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サービスロボットとは?種類や活用事例、市場規模について解説
サービスロボットとは、小売店や飲食店などサービス業界で使用されるロボットの総称です。人手不足を解消し、顧客の利便性を高められるとして、多くの企業から注目を集めています。
サービスロボットの一種である接客ロボットのPepper(ペッパーくん)や、飲食チェーン店の配膳ロボットを利用したことのある人は多くいらっしゃるでしょう。
本記事では、私たちの生活で身近になりつつあるサービスロボットの種類や市場規模、活用事例、現状と課題までわかりやすく解説します。
サービスロボットについて網羅的に理解することができるので、ロボットの導入や活用に向けた判断材料として、ぜひ本記事を参考にしてください。
目次
1.サービスロボットとは
サービスロボットとは、人の生活の質を改善するために開発されたロボットです。労働力不足の解消や顧客体験の向上が期待できるとして、主にサービス産業で活用され始めています。
たとえば、以下のような分野でサービスロボットが使用されています。
業界 | 主な活用シーン |
---|---|
大型施設 (空港・商業施設) |
・自律型サービスロボットがコンシェルジュとして案内 ・遠隔操作ロボットが建物内を巡回警備 |
小売店 |
・自律型サービスロボットが在庫商品を迅速にチェック ・音声対話型のサービスロボットで、施設内の道案内を提供 |
飲食店 |
・自律型サービスロボットが客席まで料理を配膳 |
医療ヘルスケア |
・自律型サービスロボットが病院内のリネンや薬剤などを搬送 ・清掃ロボットが施設内のドアノブや手すりを除菌 |
サービスロボットには、人とコミュニケーションが取れるものや、障害物を避けながら自律走行するものなどがあり、用途によって使い分けられています。
産業用ロボット |
・工場で製造に利用される ・作業レーンなどで工程の一部を担う ・移動機能などが搭載され、プログラムで動作する |
---|---|
サービスロボット |
・産業用ロボット以外のロボットの総称 ・「屋内用または屋外用」「業務用または個人用」で大別される |
工場内で産業用ロボットが人の作業を代替することで、作業員の負担軽減や安全性の確保につながります。サービスロボットは、人が行う業務をサポートしながら顧客の体験価値の向上を図れる点がメリットです。
2.サービスロボットの種類
サービスロボットは、屋内用ロボットと屋外用ロボットに分けることができます。
ここでは、屋内用ロボットと屋外用ロボットの種類を解説します。
産業用ロボットとサービスロボットの違い
そもそもロボットは、産業用ロボットとサービスロボットの大きく2種類に分けられます。それぞれの定義や特徴は、次のとおりです。
屋内用ロボット
屋内用ロボットには主に6種類があり、以下でロボットの例を挙げています。
- 医療ロボット...手術支援ロボット、運搬ロボット
- 人工知能を内蔵した家電製品...ロボット掃除機
- コミュニケーションロボット...人型ロボット
- 運搬ロボット(屋内用)...配膳ロボット
- 警備ロボット...巡回ロボット
- 清掃ロボット...吸引式ロボット、洗浄式ロボット
屋外用ロボット(フィールドロボット)
屋外用ロボットはフィールドロボットとも呼ばれ、以下の6種類があります。
- 農業用ロボット...農薬散布ロボット、自動収穫ロボット
- 建機ロボット...自律型ショベルやダンプトラック
- 災害対応ロボット...レスキューロボット
- 運搬ロボット...荷物搬送ロボット
- 移動用ロボット...無人搬送車、自律走行搬送ロボット
- ロボットスーツ...サイボーグ型ロボット
3.サービスロボットを導入する企業が増えている背景
サービスロボットを導入する企業が増加傾向にある背景として、人手不足やコロナによる影響が挙げられます。
サービス産業は労働力不足という課題に直面していますが、人の作業を代替するサービスロボットの活用で人手不足が補われています。
また、コロナ禍では感染リスクを低減させるために、各産業で非接触や非対面、遠隔化が求められ、サービスロボットの需要増加につながりました。
多くの企業でサービスロボットへの関心が高まっている背景は、ほかにもあります。
ここでは、サービスロボットを導入する企業が増えている背景として、補助制度について解説します。
経済産業省によるロボット導入のための補助制度
政府が補助制度でサービスロボットの導入を後押ししている点も、導入企業が増加傾向にある一因です。経済産業省は、ロボットフレンドリーな環境の構築を目指しており、サービスロボットの導入を支援しています。
支援活動の一環として、「ものづくり・商業・サービス生産性向上促進補助事業」を実施し、サービスロボットの開発や導入を推進しています。
コロナの感染防止と事業継続を両立させるための取り組みであることが条件の一つで、補助額は100万〜1,000万円です。
補助金に関する詳細は、「ものづくり補助金総合サイト」をご覧ください。
4.サービスロボットの市場規模
次に、サービスロボットの国内外の市場規模について解説します。
サービスロボット市場は、国内・海外ともに拡大傾向にあり、今後もさらなる成長が見込まれています。
国内市場規模
矢野経済研究所が2020年に報告した調査結果によると、2022年度における業務用サービスロボット市場は129億円以上に達すると予測されています。
※出典:業務用サービスロボット市場に関する調査を実施(2020年)|株式会社矢野経済研究所
同調査では、業務用サービスロボットとして、搬送ロボットや掃除ロボット、レジロボットや警備ロボットなど、計6種類が含まれました。
