COLUMN
【2026年最新】体育授業でのICT活用とは?メリットや必要な準備、活用事例を紹介

この記事で分かること
- 猛暑や働き方改革など、体育授業でICTが注目されるようになった背景
- バイタルセンサーや動画分析が、生徒の体調管理や指導をどう変えるのか
- 授業へのICT導入を成功させるために必要なネットワーク・機材・アプリ
- 実証から生まれたOKIの体育ICTソリューション「VISMONI」
学校現場へのICT導入は、新たな段階に入っています。GIGAスクール構想で整備された1人1台の情報端末は、いまや「整える」段階から「効果的に使いこなす」段階へと変わり、端末の更新も進められています。
国語や算数などの主要教科に比べ、ICTの活用が発展途上にあるのが体育授業です。屋外の広いグラウンドを多数の児童・生徒が動き回る体育には、ほかの教科にはない難しさがあります。さらに近年は猛暑が深刻化し、2024年には「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まるなど、児童・生徒の安全をどう守るかも、切実な課題です。
こうした課題に、ICTはどう応えられるのでしょうか。この記事では、体育授業でICTが注目される背景から、活用のメリット、導入に必要なもの、実際の活用事例までをOKIソリューションを交えて解説します。
目次
体育授業でICTが注目される背景
ここでは、なぜ体育授業でICTが注目されているのか、その背景を以下の4つに分けて解説します。
- 児童・生徒の体調不良・事故が問題になっている
- 児童・生徒の情報活用能力の育成が重視されている
- 個別最適な学びや適切な評価が求められている
- 働き方改革が推進されている
児童・生徒の体調不良・事故が問題になっている
近年、児童・生徒の体調不良のリスクが高くなっています。その理由は以下の2つです。
1つ目は、猛暑日の増加です。日本の夏平均気温は上昇傾向にあり、それに比例して猛暑日も増加しています。東京都の年間猛暑日数は、1980年代頃までは年間3~5日程度だったのに対し、2010年代以降は年間10日あることも珍しくありません。
2つ目は、熱中症リスクの深刻化です。2024年4月からは、過去に例のない危険な暑さが予測される際に発表される「熱中症特別警戒アラート」の運用も始まりました。屋外での体育授業はとくに注意が必要で、環境の暑さだけでなく、児童・生徒一人ひとりの体調の変化にも目を配ることが求められています。
これらの理由から、教員は今まで以上に児童・生徒の体調に気を配る必要が出てきたため、児童・生徒の体調をリアルタイムにモニタリングできるICTが注目されています。
児童・生徒の情報活用能力の育成が重視されている
情報技術の急速な発展に伴い、児童・生徒の情報活用能力の向上がますます重要になりました。小・中・高等学校の新学習指導要領では、情報活用能力を「学習の基盤となる資質・能力」と位置付けています。
そのため学校には、教科の枠を越え、さまざまな場面でコンピュータやネットワークを活用する機会づくりが求められています。体育授業も例外ではなく、情報活用を通じて児童・生徒が効果的に運動でき、意欲的に臨めるような授業にする必要があります。
こうした背景から、多くの学校で体育授業でのICT活用が進んでいます。事実、スポーツ庁が2021年に実施した全国調査によると、体育授業におけるICT活用に取り組んでいる学校は56%にものぼりました※1。
体育の授業では、ウェアラブルデバイスによる運動・体調管理や、タブレット端末のカメラによる運動の録画再生など、他の教科と違った形でICTを活用できます。そのため、児童・生徒が積極的にICTを活用する絶好の機会となるでしょう。
個別最適な学びや適切な評価が求められている
従来の画一的な授業から、児童・生徒一人ひとりに合った適切な指導・評価が求められています。新学習指導要領では、すべての子どもたちの可能性を引き出す「個別最適な学び」の充実が重視されていますが、このような指導のためには全児童・生徒の運動能力や頑張りを観察する必要があり、教員の大きな負担となります。
そのため、体調や運動量のモニタリングによって児童・生徒一人ひとりの正確な状態を把握でき、その時の体の状態や体力に応じて、一人ひとりが自身の目標を設定して行う授業を支援できるICTが重要となっています。
働き方改革が推進されている
働き方改革の推進も、ICTが注目されている要因です。現在、教員の過重労働が社会問題となっています。令和4年度の文部科学省の調査では、教員の一日あたりの在校時間は、平日は10〜11時間、土日で1〜3時間にものぼることがわかりました。
