OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
オーベル薬局 東つつじヶ丘店
東京都調布市を起点に保険調剤薬局を展開する株式会社オーベル様(以下、オーベル様)。来店患者に寄り添うコミュニケーションを大切に考える同社は、周辺業務の一つであるレジ・現金管理の作業負荷を軽減するため、自動つり銭機の導入を検討。折しも新型コロナウイルスが猛威を振るい始めたことから、来店患者との現金のやり取りをなくす感染対策の仕組みとしても有効活用することを考えました。この両方の要件を満たし、確かな成果を生み出しているのが、OKIの硬貨紙幣つり銭機「CR-20」です。
硬貨紙幣つり銭機「CR-20」
OKIの硬貨紙幣つり銭機「CR-20」は、国内トップクラスのシェアを誇る銀行ATMの現金ハンドリング技術を採用。つり銭の出金速度や紙幣の一括投入量などで業界平均を大きく上回る処理性能を実現しています。入出金操作の分かりやすさに加え、メンテナンス性の良さも大きな特長。紙幣部センサーのセルフクリーニング機能、ワンボタンで行える硬貨部センサークリーニング、さらに硬貨・紙幣が詰まった場合のオートリセット、リジェクト紙幣の簡単回収など、使用者の手間を軽減し、安心・安全な運用が可能です。POSレジとの接続はUSBケーブル1本で済むため、導入も容易です。
代表取締役社長 根占 賢志氏(右)、
医療機器開発部 部長 野崎 英世氏(左)
2022年に創立30周年を迎えるオーベル様は、直営の保険調剤薬局を東京都調布市・稲城市に計7店、港区に2店、岐阜県飛騨市と北海道旭川市に各1店の計11店舗で運営し、フランチャイズ店も3店舗を展開しています。代表取締役社長 根占 賢志氏は「患者様とのコミュニケーションを大事にして、薬に関することを気軽に相談できる『地域に根ざしたアットホームな薬局』となることが店舗運営のモットーです」と語ります。
薬剤師をはじめとした従業員が来店患者と向き合う時間を増やすため、さまざまな業務を効率化する機器・システムの導入にも積極的です。その中で、水剤の自動分包を可能にした調剤補助機器や薬品在庫管理システム、レジシステムは、店舗業務の実課題を踏まえて自社でも開発を行っています。
オーベル様では、レジ・現金管理業務を効率化する仕組みの一つとして、自動つり銭機にも早期から目を向けていました。ただ、「製品として世に出始めた頃でかなり高額だったため、導入に踏み切ることはできませんでした」と、根占氏は明かします。
その後、自動つり銭機が低廉化し、スーパーやコンビニエンスストアなどでも見かけるようになったことから、オーベル様は2019年頃から導入に向けた本格的な検討を始めました。
野崎氏
医療機器開発部 部長の野崎 英世氏は、「当初はレジ業務の省力化と毎日のレジ締め(精算)、つり銭準備の作業負荷軽減が狙いでしたが、新型コロナウイルスのまん延に伴って、感染拡大を予防することが最優先項目になりました」と話します。
もともとオーベル様では、各店舗の地域内で流行性角結膜炎(はやり目)などを例とする感染症が発生すると、医療機関からの連絡を受けて現金やつり銭トレイのアルコール消毒を徹底するなどの対策を取っていました。このような緊急措置に代わる日常的な感染対策として、自動つり銭機をうまく活用し、現金のやり取り自体を非接触で行うことを考えたのです。
「ちょうど厚生労働省(厚労省)で『新型コロナウイルス感染症緊急包括支援事業(医療分)』として医療機関や薬局などに対する感染拡大予防策への補助金支給が発表されたタイミングでもあり、この制度を利用してほかの対策(窓口への間仕切り設置、空気清浄機の導入など)も含めて店内の環境を整備することにしました」(根占氏)。
