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コラム2026年8月31日

【2026年最新】オープンイノベーションとは? 日本の現状と成功事例、成功のポイントを解説

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この記事で分かること

  • オープンイノベーションの定義と、クローズドイノベーションとの違い
  • 日本におけるオープンイノベーションの現状と、政府の推進施策
  • 外部と組む際に生じるリスクと、成功のために押さえるべきポイント
  • 国内の成功事例と、OKIが進める共創の取り組み

イノベーションは、かつて個人の才能や偶然に左右されるものと考えられてきました。しかし2024年9月にはイノベーション・マネジメントシステムの国際規格「ISO 56001」が発行され、組織が仕組みとしてイノベーションを推進するための指針が示されています。

その仕組みのなかで、イノベーションを推進する具体的な手法のひとつとして注目されているのが、企業の枠を超えて外部の技術や知識を取り込む「オープンイノベーション」です。今日では、実践しなければ生き残れない戦略のひとつとして位置づけられるようになりました。

一方で、「どう進めればよいのか分からない」「外部と組むリスクが読めない」という声も少なくありません。
本記事では、オープンイノベーションの定義と創出方法、メリットとデメリット、成功のポイント、そして国内の成功事例を交えて解説します。

目次

オープンイノベーションとは

オープンイノベーション(Open Innovation)とは、自社以外の技術や知識を活用しイノベーション(革新)を創出することです。アメリカの経営学者ヘンリー・チェスブロウが提唱した概念で、従来のクローズドイノベーションが限界に達したことから近年注目を集めています。

オープンイノベーションの定義

チェスブロウは、著書『Open Innovation -The New Imperative for Creating and Profiting from Technology』の中でオープンイノベーションを下記のように定義しています※1

「オープンイノベーションとは、組織内部のイノベーションを促進するために、意図的かつ積極的に内部と外部の技術やアイデアなどの資源の流出入を活用し、その結果、組織内で創出したイノベーションを組織外に展開する市場機会を増やすことである。」

新しい製品やサービスの開発などイノベーション(革新)を創出することを目的として、企業の枠組みを超えて、自社以外の技術や知識を活用することが「オープンイノベーション」です。

クローズドイノベーションとの違い

オープンイノベーションと比較される言葉に、クローズドイノベーションがあります。
クローズドイノベーションは従来型のイノベーション創出手法で、自社だけのリソース(人材・技術・アイデア等)を活用して新たな商品やサービスを生み出すことです。一方、オープンイノベーションは、組織の枠にとらわれずに外部のリソースを積極的に活用してイノベーションを生み出します。

オープンイノベーションとクローズドイノベーションの違いは、以下の通りです。

要素 オープンイノベーション クローズドイノベーション
重要な考え方

・社内外のアイデアを効果的に活用できるか

・より良いビジネスモデルを構築できるか

・良いアイデアをたくさん製品化できるか

・イノベーションを早く市場に投入できるか

人材 社内外にかかわらず優良な人材と連携する 社内で優良な人材を持っている必要あり
研究開発(R&D) 外部研究開発・内部研究開発のいずれも同様に重要 自社で研究開発から販売まで行う
外部資本の関与 重要 重要ではない
知的財産 他社とも積極的にライセンス契約を締結する 社内に限定して厳重に保護する

オープンイノベーションが注目される背景

1990年代以降、日本では研究開発の効率が急速に低下しました。この背景として、急速なグローバル化や、市場ニーズの多様化、新興国の台頭などがあげられます。これにより、あらゆる市場で製品ライフサイクルが短期化し、企業間競争が激化しました。企業はスピード感を持って新たな価値を創出することが必要になったのです。

もはや、これまでのビジネスモデルは通じない世界になってきています。イノベーションを創出するには自前主義を脱却し、国内外問わず優秀な人材や技術を取り込みながら、付加価値を創出することが重要といえます。

2003年、当時米ハーバード大学経営大学院の教員であったチェスブロウが「オープンイノベーション」の概念を提唱したことにより、世界的にオープンイノベーションが注目されることとなりました。

そして2024年9月、イノベーション・マネジメントシステムの国際標準規格「ISO 56001」が発行。イノベーションを個人の才覚に委ねるのではなく、組織の仕組みとして管理する動きが、国際標準となりました。オープンイノベーションも、規格に基づく組織活動として設計されつつあります。

日本におけるオープンイノベーションの現状

日本では、政府がオープンイノベーションを成長戦略の柱に据えています。2022年に策定された「スタートアップ育成5カ年計画」では、大企業とスタートアップの連携を促す施策が進められてきました。

