OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
株式会社ダイヘン
社会インフラと産業の持続的発展に貢献する総合電機メーカー、株式会社ダイヘン。同社はEV・PHEV(※1)充電インフラ事業の急成長に伴い保守サービス体制の強化が喫緊の課題となる中、全国規模のサービス網を持つOKIクロステックへの委託を実施。保守体制のさらなる強化および、顧客満足度の向上を実現しました。
株式会社ダイヘン
充電システム事業部
品質管理部長
山口 義人氏
株式会社ダイヘン
充電システム事業部
企画部 課長
中矢 繁芳氏
1919年創業の総合電機メーカー、株式会社ダイヘン。同社は、エネルギーマネジメント、ファクトリーオートメーション、マテリアルプロセシングの3セグメントで事業を展開し、、変圧器、EV充電器、産業用ロボット、溶接機器など多岐にわたる製品を提供。国内外に展開する生産・販売ネットワークと100年を超える実績で培った技術力を強みに、社会インフラと産業の持続的発展に貢献しています。
充電システム事業部 企画部 課長の中矢 繁芳氏は、事業成長と共に保守サービスの重要性が高まる背景について、次のように説明します。
「当社はEV・PHEV向けに普通充電器・急速充電器・ワイヤレス充電システムまで幅広いラインアップを取り揃えています。2021年度に発足した当事業部の業績は右肩上がりで堅調に推移し、2022年度から2023年度にかけては需要が約3倍となりました。この背景には、政府が掲げる温室効果ガス削減目標(2030年度目標)を受けてEV充電およびその設置インフラに対する補助金が増額されたことなどが影響しています。それに伴い、保守サービスへのニーズや重要度も大きく高まりました」。
保守サービス体制における課題を、充電システム事業部 品質管理部長の山口 義人氏は、次のように述べます。
「アフターサービスを担う品質管理部門では、全国対応に向けて努力を重ねていましたが、さらなるサービスの充実と強化に向けては、特に人的リソースの拡充が必須でした。当社のお客様からの要望は、基本的に「48時間以内での現場到着」。しかし近年、『もっと早く』との要望が増え、24時間対応も視野に入れた外部パートナー活用を、本格的に検討し始めました」。
こうした課題を解消するため、ダイヘンはOKIクロステック(以下、OXT)と具体的な検討を開始。山口氏は、検討開始から委託先決定までの経緯を、次のように語ります。
「2024年5月に当社の販売パートナーからOXTを紹介されました。社内手続きと当社からの情報提供を経て、6月にはOXTから保守サービス提案をいただきました。そこから両社間で既存体制とのすり合わせおよび分担を協議し、7月には正式に委託を決定。非常に短期間での実現に至りました」。
この間のOXTの印象を、山口氏はこう振り返ります。
「保守サービスの実績および、拠点数や対応員などのリソースが充実している点で、安心感を覚えました。協議の過程で当社から追加要望をお出しする場面もありましたが、できない場合も代案をいただくなど、非常に前向きにご対応いただけました」。
OXTへの委託を決定した最終的な決め手について、山口氏は、その強力な保守サービス体制と、自社のニーズに合致したサービス提供能力を高く評価しています。「今回の技術トレーニングを受けた約100 名を含む約1,200 名のカスタマーエンジニアと、全国約180 拠点の強力な保守サービス体制に期待しました。さらに、従来はお客様からのお問い合わせは当社で受付、対応を決めてから委託先に保守対応の依頼をかけていましたが、OXTはコールセンターでお客様受付から一貫して対応いただける点が、大変魅力的でした。また、急速充電器は現地での保守作業後に作業の正常性を確認するためEVを用いて充電が正常に行えるかの確認が必要です。その点においても、OXTはサービスカーを兼ねたEVを全国の拠点に配備を進めていただき、心強いです」。
保守サービスの委託にあたっての自社保守体制やサービスレベルの引き継ぎも、非常にスムーズだったと山口氏は述べます。
「当社からこれまでの運用についてご説明すると、OXTから『それならこういった体制を組むことで、さらにレベルアップできます』という具合に提案いただけました。現場の対応や交換用部品の備蓄体制、必要な拠点数や配置など、OXTの経験値を基にしたアドバイスはとても有用でした」。
両社の協議の過程で、より広範囲な業務委託となったと、山口氏はその経緯を説明します。
「当初はオンサイトでの駆け付け保守のみを想定していましたが、協議を進める中で委託業務範囲が広がりました。最終的には、お客様からの問い合わせ受付代行、試運転調整、定期点検といった一連の保守業務すべてをOXTに委託する体制が構築できました」。
技術的な引き継ぎにあたっては、ダイヘン側からOXTの主要メンバーに対して実機を用いた数週間の研修を実施。保守点検の流れ、機器構造、よくある不具合とその対応などを集中的に共有しました。
「新機種が出るたびに当社からOXTへ説明を行い、情報共有を継続しています。その内容をOXT社内展開していただいているおかげで、現場でもスムーズに対応できています」。(山口氏)
導入後は、対応履歴や進捗の共有、課題の洗い出しなどを目的とした月1回の定例会を開催。委託開始からすでに6回を数え、改善提案や運用調整にもつながっています。
こうして、2024年12月1日に開始されたOXTによるEV・PHEV充電インフラの保守サービス。現時点での成果を、山口氏は次のように述べます。
「委託開始から約6か月、すべての案件で駆けつけ目標時間をクリアしていただいており、お客様からの高い評価と、満足度の向上にも繋がっています。加えて、定期点検・試運転といった業務もスムーズに展開され、社内の管理負荷も着実に軽減されています」。
定例会では、さらなる効率化に向けた改善事例も生まれています。同社の機器は異常発生時などリモートでの動作確認も実施しており、充電量などのお客様情報は取得せず、あくまでも動作状況のみ確認しています。山口氏は、この仕組みを活用した新たな取り組みについて、次のように説明します。
「トラブルによっては現地出動せずとも、遠隔からソフトウェア再起動などで対応できるケースもあります。現在、その仕組みを活用することでさらなる効率化への取り組みを、両社で進めています。また、直近ではヘルプデスクの一次対応での完結に向けた取り組みも開始しました。これまでの故障や苦情受付だけでなく、状況によりOXT側で一次対応することで、より短時間で効率的に問題解決することを目指しています」。
今後について、山口氏は委託対象のお客様や機種を順次広げていく予定と語ります。
「OXTに対応いただけるお客様と新機種への委託も、順次拡大の予定です。また、現状は急速充電器のみ対象ですが、将来的に普通充電器への対応も検討中です」。
中矢氏は、OXTとの連携を通じ、同社の保守サービスの拡充アイディアも生まれていると語ります。
「今後はリモートメンテナンスやOTA(Over-the-Air)によるソフトウェア更新など、さらなるサービス向上を目指しています。また夜間や休日対応などのメニュー拡充も、検討したいと思います」。
最後に両氏は、OXTへの期待を、次のように語りました。
「OXTには最前線でお客様と接する中で得られる利用状況やお困りごと、ご要望などのフィードバックを積極的に吸い上げ、当社に共有いただけることを期待しています。これら現場からの貴重なインサイトを活かし、当社の製品品質を一層高めることで、社会インフラの安定にも貢献したいと考えています」。(山口氏)
「OXTとの連携は、単なる製品保守の枠を超えたパートナーシップと捉えています。両社の強みを掛け合わせることでEV充電インフラという新たな社会基盤の安定稼働、持続可能なモビリティ社会の実現に貢献してきたいと思います」。(中矢氏)
2025年9月掲載