導入事例

OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。

企業情報

JR東日本メカトロニクス株式会社ロゴ

会社名
JR東日本メカトロニクス株式会社 様
本社所在地
東京都渋谷区代々木2-1-1 新宿マインズタワー
創立
1992年4月1日
従業員数
約1400名
(2021年4月現在)
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自動改札機の開発に「劣化評価試験サービス」を活用
電子部品の余寿命データで機器全体の信頼性・可用性を評価


JR東日本メカトロニクス本社受付

東日本旅客鉄道株式会社(JR東日本)のグループ会社であるJR東日本メカトロニクス株式会社は、自社で開発する自動改札機の信頼性をチェックする手段の1つとして、2009年からOKIエンジニアリングの「劣化評価試験サービス(電子回路基板の余寿命推定)」を活用。その試験結果から自動改札機の耐久性を判断し、不具合発生に備えた的確な部品交換、機器更新を鉄道事業者に提案しています。現在開発を進めている次世代改札機でも同サービスを利用し、余寿命=耐久年数を事前に算出する考えです。

概要

課題
  • 自動改札機の不具合発生を防止するため、ハードウェアの信頼性・可用性チェックを強化する必要がある。
  • 機器のメンテナンスや更新を効率的に行い、コスト削減・省力化を実現したい。
  • 新型機種の導入、およびメンテナンスや更新などを促進するため、提案力をアップしたい。
成果
  • 電子部品の劣化加速試験による余寿命推定データから機器全体の耐久度を判断できるようになった。
  • 機器の耐久年数を高精度で推定し、メンテナンスや更新の長期的なスケジュールを作成しやすくなった。
  • 試験データを活用し、提案時に劣化具合や余寿命などに説得力のあるエビデンスを示せるようになった。

導入ソリューション


「劣化評価試験サービス」における電子部品の電気特性取得の様子

「劣化評価試験サービス」
OKIエンジニアリングは、IC・チップコンデンサ・抵抗・リレー・基板といった電子部品の各種信頼性評価試験、故障解析・分析を45年超にわたり提供し、幅広い業種のお客さまにご活用いただいています。電子回路基板に搭載されている電子部品の加速試験を実施し、余寿命を推定する「劣化評価試験サービス」は、長年培った豊富な経験・高度なノウハウに基づいた信頼性評価試験の1つです。

詳細

課題・背景

鉄道利用者の安心・安全の確保が駅務機器においても最重要


自動改札機利用イメージ(JR東日本メカトロニクスホームページより引用)

券売機や改札機、精算機などの駅務機器、バスシステム(IC車載ユニット)、交通系ICカードおよびそれを利用した各種ソリューションなどを開発・提供しているJR東日本メカトロニクスは、次世代の各種製品の開発を推し進めています。


郡氏(左)と杉村氏(右)

シンクライアントシステム開発本部 次世代機器開発部 改札システム開発グループ チーフの郡 一樹氏は、「お客さまサービス向上にむけたさまざまなシステムに対応する次世代改札機の開発を進めています」と説明します。同グループ チーフの杉村 真菜氏は「一番重要な課題は、鉄道を利用されるお客さまの『安心と安全』を確保するという観点で、開発中の機器の信頼性・可用性を高めること、さらに不具合発生を未然に防止するための的確かつ効率的なメンテナンスを行うことです」と強調します。

これらの課題に対し、JR東日本メカトロニクスでは、自動改札機の耐久年数を推察する手立てとして、OKIエンジニアリングの「劣化評価試験サービス」を有効活用しています。

サービス導入のポイント

OKIエンジニアリングの提案でハードウェア評価の難問を打開

JR東日本メカトロニクスが「劣化評価試験サービス」を最初に利用したのは2009年でした。郡氏は、当時のご担当者からの話として、採用の背景を次のように語ります。「JR東日本から『自動改札機の信頼性チェックを強化したい』という要望を受けて対応策の検討が始まりました。ソフトウェアについては当社で検査できるのですが、ハードウェアをチェックするための設備や仕組みは専門性が高いため、自社では対応が難しい状況でした。また、外部のベンダーなどに相談しても良い返事がもらえなかったそうです」。

