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コラム2025年09月30日

EV(電気自動車)普及のカギを握る充電インフラ整備 - その課題解決策とは?

この記事で分かること

  • EV普及を阻む、充電インフラ不足がもたらす課題
  • 「所有からシェアへ」という新しい発想の充電サービスがもたらす価値
  • OKIが培った社会インフラの運用実績が、サービスの信頼性をどう支えるのか
  • GaNパワーデバイスなど、OKIの先端技術がEV充電インフラに貢献する仕組み

電気自動車(EV)へのシフトが加速する中、その普及を阻む最大の課題が充電インフラの整備です。

この記事では、EVの普及における充電インフラ整備が抱える課題と、それを解決するOKIが保守・運用を担う革新的なシェアリングサービス、そして長年にわたる社会インフラの運用実績に裏打ちされた、信頼の運用体制について解説します。

EV関連事業に携わる事業者や、EVの導入を検討している企業の担当者の方々に、EV社会の発展を支える課題解決事策を知っていただく機会となれば幸いです。

目次

EV普及の加速に伴い、充電インフラ未整備がボトルネックに

世界的に脱炭素化の動きが加速し、電気自動車(EV)はもはや未来の車ではなく、現実のものとなりつつあります。ガソリン車からEVへのシフトは、地球環境の保護だけでなく、エネルギーの多様化や、私たちの生活様式そのものを変革する可能性を秘めています。各国の政府や自動車メーカーは、EVの普及を強力に推進しており、EV市場はかつてないほどの勢いで拡大しています。

しかし、その普及の道のりには、大きな課題が立ちはだかります。それが、EV充電インフラの不足です。消費者がEVの購入をためらう最大の理由の一つに、「充電スポットが少ない」「充電に時間がかかる」といった「充電不安」が挙げられます。

自宅に充電設備を設置できない集合住宅の居住者や、外出先での充電に不安を覚えるドライバーは少なくありません。

この充電インフラ不足は、単なる利便性の問題にとどまりません。EVの普及が進めば進むほど、既存の電力網に大きな負荷がかかり、地域の電力供給が不安定になるリスクも増大します。充電設備を増やすことだけが解決策ではなく、より効率的で、持続可能な充電インフラのあり方が求められています。

充電インフラの現状と課題

EV充電インフラの課題は、ユーザーだけでなく、事業者にも深刻な影響を与えています。

ユーザーが直面する課題

  • 充電スポットの不足と偏在: ガソリンスタンドの普及と比較すると、公共の充電スポットは依然として限られています。特に地方や過疎地域では、充電スポットが見つからず、長距離移動が困難になるケースもあります。また、都市部でも、商業施設や駐車場に設置された充電器がすでに利用中で、これまで以上に充電待ちが発生する可能性もあります。
  • 充電時間の長さと非効率性: EVの充電は、ガソリンの給油と比べてはるかに長い時間を要します。特に普通充電器の場合、数時間から半日以上の充電が必要となるため、移動中に気軽に充電を済ませることができません。また、急速充電器も限られた台数しかないため、充電待ちの時間が読めないという不便さがあります。
  • 支払い方法の多様性不足: 充電スポットごとに異なる支払い方法や認証システムが採用されている場合が多く、利用者は複数のアプリやカードを使い分ける必要があり、煩雑さを感じています。

事業者が直面する課題

  • 高額な初期投資と運営コスト: 充電設備の導入には高額な初期費用がかかる上、設置後の電力料金やメンテナンス費用も大きな負担となります。特に、急速充電器の設置には、高圧受電設備や大規模な工事が必要となり、さらにコストがかさみます。
  • 設置場所の制約と電力問題: 既存の商業施設やオフィスビルでは、EV充電器を設置するための十分なスペースや、電力容量が確保できないケースがあります。また、EVの同時充電によって電力需要が急増し、既存の電力インフラに過剰な負荷をかける可能性もあります。
  • 運営管理の煩雑さ: 充電器の故障やトラブル対応、利用状況の管理、料金徴収といった運営業務は、事業者にとって大きな負担となります。

国や自治体による取り組み

このような課題を解決するため、国や自治体はEV充電インフラの整備に向けた具体的な取り組みを推進しています。

  • 日本政府の補助金制度: 経済産業省は、「充電インフラ整備事業」として、ホテルや商業施設、マンションなどへの充電器設置に対し、費用の一部を補助する制度を設けています。これは、民間事業者が充電器を導入しやすくすることで、充電スポットの数を抜本的に増やすことを目的としています。
  • 先進的な自治体の事例: 東京都は、独自の補助金制度に加え、都が主導して「EV充電インフラの整備に関するガイドライン」を策定し、民間施設への設置を促しています。また、神奈川県では、EV普及率向上に向けた目標を掲げ、充電インフラの設置支援だけでなく、EVを活用した防災・減災対策など、多角的な取り組みを進めています。

