TOP MESSAGE

未来志向で新しいOKIを創造する。
この壮大でチャレンジングな目標実現のために

代表取締役社長執行役員
兼 最高経営責任者
森 孝廣TAKAHIRO MORI

140年以上の歴史を持つ
イノベーション企業

沖電気工業(以下、OKI)は、『進取の精神』をもって140年以上の歴史の中で数々の“初”を世の中に送り出してきました。1881年に日本初の通信機器メーカーとして創業され、アメリカでグラハム・ベルが電話機を発明したわずか5年後に、日本で初めて電話機の開発に成功しています。紙幣還流型のATM開発に成功したのも、LEDプリンターの商品化に成功したのも世界初です。国産初ということであれば、コアメモリを採用したコンピュータやVoIPシステムなどもあります。私はキャリアの多くをプリンター事業とともに歩んできましたが、入社した35年前は、世界初や世界最速を謳った商品が頻繁に出てきたものでした。OKIは『進取の精神』によって、いくつものイノベーションを実現してきた会社なのです。

ところが近年、新商品からそういった“初”を冠するキャッチフレーズが少なくなってきているように感じます。短期的に業績を伸ばす手段としては『先進的なもの』をつくるよりも『汎用性の高いもの」をつくる方が容易なために、そちらに振れてしまう。そうなると商品がコモディティ化し、OKIの独自性や競争優位性が保ちにくくなる。こんな傾向が出てきているように思います。しかし、メーカーの本質は、技術を磨き先進的な商品・サービスを生み出すことにあります。既存事業の延長線上で物事を発想するのではなく、競争の源泉である独自性や競争優位性を確立するため、OKIらしい個性を発揮しながらイノベーションを興し、キーメッセージである『社会の大丈夫をつくっていく。』を実現していかなければなりません。 そんなチャレンジを一緒にできる若いエネルギーを必要としています。

イノベーションを興すための
材料はそろっている

イノベーションを興すことは、容易ではありません。ただ、OKIにはそれができるだけのアセットがあると感じています。一つは、幅広い事業領域で培ってきた豊富な経験と知見です。近年、事業が拡がりつつある防災・交通分野や、事業の柱として長年会社の発展に貢献してきたATMをはじめとした金融分野、通信分野、海洋分野、製造受託サービスのEMS、プリンター事業など、多様な事業で磨き上げてきた専門性や技術を部門横断で結びつけることで、新たなビジネスを生み出すことができます。

さらにOKIは、センシング、ネットワーク、AI等の技術の強みを活かし、AIを搭載したエッジデバイスを現場に設置することで、『現場』で『瞬時』に適切なデータを解析し、必要な情報をフィードバックできる『AIエッジコンピューティング』技術に強みを持っています。一般的には、現場に設置したセンサーで収集したデータを、ネットワーク経由でデータセンターなどクラウド上に集約し、そこでAIによる分析、解析を行うスタイルが主流です。しかし、OKIは緊急度・重要度が高いソリューションを提供しているため、近年、高信頼性・リアルタイム性やプライバシー保護の観点から、データをクラウドまで送ることなく、より『現場』に近い場所でリアルな処理の実現を求める声が高まっています。OKIのAIエッジであれば、これらのご要望にお応えすることができます。

また、日本を代表する企業をお客様とし、長年にわたりお付き合いがあることも大きな財産です。通信業界や金融業界など、さまざまな業界で市場をけん引してきた企業や官公庁との信頼関係は、一朝一夕に築けるものではありません。多様なお客様に商品を収めてきた実績によって長年蓄積されたデータ、ナレッジは、さまざまな問題を解決する種として大きな価値を生み出します。

代表取締役社長写真

社員全員参加で
イノベーションを興していく

OKIは、特徴的なコア技術やお客様とのネットワーク、多様な事業による知見の蓄積など、イノベーションや新規ビジネス開発に必要な材料は備えています。ただ、こういった材料を上手に活用してイノベーションや新規ビジネスを具現化するには、バイタリティと多様性を持つ“人材”が必要です。OKIには、愚直に一生懸命取り組む誠実さや、チームワークに長けた社員が多いという特徴・強みがあります。ただ、堅実であるがゆえに石橋を何度も叩いてから渡るところもありました。この堅実さが、時にイノベーションの妨げになってしまうことがあります。VUCA(ブーカ)の時代と呼ばれ、先が不透明な環境下でイノベーションを興すには、スピード感や、成功可能性が6~7割でも行動に移すチャレンジ精神・実行力が重要です。そこで、堅実さの強みは残しつつ、スピード感を高め実行力をあげていくための施策に取り組みます。すでに他社に先駆けて取り組みはじめているのが、『全員参加型イノベーション活動』です。この取り組みは社員の一人ひとりがイノベーションを興す主役となる取り組みです。