そうした中、JR東日本メカトロニクスはOKIエンジニアリングから、自動改札機の稼働に大きく影響する電子部品の寿命を算出することで機器の耐久年数や更新時期を推定できる「劣化評価試験サービス」の提案を受け、導入を決定しました。

「劣化評価試験サービス」は、電子回路基板の外観観察および実装部品の発熱調査により現状を把握し、試験対象の電子部品を抽出して劣化促進のための加速試験(温度加速)を実施するものです。

具体的にはまず、試験途中の電気特性を取得し、試験データと電子部品のカタログスペックの比較で故障か否かの判断をします。試験後には構造解析(内部観察や断面観察)で劣化状態を確認し、電気特性と構造解析の両面からその部品の余寿命を推定します。サービスの用途は長期間使用した部品の余寿命チェックが一般的ですが、新規に開発・製造した機器に適用すれば、その試験データを耐久年数の参考値とすることができます。また、複数メーカーのデバイスを使用する際に、それぞれの劣化特性などを把握することも可能です。

JR東日本メカトロニクスは同サービスが豊富な実績を有していること、さらに鉄道関連の部品検査でも利用されていることを評価し、2009年当時に運用していた旧世代改札機や開発したばかりだった現行改札機に加え、その後開発されたバス向けの車載ICユニット、改札機のフラップドアなど、導入後の10余年で計5回にわたり「劣化評価試験サービス」を利用しています。

成果・今後

鉄道事業者へのメンテナンス・更新提案時に試験データをエビデンスとして活用

「劣化評価試験サービス」で得られたデータの活用方法について、杉村氏は「以前、駅務機器の保守担当部門に所属していた時、自動改札機に使われているコンデンサの劣化具合の画像と余寿命推定値を参考にして、稼働中の自動改札機全数の部品交換に関する長期的な作業スケジュールを作成しました」と、自身の経験を語ります。「鉄道は社会インフラですから、機器のトラブルでお客さまに迷惑をかけることがないよう、部品交換や更新が必要な時期をしっかりと把握・管理することがとても大事だと思っています」(杉村氏)。

さらに、試験データは、機器のメンテナンスに関する鉄道事業者への提案時に、劣化具合や余寿命を示すエビデンスとしても使われています。郡氏は、「自動改札機の想定寿命は10年程度ですが、実際の入れ替え作業は稼働時間の多い駅などから順次行い、全数の更新完了までに2、3年を費やします。こうした作業にかかるコストを抑制するために、新型機種を設置する段階から精度の高い寿命推定を行い、メンテナンスの効率化・省力化につなげていくことも重要です」と語ります。

「より広範な機器に」「より厳しい条件で」の信頼性評価が求められる可能性も

JR東日本メカトロニクスでは今後、現在開発中の次世代改札機について「劣化評価試験サービス」を依頼する予定です。また、今後も駅業務に関わる製品を開発する計画があり、その際にも余寿命推定のためのサービス活用を見込んでいます。

「これまで単体で稼働していた自動改札機について、今後はシステム全体で信頼性・可用性を高めていく必要があります」と郡氏。また、現行の駅務機器でもネットワークを活用しているため、このようなシステムで劣化評価、余寿命推定がどのくらい有効か試してみたいと思っています」とも語ります。

杉村氏は、昨今の台風や大雨による自然災害にも目を向け、「自動改札機はもともと風雨にさらされるような場所に設置されることも想定して設計・開発していますが、今後、たとえば浸水のような想定外の事態に見舞われたときの耐久度などもチェック項目として求められるようになるかもしれません」と話します。

駅を利用するお客さまの利便性向上と駅で働く方の業務効率化のために、各種駅務機器の開発プロジェクトに取り組み続けるJR東日本メカトロニクス。より広範な機器に対し、より厳しい条件による信頼性評価の実現に向け、「劣化評価試験サービス」をはじめとしたOKIエンジニアリングのサービスに大きな期待を寄せています。

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2022年6月掲載

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