学校では運動が得意な児童・生徒もいれば、苦手な児童・生徒もいます。教員はどの児童・生徒にも運動を好きになってもらい、積極的に体育授業に参加してもらえるよう、時間をかけて授業アイデアを考えています。
ICTを活用した授業手引きが整備され、自身の体の動きや状態が見えることで、児童・生徒の授業への参加意欲が自然と上がれば、教員の授業の準備時間の短縮が期待できます。
体育授業にICTを活用するメリット
体育授業でのICT活用は、教員と児童・生徒の双方にどのような価値をもたらすのでしょうか。それぞれの視点から見ていきます。
教育現場や教員のメリット
- 勘や記憶に頼らない、根拠のある評価ができる: 多数の児童・生徒を見る体育の授業におけるこれまでの評価は、どうしても教員の主観に頼りがちでした。また、一人ひとりの頑張りを見逃してしまうこともありました。心拍数や運動量がデータとして残れば、こうした評価に根拠を与えられ、単元を通じた変化から、一人ひとりの成長も捉えやすくなります。
- 見守りと記録の負担が軽くなる: 広いグラウンドで全員の運動状態を一人で見守るのは、教員にとって大きな負担です。リストバンド型センサーが計測した状態がタブレットに一覧表示され、記録や集計もシステムで自動化。授業づくりや児童・生徒に向き合う時間が生まれます。
児童・生徒のメリット
- 見守られている安心感のなかで運動できる: 運動データを活用して児童生徒の状態を客観的に把握し、教員が個々の特性や状況に応じた指導を行うことで、無理を重ねてしまう子や自ら不調を訴えにくい子でも、安心して主体的に運動へ取り組むことができます。
- 結果だけで測られない、納得感のある評価: 速さや距離といった結果だけでなく、心拍や消費カロリーから、自分がどれだけ努力したかがデータに残ります。身体能力の差だけに依存せず「頑張り」が正当に認められることで、とりわけ運動が苦手な子の意欲につながります。
- 自分の体を知る面白さが「自分ごと」につながる: 心拍数や消費カロリーなどの数値が見えることで、運動が「自分ごと」に。たとえば持久走の心拍の変化を振り返り、次はどう走るかを自分で考えるなど、体育がより主体的なものになります。
体育授業ICTのために必要なもの
体育授業にICTを取り入れるには、何を用意すればよいのでしょうか。「通信環境」「機材」「アプリ」の3つに分けて説明します。
① 安定した通信環境
まず必要なのが、安定してつながる通信環境です。体育は種目によって使う場所も人数も変わるため、授業の内容に応じて、次のような条件を満たす必要があります。
- 多くの機器をつないでも、通信が途切れない
- 数十人が同時に使っても、問題なくやり取りできる
- 運動場のような広い場所でも、電波が届く
- 映像を使う場合は、動画がなめらかに流れる速さがある
学校にある通信環境をそのまま使えることもあれば、体育での使い方に合わせて、新たに用意が必要なこともあります。
② 用途に応じた機材
機材は、大きく2種類に分かれます。
- 動きを撮って見るための機材: 手本の映像を見たり、自分の動きを撮ったりするために、タブレットやカメラ、モニターを使います。
- 体の状態をはかるための機材: 腕に着けて心拍数・体表温度・消費カロリー・歩数をはかる、リストバンド型のセンサーがこれにあたります。
必要な機材は授業の内容によって変わります。何をする授業かを決めてから、組み合わせて用意しましょう。
③ アプリ
集めたデータや映像は、アプリと組み合わせることで活きてきます。体育の授業でよく用いられるのは、次の2種類です。
- 体調や運動を見えるようにするアプリ: センサーではかった心拍数や体表温度を、その場で数値やグラフに表示し、児童・生徒の状態がひと目で分かるようにします。
- 映像を撮って見比べるアプリ: 撮った動きをゆっくり再生したり、手本の映像と並べて比べたり、体の動きを線で表したりできます。
このような機材とアプリを組み合わせることで、体育の授業は大きく変わっていきます。
体育授業でのICT活用事例
次に、体育のICT活用事例をご紹介します。
事例① 授業中の児童・生徒の体調モニタリング
OKIと大阪教育大学は、バイタルセンサーを利用したモニタリングの実証実験をおこないました。実験の対象となったのは大阪市の小中学校の延べ382名の児童・生徒、64の体育授業です。
実験では、児童・生徒はリストバンド型のウェアラブル端末(リストバンド型センサー)を装着しました。バイタルセンサー無線ネットワークを活用し、児童・生徒の心拍数・消費カロリー・歩数・体表温度などの体調・運動データをリアルタイムでモニタリングしました。

屋外の授業でも約92%という高いデータ収集率を達成し、生徒が動き回る環境でも安定して機能することを確認しています。従来は屋内の体育館などに限られていたリアルタイムデータ通信が、児童・生徒がより広範囲を動き回る屋外での体育授業においても可能となりました。
