2021年11月18日
OKIは、西武鉄道株式会社(本社:埼玉県所沢市、社長:喜多村 樹美男)が行う踏切安全対策に関する導入試験に、丸紅ネットワークソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、社長:小林 徹、以下丸紅ネットワーク)とともに参加します。本導入試験では、OKIと丸紅ネットワークが共同開発した監視カメラによる「踏切滞留AI監視システム」を用い、踏切遮断かんの降下後に踏切内に滞留する自動車や人を、高精度・リアルタイムなAI画像処理により検知します。この情報を特殊信号発光機(注1)と連動させることで、滞留の発生時には接近する列車の運転士へ異常を知らせ、踏切事故の未然防止につなげます。
内閣府の令和3年度版交通安全白書によると、踏切事故の件数は長らく減少傾向にあるものの、令和2年では日本全国で173件と、依然として約2日に1件の踏切事故が発生しています。踏切事故を防止するために、鉄道事業者は高規格な踏切支障検知装置(注2)などによって踏切道内における自動車の滞留を検知する保安装置を導入していますが、この装置は一般的に高価で、すべての踏切道に設置することは困難です。また事故発生時に現場の状況を確認するなどのため、踏切支障検知装置とは別にカメラを設置する必要もありました。
今回の導入試験では、西武鉄道の2か所の踏切に「踏切滞留AI監視システム」を設置し、その検知結果を現場の特殊信号発光機と連動させます。「踏切滞留AI監視システム」は、踏切内に滞留する自動車などの物体を検知するだけでなく、骨格検知により人の滞留も検知することができます。AI画像処理はエッジ(端末)側で行うため、「AIの目」がとらえた複数の画像をその場でリアルタイムに処理し、滞留を検知した際には現場の特殊信号発光機と直接連携して、通信網の状況の影響を受けることなく、列車の運転士に迅速に異常を知らせることができます。映像カメラとしても利用できるため、カメラを追加設置することなく、司令所などの遠隔地からも現場の状況を確認することができます。
OKIは、今後も鉄道事業者の安全運行へ貢献するため、「踏切滞留AI監視システム」の実用化に向けた開発を進めていきます。
踏切滞留AI監視システム システム概要図
踏切道内における異常を列車の運転士へ伝える信号。平常時は滅灯しており、異常発生時に点灯して停止信号を現示する。
踏切内の支障物(自動車など)を自動的に検知して、踏切道内における異常を列車の運転士へ伝える保安設備のこと。