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コラム2026年6月30日

製造業 基幹システム刷新の進め方 ―ERPパッケージ選定の考え方と確認ポイント

この記事で分かること

  • 基幹システム刷新が求められる背景と、長期利用システムで起こりやすい課題
  • ERPパッケージへの刷新を検討する際に整理すべき業務・データの流れ
  • 製造業がERPパッケージを選定する際の比較ポイント
  • OKIが提供するInfor ERPパッケージと現場ソリューションの概要

製造業では近年、短納期化、原材料価格の変動、サプライチェーンの不安定化、拠点や取引先の多様化などにより、生産・在庫・原価をより正確かつタイムリーに把握することが求められています。一方で、長年利用してきた生産管理システムやERPパッケージでは、導入当時と現在の実務との間にギャップが生じやすくなっています。

そこで本記事では、基幹業務システム刷新の必要性と、製造業がERPパッケージを選定する際に注意すべきポイント、そしてOKIが自社工場での活用経験を活かした、Infor社のERPパッケージの導入支援について解説します。

※ERP:Enterprise Resource Planning:企業の販売・生産・在庫・会計などを一元管理するシステム

目次

生産管理システムの長期利用で起こりやすい課題

長年にわたり製造業務を支えてきた基幹システム(ERPパッケージ・生産管理システムなど)には、現場のノウハウや業務資産が蓄積されています。業務に合わせて構築され、安定稼働してきたこれらのシステムは、企業にとって重要な基盤です。

一方で近年は、短納期化、原材料価格の変動、サプライチェーンの不安定化、拠点や取引先の多様化などにより、生産・在庫・原価をより正確かつタイムリーに把握する必要性が高まっています。そのため、導入当時の業務前提で構築された仕組みでは、情報の把握や部門間の連携などに関する課題が表面化しやすくなっています。

長く利用されてきた生産管理システムで表面化しやすい課題は、主に次の通りです。

起こりやすい課題 現場・経営への影響
周辺システムやExcelによる補完が増える ・基幹システムだけでは必要な情報を確認できず、各部門がExcelや個別システムで情報を補完する状態
・データの二重管理、更新漏れ、集計ミスが起こりやすくなる
部門・工場ごとに情報が分断される ・営業、生産管理、購買、製造、会計などの情報が部門・拠点ごとに分散し、全社で同じ情報を確認しづらい
・受注、生産、在庫、会計の状況を一元的に把握できず、判断の遅れにつながる
属人化により改修や保守がブラックボックス化する ・仕様を把握する担当者が限られ、内部がブラックボックス化する
・担当者の異動・退職で改修・保守を引き継げず、維持が困難になる
原価・在庫・進捗の把握に時間がかかる ・現場の実績が原価や会計にすぐ反映されず、採算悪化、在庫過多、納期遅延などの対応が後手に回りやすい
過去の個別開発が複雑化する ・導入後に追加された機能や周辺システムが増え、システム全体の構造が複雑に
・新たな機能追加や他システムとの連携を進めにくい
グループ・会社内でシステムを統合できず、ERPパッケージのメリットを活かせない ・拠点・グループ会社ごとに異なるシステムが並立し、全社での情報一元化や経営判断の迅速化が難しい
カスタマイズや周辺システムの複雑化によりバージョンアップがスムーズに行えない ・アドオン・個別開発の積み重ねにより、ERPパッケージ本体の更新時に影響範囲が広がり、アップグレードに多大なコストと工数が発生する
旧来の運用・マスタが見直されないまま踏襲される ・過去の業務ルールが検証されず引き継がれ、引き継ぎはできても改善・標準化に着手できない

これらは、単に「システムが古い」という問題ではありません。現場ごとの工夫や個別対応が積み重なった結果、データの流れが複雑になり、全社で同じ情報を見ながら判断しにくくなっていることが本質です。

そのため、既存システムを使い続けるか、刷新するかを判断する際は、現在の業務資産をどこまで活かし、どこを標準化し、どの情報を新たなシステム上で一元管理すべきかを整理する必要があります。

システム刷新前に整理すべき業務とデータの流れ

生産管理システムやERPパッケージを刷新する前に、まず確認すべきなのは、現行業務の中で情報が分断されている箇所や、Excel・周辺システムで補完している業務です。ここを整理しないまま製品を比較すると、現行業務の複雑さをそのまま新システムに持ち込むことになりかねません。

とくに、ERPパッケージへ刷新する際は、オンプレミス環境での個別対応・カスタマイズをそのまま移行するのではなく、標準機能(Fit to Standard)に業務を合わせることが基本的なアプローチになります。そのため、「現行業務のどこを標準機能で受け、どこを運用変更や周辺システムで補完するか」をあらかじめ整理しておくことが、スムーズな刷新の鍵となります。

製造業では、受注、生産計画、購買、在庫、製造実績、原価、会計が密接につながっています。現行業務を確認する際は、次のような観点が重要です。

  • 受注情報の変更が、生産計画や購買計画へ適切に反映されているか
  • 生産実績が、原価管理や会計情報に連携されているか
  • 拠点ごとの在庫を、全社で同じ基準で把握できているか
  • Excelや周辺システムで補完している業務はどこか
  • 標準化すべき業務と、個別対応を残す業務を切り分けられているか