これは、経営層によるイノベーションマインドの浸透や社員が主体となるビジネスアイデア実践コンテスト、イノベーション研修などを組み合わせることで、社員一人ひとりのマインドから変えていって、企業カルチャーに変革を起こすきっかけをつくろうという取り組みです。現在5年目に入っていますが、すでにイノベーション研修などを受けた社員は8000名を超え、新規商品や新規事業のアイデアも約800件あがってきています。新しいものを生み出そうとする意識や思考が着実に社員に根付いてきているという手応えもあります。今年度から、アイデアレベルで終わらせるのではなく、スピード感を持って社会実装しビジネス化していく『実践モード』に入っています。自分のアイデアが社会問題の解決に役立つなんて、夢のある話ではないでしょうか。

海外へのビジネス展開に
再チャレンジ

今後のグローバル戦略でも新たな取り組みをスタートさせる予定です。現在、OKIの売上の85%ほどは国内市場で占められています。かつてプリンターは海外で2000億円ほどの事業規模がありましたし、ATMも中国やブラジルで事業を伸ばしていました。今後の継続的な成長分野を考えると、ATMやプリンター以外のグローバル事業の発展は必須です。プリンターやATMに代わる商品・ソリューションを開発して積極展開を目指します。海外拠点を単なる販売拠点とするのではなく、現地の技術動向やパートナーシップ構築するR&D拠点として機能を高めていきます。同時に、このような海外での企業活動を多くの社員に経験してもらうことで、グローバル基準でビジネスを構築できる『経営人材』の育成を図ります。チャレンジ精神に富み、感性豊かな若手人材に多くのチャンスをつくっていきたいと考えています。

代表取締役社長写真

一人ひとりがOKIを変えられる!その思いをぶつけてもらいたい!

私は初期配属先で大変苦労した思い出があります。右も左も分からない新人が土地勘のない新潟という地で、電子デバイスの新規顧客開拓営業を担当する…予想以上に大変でした。現地には、そもそも担当顧客がないので、当然待っているだけでは仕事はありません。そのため、試行錯誤しながら、自分で『仕事をつくること』に必死に取り組みました。自分から動くことが染みついたこともあり、既存のやり方に疑問を抱けば、少しでも改善するために行動を起こしました。ときには無茶なことをしたこともあります。課長時代、当時のプリンターのシェアを3倍以上に伸ばせと指示されたときは、必死に考えて目標を達成しました。当社ユーザーに何故OKIを買うのか?と聞いたところ大多数の方が『頑丈で壊れないから』との回答。なるほど、求められているのは『信頼性』だと。使ったことがある人は良さが分かるが、使ったことが無い人は、それが分からない。いくら口で言っても、なかなか信用されない。シェアを伸ばすには「買った後に分かることを、買う前に分かってもらう」必要があったのです。その手段が、5年間無償保証でした。5年間は壊れない自信を無償保証という形で示した訳です。そして、その新サービスを広く知っていただくために、CMなどに用いる販促費を10倍以上に増額するよう提案しました。当然、新しい取り組みはリスクも考えられるため、社内からは反対の声が噴出しました。これらの新たな施策を認めてもらうため、根気強く経営陣に談判したところ、GOサインを勝ち取ることができたのです。大きな組織になればなるほど、このような要望の承認を得るまでに時間がかかり、叶わないこともありますが、「他の会社ではできないようなことも、OKIならできる」という感触を持ちました。

今、振り返ってみて感じたことは、自ら考え動いていくことで、未来が変わるということです。時には、思い通りにはいかず、ゴールまでの道のりが長く感じることもありますが、変革したいという強い思いを持ち、困難に立ち向かいながらも、周りを巻き込んで進んでいくことでOKIを変えていくことができました。このような経験を積んできた人間が社長になり、2023年からは新たな中期経営計画がスタートします。まさに、これから新しいOKIを創ろうとしているところなのです。過去の成功・失敗にとらわれず、未来志向で臨んでいます。皆さんも、『社会の大丈夫をつくっていく』ために新しいチャレンジをしたいという強い思いがあるなら一緒に仕事をしましょう。皆さんが自己成長できる環境づくりにも力を注ぎ、後押ししていきます。
世の中に対して、未来志向で新しいものを生み出していきたいという強い思いがあるなら、皆さん一人ひとりに、OKIの変革に、その思いをぶつけてもらいたいと思っています。