COLUMN
健康経営優良法人とは?認定メリットや注意点、認定までの手順を解説
経済産業省は「生涯現役社会」の実現に向けて、健康経営を積極的に推進しています。その一環として始まったのが、健康経営に取り組んでいる企業を顕彰する健康経営優良法人認定制度です。
健康経営優良法人に選ばれた企業は企業イメージの向上だけでなく、融資や保険で様々なメリットが得られます。
「どんな制度なのかよくわからない」
「どのように取り組めばいいかわからない」
そのように悩んでいる方に向けて、健康経営優良法人認定制度の概要、メリットと注意点、認定までの手順や事例などを紹介します。
健康経営銘柄、ホワイト500、ブライト500についても解説していますので、ぜひ参考にしてください。
目次
健康経営優良法人認定制度とは
健康経営優良法人認定制度は、優れた健康経営を実施している法人を顕彰する制度です。
健康経営優良法人に認定されると、企業イメージの向上、融資や保険料での優遇など、様々なメリットが得られます。
この制度は、大規模法人部門と中小規模法人部門に分かれています。さらに大規模法人の上位約500法人は「ホワイト500」、中小規模法人の上位約500法人は「ブライト500」に選定されます。
また、大規模法人は健康経営優良法人の申請時に実施される「健康経営度調査」をもとに、「健康経営銘柄」に選定されることがあります。
「健康経営銘柄」、「ホワイト500」、「ブライト500」の詳細を以下で解説します。
健康経営銘柄とは
健康経営銘柄とは、経済産業省と東京証券取引所が共同で、健康経営に優れた上場企業を選定するものです。長期的な企業価値の向上を重視する投資家に紹介され、健康経営の取り組みを促進する目的で設けられました。
選定要件を満たし、かつ経済産業省が実施する「健康経営度調査」において上位20%の企業が候補として選定されます。
その後、銘柄選定候補企業に対して財務指標スクリーニングや調査回答に基づいた加点などを実施し、健康経営銘柄を決定します。
健康経営銘柄企業には、健康経営の普及のため自社の取り組みを積極的に発信し、「アンバサダー」的な役割を果たすことが期待されています。
ホワイト500とは
大規模法人部門の健康経営優良法人の中から、特に優れた企業がホワイト500に選ばれます。
ホワイト500に選ばれた企業は健康経営ポータルサイトなどで社名が公表され、優れた健康経営を実施していると広く認知されます。2023年度は2,658法人の中から492社が選出されました。
これらの企業には、健康経営優良法人の「トップランナー」として、健康経営の普及・拡大に努めることが期待されています。
ブライト500とは
健康経営優良法人の中小規模法人部門で、優れた上位企業はブライト500に認定されます。2023年度は14,007法人の中から、499社が選出されました。
ブライト500に選ばれると、健康経営ポータルサイトで社名が公表され、社外から高い評価を受けられます。
これらの企業には、特に地域での健康経営を拡大するために、取り組み事例の積極的な発信が求められています。
健康経営優良法人認定を受けるメリット3選
健康経営優良法人認定を受けることで得られる、代表的なメリットを3つご紹介します。
1. 企業イメージが向上し、人材採用に有利になる
2. 自治体や金融機関などの優遇措置が受けられる
3. 従業員の生産性向上につながる
1. 企業イメージが向上し、人材採用に有利になる
健康経営優良法人認定を受けた企業は、顧客だけでなく、求職者などのステークホルダーからも高い評価を受ける傾向にあります。これにより、求人への応募の増加や、優秀な人材の獲得が期待できるでしょう。
「健康経営に関する企業間比較調査」では、健康経営優良法人の認定を受けている企業の目標採用人数の達成率は46.3%、未認定の企業は9.5%と、5倍近い差があることがわかりました。(出典元:心幸ホールディングス株式会社)
このように、健康経営優良法人認定を受けることは、人材不足の解決にもつながる有効な方法といえるでしょう。
2. 自治体や金融機関などの優遇措置が受けられる
健康経営優良法人認定を受けると、自治体や金融機関などが設ける様々な優遇措置(インセンティブ)が受けられます。インセンティブの内容は組織・団体ごとに異なりますが、大きくは以下のように分類できます。
項目 | 内容 |
---|---|
公共調達加点評価 | 公共工事の入札審査における加点 |
自治体の実施するインセンティブ | 融資優遇、保険料の減額、奨励金や補助金 |
銀行の実施するインセンティブ | 融資優遇保証料の減額や免除 |
このようなインセンティブを設定している団体は年々増加しており、令和2年度は119、令和3年は135の組織・団体が優遇措置を設けています。
たとえば、長野県松本市では、建設工事における総合評価落札方式において、「健康経営優良法人」認定を受けている事業者に対して、100点満点中1.0点の加点評価をしています。
また、東京海上日動火災保険株式会社では、従業員が被った業務上の災害をカバーする保険商品において、「健康経営優良法人認定割引」として5%の割引を適用しています。
3. 従業員の生産性向上につながる
健康経営を実現することで、従業員のパフォーマンスの向上が期待できます。
長時間労働などの不健康な職場環境は、従業員に身体的・精神的なストレスを与えます。心身の状態が良くないと、欠勤や遅刻が多くなったり業務の能率が下がったりすることがあります。場合によっては、メンタル疾患などの健康障害を引き起こし、休職・離職リスクが高まります。
