OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
八十二銀行様は2020年9月、OKIと共創した営業店窓口取引のセルフ化・集中化を実現する「遠隔受付システム」の試行を開始しました。本システムは、同行が開発した受付アプリケーションをOKIが提供するセルフ端末用ミドルウェア「CounterSmart」上で動かすことで、お客さまによるセルフ操作と本部職員によるリモート支援の組み合わせにより、口座開設や氏名変更などの手続きを遠隔で受付可能とする仕組みです。同行はこの試行により営業店事務量の削減と本部職員の応対も含めた全行での工数削減、省人員化への取り組みを進めています。
OKIのセルフ端末用ミドルウェア「CounterSmart」は、急速に拡大する有人窓口のデジタル化や省人化ニーズに対応し、さまざまな業態において、お客さまのセルフ操作による取引の実行や、お客さまニーズに応じた本部専門家による支援サービスの開発などに適用できるミドルウェアです。多言語に対応した音声操作や、AI対話を活用した無人窓口応対など、多様な決済手段を提供するサービスも順次リリースしていきます。
CounterSmartを採用した遠隔受付システム
(八十二銀行 佐久穂支店)
業務統括部
業務合理化グループ
調査役
井野 俊介氏
長野県の発展を支え続けるトップバンク、八十二銀行様。2021年に90周年を迎える同行は、昭和40年代に他行に先駆けて総合オンラインシステムを稼働、近年では高度化・多様化する顧客ニーズに対応する組織の再編や、ESG(※1)、SDGs(※2)などのへの積極的な取り組みなど、"進取の精神"で知られています。
業務統括部 業務合理化グループ 調査役の井野俊介氏は、今回の取り組みの背景を次のように話します。「人口減少に伴う人手不足が進む中、お客さまサービスを維持するためにも、当行ではかねてから、営業店の軽量化、ローコストオペレーションへの取り組みを模索してきました。今回フォーカスしたのは、銀行業でいうところのローカウンター業務です。新規口座開設や各種変更手続きなどの窓口業務は必要書類も多く、丁寧な説明やミスのない事務手続きが求められるため、店舗の中核人材が長時間拘束されて負荷が高い。これを少しでも効率化して、営業店の受付時間を短縮できないかと考えていました」。
ちょうどそのタイミングで、同行はOKIから「CounterSmart」の提案を受けました。井野氏は、システムを共創できるコンセプトに共鳴したと語ります。「業務アプリの開発を外注すると、業務フローの細かな点まで行き届かせるには相当の時間とコストがかかります。しかし、音声や映像の制御であるとかプラットフォーム化までを内製するには、専門的な知識や技術力に不安がありました。OKIの提案はこれまでとは発想が異なり、プラットフォームの上に我々が開発した業務アプリが載せられて、必要なものをAPIなどで連携させて、さらにアジャイル的に共創しながら完成させていくという思想でした。まさにこれからのやり方だと捉えましたし、目指しているところが同じだと感じました」。
加えて井野氏は、他のサービスとの違いについてこう説明します。「結果として同様のことを実現する仕組みは他にもあったかもしれませんが、プラットフォームとしてすぐにできそうだ、と感じたのはOKIだけでした。ほかは業務アプリごと提供されるとか、逆につなぐだけ、といったものがほとんどでした」。
こうして立ち上がった本企画は2年間程度の意見交換を経て、2020年3月に正式な開発プロジェクトとしてスタート。お客さまの入力画面となるタブレットのシステムおよび操作ガイドコンテンツは同行が開発、OKIは「CounterSmart」を駆使したプラットフォームおよび各システムの連携開発を担当しました。本来なら頻繁に顔合わせをして取り組むところですが折からのコロナ禍のため、ほぼリモートで進められました。機器の調達などの兼ね合いで多少の遅れはあったものの、8月には構築とテストが完了し、9月7日から、試行店舗での利用が開始されました。
タブレットの取引開始画面
営業店に該当の手続きが必要なお客さまが来店されると、職員が専用のブースにご案内。お客さまがタブレットに表示される手順に沿ってセルフで手続きを進める間、必要に応じて別のディスプレイに必要な書類などのガイダンスや説明動画が表示されます。不明点がある場合は呼び出しボタンを押せば、本部側の職員がお客さま側の入力画面を遠隔で確認しながら、適宜サポートします。初めての操作でもほとんどのお客さまがスムーズに手続きを完了でき、営業店側の窓口対応工数も削減できると好評とのことです。先行導入には比較的規模の小さな店舗を選定し、件数ではなく運用の評価を目的としましたが、平均で1日あたり1.5件程度の利用があり、井野氏は「店舗側も取り組みの意図を捉えて、積極的に利用を促してくれています」と評価します。
今回の「遠隔受付システム」のもう一つの特長は、営業店だけでなく本部側の業務負荷も最適化する点です。お客さまから呼び出しがあった際にのみ、遠隔でお客さまの手続き画面を一緒に見ながら、画面フローに沿って取引状況などを確認して案内できることでサポートの負荷が抑えられています。井野氏は「もちろん、人を介さず、すべてを自動連携するのが理想ではありますが、そうすると非常に複雑なシステム連携となり、開発の期間やコストが膨大になります。当行としては完璧な作り込みに時間とコストをかけるより、早く実施するメリットを重視しました。実際に利用しながら、必要に応じて進化させていける作りになっている拡張性も安心です」と語ります。
最後に井野氏は今後の展開とOKIへの評価、期待を次のように締めくくりました。「今回の取り組みに関しては行内にも、効率性を追求することでお客さまにご負担をかけるのではないか、どの程度利用されるのか、など不安視する声があり、なかなか実行に踏み切れなかった側面もありました。しかし、地方銀行を取り巻く状況の中で、今まで通りでは何も変わりませんし、営業店の軽量化を目指すという大きな方向性の中で、その実現を図る主要施策のひとつとして捉え、どこよりも早く一歩を踏み出すことが大切だと考えました。今後はさらに店舗数や対象業務を拡大したいと考えており、AIやセルフ出納機などの活用にも関心を持っています。OKIは地域金融機関の個々の状況や課題をしっかり把握して、的確な提案を行ってくれる点、そして、実際に数多くの課題を解決して来た実績があることが強み。これからも変化に対応する課題解決のための共創を期待しています」。
2020年11月掲載