目的とした業界団体「Wi-Fi Alliance」によって定められた規格です。
Wi-Fiのロゴがついた製品は、国際標準規格のIEEE802.11に対応し、デバイス間の相互接続性が認定されたデバイスであることを示しています。
無線LAN(Wi-Fi)で使用されるIEEE802.11規格は、世代により規格が異なります。
| 世代 | 規格の策定時期 | 名称 | 規格名 | 最大通信速度 (理論値) |
周波数帯 |
|---|---|---|---|---|---|
| 第1世代 | 1997年 | - | IEEE 802.11 | 2Mbps | 2.4GHz帯 |
| 第2世代 | 1999年 | - | IEEE 802.11a | 54Mbps | 5GHz帯 |
| - | IEEE 802.11b | 11Mbps | 2.4GHz帯 | ||
| 第3世代 | 2003年 | - | IEEE 802.11g | 54Mbps | 2.4GHz帯 |
| 第4世代 | 2009年 | Wi-Fi4 | IEEE 802.11n | 600Mbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
| 第5世代 | 2013年 | Wi-Fi5 | IEEE 802.11ac | 6.9Gbps | 5GHz帯 |
| 第6世代 | 2019年 | Wi-Fi6 | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯 |
| 2020年 | Wi-Fi6E | IEEE 802.11ax | 9.6Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 | |
| 第7世代 | 2024年 | Wi-Fi 7 | IEEE802.11be | 36Gbps | 2.4GHz帯/5GHz帯/6GHz帯 |
IEEE802.11の規格の種類
第3世代以前のWi-Fiは、IEEE 802.11bや802.11aといった規格名で区別されていましたが、最近は消費者にわかりやすいように、Wi-Fi Allianceが「Wi-Fi 4(802.11n)」「Wi-Fi 5(802.11ac)」「Wi-Fi 6(802.11ax)」などの名称を付けています。これにより、ユーザーは世代ごとの違いを理解しやすくなっています。
日本では、2022年9月以降にWi-Fi 6Eが市場で流通するようになり、2023年12月末には総務省が電波法施行規則を改正し、新たな無線LANの通信規格であるIEEE 802.11be「Wi-Fi7」の利用を認可しました。
このように、IEEE802.11規格では伝送速度の飛躍的な高速化が図られてきました。
IoTで920MHz帯が注目される理由
法改正と新たな規格策定で、920MHz無線の普及がさらに加速
一方、920MHz帯無線は、スマートメーターリングなどの需要拡大に向けて、2012年7月から日本国内で利用可能となった無線周波数帯です。
920MHz帯とは?
920MHz帯の通信帯域は基本的に、LPWA(Low Power Wide Area)の帯域の一つとされます。これは、920MHzが「低電力」かつ「広範囲の通信」を実現するためです。
LPWAは、ネットワークを構築、データを送受信できることを目的とした用途を目的としているため、高画質な4K/8Kなどの動画のような、大きなデータの送受信には向いていません。しかし、スマートメーターのような制御・監視などには非常に好適な周波数帯であり、初期は主にエネルギー分野での仕様化が進む「Wi-SUN」規格が利用されてきました。
920MHz帯のメリット
920MHz帯は、通信速度は比較的低速ですが、複数の無線機がバケツリレーのようにデータを中継するマルチホップ通信に対応していることや、消費電力が小さいことが特長です。
LPWAは、大きく免許が必要なライセンスバンド(セルラー系)と、一定の条件下で免許が不要なアンライセンスバンド(非セルラー系)に分類されます。技術的な違いでは、ライセンスバンド(セルラー系)は周波数、技術はLTEをベースとしたものが主に用いられます。一方、920MHz帯は免許不要、無料で利用できることから、独自規格から世界標準まで、幅広く用いられています。
920MHz帯は前述の通り、特定のエリアで独自のネットワークを構築することも可能なため、IoT制御などにも適しており、応用分野は多岐にわたります。
新たな規格策定と法改正
2018年11月には、IoTの通信システムとして活用が期待される IEEE標準規格 802.11ah(Wi-Fi HaLow™)の日本国内での利用拡大に向け、関係企業・団体 56 社が参加する「802.11ah 推進協議会」が発足しました。
Wi-Fi HaLow™(ヘイロー)とは、920MHz帯の周波数を利用する通信手段のひとつで、特にIoTの通信システムとしての幅広い活用が期待される、新たなWi-Fi規格です。