これらの取り組みは、EV充電インフラの整備が、社会全体の課題解決であることの現れです。

所有からシェアへ。EV充電インフラの新しいカタチ

EV充電インフラが直面する課題を解決するためには、従来の「所有」を前提とした発想から脱却し、インフラを「共有」するという新しい考え方が求められます。自動車や自転車のシェアリングサービスが社会に定着したように、充電インフラもまた、必要な場所で、必要な時に、誰もが利用できる「シェアリング」の時代へと移行しつつあります。この新しいアプローチは、ユーザーと事業者双方に大きなメリットをもたらします。

EV充電シェアリングサービスがもたらす価値

EV充電シェアリングサービスは、充電設備の設置から運営、保守管理までを一貫して提供します。サービスは、次のようなユーザーと事業者が抱える課題の抜本的な解決を目指しています。

  1. コスト削減と導入のハードル低減: 従来のモデルでは、充電器を導入する事業者は、高額な初期費用だけでなく、設置工事費、電力契約の見直し、さらにはランニングコストとしての電力料金やメンテナンス費用をすべて負担する必要がありました。シェアリングサービスでは、事業者はこれらの費用を大幅に抑えることが可能です。これにより、商業施設やオフィスビル、マンションの駐車場など、これまでコストがネックとなり充電器を設置できなかった場所にも、インフラを拡大することができます。
  2. 利用者の利便性向上: ユーザーは、サービスに加盟している充電スポットであれば、共通のプラットフォームを通じて充電が可能です。専用のアプリを使用することで、充電スポットの検索、空き状況の確認、予約、そしてキャッシュレス決済まで、すべてのプロセスをスムーズに行うことができます。これにより、充電場所を探す手間や、充電待ちのストレスが大幅に軽減され、EV利用者の利便性が飛躍的に向上します。
  3. インフラの効率的な活用: 充電インフラの効率的な活用も大きなメリットです。たとえば、昼間はオフィスビルで働く人々に、夜間は近隣の住民に、週末は商業施設の利用者に充電設備を提供するといった柔軟な運用が可能になります。一つの充電設備を複数の利用者が共有することで、社会全体の充電インフラの効率化が図られ、無駄な投資を抑えることができます。これは、充電インフラのあり方を再定義する、持続可能なモデルと言えます。
EV充電シェアリングサービスの一例

EV充電シェアリングサービスの一例
(出典: Panasonic 「everiwa」 サービス)

OKIが提供する「安心」と「信頼」

EV充電のシェアリングを成立させるには、プラットフォームの利便性と、運用・保守の確かさを両輪で揃えることが不可欠です。

「プラットフォーム」としてのパナソニックの「everiwa(エブリワ)」は、共通基盤としての使いやすさを担い、「運用・保守」はOKIがATMや駅務機器など社会インフラの運用・保守で培った現場ノウハウを活かして、導入後の安定稼働を支えます。

現地対応はOKIグループのOKIクロステックが担います。ICT・電気設備の設計/構築からマルチベンダー機器の保守まで一気通貫で対応し、全国約180拠点のサービス網と社内の電気工事士約300名を基盤に、カスタマーエンジニアの技術教育と試験設備の強化を継続。EV/PHEVの急速充電器についても、全国レベルでの保守体制を計画的に拡充しています。

この体制により、故障やトラブルが発生しても全国同一品質で迅速に復旧対応が可能です。OKIクロステックはカーボンニュートラルの実現に向けたGXソリューションにも注力しており、設置から運用・保守までを通して、充電インフラの着実な普及を後押しします。

EV充電の事業者にとっては安定したサービス提供の土台となり、EV利用者にとっては「必要なときに使える」という安心感につながります。

また、OKIは、半導体技術として、LEDとICとを独自の接合技術により複合化するCFB(Crystal Film Bonding)技術の量産化に世界に先駆けて成功し、以来、この技術で開発したLED素子の出荷実績は1,000億ドットを超え、量産信頼性の高いコア技術として確立しています。この技術によりGaN(窒化ガリウム)の縦型導電を可能とし、大電流を制御できる縦型GaNパワーデバイスの実現と普及に貢献し、さらにはEV充電インフラへの貢献が期待されます。

まとめ

OKIが保守・運用を担うEV充電インフラシェアリングサービスは、充電インフラ不足という社会課題に対する現実的で効果的な解決策です。独自のシェアリングモデルにより、導入コストを大幅に削減し、利用者の利便性を向上させると共に、長年にわたる社会インフラの運用実績に裏打ちされた強固なサポート体制が、その信頼性を確固たるものにしています。

EV充電インフラの導入をご検討の際は、ぜひOKIまでお問い合わせください。お客様の事業に最適なソリューションをご提案いたします。

編集部
OKI STYLE SQUARE VIRTUAL編集部 製造担当
EV・自動運転車をはじめとして、メーカーが作るモノが大きく変化し、工場などの「現場」も変革が迫られています。メーカーの一員としてOKIでモノづくりの現場に精通したメンバーが、この変化に対応していくヒントになる情報をお届けします。
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