ただし、その定着度に対する政府の評価は厳しいものです。経済産業省は令和8年度税制改正の要望において、日本企業が自前主義から脱却するにはオープンイノベーションが重要としながらも、海外と比較して定着していない状況にある、と明記しています。

こうした認識のもと、スタートアップへの出資を後押しするオープンイノベーション促進税制は、令和8年度税制改正で適用期限が2年間延長されました。M&A型では、議決権の過半数に満たない段階取得も対象に加えられています。制度の裏づけは、年を追って厚くなっています。

オープンイノベーションの創出方法

オープンイノベーションの創出方法は、外部リソースをどう扱うかによって、大きく「インバウンド型」「アウトバウンド型」「連携型」の3つに分けられます。

インバウンド型

インバウンド型は、外部資源を社内に取り込み、イノベーションを創出する方法です。自社内で不足しているものが明確な場合に、業務提携や協業などを通じて外部パートナーから人材や技術などを補います。例として、企業が大学と協力し、研究成果を自社の製品開発に活用するといった方法があげられます。

インバウンド型を用いる場合の多くは、すでに事業戦略や実現方法が具体化しているため、競合他社へ情報流出を防ぐために、オープンイノベーションでありながらも水面下で実施されるのが特徴です。

アウトバウンド型

アウトバウンド型は、外部チャネルを活用して自社が持つアイデアや技術を外部に公開することで、イノベーションを創出する方法です。外部に公開することで興味を持ってくれた企業などと提携し、自社のリソースだけでは生み出せないアイデアを取り入れたり、新たな市場に参入したりします。

自社の特許権やノウハウなどを他企業に売却したり、使用を許可したりするライセンスアウトは、アウトバウンド型オープンイノベーションの一例としてあげられます。

連携型

連携型は、インバウンド型とアウトバウンド型の両方の要素を取り入れたイノベーション創出方法です。社内外で連携して共同開発を進めていきます。

連携型オープンイノベーションの例として、プログラマーや設計者などのソフトウェアの開発者たちが短期間で開発を進める「ハッカソン」があげられます。また、事業連携やジョイントベンチャー(JV)も連携型の手法です。

オープンイノベーションのメリット

オープンイノベーションには以下の3つのメリットがあります。

  • 事業展開のスピードがアップする
  • 自社にはない新たな技術と知識を獲得できる
  • 低コスト・短期間での開発が可能になる

それぞれについて詳しくみていきましょう。

事業展開のスピードがアップする

オープンイノベーションで他の企業とタッグを組むことで、事業展開のスピードを上げることが可能です。自社内で新規事業を立ち上げようとなると、技術を一から研究・開発していく必要があります。新たな切り口を見つけるのに時間を要すこともあるでしょう。

オープンイノベーションを活用して、他の企業の技術やノウハウを取り入れることで、その分事業展開のスピードを縮めることが可能になります。市場環境の変化が激しいグローバル社会において、迅速に変化に対応して新たな価値を生み出すことが非常に重要です。

自社にはない新たな技術と知識を獲得できる

オープンイノベーションを活用することで、自社が持っていない新たな技術や知識・ノウハウを獲得できます。自社の技術や知識だけでは開発が難しい事業にも挑戦できるのがメリットといえます。

また、オープンイノベーションによって獲得した技術や知識・ノウハウは社内に蓄積され、自社内の組織や人材育成の新たな基盤にもなるでしょう。

低コスト・短期間での開発が可能になる

基盤のない状態からすべて自社のみで開発からリリースまで行う必要のあるクローズドイノベーションでは、多大な時間とコストを要します。オープンイノベーションを活用することで、他の企業の技術や知識・ノウハウを借りることができるため、短期間での開発が可能になります。

専門的な知識や技術が必要な場合でも新たに人材を採用する必要がなく、人件費や研究開発費を削減することができ、コスト面に関してもメリットが大きいのがオープンイノベーションです。

オープンイノベーションのデメリット

一方、オープンイノベーションには以下の3つのデメリットがあります。

  • 情報漏洩のリスクがある
  • 収益を分配する必要がある
  • 自社の開発力の低下を招くこともある

それぞれについて詳しくみていきましょう。

情報漏洩のリスクがある

オープンイノベーションでは自社の技術やノウハウを他の企業や組織に共有するため、情報漏洩のリスクが0ではありません。協業パートナーと守秘義務契約を締結するのはもちろんのこと、外部と共有する領域を明確にし、システム上のセキュリティ対策も万全に整えておくことが重要です。

また、情報漏洩を防ぐためには、自社の「コアコンピタンス」を守るという観点を大切にしましょう。コアコンピタンスとは、企業の中核となる強みのことで、競合他社よりも圧倒的に優れている技術や能力を指します。これらが外部に流出してしまうと、自社の競争力低下に繋がりかねないためです。