海外ではすでにWi-Fi HaLow™の製品化と利用が進む中、日本国内では2022年9月5日に総務省より「無線設備規則の一部を改正する省令(令和4年総務省令第60号)」ならびに関連する告示が公布・告示されました。
これにより、日本国内における920MHz帯でIEEE802.11ahを含む最大4MHz幅の広帯域無線システムの利用が可能となり、これから、日本国内でも普及していくと予想されています。
徹底比較!2.4GHz/5GHz/920MHz
無線LAN(Wi-Fi)2.4GHz/5GHz帯と920MHzのメリット・デメリットとは
続いて、IoTシステムの安定運用において極めて重要な判断基準となる、無線LAN(Wi-Fi)の2.4GHz帯・5GHz帯、および920MHz帯(サブギガ帯)の特性を比較します。
導入検討において、通信規格の選択は運用コストや将来の拡張性に直結するため、各帯域の物理的なメリット・デメリットを正しく把握することが不可欠です。主要な特性を以下の比較表にまとめました。
| 比較項目 | 920MHz(LPWA/IEEE 802.15.4gなど) | 2.4GHz (Wi-Fiなど) | 5GHz (Wi-Fiなど) |
|---|---|---|---|
| 通信距離 | 極めて長い(1km以上可能) | 中程度(数十m〜100m) | 短い |
| 障害物への強さ | 非常に高い(回折性が強い) | 普通 | 低い |
| 通信速度 | 低速(数百kbps程度) | 高速 | 極めて高速 |
| 干渉の受けやすさ | 低い | 非常に高い(混雑帯域) | 低い |
| 消費電力 | 極めて低い(電池駆動に最適) | 高い | 高い |
各帯域における具体的な特性と、実運用における詳細な注意点は以下の通りです。
無線LAN(Wi-Fi)2.4GHz帯
メリット
- 長く使われている基本的な通信規格
- 多くの機種で対応しているため、互換性に気を配る必要がない
デメリット
- 電波の直進性が高く、近距離通信に限定される
- 無線LANの規格ではマルチホップ通信に対応していない
- 他の無線ネットワークやノイズの電波干渉を受けやすく、安定した通信が難しい
無線LAN(Wi-Fi)5GHz帯
メリット
- Wi-Fi専用の周波数帯
- 電波干渉を受けにくく、高速通信が安定して行える
デメリット
- 2.4GHz帯よりさらに通信範囲が狭く、障害物や遮蔽物があると電波が弱くなる
- 無線LANの規格ではマルチホップ通信に対応していない
- 気象レーダーと同じチャンネル(W53/W56)を使う場合、通信が突然途切れる可能性がある
920MHz帯無線
メリット
- 電波の回り込み特性がよく、障害物があっても長距離通信が可能
- マルチホップ通信に対応し、広いエリアをカバーできる
- 他の無線ネットワークがある環境でも安定的に通信できる
デメリット
- 映像・音声などの大容量・高速な通信では利用できない
2.4GHz帯
2.4GHz帯は、ISMバンド(Industrial, Scientific and Medical band)と呼ばれる周波数帯の1つで、国際電気通信連合(ITU)によって規定されています。本来は無線通信以外の産業・科学・医療目的のために割り当てられた世界共通で使用できる周波数帯ですが、免許不要で自由に利用できる汎用性の高さから、IoT 通信規格一覧の中で、もっとも早く普及しました。近距離無線通信規格であるBluetoothや独自規格の周辺機器、ワイヤレスヘッドホン、リモコンなど、極めて多種多様なデバイスで利用されています。また、無線通信以外では、電子レンジの電磁波とも周波数が重なるため、常に過密な状態にあります。

このように、膨大な数の機器が2.4GHz帯を利用するため、非常に混雑しており、他の機器からの電波干渉を受けやすい帯域です。運用面では無線チャネルを分けることで干渉回避を試みますが、物理的な制約として2.4GHz帯の全13チャネルは周波数帯域が相互に重なり合っており、完全に独立して同時利用できるのは実質的に3チャネルのみです。このため、安定した通信品質と速度 IoTの両立が難しく、かつての最新規格であったIEEE 802.11ac(Wi-Fi 5)から、現在のWi-Fi 7(IEEE 802.11be)に至るまで、全チャネルを独立して利用可能な5GHz帯や6GHz帯の活用が技術的な大前提となっています。
5GHz帯
5GHzの特徴は、通信速度の速さと安定性です。Wi-Fi専用の電波であるため、家電などの機器からの電波との干渉が起こりにくく、安定した高速通信が行えます。
一方、5GHzは壁などの障害物があると弱まりやすい特性があります。Wi-Fiルーターとデバイスの距離が近く、障害物・遮蔽物が少ない場合には高速通信を実現しますが、逆の場合は効果が得られません。また、Wi-Fiルーター側が5GHzに対応できたとしても、利用するデバイスが対応していなければ安定した高速通信は実現できないため、注意が必要です。
920MHz帯
