2024年7月25日
OKIサーキットテクノロジー株式会社
沖電気工業株式会社
全長約40メートルの高精細エッチングライン
OKIグループのプリント配線板(PCB)事業会社OKIサーキットテクノロジー(社長:鈴木正也、本社:山形県鶴岡市)は、AIやデータセンター、次世代通信網などに使用される最先端半導体の製造・検査装置に搭載する超高多層PCBの回路形成ラインを上越事業所(新潟県上越市)に新設し、今月より本格稼働を開始しました。新ラインでは、ビアピッチ(注1)0.23mmに対応可能な高精度・高精細回路形成を実現するとともに、従来比約1.4倍の生産能力と多品種少量生産対応力を強化し、半導体の製造・検査装置メーカーをターゲットとした売上拡大を目指します。
半導体は高機能化と小型化、低消費電力化、大容量化へと大きく進化を続けており、微細化、多層化とともに高耐電圧、大容量データ処理、高速伝送へ向けた技術と新素材開発が進んでいます。このため、大量のデータ処理に必要な端子ピン数の増大化と狭ピッチ化が進んでいます。これらの次世代半導体の製造・機能試験用のPCBでは、狭ピッチ対応とともに100層を超える超高多層化が要求され、多層化しても薄くできる極薄新素材の開発とともに、多層板上の微細回路に正確に貫通する極小径穴加工技術など製造技術の開発が求められています。
上越事業所内の製造エリアを3,300平方メートル増床(従来比約1.2倍)し、極薄材料対応表面処理ライン新設、ダイレクトイメージ装置を増設しました。また、AOI(注2)自動検査装置を移設することで回路形成プロセスの動線が最適化され、生産品質の向上とともに、生産能力は従来比の約1.4倍になりました。さらに、新ラインは0.03mmの極薄材料から8mmの厚板材料までの自動搬送およびダイレクトイメージ装置の増強により、高精度回路形成と高精細エッチングラインによる線幅精度向上(伝送特性安定化)を実現しました。あわせて、高精度穴明け装置の増設により、極小径穴加工(φ0.10以下)の能力が向上し、110層を超える超高多層、高精細基板の提供が可能となり、お客様が要望される次世代半導体の製造および機能試験に対応できるようになりました。
OKIは、「設計から製造、信頼性試験までワンストップでモノづくり総合サービス」を提供するEMS事業に注力しており、特にPCB事業における半導体、航空宇宙、防衛、ロボット、次世代通信など、将来的に成長が見込める分野への技術開発・増産投資の一環として今回のライン新設を実施しました。今後も技術の進化に対応したPCBおよび製造技術の開発に積極的に取り組んでいきます。
導体を電気的に接続する穴(ビアホール:Via Hole)間の距離で、小さいほど高難度となる。
PCBや液晶ディスプレイの製造における自動外観検査のこと。対象部品をカメラで自律的にスキャンし、欠落の有無やフィレット(角を丸める加工)のサイズ・形状や歪みなどを検査する。