あわせて、知的財産の扱いも事前に取り決めておく必要があります。共同開発から生まれた発明の権利をどちらが持つのか。共同で出願するのか。第三者への実施許諾を認めるのか。これらを曖昧にしたまま開発を進めると、成果が出た段階で交渉が難航します。

収益を分配する必要がある

自社のみの開発であれば収益は全て自社のものとなりますが、オープンイノベーションでは他の企業など外部とタッグを組んで新たな事業を確立するため、収益も分配する必要があります
オープンイノベーションによりコストも削減できるため、収益の分配が必ずしもデメリットとなるわけではありませんが、利益率が低くなりすぎないように注意が必要です。

収益に関しては、トラブルを招きやすい事項でもあるため、あらかじめ双方でしっかりと協議しておきましょう。

自社の開発力の低下を招くこともある

オープンイノベーションで外部に頼りきってしまうことで、自社での開発力低下を招くリスクがあります。自社の開発力低下を防ぐためには、外部の力ばかりに頼るのではなく、自社の開発力を向上させる取り組みも行うことが大切です。

オープンイノベーションに取り組むべきか否かは事前に入念に検討し、自社のリソースだけでは開発が難しい場合に限って外部リソースを活用すると、このリスクを減らせるでしょう。

社内の受け入れ体制が追いつかない

外部との連携そのものより、連携先を見つけたあとの社内対応で行き詰まるケースがあります。

たとえばスタートアップとの協業では、相手が期待するスピード感や規模感と、受け入れる社内部門が求める技術の成熟度や対応力との間に、目線の違いが生じます。この隔たりは「ピッチャー・キャッチャー問題」とも呼ばれ、探索担当者が見つけてきた相手を、事業部門が受け止めきれずに連携が止まる要因となります。

外部を探すことと、外部を受け入れることは、別の能力です。連携先の探索と同時に、社内で誰がどう受け止めるかを設計しておく必要があります。

オープンイノベーションを成功させるためのポイント

オープンイノベーションを成功させるためのポイントとして、以下の3つをご紹介します。

  • 目的・ビジョンを明確にして社内の風土づくりをする
  • オープンイノベーションの専門組織を設置する
  • オープンイノベーション促進税制を活用する

目的・ビジョンを明確にして社内の風土づくりをする

協業の目的や期待する効果を明確にして取り組むことが、オープンイノベーションを成功させるためのポイントの1つです。

クローズドイノベーションが中心だった企業では、オープンイノベーションという新しい取り組みに抵抗を持つ人が出てくることもあるでしょう。そのため、経営層を含めた社内全体で目的・ビジョンをしっかりと共有して、失敗を恐れずにイノベーションを推進する組織風土づくりが大切です。

オープンイノベーションの専門組織を設置する

オープンイノベーションでは多くの人が関わるプロジェクトとなるため、推進役となる「オープンイノベーションの専門組織」を設けることが成功させるためのポイントです。

オープンイノベーションの専門組織を設置し、ミッションを明確にすることで、スピード感をもって進めることができるようになるでしょう。ここに在籍する人材は、他企業などとの橋渡し的な役割も担う重要なポジションとなります。できれば他部署との兼任ではなく、専任として配置することをおすすめします。専門組織に求められるのは、連携先を探す機能だけではありません。見つけてきた相手と社内の事業部門をつなぎ、双方の目線の違いを埋める役割が欠かせません。

オープンイノベーション促進税制を活用する

スタートアップとの連携を検討する場合、経済産業省の「オープンイノベーション促進税制」が活用できます。

国内の事業会社またはそのCVC(コーポレートベンチャーキャピタル)が、スタートアップの株式を一定額以上取得した場合に、取得価額の一部を所得控除できる制度です。新規発行株式を取得する「新規出資型」に加え、2023年からはスタートアップの成長に資するM&Aを対象とする「M&A型」も設けられました。

制度は改正を重ねており、令和8年度税制改正では適用期限が2年間延長されるとともに、M&A型の対象範囲が広げられています。適用要件や出資金額の下限、株式の保有期間は改正のたびに見直されるため、検討にあたっては経済産業省の最新情報を確認してください※2

オープンイノベーションの成功事例

日本国内でも、産学官の連携やスタートアップとの協業から、さまざまな成果が生まれています。ここでは4つの事例を紹介します。

産学官連携によるアバター技術(遠隔存在技術)の宇宙開発

国立研究開発法人宇宙航空研究開発機構(JAXA)とavatarin株式会社は、アバター技術(遠隔存在技術)を活用した宇宙開発・宇宙関連事業の創出を目指す「AVATAR Xプログラム」を立ち上げ、大分県をはじめとする約35社による産官学連携によるコンソーシアムを発足。宇宙航空分野のみならず異分野やスタートアップも含めた連携を実施。