健康経営により職場環境を改善することで、従業員一人ひとりの健康状態が良くなり、職場に活気が生まれます。職場でのコミュニケーションの増加は、企業への愛着を高めるとも言われています。
企業へのロイヤリティが向上した従業員は業務に積極的に取り組むようになり、パフォーマンスの向上が期待できるでしょう。
このことから、健康経営優良法人の認定を受けることは、生産性向上に効果的だといえるでしょう。
健康経営優良法人を目指す際の注意点
健康経営優良法人を目指す上で、特に気をつけるべきポイントを解説します。
1. 長期的な視点で投資コストを考える
2. 従業員の意見を取り入れながら進める
この2つを遂行することで、失敗のリスクを最小限に抑えることができます。
長期的な視点で投資コストを考える
健康経営への投資は、長期的な視点で考えましょう。
健康経営優良法人には、認定後も継続的な健康経営が求められます。そのため、初期費用だけでなく、長期にわたって発生するコストを考慮した計画が求められます。
継続的に発生するコストとしては、教育費、設備の維持費、リース品、インセンティブなどが挙げられます。また、備品の交換も必要になるので、耐用年数や交換時期の目安も事前に調べておきましょう。
従業員の意見を取り入れながら進める
健康経営に取り組む際は、従業員の意見を積極的に取り入れましょう。
健康経営には現場の協力が不可欠です。現場の実態を反映しない施策は、従業員の負担を増やし、かえって逆効果になるリスクがあります。たとえば、形だけのセミナーや、現実的でない有給取得の推奨などは、従業員の健康改善にはつながりません。
そのため、現場と密に連携しながら、実際に効果のある施策を立案・実行する必要があります。説明会の開催、社報での継続的な情報発信を通じて、健康経営の意義とメリットを伝え、従業員が自発的に考えられる環境を作りましょう。
以下の方法を参考に、意見を集めると良いでしょう。
- 目安箱の設置
- アンケートの実施
- 現場の調査
- ヒアリング
職場環境に応じて、従業員に負担の少ない方法を選びましょう。
健康経営優良法人の認定フロー
健康経営優良法人に認定されるまでのフローは以下の通りです。
※2025年2月時点での内容です。最新の情報は公式サイトでご確認ください。
健康経営優良法人の取り組み事例
ここでは健康経営優良法人認定を受けた企業を、その取り組みとともに紹介します。
沖電気工業株式会社
沖電気工業株式会社(OKI)は、「健康経営」が日本企業に浸透する前から、産業保健スタッフ(産業医・看護職)や健康保険組合、労働組合と連携した従業員の健康づくりに取り組んでいます。
OKIが目指すのは、多様な人材が前向きに活躍するために、心身共に健康でいられる職場環境です。そこで軸となるのが「からだ」「こころ」「いしき」の3つの観点です。
1. からだへの取り組み
運動習慣の定着、睡眠改善、生活習慣の改善、など
2. こころへの取り組み
ストレスチェック、メンタルヘルス教育の実施
3. いしきへの取り組み
セミナーの開催、健康に関する情報発信、サテライトオフィスの設置
特にOKIの健康経営では「従業員の主体性」を大切にしています。「健康行動の主体性」に働きかける生活習慣改善イベントや企画を実施しており、OKIグループの従業員へ実施したアンケート結果から、「睡眠」を従業員の健康行動を促す旗振り役としてテーマ設定しています。
睡眠良好者率80%を目指して、睡眠改善に繋がる知識の提供以外にも、睡眠改善効果を期待し、OKIグループの従業員にOKIが開発した睡眠の行動変容アプリを提供しています。
4週間にかけて睡眠アプリを利用した結果、睡眠の自覚の改善と睡眠改善に伴う生産性指標向上を確認しています。
これらの取り組みが評価され、OKIは2017年から8年連続で健康経営優良法人に認定されています。
OKIの人材マネジメント|健康経営・労働安全衛生の取り組み
https://www.oki.com/jp/sustainability/social/emply/health_safety.html
まとめ|社内のヘルスケアに取り組み、健康経営優良法人の認定を目指そう
健康経営優良法人について、メリットや認定フロー、注意点などを解説してきました。
健康経営優良法人に認定されることは、優れた健康経営を実践している証明となります。企業イメージの向上、様々な優遇措置など、認定取得には多くのメリットがあります。
そして、認定を目指して健康経営に取り組むことで、従業員が健康で快適に働ける職場環境が実現します。運動不足の解消や、睡眠改善の取り組みを企業全体で実施することで、ヘルスリテラシー向上にもつながるでしょう。
従業員が健康で快適に働ける職場環境の実現についてはこちら
https://www.oki.com/jp/showroom/virtual/column/c-06.html
OKIは、従業員の健康行動を改善することで、健康経営を実現する「行動変容ソリューション」に取り組んでいます。従業員が自然と健康的な行動がとれるようになる職場環境は、健康経営の大きな助けとなるでしょう。
OKIは全員参加型イノベーション「Yume Pro」を通じ、より良い社会の実現、社会課題の解決を目指しています。
「健康経営を実現したい」、「多くの従業員に健康になってほしい」とお考えの企業の方は、ぜひ一度ご相談ください。
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