2020年の秋には、OKIを含めた複数ベンダーに自動つり銭機導入の意向を打診し、各社製品の比較検討に取りかかりました。野崎氏は、「機能面で要件に挙げたのは紙幣も硬貨も還流できる(入金された現金をつり銭として循環使用できる)ことくらいでした。重視したのは運用負荷を極力下げるという目的にかなうメンテナンス性の良し悪しです」と説明します。具体的に横並びで比べると、OKIの「CR-20」はひと通りの機能を網羅し、メンテナンス性に関しては抜きん出ていたと野崎氏は明かします。特に「センサーのクリーニングに手間がかからない点、特に紙幣部センサーを入出金時の紙幣で自動清掃する機能に魅力を感じました」(野崎氏)と評価ポイントを挙げています。
根占氏は、OKIが店舗に実機を持ち込んでデモをしたことも評価しています。実際に機器を操作する従業員が、機器の動作を見ながら質問や意見、感想を言う機会を得たことで、現場の反応や評価も把握でき、「これなら導入しても問題ない、と最終判断を下すことができた」(根占氏)と話します。
オーベル様では、導入検討段階から、自動つり銭機の運用方法について、入出金口がある機器正面を来店患者側に向けて設置し、患者自身が現金投入およびつり銭の受け取り、および外付け機器でのレシート受け取りを行うセミセルフ式とすることを決めていました。
「厚労省は、薬局の通常業務において間仕切り越しにマスクを着用して処方薬を渡せば、コロナ感染者が来店しても薬局の従業員は濃厚接触者にならないとの見解を示しています。残る問題は、支払いの際のやり取りによる感染リスクをどう回避するかです。自動つり銭機をうまく活用して、現金の受け渡し自体をなくせば、患者様との完全な非接触を実現できると考えました」と、根占氏はその意図を語ります。
店舗に設置された「CR-20」(オーベル薬局 東つつじヶ丘店)
オーベル様では、直営店11店舗分の「CR-20」を購入したうえで、2021年7月中旬に「オーベル薬局」東つつじヶ丘店(調布市)に先行導入しました。野崎氏は、「既存のPOSシステムと組み合わせて実運用し不具合が出ないかを確認するために、まずは1店舗で検証を進めています」と説明します。
同店舗では、窓口そばの既設レジとは別に、「CR-20」を用いた新たなセミセルフレジを用意。来店患者がキャッシュレス決済したい場合は既設レジで、現金の場合は「CR-20」で支払いを行うようにしています。操作自体は簡便ですが、高齢者には使い方の説明やサポート、操作時の見守りが必要な場合もあります。それでも、「若い方はほぼ戸惑うことなく操作していただけるので、その分、薬剤師が以前より早く次の調剤作業に取りかかれるようになりました」と、根占氏は話します。
店舗内の現金が「CR-20」で自動集計されることで、毎日のレジ締めは不要になり、つり銭準備の頻度も大幅に減りました。さらに、手作業による計算ミスと再確認に費やす時間の無駄も解消されました。「従業員が機器内の現金に触れるのは、つり銭として使用しない1万円札や貯まり過ぎた金種を取り出す時だけです」と野崎氏は語ります。
「CR-20」の導入によって、コロナ感染対策の強化とともに従業員の業務効率化・生産性向上が実現されました。今後、東つつじヶ丘店での運用実績を踏まえて他店舗にも順次導入。さらに新規オープン予定の2店舗も加え、来春までには計13店舗に「CR-20」を展開する計画です。
根占氏
ただ、根占氏は、「患者様によってはどうしても機器操作ができない場合もあるでしょう。現金払いの患者様が集中すれば行列ができる可能性もあります。一番大事なのは、患者様に負担や迷惑をかけないことですから、店舗ごとの特性や店内の状況などに応じて、セミセルフレジと従来レジを併用して柔軟に対応できるようにしていきます」と、あくまでカスタマーファーストであることを強調します。
そして、将来のレジ環境について「セミセルフ式で現金払いもキャッシュレス決済も可能なオールインワン端末が望む姿です。そういう製品が、当社でも手の届くような価格で早く市場に登場してほしいですし、その有力ベンダーとしてOKIにもぜひ頑張ってほしい」と話し、「今後も店舗の業務効率化、患者様の利便性向上につながるシステム・機器を積極的に提案していただきたい」と、OKIへ高い期待を寄せています。
2021年9月掲載