OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
ウィーメックス株式会社
医療に関わる業務をデジタル・テクノロジーの力で変革し「医療DX」を推進するウィーメックス株式会社。同社は、医師の偏在による地域格差など、医療に関するさまざまな社会課題の解消を目指し、最先端技術を搭載したリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH(テラドック・ヘルス)」の展開を2021年12月に開始。離島を含む全国エリアでの保守対応の業務に、課題を感じていました。今回、同社はOKIクロステックと保守サービスで提携。サービス品質を向上すると共に、地域医療格差をはじめとする社会課題の解決に挑み続けています。
遠隔地にいる医師をオンラインでつなぐリアルタイム遠隔医療システム
ウィーメックス株式会社
ヘルスケアIT事業部
病院ソリューション部
責任者
小暮 武男氏
ウィーメックス株式会社は、グローバルに展開する日本発のヘルスケア企業であるPHCホールディングス傘下の日本における事業子会社で、2023年4月より新会社として事業を開始しました。「メディコム」ブランドで高い市場シェアを誇る医事コンピューターや電子カルテシステムのほか、薬局経営のサポートや特定保健指導の支援、遠隔医療システムなどを提供。国内の「医療DX」の推進および、医療サービス向上と医療従事者の業務効率化に取り組み、一人ひとりが自分らしく健やかにいられる「Well-being」な社会の実現に挑戦しています。
同社の遠隔医療プロジェクトに込めた想いを、ヘルスケアIT事業部 病院ソリューション部 責任者の小暮 武男氏は、次のように話します。「日本の医療は全国民が公的医療保険によって保障されている一方、医師の偏在や不足など、深刻な課題に直面しています。都心部やその周辺には医師や病院、クリニックが多く存在するのに対し、へき地といわれるエリアは深刻な医師不足、医療資源不足に悩まされています。とくに高度な専門知識が必要とされる周産期医療や集中治療(ICU・NICU)の現場や、医療資源に乏しく、医療アクセスへの課題を抱える地域において、高いニーズがあります。こうした社会課題をテクノロジーによって解消し、患者さんがどのような環境や地域にいても、均質な医療を受けられる環境を作り出したいという思いから生まれたのが、当社の遠隔医療プロジェクトです」。
同社は解決策の一つとして、医療従事者同士をオンラインでつなぐ、リモート操作が可能なリアルタイム遠隔医療システム「Teladoc HEALTH」の提供を、2021年12月に開始しました。「Teladoc HEALTH」は、専門医の少ない医療機関と遠隔地の専門医をオンラインでつなげる、リモート操作可能なリアルタイム遠隔医療システムです。2021年12月時点で、世界3,600カ所以上の診療拠点で80,000人以上のユーザーが年間30万回以上接続している実績があり、日本における展開は、同社が初となります。
同機器の保守にまつわる課題について、ヘルスケアIT事業部 病院ソリューション部 プロダクト リードの菊地 隼人氏は、次のように語ります。「展開から約2年半は、保守も自社で対応してまいりましたが、その対応には課題を感じておりました。と申しますのも、当社が保守対応可能なスタッフは2名、拠点は渋谷にある東京ヘッドオフィスのみだったのです。しかしながら、遠隔医療という性質上、導入先の多くは遠隔地で、離島なども含まれます。駆けつけ保守となると移動時間もコストもかかりますが、医療現場で利用される機器のため、お客さまをお待たせするわけにはいきません。今後のサービス充実のためにも、専門の保守ベンダーを探し、迅速かつ確実に対応いただく必要性を感じ、検討を開始しました」。
同社が求めた要件は、全国に拠点ネットワークを持ち、駆けつけのリードタイムが短縮可能であること。そして、医療などの専門性の高い領域での実績が豊富であることでした。「デスクトップリサーチや、社員が前職などでお付き合いのあった企業も含め10社ほどにお声がけして、お話を伺いました」。(菊地氏)
ウィーメックス株式会社
ヘルスケアIT事業部
病院ソリューション部
プロダクト リード
菊地 隼人氏
同社は慎重な比較検討の結果、保守パートナーにOKIクロステックを選定しました。OKIクロステックはOKIのグループ会社として、ICTシステムや電気設備の設計・構築・保守から、マルチベンダー機器の保守・運用・カスタマーサポート運営まで、多岐にわたる事業を展開しています。24時間365日、全国約180拠点、約3,200名体制での「全国規模のサポート体制」が、OKIクロステックの大きな強みです。