サービスロボットは、人の作業負担を軽減し人手不足の解消につながることから、今後も需要拡大が期待されています。
世界市場規模
株式会社富士経済によると、2021年度の業務用サービスロボットの世界市場規模は2兆円以上になると発表しました。さらに、2030年度には倍増し、5兆円規模の市場に成長すると予測されています。
また、以下の種類のサービスロボットも市場拡大が期待されています。
2030年予測 (2021年比) |
拡大理由 | |
---|---|---|
セキュリティロボット | 245億円 (17.5倍) |
単純労働から解放され業務負担が軽減される |
デリバリーロボット | 1,010億円 (23.5倍) |
EC注文や一般郵便物の配送数の増加 |
5.サービスロボットの導入事例
これからサービスロボットの導入を検討しようと考えている企業であれば、実際の導入事例について興味があるのではないでしょうか。ここではサービスロボットを導入した事例について、警備・清掃・接客の3つの用途にわけて紹介します。
【警備】空港や商業施設をロボットが巡回|SEQSENSE株式会社
SEQSENSE株式会社は、施設内を巡回する自律移動型警備ロボットを提供しています。
来客数の多い大型施設内を自動巡回するため、警備員の負担軽減や施設における安全性の確保に貢献しています。
これまでに、成田国際空港やなんばスカイオ、大手町ビルヂング、丸の内ビルディングなどで導入されました。
SEQSENSEの警備ロボットは、3次元センサー、リアルタイム経路計画など最新技術が搭載されているのが特徴です。環境変化の検出や移動物体の発見により、警備員に代わり施設内の安全を守ります。
【接客】自動接客ロボットによる商品案内|株式会社ハタプロ
ロボット開発などを行う株式会社ハタプロは、人と自然な会話ができる小型AIロボットを提供しています。
音声だけでなく、画像や映像を使って視覚的にコミュニケーションが取れる点が特徴です。観光案内所や商業施設、企業受付などで、人の代わりに接客を行います。
スイッチを入れるだけで自動稼働するため、現場スタッフは複雑な操作をする必要がありません。見た目もかわいく気軽に話しかけることができ、ユーザーの利便性が高まります。
6.サービスロボットの課題
サービスロボットの市場は拡大し、導入事例も増えてきていますが、実際の運用に組み込むには解決すべき課題もあります。主な課題として、サービスロボットに関する知識不足、想定外のトラブルへの対応のほか、ネットワーク面やセキュリティ面でも対策が必要です。
ここではサービスロボットの4つの課題について一つずつ解説します。
現場担当者のリテラシーが不足している
サービスロボットの課題として、現場担当者のリテラシー不足が挙げられます。現場担当者にロボットを操作する知識が不足していると、多機能なサービスロボットを導入しても使いこなせません。
操作が簡単なロボットを導入しても、安全に使うルールが現場に周知されていないケースも見られます。
人とロボットが協働するには、現場担当者が正しい使い方を学ぶ必要があります。したがって、サービスロボットを導入する際は、教育などの現場支援を継続的に提供することが大切です。
ロボットだけでは対処できない問題がある
ロボットをサービス業界で使用する場合、ロボットだけでは対応できないケースがあります。
たとえば、飲食店で使用される現行の配膳ロボットは、料理が乗ったお皿をお客様のもとに運べますが、テーブルの上に移動させることはできません。お客様の手がふさがっていてお皿を移動できない場合、店員が移動させる必要があります。
また、清掃用の自律走行型サービスロボットは、障害物にぶつかったり、何らかの原因で転倒したりするなど、想定外のトラブルが発生することもあります。そうした場合は、人的サポートが必要になります。
サービスロボットを導入しても完全な無人化は難しく、人とロボットの協働が必要です。
ネットワークが不安定な環境での使用
ネットワークが不安定な場合、ロボットは指令を受け取れずリアルタイムで管理できなくなります。
たとえば、サービスロボットが接客中に稼働停止してしまった場合、ロボット単体では現状を処理できず、トラブルにつながる恐れがあります。
しかし、現在は5G(第5世代移動通信システム)の活用も広がり、大容量の高速接続が可能になりました。今後5Gの利用エリアが拡大するにつれ、ネットワークに関する課題は解消すると考えられます。
セキュリティ対策が不十分である
サービスロボットの活用が広がるにつれ、セキュリティリスクも高まります。セキュリティ対策が不十分である場合、サイバー攻撃の脅威があるため注意が必要です。
また、ロボットが使用現場から持ち出されて、自己位置情報を正しく把握できなくなる恐れもあります。
このような事態を避けるために、起こりうるリスクや脆弱性をすべて把握し、セキュリティ対策を強化することが大切です。
7.サービスロボットの導入で課題解決につなげよう
飲食店や警備現場などで使用されているサービスロボットは、人手不足を解消し業務負担を軽減するために欠かせません。
実際、国内外の市場規模は拡大し、さまざまなサービス現場で需要が高まっています。
しかし、「サービスロボットを導入したけれど使いこなせない」「複数のロボットを現場で管理しきれない」という悩みを持つ担当者は少なくありません。
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「サービスロボットを導入したいけれど使いこなせるか不安」
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