2022年11月10日
OKIは、丸紅ネットワークソリューションズ株式会社(本社:東京都港区、社長:小林 徹、以下、丸紅ネットワーク)と共同開発した高精度・リアルタイムなAI画像処理により踏切内の滞留を検知・監視する「踏切滞留AI検知システム」(以下、本システム)を、西武鉄道株式会社(本社:埼玉県所沢市、社長:喜多村 樹美男、以下、西武鉄道)に納入しました。本システムは、2021年12月より開始した西武鉄道での導入試験を経て、2か所の踏切で2022年11月14日より本格運用を開始します。
現在、踏切での障害物を検知する方法として踏切障害物検知装置(注1)がありますが、主に「自動車」を検知対象にしているため、これまでは人道踏切内に人が取り残された場合、その場に居合わせた他の人による非常ボタンの押下が列車の運転士に異常を知らせる唯一の方法でした。
本システムは、骨格検知技術やAIエッジ技術などを活用し、踏切に設置したカメラの映像をその場で高精度かつリアルタイムにAI画像処理することで、踏切遮断桿降下後に踏切内に滞留する人や自動車を検知し、直ちに特殊信号発光機(注2)と連動して接近する列車の運転士へ異常を知らせることができます。これにより、踏切内での人、車の滞留による事故の未然防止につなげることが可能です。また、本システムでは、汎用カメラなどを使用するため、設置が容易かつ比較的安価に導入することができます。
現地に設置された機器は、AI画像処理による滞留の検知から特殊信号発光機の連携までをインターネットなどを利用せずに独自の通信網で動作します。これにより、踏切での滞留が発生した場合、通信障害などの影響を受けることなく、運転士へ異常を知らせることが可能となります。さらに、本システムのカメラにより指令所などの遠隔地からも現場の状況を確認することができるため、事故の未然防止を支援します。
OKIと丸紅ネットワークは西武鉄道と約4年に渡り、本システムの導入試験を含めて実用化に向けた取り組みを行ってきました。2021年度、主に人道踏切をターゲットとして西武鉄道の2か所の踏切で特殊信号発光機との連動まで行う本番の運用に近い形で導入試験を行いました。今回、試験で得たシステム上および運用上のさまざまな製品課題を解決することで実用化ができる段階に達したと判断され、納入および本格運用開始となりました。
OKIは、鉄道DXとして、さまざまな踏切に本システムへの導入を目指し、これからも鉄道事業者の安全運行へ貢献していきます。
システム概要図
踏切内の支障物(自動車など)を自動的に検知して、踏切道内における異常を列車の運転士へ伝える保安設備のこと。
踏切道内における異常を列車の運転士へ伝える信号。平常時は滅灯しており、異常発生時に点灯して停止信号を現示する。