これらを把握しておくことで、ERPパッケージの標準機能で対応できる範囲、個別対応が必要な範囲、運用を見直すべき範囲を判断しやすくなります。

次に、こうした整理を踏まえて、ERPパッケージ選定時に確認すべきポイントを見ていきます。

製造業がERPパッケージを選定する際の比較ポイント

現行業務の分断や手作業を整理したら、次に確認すべきなのは、自社の業務に合うERPパッケージをどの観点で選ぶかです。製造業向けERPパッケージは、機能の有無だけで比較するのではなく、生産形態への適合性、既存システムからの移行、標準機能と個別対応のバランス、導入後の運用まで含めて検討する必要があります。

とくに、長期利用されてきたシステムから刷新する場合、現行システムに蓄積されたデータ、個別開発、現場独自の運用をどう扱うかが重要になります。新しいERPパッケージに何を引き継ぎ、何を標準化し、何を見直すかを整理したうえで、以下の観点を確認するとよいでしょう。

比較ポイント 確認すべき内容
製造業務への適合性 見込生産、受注生産、個別受注生産、繰返生産など、自社の生産形態に対応できるかを確認します。
工程管理、原価管理、在庫管理、購買管理など、自社の業務に必要な機能を備えているかも重要です。
既存システムからの移行対応 現行システムのデータ、個別開発、周辺システムを踏まえた移行計画を立てられるかを確認します。
長年使い続けてきたシステムには過去データや現場独自の業務ルールが蓄積されているため、単純な入れ替えではなく移行の設計が重要です。
SaaS対応とFit to Standard 今後はSaaS型クラウドERPパッケージへの移行が主流になってきており、インフラの維持管理はベンダー側が担うため、インフラ構築・維持コストを抑えられます。
SaaS型では基本的に標準パッケージをそのまま導入するFit to Standardが前提となります。標準機能で対応できない業務は、運用変更または周辺システムで補完する方針を明確にしておくことが重要です。
拡張性・将来対応力 (データ活用・AI) 拠点追加、事業拡大、業務変更などに対応できるかを確認します。
ERPパッケージに蓄積される生産・原価・在庫などのデータを経営指標に活用したり、AIを活用した需要予測・異常検知などに展開できるかも重要な視点です。
人手不足・プロセス標準化への対応 製造業では人手不足が深刻化しており、ERPパッケージ導入を機にプロセスの簡易化・標準化を実現できるかが重要です。
業務標準化により属人化を解消し、少人数での安定運用を実現できる体制づくりを見据えた導入支援体制があるかを確認します。
導入支援体制 要件定義、設計、移行、テスト、教育まで支援できる体制があるかを確認します。
とくに製造業では、現場業務を理解したうえで標準化すべき業務と個別対応が必要な業務を整理できる支援が重要です。
運用・保守支援 稼働後のお問い合わせ対応、改善支援、保守体制が整っているかを確認します。
ERPパッケージは稼働開始がゴールではないため、導入後に現場で使い続けられるようにする支援が欠かせません。

ERPパッケージ選定では、機能、移行、運用、保守を個別に見るのではなく、全体のバランスで判断することが重要です。

SaaS型ERPパッケージではカスタマイズの範囲が制限されることが多い反面、バージョンアップが自動化されシステムの陳腐化を防ぎやすくなります。だからこそ、現行業務にどこまで合わせるか、どこをFit to Standardで標準化するかを切り分け、全体最適の観点で判断する必要があります。

また、長年使い続けてきたシステムを刷新する場合、現場に定着した運用を変えることへの抵抗や不安が生じることもあります。そのため、ERPパッケージ導入は稼働開始をゴールにせず、導入後の定着支援まで見据えて検討することが重要です。

OKIの製造業向けERP導入・生産管理システム刷新支援

OKIは、スマート工場の実現を支援する「Manufacturing DX」の一環として、製造業向けの基幹業務システムを提供しています。ERPパッケージ/生産管理システムの導入においては、製造現場の業務理解から既存システムの移行、稼働後の運用までを見据えた支援を行います。

OKIは、OKIグループ自社工場での導入・活用経験を持つ2つのERPパッケージを取り扱っており、業務要件や企業規模に応じて最適なERPパッケージをご提案します。

大規模組立製造業向け「Infor LN(Infor CloudSuite Industrial Enterprise)」

Infor LN(Infor CloudSuite Industrial Enterprise)は、受注生産から見込生産に至るまで製造業が求める生産プロセスをサポート可能な大規模組立製造業向けのERPパッケージです。多言語・多通貨・各国レギュレーションに対応しており、航空宇宙・防衛、自動車、ハイテク、一般製造業、エンジニアリング・建設、およびこれらに関連する幅広い業界において、組立製造業のお客様を支援しています。

