光ファイバーをセンシングデバイスとして活用したセンサーです。敷設した光ファイバーに沿って連続的な分布情報(温度・歪み)を測定することが可能です。
光ファイバーセンサー全般の主なメリットは、以下の通りです。
点型センサーとは異なり、光ファイバーに沿った線/面での多点同時測定が可能になります。点型センサーを用いて多点測定する場合、点型センサーとデータロガーを複数設置する必要があるため、導入コストも高く、システム構成や配線が複雑化してしまいます。また多くの点型センサーは電気式であるため、センサーの寿命や耐環境性が問題となることも多くあります。
従来の「BOTDR(※1)」は、光ファイバーに光パルスを入射したときに発生する後方散乱光の1つである「ブリルアン散乱光」の周波数が温度や歪みに比例して変化するという特性を利用することで、光ファイバーに沿った連続的な温度・歪みを測定することができる方式です。この方式では、周波数解析などの大量な計算処理を実施するため、1回の測定に時間がかかるという課題があります。
OKIの新技術「SDH-BOTDR(特許出願済)(※2)」は、ブリルアン散乱光のわずかな変化を周波数変位ではなく、電気信号の位相シフトに変換して捉える独自アルゴリズムを採用しています。光ファイバーをセンシングデバイスとして活用するメリットを損なわずに、広い測定範囲における温度・歪みのリアルタイムセンシングが可能です。
WX1033Bには2チャネルの光コネクタが準備されており、2本の光ファイバーを接続して測定することができます。内蔵の光スイッチを自動で切り替えてそれぞれのチャネルの温度・歪みを測定できますので、リアルタイム測定の特徴を活かして、いろいろな測定方法に活用できます。
ただし、測定の際に光スイッチの切替え時間が必要になるため、1チャネルあたりの測定周期は1秒を超える場合があります。
一つの測定対象に種類の違う2本の光ファイバーを敷設することで、温度・歪みを分離した測定をすることが可能です(2チャネル測定機能)。
一般的なBOTDRを用いた測定では、温度変化と歪み変化が同時に発生する条件下では、両方の変化の影響が合わさった状態のデータが測定されます。そのため、歪みデータを正しく測定するためには、温度が変化しない条件を作って測定するか、もしくは取得したデータから温度変化の影響分を差し引く計算をして結果を求める必要がありました。
2本の光ファイバーを同じ測定対象に敷設し、一方の光ファイバーで温度と歪みが合わさった状態の測定をし、他方の光ファイバーに歪みの影響がでない光ファイバー(例えば、筒状内に中空に入れられた光ファイバー)を使用して温度のみを測定することで、その双方の測定結果から温度変化と歪み変化を分離して測定することができます。