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駐車場のETCカード決済にみる、商業施設の将来【5つのメリット】

2017年10月、ETCカードを使った駐車場料金決済の試行運用が始まりました。 ここではETCカード決済の仕組みと、民間利用が可能となった際に商業施設などの企業が得られるメリットを、5つの観点からご紹介します。

高速道路以外の「ETC決済」の煩雑な実情

駐車場を運営するなかで、出場時の駐車場料金精算による渋滞や混雑に頭を悩ませ、ETCを利用した決済を検討した経験のある企業担当者も多いのではないでしょうか。ですが、ETCは現在の省令で有料道路の決済に使うと定められています。ETC車載器を使った駐車料金徴収の事例もありますが、利用者側の事前登録やセキュリティ面に課題があり、導入のハードルは高い状況です。

ETCを使った決済においては、このETC車載機を使った「ETC決済」と、新サービスとして試行運用が始まり今後の民間利用も期待されている「ETCカード決済」の2種類があります。まずは現行の「ETC決済」から見ていきましょう。

現行の「ETC決済」の仕組み

これまでも、ETCを利用して駐車場料金を決済することは、以下の流れで可能でした。

  1. 利用者が車載器のID番号を事前に登録する
  2. 駐車場の入場ゲートを通過する際、アンテナが車載器のID番号を読み取る
  3. 事後にクレジットカードや口座引き落としで請求

ETC車載器のイメージ

ですが、この流れですと、ETC車載器を搭載していても、事前登録なしでは決済ができません。ID番号の事前登録には手間暇がかかり、会員制のサービスにならざるを得ないことから利用者は増えず、駐車場を運営する企業側にとっても、セキュリティを担保したシステム構築に多大なコストがかかることから、導入に二の足を踏んでいる状態が続いてきました。

そこで、利用者の手間暇をかけることなく使えるように試行運用が始まったのが、ETCカードを使った「ETCカード決済」です。

駐車場におけるETCカード決済の試行運用がスタート

ETCカードを利用する「ETCカード決済」は、近年、一定の条件下でETCカード番号を読むことを可能にする仕組みが確立されつつあり、さらに国内ITSの最新のプラットフォームである"ETC2.0"の情報提供機能と組み合わせることにより、多様なサービス展開が見込まれることから、民間での利用が期待されています。

「ETCカード決済」の仕組み

ETCカードを使った駐車場での決済や割引は、次の流れで実現されます。

  1. 駐車場の入場ゲートを通過する際、ETCアンテナがETCカード情報を読取る。
  2. カード情報を照合し、OKの場合はゲートが開くので入場し、空いている車室に駐車する。
  3. 商業施設での買い物などの決済をETCカードに紐付いた親カードのクレジットカードで行う。
  4. 駐車場から出場する際は、入場時に使用したETCカードを車載器に挿入しておく。このとき、事前精算は不要。
  5. 出場ゲートを通過する際にETCカード情報を読み取り、駐車場利用時間と商業施設での決済金額に応じた駐車場利用料金の割引が自動的に行われ、ゲートが開き出場が可能となる。


ETCカード情報 利用イメージ

ETCカードのイメージ

この民間利用を目指してOKIは、ETC2.0の民間利用を普及促進する「ETC2.0普及促進研究会」の各社と共同で、ETCカードを駐車場決済に使う試行運用を実施しています。関係するプレスリリースは本ページ末尾をご覧ください。

現在は、民間企業がETCカードの情報を利用することはできません(2017年10月現在)。ただし、近い将来に車両や個人の情報保護などセキュリティ上の安全性が確立されて制度が整い、民間利用が可能になれば、ETCカードを駐車場決済に利用したり、そのデータをマーケティングに活用する民間企業が急激に増えることが期待されます。

ETCカード決済の導入によって企業が得られる「5つのメリット」とは?

駐車場のイメージ

では、ETCカードによる決済と各種情報の取得が市場開放され、民間企業での利用が可能となった場合、どのようなことが実現できるのでしょうか?多くの一般客が利用する駐車場(商業施設・テーマパーク・空港など)に導入した場合の活用方法を考えてみましょう。

マーケティングデータとしての活用

ETCカードの情報を使えば、車で来た顧客の滞在時間や来店頻度など、幅広い顧客データを計測できます。実際に買い物をしたかどうかは関係がないため、「どのような人がいつ来ているのか?」「どのようなセールやキャンペーンが顧客に対して求心力があるのか?」など、顧客全体の行動を分析することができます。

維持管理コストの低減

ETCカードを持てるのは、クレジットカードの所有者が大半です。そのため、入出場をゲートで管理している施設にETCを展開してクレジットカード決済を増やすことにより、現金の回収、駐車券・釣銭の補充などにかかる維持管理コストを大幅に低減することができます。

利便性と顧客満足度の向上

ETCカードでの決済により、現金精算が不要になります。そのため店舗独自の"お買い上げ金額に応じた駐車料金を割引する"サービスにおいても、クレジットカードの引き落としの際に自動で割引処理がなされるため、割引手続を簡素化できます。顧客が精算機に並ぶ必要もなくなり、スムーズな入退場が可能となりますので、顧客満足度の向上も見込まれます。

車両情報を用いた適切な車室の誘導

ETCカードの情報により、来店車両と来店者の紐づけが可能となります。そのため、身体障がい者車両や特殊車両を、駐車場の適切な場所に誘導することができます。

VIP対応の実現

駐車場スペースのイメージ

VIPなど特定の顧客への優遇にも活用できます。顧客識別が可能なので、車を複数台保有するVIPがいつもと違う車で来場しても問題ありません。VIPが来店したことを従業員へ通知して、お出迎えなどの優待サービスを実施することができます。

今後が期待される「ETCカード決済」

女性ドライバーのイメージ

ETCは2001年にサービスが開始された当初あまり知られておらず、普及に時間がかかりましたが、いまや、90%以上の利用率を誇っています。

今回ご紹介した試行運用を経てETCカードによる決済が可能になれば、ETCカードを持っているドライバーの料金をチケットレスで徴収できるようになります。そして、そのデータを活用したテーラーメイドなサービスを展開できるようになるのです。

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  • 本記事は2017年10月に掲載しました。記事中に記載する数値、固有名詞、市場動向等は掲載日現在のものです。

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