OKIは、自社での活用経験や導入プロジェクトで培ったノウハウを活かし、製造業向けERPパッケージの導入を支援しています。

業務要件に応じ選択可能な「Infor SyteLine(Infor CloudSuite Industrial)」

Infor SyteLine(Infor CloudSuite Industrial)は、中堅・中小製造業のグローバル進出を支援するべく多言語・多通貨・各国レギュレーションに対応。販売から調達、製造、納品に至るまで組織全体を透明化し、主要なビジネスプロセスの管理・自動化のために必要な基本機能を網羅した、中堅・中小製造業向けERPパッケージです。

金属製造、産業機械・機器、ハイテク、電子業界などの幅広い業界において、業務の生産性と顧客サービスを改善し、生産活動全体を効率化するための基盤となります。

製造業の知見を活かした自社業務への適合から定着まで見据えた導入支援

ERPパッケージや基幹システムの刷新を検討する際は、機能比較だけでなく、自社の業務を深く理解し、導入後の運用まで支援できるパートナーを選ぶことが重要です。

OKIの強みは、ERPパッケージの提供にとどまらず、製造業としての知見、自社での活用経験、導入プロジェクトで培ったノウハウを組み合わせた支援ができる点にあります。現行業務の整理から要件定義、開発、検証、移行、稼働直後のサポート、導入後の定着化まで一貫してサポートし、現場で使われるシステムの構築を支援します。

  • 要件定義・設計
    現行業務を整理し、ERPパッケージの標準機能で対応可能な範囲と個別対応が必要な範囲を見極めます。既存システムに蓄積された業務ルールやデータ、周辺システムとの連携状況を踏まえ、刷新後の業務運用に無理が出ないように設計します。
  • 開発・検証・移行
    必要な開発、動作検証、既存データの移行を計画的に進めます。長年利用してきたERPパッケージや周辺システムからの移行では、過去データや個別開発、現場独自の運用ルールをどう扱うかが重要です。OKIは、業務への影響を抑えつつ、新しいERP基盤への移行を支援します。
  • 稼働直後のサポート
    ERPパッケージは、稼働開始直後に操作方法や運用上の疑問が生じやすいシステムです。OKIは稼働直後のサポートを通じて、現場が新しいシステムを使い始める段階の不安や混乱を抑え、業務への定着を支援します。
  • 導入後の定着化支援
    ERPパッケージは導入して終わりではありません。運用しながら課題を把握し、必要に応じて改善を重ねることで、業務基盤としての効果を高めていく必要があります。OKIは導入後の定着化まで見据え、継続的な活用を支援します。
  • インフラ・保守まで含めた対応(SaaSの場合)
    SaaS型のERPパッケージでは、インフラの維持管理は「Infor社」が担うため、自前のインフラ構築・保守が不要となり初期コストを抑えることができます。OKIは必要に応じてInfor社へのお問い合わせの仲介支援および、ERPパッケージを支えるインフラや保守も含めた対応が可能。導入後も安心して使い続けられる環境づくりを支援します。
  • 現場ソリューションとの連携
    OKIはERPパッケージの導入支援にとどまらず、周辺の現場ソリューションとの連携・拡張も可能です。具体的には、製造実行システム(Manufacturing Execution System:MES)のOPTAS™(OKI Production control and Total Analysis System)を活用し、組立作業の品質・効率向上を支援するプロジェクションアッセンブリーシステム(PAS)、自律走行搬送ロボット(AMR)制御など、OKIグループが自社工場で培った現場ソリューションをERPパッケージと組み合わせたシステムの提供も可能です。

基幹ERPとMESの連携による製造業の生産管理・見える化(OPTAS)の全体構成図

まとめ

長年使い続けてきた基幹システム(ERPパッケージ・生産管理システムなど)は、製造業の業務を支えてきた重要な資産です。一方で、短納期化、原材料価格の変動、拠点の分散、業務の複雑化が進む中で、従来の仕組みだけでは情報管理や経営判断が追いつきにくくなることがあります。

生産管理システムの刷新は、単なるシステム更新ではありません。部門や工場に分散した情報をつなぎ、生産、販売、在庫、購買、会計を一元的に管理することで、製造業の経営基盤を見直す取り組みです。現在ではSaaS型クラウドERPパッケージへの移行が主流となってきており、インフラ管理負荷の軽減と常に最新機能を利用できる環境を整えやすくなっています。

ERPパッケージを選定する際は、製造業務への適合性、既存システムからの移行対応、Fit to Standardの考え方、拡張性(データ活用・AI)、人手不足への対応、導入後の支援体制を確認することが重要です。また、導入前の業務整理や稼働後の定着支援まで含めて検討することで、ERPパッケージを現場に定着させ、継続的な業務改善につなげやすくなります。

ご興味のある方は、ぜひお気軽にOKIへお問い合わせください。

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編集部
OKI STYLE SQUARE VIRTUAL編集部 製造担当
製造業のみならず、企業に求められるモノづくりは大きく変化しており、工場などの「現場」も変革が迫られています。社会の止まらないを技術で支えてきたOKIのメンバーが、この変化に対応していくヒントになる情報をお届けします。
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