OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
※本事例内容は公開当時のものです。
2021年5月に株式会社三重銀行様は株式会社第三銀行様と統合、株式会社三十三銀行様に社名変更となりました。
三重県四日市市に本店を構える株式会社三重銀行様(以下、三重銀行様)は、営業店向けの研修実施の支障となっていた“移動の負荷”の解消と、BCP対策となる災害時の有効な通信手段の確保という異なる2つの目的を果たすため、ビデオ会議システムの導入に着手。営業店側の端末として従来から使っている「iPadを活用する」という先進的なアイデアを、OKIのビデオ会議システム「Visual Nexus®」によって実現しました。簡単操作で高品質な画像・音声をやり取りできる仕組みは現場でスムーズに受け入れられ、本部・営業店間の個別相談や会議など日常的な業務での活用範囲も広がっています。
創業から120年以上の歴史を誇る三重銀行様は、「地域とともに発展する銀行」「お客さまとともに栄える銀行」「株主・従業員とともに歩む銀行」を経営理念とし、多様化・高度化するニーズに応えるサービスや商品の拡充とともに、株主および従業員の満足度向上にも積極的に取り組んでいます。
2015年4月にスタートした3カ年の中期経営計画では「成長 ~地域とともに~」をテーマに掲げ、地域経済の持続的な成長に貢献するさまざまな施策を打ち出しています。たとえば、地方創生に取り組むべく発足したプロジェクトを、グループ会社も含めた横断的組織に再編し、2016年4月に「地方創生推進室」を設置。三重県、愛知県を中心に配置する営業店75店舗とも連携して地元企業、地域社会の発展を支援する取組みを積極的に推進しています。
三重銀行 常務執行役員
総務部長
東海 悟 氏
三重銀行様ではかねてから、営業店のスタッフ向けに投資信託や保険商品などの知識向上を目的とした勉強会・説明会を実施してきました。その方法は、窓口業務終了後の時間を利用し、各店の受講者をエリアごとの母店に集めて研修するという形が主流でしたが、営業店の現場では、閉店後の事務への影響が問題になっていました。常務執行役員 総務部長の東海(とうかい) 悟氏は、以前に営業店事務を主管する事務管理部長を務めていた当時、「支店から『事務処理に追われる時間帯に(研修で)人手が減るのは苦しいので、応援を出してほしい』との要望を受けたこともありました」と語り、対応策として移動せずその場で研修を可能にするビデオ会議システムの活用を頭に思い浮かべていました。
その一方で、東日本大震災をきっかけに行内で災害時のBCP対策について検討が進められ、営業店の状況確認や緊急指示を行うための通信手段の1つとしてビデオ会議システムに目が向けられるようになっていました。
このように、異なる2つの課題を解決する共通解として、本格的にビデオ会議システムの導入を検討し始めたのが2015年の春先でした。
導入システムに関する条件としては、
などが挙げられました。
さらに、利用端末としてPCに加え、営業部門で従来から活用しているiPadも採用することとしました。「iPadは各営業店に複数台配布しており、渉外担当者が外出先での資料確認やお客様提案などに利用しています。この端末は、セキュアなモバイルネットワーク環境下で屋内でも屋外でも使えるので、ビデオ会議システムに取り入れれば、店舗内での研修や会議用途だけでなく、災害発生時の営業店の状況報告などにも効果を発揮するのではないかと考えました」と、東海氏は説明します。
早速、複数のベンダーに声をかけました。が、iPad対応という条件がなかなか受け入れられませんでした。しかも、高画質でやり取りした場合の既存ネットワークにかかる負荷も課題となり、いずれのベンダーからも納得のいく提案を得ることはできませんでした。
行き詰まった状況を打破したのは、システム部門と取引実績があったOKIでした。東海氏は、「たまたまOKIの営業担当者に、iPadの活用が難しいと悩みを打ち明けたのですが、その話を真摯に受け止めてくれ、前向きに取り組んでくれました」と語ります。
OKIが提案したビデオ会議システム「Visual Nexus」は、複数拠点を結んだ高画質・高音質の通信を実現しながら、表示映像の合成処理や音声のミキシング処理をサーバー側で行う「サーバー集中管理方式」によりネットワーク負荷を大きく抑制できる点が特長です。また、タブレット端末を利用可能とする専用ライセンス(iOS向けのほか、Windows向け)も用意しています。
