導入事例

OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。

企業情報

東京建物株式会社ロゴ

会社名
東京建物株式会社 様
本社所在地
東京都中央区八重洲一丁目4番16号
東京建物八重洲ビル
設立
1896年10月1日
従業員数
830名(2024年12月31日現在)
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都市部におけるオフィスビルでの
再エネ活用と既存ビルのBCP対策強化に挑む
自己託送モデルを活用した蓄電池導入プロジェクト


東京建物株式会社

東京建物は、1896年設立、日本でもっとも長い歴史を持つ総合不動産会社です。同社は脱炭素社会の実現に向け、物流施設の屋根を活用した大規模な太陽光発電で生み出した電力を、一般送配電網を通じて自社施設に送る「自己託送」の仕組みを不動産業界で初めて構築し、高い評価を受けています。

しかし、この取り組みを進める中で、再エネ電力を需要する側のオフィスビルでは、週末に電力需要が減少し、再エネ電力が有効に活用されていない時間帯が生じるという課題がありました。再エネ電力をいかに無駄なく活用するか ─ 同社はOKIクロステックと共に、この解決に挑みました。福岡市の東京建物博多ビルを舞台に、蓄電池を活用した新たなモデルづくりに取り組んだ両社。そのプロジェクトは都市部のカーボンニュートラル実現と既存ビルにおけるBCP対策の強化に向けた一歩となりました。

概要

課題
  • オフィスビルでは週末に電力需要が減少し、再エネ電力が有効に活用されない時間帯が生じる
  • 自己託送は制度や調整が複雑で、デベロッパー単独での運用が難しい
  • 蓄電池導入には機種選定から設置・運用まで専門的な知見が不可欠
成果
  • 有効に活用されていなかった再エネ電力を蓄電・活用でき、再エネ利用効率が向上
  • 災害時には非常用電源として機能し、(築古の)既存ビルにおけるBCP対策を強化
  • 行政や外部から高い評価を獲得し、今後の展開への足がかりを構築

導入ソリューション

GX(グリーントランスフォーメーション)ソリューション

OKIクロステックのGXソリューションは、電力の見える化、太陽光発電による再エネ、車両のEV化、自動制御による電力消費コントロールなどで「省エネ・節電/CO2削減」を実現。さらにその先の創エネ・蓄エネを活用するネットカーボンゼロへの取り組みを、運用も含めて継続的に支援します。

GX(グリーントランスフォーメーション)ソリューション イメージ

詳細

課題・背景

週末に有効に活用されない再エネ電力の発生
都心部のカーボンニュートラルで解決すべき課題

藤田 勝紀 氏
東京建物株式会社
ビル事業企画部
環境対策推進グループ 担当部長
藤田 勝紀 氏

東京建物は、総合不動産会社としてオフィスビルや住宅、商業施設、物流施設など多岐にわたる事業を展開。「次世代デベロッパーへ」という長期ビジョンのもと、カーボンニュートラル・脱炭素社会の実現に積極的に取り組んでいます。その一つが、物流施設「T-LOGI」シリーズの屋根を活用して大規模な太陽光発電所を建築し、そこで生み出した再エネ電力を、「自己託送」制度を活用して一般送配電網を通じて自社施設に送る取り組みです。不動産業界で初めて構築されたこのモデルは、都市部のカーボンニュートラルを実現する画期的な仕組みと高く評価され、「日本不動産学会業績賞 国土交通大臣賞(2023年)」、「令和5年度環境省気候変動アクション環境大臣表彰」や「NIKKEI脱炭素アワード2023プロジェクト部門奨励賞」など、数々の表彰を受けています。

しかし、オフィスビルは商業施設などと違い週末に稼働が落ち込むため、送られてきた再エネ電力が有効に活用されない時間帯が生じる課題があります。自分達でせっかく創出した再エネ電力。これを無駄なく、さらに有効活用するためには、蓄電池の導入が不可欠でした。再エネ電力をいかに効率的に使うか ─ これは、エネルギーの需要が大きい反面、高層ビルの集積により日影の相互干渉を生じやすい、再エネ電力を創出する空間が限られるといった特徴を持つ、都心部におけるカーボンニュートラルの実現に向け、解決が求められる重要なテーマでした。

