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水中(海洋)ロボットの活用シーンが広がる?最先端の水中通信技術「水中音響通信」とは
水中ロボットとは、海・川・湖などの水中での作業に特化したロボットです。最近では最先端テクノロジーを搭載した水中ロボットが登場しており、水中でのさまざまな作業が可能になりました。今回は、水中ロボットの活用シーンや最先端の通信技術である「水中音響通信」などについて解説します。
目次
水中ロボットとは?
まずは水中ロボットの概要や種類について解説します。
水中ロボットの概要
水中ロボットは、水中での作業や調査を目的としたロボットです。これらのロボットは、人間がアクセスしにくい、あるいは危険な水中環境での作業を可能にします。海洋調査、環境モニタリング、水中構造物の点検、サルベージ作業など多岐にわたる用途があります。
水中ロボットの種類
水中ロボットの種類としては以下の3つがあります。
遠隔操縦水中ロボット(ROV: Remotely Operated Vehicle)
ROVは、水上のオペレーターが遠隔操作する水中ロボットです。ケーブルを通じて指示を送受信し、映像やセンサーデータを収集します。深海探査や油田のメンテナンスなど、さまざまな環境で使用されています。
自律型水中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)
AUVは、事前にプログラムされた指示に基づいて自律的に動作する水中ロボットです。バッテリーを搭載しているためケーブルなしで作業を行うことができ、特定のタスクや水域の調査を人間が操作することなく自律的に行います。
アクアバイオロボット
アクアバイオロボットは、生物の動きを模倣した水中ロボットです。魚や他の水生生物のように動くことで、より少ないエネルギーで作業ができるとされています。
水中ドローンとの違いは?
水中ドローンは、遠隔操縦水中ロボットの一種です。しかし、ドローンという用語は、消費者向け製品を指すことが多いです。水中ドローンは、比較的浅い水域での使用や、映像撮影、環境モニタリングなど、一般消費者または専門家が使用する目的で設計されています。それに対して「水中ロボット」は、専門的または産業用途、深海探査など、より高度なタスクを含む広範なカテゴリーを指します。
水中ロボットの活用シーンは?
次に、水中ロボットの活用シーンについて解説します。
海洋生物・資源調査
水中ロボットは、人間が到達するのが難しい深海を含む、さまざまな水中環境での生物や資源の調査に活用されます。高解像度カメラやセンサーを装備しているため、詳細な映像やデータを取得することができます。これにより、未知の生物の発見や、鉱石や天然ガスなどの資源の存在を探る作業が行われます。
海底油田での作業
油田開発の際には、深海の厳しい環境下での作業が不可欠です。水中ロボットは、海底のドリル設置、メンテナンス、損傷の点検など、多岐にわたるタスクを効率的に行います。また、パイプラインの検査や修理などの作業にも使用されます。
海洋養殖場の建設・管理
水中ロボットは、養殖場の建設や管理(ケージの設置やメンテナンス、養殖生物の健康状態の監視など)に活用されます。特に養殖環境の改善や、病気の早期発見などのための監視は、養殖業の効率と品質向上に貢献しています。
海洋での災害・事故の救助
船の難破や飛行機の墜落など、海上での災害や事故が発生した際には、水中ロボットが救助活動の一環として活用されることがあります。深海や濁った水域での捜索作業において、人間が直接潜水することのリスクを回避しつつ、犠牲者の捜索や事故原因の調査を行うことができます。
水中ロボットは、その高度な機能により、海洋関連の多岐にわたる分野での活動をサポートしています。これらの技術的な進歩により、海洋環境の保護や資源の効率的な利用、安全確保などの課題への取り組みが進められています。
水中では通信ができない?水中ロボットの課題と進化
高解像度カメラやセンサーを搭載した水中ロボットが登場したことで、水中でできる作業が増えたり、これまでの作業の精度を高めたりすることができるようになりました。ただ、まだまだ解決が必要な課題も残っています。ここでは、水中ロボットが抱える課題とそれを解消する最先端技術について解説します。
水中ロボットの課題
水中ロボットが抱える課題としては以下の2つがあります。
水中では通信ができない
一般的な無線通信技術(例:Wi-Fi、ラジオ波)は、水中ではうまく機能しません。水の密度とその物理的特性のため、水中での伝播距離が短くなり、通信が困難になります。これにより、できる操作や収集できるデータが限られてしまいます。
陸上からの操作には限界がある
上述した通信の問題や視覚的な制限、バッテリーの容量などがネックになり、陸上からロボットを操作するのには限界があります。より精微な作業を行ったり、作業時間を延ばしたりするためには、このような課題の解決が必要です。
水中ロボットの課題を解決する最先端技術
上述した課題の解決策となるのが、以下のようなテクノロジーです。
水中音響通信技術
電波が使えない水中では、音波を利用した通信方法が取られることが多いです。水中音響通信は、音波を用いてデータを送受信する技術であり、深海探査や油田開発などで使用される水中ロボットにおいて、基盤となる通信手段です。この技術のおかげで、遠隔地からのロボットの操作やデータ収集が可能となっています。
自律型水中ロボット(AUV: Autonomous Underwater Vehicle)
AUVは、事前にプログラムされた指示やセンサーからのフィードバックに基づき、自律的に動作する水中ロボットです。内蔵されたセンサーやアルゴリズムにより、障害物の回避、目的地への経路計画、タスクの実行などが自動的に行われます。これにより、通信が制限された環境下でも作業を効果的に行うことができます。
このようなテクノロジーが進化したことで、通信や陸上からの操作といった課題が解消されつつあります。なお、OKIは水中ロボットに搭載する水中音響通信技術を提供しています。
【OKIの水中音響センシング技術】
水中ハイドロホンアレイ(※1)の出力に対して、ビームフォーミング技術(※2)や周波数分析などさまざまな信号処理を適用して対象物(高速艇、半潜水艇、水上スクーター、ダイバー、水生生物など)が発する音の特徴を抽出し検知します。検知した音をデータベース化することで、対象物の特定検出ができるようになります。また、特定の信号音を照射し、対象物からの反射音を抽出することで、音を発しない対象物(海底や湖底、沈船、水中構造物、水中落下物など)の探知も可能です。
https://www.oki.com/jp/sensing/uw_sound/
OKIの水中音響通信技術はこちら
https://www.oki.com/jp/marine/tech/uw_sound_com/
(※1)水中音響を受信するマイクロホンを線状、面状あるいは立体的に並べたもの
(※2)水中ハイドロホンアレイの出力を用いて指向性を形成することで音源の検知能力の向上を図る技術
まとめ
水中ロボットは、水中での作業が必要な多様なシーンで活用されています。テクノロジーが進化したことで、通信や陸上からの操作といった課題も解消されつつあり、より精度が高い作業を長時間水中ロボットに任せることができるようになりました。水中ロボット、または水中音響通信に興味がある方は、ぜひOKIの水中音響センシング技術を確認してみてください。
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