選定の決め手について、菊地氏は次のように話します。「複数社とお話を重ねる中で、遠隔医療というトピックに対する反応が、企業によって大きく異なることに気が付きました。当社としても新規事業であり、現状の対応件数が非常に多いという状況ではなく、売り上げや利益という面で旨味を感じなかったという側面も、あるのかもしれません。その中でOKIクロステックは、社会課題の解決に対して強い思いを持たれていましたし、我々のチャレンジに一緒に実現していきましょうと手を差し伸べてくれる、熱い意欲を感じました。加えて、特に離島は対応できる企業が少ない中、OKIクロステックはATMの保守を長年行っていることもあって対応エリアが広く、その安心感も決め手となりました」。
さらに、医療業界での実績が豊富な点も重視したと、小暮氏は語ります。「今回の『Teladoc HEALTH』は医療機器ではありませんが、ユーザーは病院などの医療施設です。サポート体制としては医療機器と同等レベルの迅速性、正確性が求められますし、たとえばアポイントのとり方、病院や施設に出入りする際のマナーなどにも配慮する必要があります。OKIクロステックは医療機器の保守対応も経験豊富で、その辺りを把握されているのはとても安心でした」。
保守サービスの対象はスタンド自律型の3タイプと、タブレットモデルの2タイプの計5機種。導入先から何らか不具合の連絡があると同社で一次対応し、駆けつけが必要と判断した場合は、同社からOKIクロステックに依頼、OKIクロステックのスタッフが現地にて対応にあたるフローとなっています。
保守対応の詳細について、菊地氏はこう説明します。「これまで2年半近く自社で対応して来たノウハウやポイントをトレーニング資料としてある程度まとめて、OKIクロステックのエンジニアにレクチャーしました。ハードウェア自体は米国製ですが、都度海外とやり取り、部品などを取り寄せすると時間がかかるので、可能な限り部品を在庫、附属品の一部は国内で調達できるようするなど、コスト削減とリードタイム短縮に努めています」。
OKIクロステックの保守サービスの展開は、2024年7月18日より開始されました。現時点での成果を、菊地氏は次のように明かします。「スタート当初、北関東で駆けつけが必要な問い合わせがあり、さっそくOKIクロステックに対応いただきました。事前に取り決めしたリードタイム通り、非常に円滑に対応いただけて安心しました。これまでは先方との日程調整から飛行機や新幹線、離島の場合は船などの予約、他の業務の予定の調整など、時間やコストだけでは測れないさまざまな工数がかかっていましたので、それらをプロに任せられる安心感は、非常に大きなものがあります」。
小暮氏は、保守の充実はサービス品質全体の底上げにもつながると期待を寄せます。「『Teladoc HEALTH』は、現在はへき地や過疎地域の医療を支える用途がメインですが、高度な専門知識が必要とされる周産期医療や集中治療(ICU・NICU)、救急の現場での活用、さらには病院と病院、病院とクリニックなど医療連携における診療支援といったユースケースにも、広がりをみせています。2024年4月に施行された医師の働き方改革との兼ね合いもあり、たとえば手術の翌日の患者さんの様子を見るために休日出勤するなど、医療従事者の方々のワークライフバランスの確保にも貢献します。いずれの場合も常にスタンバイ、いざという時に稼働しないということがないようにしなければなりません。最善を尽くすという意味でも、OKIクロステックの保守サポートへの期待は、大きなものがあります」。
最後に両氏は、OKIクロステックへの期待を次のように語りました。
「OKIクロステックはさまざまな企業と取引があり、また医療業界向けでもさまざまな事業を展開されていると思いますので、各社を結びつけるプラットフォームのような役割にも期待しています。これから新たなシナジーが一緒に生み出せると、嬉しく思います」。(菊地氏)
「『Teladoc HEALTH』による遠隔医療は近い将来に海外、たとえば東南アジア地域への日本からの診療支援や指導などでも、活用される可能性があります。ハードウェアですので電波などの仕様、認証といった点をクリアする必要がありますが、実際にウクライナの最前線で負傷をした方々をアメリカやドイツの医師が診るといった実例もあります。OKIクロステックとは、そういった大きな夢に向かって共に歩む、共創パートナーとして期待しています」。
2024年10月掲載