2021年6月2日
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所 海上技術安全研究所
沖電気工業株式会社
2020年度実験の画像
国立研究開発法人 海上・港湾・航空技術研究所(理事長:栗山 善昭、本所:東京都三鷹市 以下、うみそら研)と沖電気工業株式会社(代表取締役社長:鎌上 信也、東京都港区 以下、OKI)は、自動運航船の安全対策ならびに船員負荷低減技術として期待される遠隔監視・遠隔操船に関する共同研究(以下、本研究)の契約を2021年6月1日に締結しました。
本研究は、国土交通省が2025年の実用化を目指している自動運航船(フェーズⅡ)(注1)における、周囲状況の確認技術と遠隔操船技術の構築、および自動着桟システムの安全性向上を目指した研究開発の一つです。うみそら研の海上技術安全研究所(所長:安部 昭則、本所:東京都三鷹市 以下、海技研)とOKIは、本契約に基づき2022年3月31日まで実施する共同研究を通じて、自動運航船の安全対策ならびに船員負荷軽減のための「船舶用俯瞰映像システム」の確立を目指します。
昨今、大規模な海難事故の発生や世界的な船員不足が問題となる中、海上における安全性確保や生産性向上の観点から船舶運航におけるICT化が求められており、その解決策として各国が開発を進める自動運航船に、世界の注目が集まっています。本研究では、OKIの俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー®」を活用して、広島県を航行する小型実験船の周辺映像を海技研構内のコックピットに送り、自動運航船における「他船や周囲障害物との距離把握方法の検討」や「夕刻、夜間、波浪ありなどの環境条件を想定した影響把握と対策検討」を行います。
OKIの俯瞰映像モニタリングシステム「フライングビュー®」は、耐環境性に優れ、自動運航船の周囲360度を自由な視点から俯瞰することが可能なリアルタイムリモートモニタリングシステムです。なお、OKIはこれらの取り組みについて、2021年6月2日から6月4日まで東京ビックサイト青海展示棟で開催されるワイヤレス・ジャパン2021において公開します(出展:OKI、ブース番号:1-075)。
広島県因島付近を航行する海技研が管理する小型実験船「神峰」と、海技研構内(東京)に設置されたコックピットをモバイル回線で結び、「神峰」に搭載された「フライングビュー®」が送る周辺映像をコックピットで確認しながら、遠隔監視・遠隔操船を実施します。
「神峰」に搭載されるフライングビューは、4台の魚眼カメラと映像合成部、表示部で構成されています。カメラの映像から周囲360度の俯瞰映像を合成し、表示された映像を自由な視点から見ることにより、広域のシームレスなモニタリングが可能です。カメラ映像の合成を映像処理能力の高いFPGA(注2)上で行うことにより、小型・省電力で、高画質の映像処理をリアルタイムで実現できます。
国土交通省が掲げる「自動運航船」の開発・実用化に向けたロードマップにおける一工程であり、2025年までに陸上からの操船や高度なAI等による行動提案により船員をサポートする船舶の実用化を目指している。
https://www.mlit.go.jp/report/press/content/001375594.pdf [1.2MB]
製造後に購入者や設計者が構成を設定できる集積回路であり、広義にはPLD(プログラマブルロジックデバイス)の一種。