2020年には宇宙および地上でアバター実証を実施し、コロナ禍における幅広い分野で社会的ニーズに貢献しました。

画期的な呼吸メカニズム「腸換気技術(EVA法)」の実用化

東京科学大学(旧・東京医科歯科大学)の武部貴則教授らの研究チームは、肺に依存しない呼吸メカニズム「腸換気技術(EVA法)」を開発しました。体内に存在する器官を転用し、失われた臓器機能を補うもので、呼吸不全などの治療に有効な画期的な技術です。

製薬企業や浣腸専門会社等と共に開発・製造した事例であり、世界に先駆けて確立されたスピード感のある取り組みとして賞賛されています。臨床試験までは通常5~10年程度かかるとされていますが、この事例ではクラウドファンディングなども活用し、たったの1年で目処を立てました。

AIによる配送計画自動化アルゴリズムの開発

沖電気工業株式会社(OKI)と株式会社ロンコ・ジャパンは、熟練社員の高齢化により人材不足が課題となっている物流業界において、AIによる配送計画の自動化を実現しました。

OKI独自のアルゴリズム「コスト最小型ルート配送最適化AI」により、複数車両で荷物を配送する分割配送にも対応し、配送の効率化を可能にしました。

コスト最小型ルート配送最適化AI

両社の経験と技術を組み合わせることにより、物流業界の人手不足や配送効率の悪化といった社会課題の解決に繋げたDX推進事例です。

Yume対談「ロンコ・ジャパン×OKI 物流DXを推進する共創の現状と未来」

シリコンバレー拠点からのグローバルオープンイノベーション

OKIは2024年5月、米国のアクセラレータ大手Plug and Play社とパートナーシップ契約を締結し、シリコンバレーを拠点とした技術探索を開始しました※3。2025年6月には、同社主催のサミットで「Corporate Partner Award」を初受賞しています※4

特徴は、探索と同時に「受け止める側」を用意した点にあります。技術本部内に専任組織「グローバル先行開発室」を設置し、見出したスタートアップに伴走。技術評価やPOCから事業展開までを支援します。外部を探すことと、外部を受け入れることの両立を、体制として設計しました。

まとめ

オープンイノベーションは、外部と組みさえすれば成果が出るものではありません。目的を定め、社内に受け止める体制を用意し、知的財産や収益の扱いを取り決める。その設計があって初めて、外部のリソースが自社の力になります。そして今、その設計を属人的な工夫に委ねず、組織の仕組みとして定着させる枠組みが整いました。2024年9月に発行されたイノベーション・マネジメントシステム(IMS)「ISO 56001」です。

OKIは2025年7月、このIMS規格に基づく認証を日本国内で初めて取得しました。英国規格協会(BSI)グループにおいては、グローバルの製造業として初の取得事例です。イノベーションを偶然の産物ではなく、管理可能なプロセスへと変える取り組みを、自ら実践してきました。

OKIでは、「オープンイノベーション」を通じ、共に社会課題解決に取り組む共創パートナーを募集しています。OKIが長年培ってきた技術力やインフラ構築のノウハウを掛け合わせ、新市場の開拓や新規事業の創出を進めませんか。

編集部
OKI STYLE SQUARE VIRTUAL編集部 イノベーション担当
社会の課題が複雑化する現代において、新しい価値創造の重要性が高まっています。OKIは、長年培ってきた技術と「共創」の精神を掛け合わせ、お客様やパートナー様とともに、社会の発展に貢献するイノベーションを生み出し続けています。専門家を交えたメンバーが、未来を拓くイノベーションの最前線について、皆様に役立つ情報をお届けします。

出典
※1 オープンイノベーション白書 第二版|オープンイノベーション・ベンチャー創造協議会(JOIC)、事務局 国立研究開発法人 新エネルギー・産業技術総合開発機構(NEDO) https://www.nedo.go.jp/content/100879992.pdf

※2 令和8年度税制改正
https://www.meti.go.jp/policy/economy/keiei_innovation/open_innovation/open_innovation_zei.html

※3 米国Plug and Play社とパートナーシップ契約を締結
https://www.oki.com/jp/press/2024/05/z24009.html

※4 Plug and Play社主催「Silicon Valley June Summit 2025」にて「Corporate Partner Award」を初受賞
https://www.oki.com/jp/press/2025/06/z25025.html

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