OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
コベルコシステム様 社屋外観
株式会社神戸製鋼所と日本アイ・ビー・エム株式会社を親会社とするシステムインテグレーターのコベルコシステム株式会社様(以下、コベルコシステム様)は、2008年5月、OKIのIPテレフォニーサーバ「IP CONVERGENCE® Server SS9100」をベースとしたモバイルセントレックスシステム(注1)を導入しました。NTTドコモとKDDIの3G/無線LANデュアル端末(注2)を混在させたモバイル環境に加え、ソフトフォンなどによる先進的なユニファイドコミュニケーション(注3)の活用にも積極的に取り組み、コスト削減・業務効率化・お客様満足度向上といった多面的な効果をあげています。
さらに、OKIのビジネスパートナーでもある同社は、今回の自社導入を弾みとしてIPコミュニケーション事業の拡大にもさらなる力を注いでいく考えです。
1983年に神戸製鋼所のシステム部門が分離独立して誕生したコベルコシステム様は、ITシステムおよびネットワーク分野を中心とする新規事業を積極的に開拓し、大きな成長を遂げてきました。日本アイ・ビー・エムからの出資を受けた2002年には、従来から強く意識してきたお客様指向を「お客様主義」として経営理念に明確に掲げ、長年の経験で培った高度な技術・ノウハウに基づくコンサルティングから運用サービスまでのトータルなITソリューションサービスで、お客様満足度向上の実現に取り組んでいます。
また、そのサービスの提供先は、親会社の神戸製鋼所を中心とするコベルコグループ各社だけでなく、他の一般企業にも大きく広がり、売り上げ構成比で見ると、外販事業がコベルコグループ向け事業を追い抜くほどの規模に達しています。
経営企画部
部長 柳 篤郎 氏
コベルコシステム様は2004年、新しいビジネスとしてIPコミュニケーション事業に進出しました。その足がかりとなったのが、神戸製鋼所への企業内IPセントレックス -- OKIのIPテレフォニーサーバ「IP CONVERGENCE Server SS9100」(以下「SS9100」)をコアとして全国15拠点を一元的に制御するシステムの導入です。この国内最大級となるシステムの構築・運用に携わった経験を活かして、コベルコグループ会社への横展開や他のお客様企業に対する提案にも積極的に取り組み、実績を重ねてきました。
こうしたビジネス展開に加えて、自社における企業内のモバイルセントレックス活用にも着手しました。「既存設備がかなり老朽化し障害も出始めていたので、リプレースを急ぐ必要はあったのですが、新システムを導入するのであればコスト削減、業務効率化、ワークスタイルの変化に柔軟に対応できる利用形態など、できるだけ多くのメリットを享受したいと考えました」と、経営企画部部長の柳篤郎氏は話します。
また、ネットワーク本部本部長の有馬俊一氏は、「親会社のシステムの拠点展開が終盤に差し掛かったので、その成果を自社システムにも反映させることで、IPコミュニケーション事業の拡大に弾みをつけていきたいという狙いもありました」と付け加えます。
ネットワーク本部
本部長 有馬 俊一 氏
2007年10月から本格的に検討が始まった新システムは、導入コストや運用面を考え、グループでインフラを共通化できる「SS9100」の採用を前提としたうえで、"利用者"の観点と"ITソリューションプロバイダー"の観点の双方から、最大限の効果が得られる仕組みを実現することに目が向けられました。
特に重視したのは、3G/無線LANデュアル端末の活用でした。柳氏は、「社内外を問わず1台でスムーズなコミュニケーションを可能にする3G/無線LANデュアル端末は、業務効率改善に寄与するツールとして高く評価できるものでした。また、当社では社員に付与している携帯電話はNTTドコモとKDDI(au)を使っていたので、既存のサービス契約を活かして両社の端末を混在できるマルチキャリア対応であることも大きなポイントでした」と話します。
加えて、ソフトフォンなどを使ったアプリケーション連携により、将来的な発展性が見込めるコミュニケーション環境を整備できる点にも着目しました。
神戸製鋼のIP化で成熟度が高まっていた「SS9100」の機能は、その後の検討段階であげられた要件にも十分に応えるものだったわけです。
システム構築は2008年2月に始まり、3カ月ほどで完了。同年5月から、データセンターに設置した「SS9100」で神戸本社および各拠点をコントロールする新しいコミュニケーション環境の利用がスタートしました。
データセンターの「SS9100」は、神戸製鋼所が従来から利用している装置を共用する形としました。各拠点を結ぶネットワークは、コベルコグループの既存内線網(IPネットワーク)である「コベルコネット」を活用しています。
神戸本社には、センター側やネットワーク部分における万が一の障害時に備えて、バックアップシステムとなる「サバイバルサーバ」および外線などを収容する「IP CONVERGENCE Gateway(IP遠隔ユニット)」を配置しました。また、外線にはNTT西日本の「ひかり電話」を採用することで、従来からの電話番号を継承しつつ通話料を抑えました。その他の拠点については、内線をフルIP化した拠点と、VoIPゲートウェイ(OKIの「IVGシリーズ」)を介して既存PBXを収容している拠点があります。