OKIの提案内容は種々の要求条件を十分満たすものでした。画質・音質も実機によるOKIのデモに対してチェックが行われ、合格点に達していました。ビデオ会議システムによる既存ネットワークへの負荷やiPadを利用する業務への影響についても、関連部門を交えて検証し、問題なしと判断を下しました。さらに東海氏は、「システム部門でのお付き合いでOKIとは信頼関係ができており、導入後のサポートやメンテナンスを安心して任せられることも評価しました」と付け加えます。
正式採用が決まった「Visual Nexus」は、既存ネットワークを増強することなく、また端末も一切入れ替えることなく、データセンター側にビデオ会議用サーバーを追加して導入作業を完了。2016年3月から運用をスタートしました。
利用端末としては現在、本部側はPC、各営業店は合計約400台配布しているiPadにライセンスを付与し、50ユーザーまでの同時接続を可能としています。
営業店では、ビデオ会議に2名程度で参加する場合はiPad単体で使用し、3名以上の場合は端末にディスプレイおよびBluetooth対応のマイクスピーカーを接続しています。今後は、iPadだけでなくPCでの利用環境も順次整備していく予定です。
導入前には、利用現場に「本当に役立つものなのか」との懐疑的な見方や、「操作できるだろうか」と心配する声もありましたが、模擬会議形式の研修も実施したことなどにより、操作の簡便さや具体的な利用シーンが認識され、運用開始時に若干の課題はありましたが、慣れていくうちに現場に浸透していきました。
具体的な利用については、まず審査部門が先陣を切り、融資案件に関する営業店から本部への個別相談に適用。その後、営業店向けの研修や従来から開催している集合型会議などへと広がっています。東海氏は、「実運用に際しては、iPadの画面サイズで映像のやり取りをすることに不満が出るのではないかと多少懸念していました。導入当初は本部と営業店との間で若干課題もみられましたが、OKIの素早い対応ですぐに解決し、画質にも使い勝手にもまったく問題はなく、否定的な声が上がることなく受け入れられています」と話します。
iPadを活用したビデオ会議の様子
ビデオ会議システムの導入効果について、東海氏は次のように語ります。「面談や研修時の移動にかかっていた時間と交通費は、削減できています。特に時間の効率的な活用につながることが、現場にとっての大きなメリットだと捉えています。シミュレーションでは相当な削減効果が弾き出されているので、今後の実測値も楽しみにしています」。
本部・営業店間での個別相談を効率化した審査部門では、本部職員と営業店側の若手職員が直接話す機会を手軽に設けられるようになり、部内のコミュニケーションや人材育成などでの効果も見込んでいます。
また、営業店向け勉強会・説明会においては、ビデオ会議システムを使って1拠点で複数人が一度に研修に参加できるようになり、スキルアップをより効率的に進めることが可能になっています。
三重銀行様では、ビデオ会議システムを利用して新規の研修や会議も設けていく計画です。「パート勤務者や時短勤務者向けの研修、営業店の次長会議など、全員の招集が難しく今まで実施が難しかったことを実現していきます」と、東海氏は語ります。加えて、本部・営業店間や営業店同士の複数あるいは1対1のコミュニケーションなど、現場主導での積極活用にも期待をかけています。
BCPの観点では、今夏にもビデオ会議システムを使った大規模災害時の通信訓練を予定しています。東海氏は、「iPadは持ち運んで使えるので、ロビーの様子や建物の損傷具合、店舗の周囲の状況などもリアルタイムに映像で報告できます。万が一の際には本部側での迅速な情報収集と的確な判断・指示に役立つはずです」と話します。
システムの拡張については、同時接続数の拡大、iPhoneやWindowsタブレットなどiPad以外のモバイル端末の取り込みなどを検討していく考えです。東海氏は、「OKIの営業担当者は、細々とした相談事にもすばやく対応してくれるのでありがたく思っています。ビデオ会議システムのさらなる活用に関しても、よりよい提案とサポートを期待します」と、OKIへの今後の要望を語っています。
2016年7月1日