さらに、自己託送の取り組みは業界全体でも始まったばかりで、電力需給計画の立案や送配電事業者との調整など、デベロッパー単独では対応が難しい領域も、多く存在しました。

「声をかけると『面白い取り組みだ』と関心を示してくださる企業は多いのですが、実際に一緒に取り組んでくれるパートナーは意外と少ないのです。新しい試みだからこそ、何が起きるか分からない中で共に悩み、共に進んでくれる存在が必要でした」。(藤田氏)

導入のポイント

「自分事として一緒に走る」姿勢と専門知見
OKIクロステックを選んだ理由

東京建物は、「次世代デベロッパーへ」という長期ビジョンのもと、再エネ電力のさらなる有効活用に向けて蓄電池導入を検討しました。しかし、同プロジェクトの推進には、単に設備の設置だけではなく、適切な機種の選定から設置環境の検証、日常運用に至るまで、幅広い知見が求められます。

「新しい取り組みですから、自分達だけで正解を導き出せる訳ではありません。ですので、共に考え、一緒に進んでくれるパートナーを求めていました。OKIクロステックは自分事として『一緒にやりましょう』と提案してくれました」。(藤田氏)

当時、OKIクロステック自身も環境やカーボンニュートラル、GX(グリーントランスフォーメーション)への取り組みを強化していた時期であり、目指す方向性が一致する点も後押しとなりました。さらに、同社が数ある候補の中からOKIクロステックを選んだ理由は、専門知見に基づく提案力に加え、関係各所との調整を主体的に担ってくれる姿勢にありました。

他社は『これはどうしたら良いですか?』『これを(他社に)確認してください』といった質問や依頼をこちらに持ち込むばかりで、自律的にプロジェクトを進めてくれることは稀です。当方も初めて取り組むことばかりなので完璧な正解を持っている訳ではなく、むしろ関係する皆さんの意見を聞きたい。その点、OKIクロステックは必要な関係者と直接やりとりをし、プロジェクト全体を自分事として進めてくれました。単なるサポートではなく、共に取り組んでくれるスタンスが、心地よかったです」。(藤田氏)

東京建物博多ビルを初回事例に選んだ理由と、
各社との役割分担

浅川 誠 氏
東京建物株式会社
九州支店 第2グループ
兼 第1グループ 課長
浅川 誠 氏

最初に蓄電池導入の舞台に選ばれたのは、福岡市の東京建物博多ビルでした。物流施設「T-LOGI福岡」より自己託送制度を活用して再エネ電力が送電されていたことに加えて、規模的に実証に適していたことから、選定されました。

「商業施設は土日も電気を使いますが、東京建物博多ビルはオフィスなので週末はほとんど電力を消費しません。そのため、再エネ電力をさらに有効に活用できる期待がありましたし、規模や地理的にも初回の取り組みに最適と判断しました」。(藤田氏)

プロジェクトは、東京建物が意思決定者として全体を統括し、OKIクロステックがプロジェクトマネジメントを担う体制で進められました。OKIクロステックは、蓄電池の選定から設置計画、施工会社やビル管理会社との調整まで、幅広い役割を担いました。

「施工会社や管理会社など、関係各所との調整が必要なことは多々ありました。その中で、電気関係はほぼOKIクロステックに丸ごと任せられたので安心でした。結果的に、自然に役割分担ができていた印象です」。(浅川氏)

既存ビルに重量のある蓄電池を設置するための構造計算や、築40年以上の建物に新設備を加える調整など、課題は多岐にわたりました。さらに、自己託送による電力供給の把握にはエネルギー事業者の協力も欠かせませんでしたが、OKIクロステックが調整役となり、課題の洗い出しと合意形成をリードしました。

