2021年7月6日
鹿島建設株式会社
沖電気工業株式会社
鹿島建設株式会社(社長:天野裕正、以下「鹿島」)と沖電気工業株式会社(社長:鎌上信也、以下「OKI」)は、オフィスワーカーの健康意識向上を目的として、鹿島のオフィスビルのワーカーを対象に、スマートフォンアプリを使用して健康行動を促す行動変容サービスの実証実験を行いました。本サービスは、適切なタイミングでメッセージを通知することで、ワーカーがエレベータ(以下、EV)の利用を減らし階段の利用を増やす健康行動を、自発的に選択するよう促すものです。実験の結果、アプリ使用後に階段利用者が約40%増加するなど、本アプリの効果が確認されました。
今後、本サービスを積極的に提案することで、ワーカーの健康性や快適性に配慮したスマートビルを構築し、建物の付加価値向上につなげていきます。
ワーカーの健康行動を支援する行動変容サービスの概要
近年、経済産業省から健康行動を誘発する「健康経営オフィス」が推奨され、建物利用者のウエルネスに配慮した建物を評価する「WELL認証」が広がっています。またSDGsやESGの観点からも、利用者の健康性や知的生産性に配慮するスマートビルが注目されています。
鹿島では、緑などの自然要素を室内空間に取り込むバイオフィリックデザインや、人流・環境情報データを収集し様々なサービスの提供につなげるスマートビルの開発を通じて、ウエルネス空間の提供に取り組んでいます。一方OKIは、生活習慣病の予防を目指し、「行動変容技術(注1)」の研究を通じて、独自の行動分析アルゴリズムを備えた行動変容エンジンを開発してきました。これは個人の属性や日常生活で取得できる行動データ、バイタルデータに専門家の知見を掛け合わせ、個々の特性に応じて健康行動に向けた最適な提案メッセージを出力するものです。
本サービスは、建物内の階段・通路・EVホールに設置したセンサーやカメラから、ワーカーの行動情報をクラウドに収集し、階段利用などの健康行動を誘発するメッセージをスマートフォンに通知するものです。本サービスの概要および特長は以下のとおりです。
スマートフォンアプリのイメージ画面
2021年3月~4月に鹿島のオフィスビルで実証実験を行った結果、階段を利用するワーカーが、本サービスの提供前と比べて約40%増加しました。さらに、継続的に階段を利用するモチベーションが向上したことを示す数値も高まり、健康行動の習慣化および動機づけに一定の効果があることが実証されました。
今後は、個人の健康志向と行動促進の度合いなどに関するデータ分析を進め、本サービスの改良を図ります。また本システムの導入により、エレベータの混雑解消に一定の効果が期待できることから、新型コロナウイルス感染症対策としても提案していきます。
鹿島とOKIは、利用者の健康・ウエルネスに配慮するとともに知的生産性を高めるオフィス環境の提供を目指し、新しいワークスタイルに順応した建物環境や働き方を支援するツールとして行動変容サービスの活用を進め、より健康で快適なスマートビルの構築につなげていきます。