沖電気工業株式会社(OKI)は2020年に引き続き、「AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト」を2021年も開催する。本コンテストは、OKIのAIエッジコンピューター「AE2100」を使い、さまざまな業種における社会課題を解決するためのアイデアや技術を競うイベントだ。賞金も設定されており、1位に200万円、2位に100万円、3位に50万円が贈られる。さらにメディア露出などの副賞もある。
2020年に初めて開催された本コンテストでは、さまざまなソリューションが応募され、昨今注目されるエッジ領域でのAI活用ということもあり、非常に話題を集めていた。
今年開催する「AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト」では、昨年同様のソリューションコンテストにくわえ、2021年7月1日(木)、2日(金)には本コンテストのプレイベントとしてビジネスマッチングイベントを開催されるのも見逃せない。つまりは、ソリューションを作る側はもちろんだが、ソリューションを"使う"企業や自治体などの方にとっても大注目のイベントなのである。
OKIのAIエッジコンピューター「AE2100」
OKIが開催する「AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト」では、AIを用いた先進的なアイデアや優れた技術によりユースケースを創出し、参加企業のAIビジネス活性化とともに、社会課題や顧客課題の解決を目指している。
応募テーマは、「交通」「建設/インフラ」「防災」「金融/流通」「製造」「海洋」の6分野において、AIエッジによる課題解決にアプローチできるものだ。条件には、OKIのAIエッジコンピューター「AE2100」の実機上で、画像や音響、振動といったセンサーデータや取得済みのデータに何らかのAI処理を施して、識別や予測等を実行するものとされている。
AE2100とは、OKIが提供しているAIエッジコンピューターのこと。ディープラーニングの推論環境を提供するインテル社のOpenVINOツールキットとAIアクセラレーター「インテル Movidius Myriad X VPU」を搭載する、国内初のコンピューターアーキテクチャーだ。各種センサーを収容する豊富なインターフェースや、多様な通信方式に対応していることなどから、多くのエッジ領域でのAI実装を支えている機器だ。詳しくは下記のリンクをチェックしてほしい。
コンテストの応募受付はすでに開始していて、締め切りは2021年8月20日(金)を予定。その後、オンラインでのプレゼンをする予選を経て、2021年末にコンテストの本選を実施する中長期的なイベントだ。
一見すると「AIソリューションを作る企業向けのイベント」と思われるが、実は「AIを導入したい企業向けのイベント」という側面も非常に強い。なぜなら、冒頭にも記載しているように、ビジネスマッチングの場があるからである。
OKI 山本 高広
「昨年のコンテストでは、非常に多くのアイデアやソリューションを応募いただきました。エッジ領域でのAI活用は活発になってきていますが、今後は『社会実装できるようなアイデアやソリューション』が一層重要になります。そこで、企業同士をつながるようなマッチングの場を設けることで、多くの業種や業界で抱える課題を解決できる"きっかけ"を作りたいと考えています」。
こう語るのは、OKIのソリューションシステム事業本部 IoTプラットフォーム事業部 スマートコミュニケーションシステム部 部長 山本 高広氏だ。
OKIとしてもエッジ領域に注力して事業を進めているが、顧客ニーズが多岐に渡るため数多くのアイデアが必要だと山本氏は話す。そこで、OKIのパートナーをはじめ多くの企業を巻き込むことで、さまざまな社会課題の解決を狙うのが「AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテスト」なのだ。
AIエッジ・カンファレンス&ソリューションコンテストは2020年に第1回が開催された。第1回の参加者に対して実施したアンケートでは「今後のビジネスで参考になるアイデアが豊富だった」といった声が非常に多かったそうだ。
参考までに第1回で入選されたソリューションを紹介しよう。
そのほか、2020年に開催されたコンテストで応募されたソリューションは、OKIのサイト内にて動画公開中だ。
本稿冒頭で触れたとおり、本コンテストでは賞金が設けられている。今年2021年に開催するコンテストでは、1位に200万円、2位に100万円、3位50万円が贈られる。コンテストに応募する方に向けては、OKIのソリューションシステム事業本部 企画管理部 戦略企画チーム チームマネージャー 柴田 一城氏が次のように話した。
OKI 柴田 一城
「いま、AIはスマートフォンでのカメラや音声認識による操作をはじめ、コンシューマー向けにも根付き始めました。同じくして、社会全体でもAIは急速に普及しています。
そのなかでも、コンテストの応募テーマの『交通』『建設/インフラ』『防災』『金融/流通』『製造』『海洋』の6分野では、すでにエッジAIの活用事例が豊富ですし、今後も増えていくと思われます。幅広くテーマを設けたことで、多くのアイデアが応募され、さまざまな社会課題の解決につなげられればOKIとしても非常にうれしいです」(柴田氏)
また、柴田氏は「思いつかないようなアイデアが出てくることに期待している」と続ける。
「エッジAIの長所は、リアルタイム性やセキュリティレベルの高さです。端末で処理できる能力と速度、サーバーには上げづらいデータも対応できる管理能力など、クラウドを使うAIではカバーできない部分を補えます。そのため、エッジAIを求めている業種が非常に多いのです。コンテストでは、我々の『AE2100』を使ったアイデアやソリューションを募集しますが、我々では思いつかないような応募が来ることを期待しています」(同氏)
コンテストとビジネスマッチングを並行して開催するのは、単純にOKIとして企業同士をつなげたいからではない。企業同士がつながることで、これまででは思いつかなかった課題解決方法が誕生する可能性があるからだ。
「社会実装を目指すには、ひとつの会社だけでは難しい要因がたくさんあります。たとえば、昨年入選されたコンピュータマインド様のような信号機を制御するソリューションを作ったとしても、道路交通法などの兼ね合いで、社会実装することは難しいのが現状です。ですが、警察の方や国土交通省の方などと組むことができれば、実現に急速に近づきます。
もっと言ってしまえば、AI技術に精通しているスタートアップ企業と、画期的なアイデアを探している企業の方などが出会う場を作れれば、思いもよらない未来を実現できるかもしれないのです。ですので、『革新的なアイデアを思いついたものの、本当に実現できるのか悩まれている』企業の方にこそコンテストに応募いただきたいと思っています。一方で、自社内ではアイデアや開発は難しいけれど、『課題を解決するために何か新しい要素を取り入れたい』と考えている企業の方にはコンテストを視聴いただきたいです」(柴田氏)
また、山本氏は「複数社で取り組むことで、新たな道が開ける」という。
「コンテストに応募される企業様も、コンテストを視聴いただく企業様にも、我々のコンテストとビジネスマッチングをうまく利用していただきたいと考えています。先にもお話したとおり、今後はエッジ領域のAIにおいても社会実装に重点が置かれます。そのとき、コンテストとビジネスマッチングで出会った企業様同士が、さまざまな課題をいっしょになって解決できると、市場全体に対して大きな流れを作れたと言えます。
もちろん、課題を解決する際は、OKIのAE2100を使っていただければうれしいですが、イベントでマッチングした企業様同士で何か新たなモノを創出いただけるのであれば、OKIとしての役目を果たせると思います」