「こうした案件は関心を示す企業は多いものの、具体的にどう進めるかとなると足が止まることが少なくありません。OKIクロステックは積極的に動き、関係者と調整してくれたので、プロジェクトを前に進めることができました」。(藤田氏)

こうして検討から実行まで約2年かけ、東京建物博多ビルへの蓄電池設置が実現しました。

成果・今後

再エネ電力のさらなる有効活用とBCP強化、
行政からも高い評価

東京建物博多ビルへの蓄電池設置
東京建物博多ビルへの蓄電池設置

「赤コンセント」(非常用回路につながる専用コンセント)
「赤コンセント」
(非常用回路につながる専用コンセント)

蓄電池導入により、これまで週末に消費されずにいた再エネ電力を有効に活用できるようになりました。蓄えた電力を夜間の待機電力に充てられるなど、利用効率も向上。さらに停電時には非常用電源として機能し、BCPの観点からも大きな安心感をもたらしました。

具体的な施策の一つが、「赤コンセント」(非常用回路につながる専用コンセント)の設置です。災害時に使用できる専用回路につながり、災害や停電時などに入居者や来館者は電源を利用できます。

「昭和50年代に建てられたビルでこれを設置できたのは、大きな成果です。災害時は通信手段の確保へのニーズがもっとも高いので、スマートフォンが充電できるだけでも安心感は大きく変わります」。(藤田氏)

ただし、設置の意義をどう周知するかは、今後の課題です。

「給湯室に設置しましたが、その存在をご存じの方ばかりではありません。例えば赤コンセントをモチーフとしたノベルティを製作して入居テナント様に渡せないかなど、分かりやすい形で周知方法を模索しています。OKIクロステックとは工事に関わることだけでなく、そうしたところまで一緒に取り組んでいきたいです」。(浅川氏)

今回の取り組みは、先に述べた各種受賞に加えて福岡市環境局など多方面から評価を受ける確かなものとなりました。

「理論的に効果があるのは当然ですが、実際の効果検証はこれからです。ただ行政の方々から『非常に良い取り組みだ』と評価いただけたのは、大きな励みになりました」。(藤田氏)

今回のプロジェクトは単なる技術実証にとどまらず、都市部におけるエネルギー活用モデルの可能性を示す取り組みとなりました。

仙台、その他への展開と、共創パートナーとしての期待

今回の東京建物博多ビルでの導入を踏まえ、東京建物は他地域への横展開を検討しています。すでに宮城県仙台市の東京建物仙台ビルや、その他の施設でも同様の計画が進んでおり、再エネ電力のさらなる有効活用とBCP対策の強化を広げていく方針です。

「東京建物仙台ビルやその他の地域でも同じような計画を進めています。ただ今回採用した中小規模向けの蓄電池はメーカーの主力製品ではないことなどから、選定や調達が難しい面があります。こうした点も、今後もOKIクロステックに支えていただきたいと期待しています」。(藤田氏)

将来的には太陽光パネルの導入拡大も視野に入れ、再エネ利用をさらに加速させる構想もあります。こうした取り組みを着実に推進するには、技術的知見に加え、プロジェクト全体をマネジメントし関係者と連携する力が欠かせません。

藤田氏は最後に、こう結びます。

「OKIクロステックには設置して終わりではなく、その後の検証や新たな提案まで主体的に取り組んでいただけることを期待しています。これからも共に次につながる挑戦を進めていきたいですね」。(藤田氏)

OKIクロステック担当者コメント

私共も脱炭素やGXへの取り組みを始めたばかりで、当初はノウハウが少ない状況でした。今回の蓄電池導入に積極的に関わらせていただいたことは大きな学びとなり、社内にとっても非常に貴重な経験となりました。東京建物様と共に挑戦できたことに深く感謝しています。今後も再エネ活用やBCP強化のニーズは高まっていくと考えています。これからもお客様と共創し、持続可能な社会の実現に貢献していきたいと思います。

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2025年10月掲載

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