先生は、心拍数が上がりすぎていないかを確認しながら、児童・生徒への声掛けを行い、見た目だけではわかりにくい心拍数が上昇する児童・生徒への配慮ができました。また、児童・生徒は1時限の授業での消費カロリーを確認し、保健の観点でも消費カロリーと摂取カロリーについて考察することができました。
このように、児童・生徒の授業参加意欲の向上や教員の体調管理の負担軽減といったポジティブな効果が確認されました。
事例② 心拍数を一定に保つマイペースランニング
OKIは、和歌山大学が開発した「ペアで行う持久走(マイペースランニング)」の授業手引きを、和歌山市の小学校で試行導入しました。
実施したのは、児童がウェアラブル端末(リストバンド型センサー)を腕に着け、二人一組のペアで行う持久走です。ペアの一人がランナー役、もう一人がマネージャー役を担い、一人ずつ走ります。マネージャーはタブレットに表示されているランナーの心拍数とランナーの表情を記録しつつ、ランナーに声をかけてペースの上げ下げを伝えます。ランナーは、マネージャーのアドバイスをもとに、自分で決めた心拍数を維持できるようにペースを調整して走ります。
体の状態と実際の心拍数との関係を学ぶとともに、児童が互いにそれぞれにしんどく感じる状態を知ることなどで、可視化された体の状態について考え、理解を深めていきました。また、ランナーとマネージャーのコミュニケーション活性化につながりました。

ICTの活用を通じて、個人の体力や運動能力によって差が生まれる「長い距離を走る」「早く走る」という目標ではなく、「心拍を一定にして走る」ことを目標にした授業ができるようになり、児童一人ひとりが自分の目標を持てるようになりました。その結果、嫌いな種目ナンバーワンの持久走に対しても、児童は積極的に参加するようになり、「2セット以上実施する」という指示に対して、すべてのペアが4セット実施する結果となりました。
事例③ 体験イベントでの子どもたちの反応
体育ICTソリューションは、2026年1月に横浜で開催された一般来場者向けイベント「YOXO FESTIVAL 2026」のOKI「みらいの体育」体験ブースでも公開されました。多くの子どもがリストバンド型センサーを着けて運動し、心拍数などの状態が数値と色でその場に表示される様子を体験しました。
体験した子どもからは「自分の状態がわかりながら運動できて楽しかった」、保護者からは「こうした仕組みを早く教育現場に取り入れてほしい」といった声が寄せられました。

実証から生まれた体育ICTソリューション「VISMONI」
これらの実証で用いられたOKIの無線通信技術やモニタリングの仕組みは、現在、体育ICTソリューション「VISMONI」として提供されています。ここまで述べてきた個別最適な学び、教員の負担軽減を、本ソリューションが実現します。
体育ならではの難しさが、通信環境です。広い運動場を多数の児童・生徒が動き回る状況では、一般的なWi-FiやBluetoothでは通信が安定しません。VISMONIは、OKIが長年培ってきた920MHz帯の無線通信技術により、基地局1台で、屋外のグラウンドから屋内の体育館まで、授業中の児童・生徒全員(標準構成40名)のデータを途切れなく収集します。
事例で紹介したリストバンド型センサーからのリアルタイムの運動データ収集や、モニタリング端末での一覧把握も、この製品で実現できます。導入時に用意する機材は、リストバンド型センサー・充電ボックス・基地局の3点。持久走やボール運動など幅広い種目に対応した授業手引書も、教育学部の大学教授との共同開発で用意されているため、専門知識がなくても授業に取り入れられます。
体育ICTソリューション「VISMONI」のご紹介[03分23秒]
まとめ
体育へのICT活用は、児童・生徒一人ひとりの体力や理解度に応じた個別最適な学びを実現し、教員の負担も軽減します。安全・学び・働き方という体育現場の課題に、まとめて応える取り組みです。
その効果を左右するのは、運動データを継続的に集め、指導や評価、児童・生徒自身の振り返りへと還元できるかどうかです。日々の授業で無理なくデータを活用できる仕組みを整えることが、より安全で学びの深い体育授業への第一歩となります。
OKIは、体育ICTソリューション「VISMONI」を通じて、その仕組みづくりを支援しています。仕様や料金、実証で確認された効果、導入の進め方をまとめた資料をご用意しています。自校・自治体での活用をご検討の際は、ぜひお気軽にOKIまでお問い合わせください。
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