ネットワーク本部
神原 一善 氏
ネットワーク本部
住本 大志 氏
本社内の電話端末としては、営業・SEなど外出の多い社員向けには従来の携帯電話端末を機種変更する形で3G/無線LANデュアル端末を採用し、NTTドコモの「N902iL」320台とKDDIの「E02SA」120台を用意。一方、デスクワークをメインとする社員用にはIP多機能電話機を計320台配備しました。
2種類の3G/無線LANデュアル端末を混在させた環境は、神戸製鋼所での構築経験があったため、スムーズに行うことができました。ただ、それまで使い慣れていた携帯電話端末から新端末に移行する社員には、内線利用を含めた操作方法を覚える手間と時間を強いることになります。
そこで、「エンドユーザーの負荷を軽減するため、システムの運用開始前に3G/無線LANデュアル端末を先行導入し、まずは社外での携帯電話として社員に使ってもらいました」と、ネットワーク本部の神原一善氏は話します。
オフィス内の無線LANインフラは、高価な無線LANコントローラを必要としないOKIのVoIP対応無線LANアクセスポイント「MWINS® BR2101」23台で構築しました。フロアの総面積からすると、一般的な導入例に比べてアクセスポイントを多く設置しています。その理由について、ネットワーク本部の住本大志氏は、「400台超のモバイル端末を収容するので、実務での利用に支障が出ないよう、アクセスポイント1台ごとのカバーエリアよりもトータルでの同時接続数を重視しました」と説明します。こうした細部の設計にも、実ビジネスで培った経験が活かされています。
新システムの導入効果はどのように現れているでしょうか。
まず通信コストについては、事前の試算で従来比約2割を削減できる見込みです。柳氏は、「オフィス内でも携帯電話を使っているシーンを以前からよく見かけますが、新端末であれば、社員が意識することなく安価な固定電話回線経由での発信となり、"通話料の無駄"も解消できます」と話します。さらに、「当社はオフィスレイアウトの変更が多いので、今回の内線IP化によって配線変更にかかる工事費も抑えられるでしょう」と、運用面でのコスト削減効果もあげています。
業務面では、モバイル端末にダイヤルイン番号を割り当てたことで、外線着信への応対がスムーズに行えるようになったことが大きな効果といえます。これにより、対外的にはお客様満足度の向上、社内的には電話取次ぎ作業の軽減が実現されています。一部の部署ではフリーアドレス制も導入するなど、オフィススペースの有効利用も進められているそうです。
もちろん、モバイル端末は本社内・多拠点・外出先でのシームレスな利用が可能なため、コミュニケーション効率は格段にアップしました。柳氏は、「利便性をより向上させるため、社内メールもモバイル端末で確認できる仕組みも導入しました」と付け加えます。
ITシステム部門で試験運用されて
いる「Com@WILLソフトフォン」と
無線LAN対応IP多機能電話機
本社内では、本格的なユニファイドコミュニケーション環境を実現するための端末製品を試験運用し、その効果の検証も進められています。
まず、PC上でプレゼンス、テレビ会議、ファイル共有、アプリケーションからのクリック発信など多彩な機能を提供する「Com@WILL®ソフトフォン」をITシステム部門に導入しました。「利用者の間ではファイル共有機能への評価が特に高く、拠点間での打ち合わせなどで便利に使われています。本格展開すれば、生産性向上に役立つさまざまな活用がなされるのではと期待しています」と、有馬氏は話します。また、各種内線端末をワンタッチで呼び出せる無人受付アプリケーション「Com@WILLレセプション」も近く導入する予定です。
ハードウェア製品では、オフィス内の配線レス環境をさらに推し進められる無線LAN対応IP多機能電話機も試験運用中です。神原氏は、「音声品質も使い勝手もよく、すぐにでも導入したいという声が上がっています」と、利用現場での評価について話します。
柳氏は、「新システムの効果を十分に引き出すためにも、アプリケーションレベルでの本格活用を早く進めていきたいと思います」と、今後の意向を語ります。
そして有馬氏は、「当社の実務現場を見ていただくことで、よりインパクトのあるお客様提案が可能になります。また、自社運用の中でユニファイドコミュニケーションを切り口としたアプリケーションを創造し、お客様への付加価値として提供していきたいと考えています」と、ビジネス拡大に向けた意欲を燃やしています。
IP電話の導入形態のひとつで、企業内のIPセントレックスで主に携帯電話型のモバイルIP端末を用いる。端末が携帯型なので、その機動性を活かして、事業所や座席レイアウトにとらわれないワークスタイルを実現できる。
屋外では通常の携帯電話として、企業内では無線LANを利用したVoIP端末として、1台で2つの方式による通信が可能な携帯電話端末。
様々なコミュニケーション手段を、IPネットワークに統合すること。たとえば、音声、映像、会議などの機能をもつソフトフォンによりメールや業務アプリケーションと連携したコミュニケーションの迅速化をはかる。ユニファイドコミュニケーションの実現は、個人、組織の生産性向上と競争優位確立に大きく寄与し、これはグローバルな潮流になっている。
(2008年4月1日現在)
2008年9月8日