920MHz帯は、前述した2.4GHz帯と比較しても電波到達性が高く、特定小電力無線局の429MHz帯と比べて高いスループットを持つことから、マルチホップに対応した無線ネットワークの構築に適しています。また、出力20mWまでは無線局の免許が不要の「特定小電力無線局」に該当し、無線LAN(Wi-Fi)と同様、自由に利用できます。
一方、920MHz帯無線は、多くのセンサー機器が共同で利用することを想定した周波数のため、音声や映像といったデータや、大容量のデータの通信には利用できないという用途の制約がある反面、電波が混雑している環境においても、電波干渉が少なく安定的に通信できるというメリットがあります。
また、920MHz帯は、国ごとに使用できる周波数帯が異なっています。北米では915MHz帯、欧州では868MHz帯となっており、国内の920MHz帯に対応した無線機は海外でそのまま利用ができないため注意が必要です。
| 429MHz帯 | 920MHz帯 | 2.4GHz帯 | 5GHz帯 | |
|---|---|---|---|---|
| 伝送速度 | ~2.4kbps | ~数Mbps | ~54Mbps | ~6.9Gbps |
| 到達距離(見通し) | 1Km程度 | 数km以上 (ツリーやマルチホップ構成時) |
100m程度 | 100m程度 |
| 回り込み特性 | 良い | 良い | 悪い | 悪い |
| 電波干渉 | 少ない | 少ない | 多い | 少ない |
| 消費電力 | 低い | 低い | 高い | 高い |
| マルチホップ利用 | 困難 | 可能 | 可能 | 可能 |
| 標準化 | なし | IEEE802.15.4 Wi-SUN,Zigbee Wi-Fi HaLow |
IEEE802.11 Wi-Fi |
IEEE802.11 Wi-Fi |
無線周波数帯ごとの特徴比較
マルチホップ通信とは?
マルチホップ(Multi Hop)通信とは、複数の無線通信装置がそれぞれ隣接する他の無線通信装置同士を連鎖経由して、バケツリレーのようにデータを伝送していく通信技術。マルチホップセンサーネットワーク技術とも呼ばれます。
これまで省電力無線の中で主流であったスター型(1:n通信)の「通信速度」と「通信範囲」のトレードオフを解消できることで、IoTの発展を高品質な無線通信で支えるテクノロジーとして期待されています。

OKIの920MHz帯マルチホップ無線 SmartHopの特長
OKIでは、IoT無線ネットワークをより簡単に、低コストで実現する920MHz帯マルチホップ無線 「SmartHop」を提供しています。
その特長は、以下の通りです。
- マルチホップ技術により複数経路を構成可能、通信品質を向上
- 各無線機は、自動的に最適な経路を選択
- 電波状態が一時的に悪化しても再送処理を行い、それでも通信できない場合は、最適な経路に切り替えて通信

OKIでは、この技術を活用した、防災DXに向けた「ゼロエナジーIoTシリーズ」や、「カーボンニュートラル・カーボンフットプリント対応の無線ソリューション」などを提供しています。
まとめ:通信距離や容量、用途に応じて、最適な周波数の無線を選択しよう
産業用途、特に製造業では、次のような現場の効率化による生産性の向上などの取り組みが、常に行われています。
- タブレット・スマートフォン・データを活用した現場業務の効率化
- 外部ビジネス環境変化に応じた柔軟な対応
- DX(デジタルトランスフォーメーション)による自社商品の付加価値向上・新ビジネス創出
これらの取り組みを実現する手段として、IoT(Internet of Things)を活用する企業が増えています。実用的に利用できるさまざまな無線方式の出現により、これまで有線が一般的であった工場・ビルなどの産業用途でも無線の活用がさらに加速しています。
その際に、通信させたい距離やデータの容量、用途によって、どの規格の無線・周波数を選ぶべきかが異なります。
解説した通り、周波数帯によって電波の特性や通信速度に特長があります。そのため、用途に応じて適切な周波数の無線を組み合わせて使うことが、ポイントになります。
たとえば、工場や病院でスマートフォンやタブレットを活用する際、大容量のデータを通信する必要がある場合は、無線LAN(Wi-Fi)が適しています。

一方、敷地の広い工場やビルの電力見える化や、機器の稼動監視、遠隔の機器制御など、広い範囲に点在するセンサーをつなげるためには、障害物にも強く長距離通信が可能で、マルチホップ方式にも対応した920MHz帯無線が適しています。特にビルのフロアーをまたぐ通信をしたい場合、2.4GHz(5GHz)帯では各フロアーにアクセスポイントを設置してLANを配線する必要がありますが、920MHz帯ではフロアーを越えて電波が届くため、フロアー間の配線工事無しでネットワークを構築することが可能です。
ぜひこの記事を参考に、最適な無線・周波数を検討ください。
OKIでは、工場やビル内でも高い信頼性で通信できる920MHz帯マルチホップ無線ソリューション「SmartHop」を提供しています。ぜひこの機会に、お気軽にお問い合わせください。
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