OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
和歌山県和歌山市に本店を構えるきのくに信用金庫様は、市内の大規模商業施設に新規開設するATMコーナーに、コンビニエンスストアなどでよく目にするOKIの省スペース型ATM「CP21Z」を採用しました。OKIが関西地区の信用金庫に省スペース型ATMを納入したのは初めてのケースになります。
きのくに信用金庫様の一番の狙いは、通帳レス時代の本格化を見据え、フル機能型ATMに代わる端末としての導入価値を見極めることでした。この取り組みにより、店舗外ATMコーナー設置によるお客さまの利便性向上に手応えを掴むとともに、新規開設する際のイニシャルコストおよびランニングコストの削減にも成功しています。
OKIの「CP21Z」は、システムの信頼性・利便性・適応性に優れ、運用コストの低減と顧客操作性向上を実現しています。通帳記帳や硬貨処理の機能を省くことで小型・省スペース化を実現し、フル機能型ATMが設置できない場所でもATMコーナーの開設を可能にします。コンビニエンスストア向けATMとしてトップクラスのシェアを誇り、駅コンコースやスーパーマーケットなどでも多数の導入実績をあげています。
省スペース型ATM「CP21Z」(左)、商業施設内に設置されたきのくに信用金庫様ATM(右)
常務理事 事務部長 緒方 公一氏(左)、
事務部 上席業務役 高橋 淳氏(右)
きのくに信用金庫様は、明治から昭和初期にかけて創立した10の信用組合を起源とし、戦後の改組、経営統合を経て、1993年11月に現名称の組織となりました。「地域とともに歩み、ともに発展する」という経営理念のもと、和歌山県内および大阪府の泉南地域に43の営業店と約130台のATMを展開しています。
「さらに、お客さまに幸福を実感していただくために『常に時代を先取りする積極的な取り組みに努める』ことも経営理念に掲げています」と語るのは、常務理事 事務部長の緒方 公一氏。時代を先取りする最近の具体的な取り組みとしては、インターネットバンキングやWeb上で完結できるローン申し込み、スマホ対応の口座開設アプリや通帳アプリの提供など、ネットを活用したサービスの強化が挙げられます。
今回の省スペース型ATMの導入もその一例です。「ATMは一度導入したら8~10年は使うものですから、世の中の変化を先読みしながら機種選定する必要があります。すでにコンビニエンスストアなどに広く設置され利用する機会も増えた省スペース型ATMが、地域に密着した金融機関のATMとしても受け入れられるかどうかを、きちんと検証する必要があると以前から考えていました」と、緒方氏は説明します。
一方で、店舗外ATMコーナーの開設に際して生じる現実的な課題もありました。事務部 上席業務役の高橋 淳氏は、「そもそも機器の設置スペースを確保できるかどうか。さらに、機器代金やブース作成費、設置場所の賃料など、開設・運用にかかるトータルコストもハードルになります。実際、魅力的なロケーションでも従来のフル機能型ATMでは設置スペースやコストが条件に合わず、開設を見送ったケースもあります」と話します。
現在の課題解決と将来の導入展開の両面で意に適った製品が、OKIから提案を受けた「CP21Z」でした。緒方氏は、「本体のコンパクトさも性能・機能の面も十分に合格点で、導入を迷う要素はありませんでした」と語ります。
きのくに信用金庫様では以前から、各地に設置したATMの運用管理業務を効率化・省力化するため、ジャーナル(ATMの取引操作や運用操作に関わる履歴情報)の収集・管理に、しんきん大阪システムサービス株式会社が提供する「ATM電子ジャーナル集中管理サービス」(※)また、現金の装填・回収や遠隔監視などを警備会社にアウトソーシングしていました。
そのため、「CP21Z」にもこれらの外部サービスをそのまま適用し、既設のフル機能型ATMと分け隔てなく一括して管理できることを求めました。この要望にOKIがしっかりと応えたことも、導入決定を後押ししました。「ATM電子ジャーナル集中管理サービス」と「CP21Z」を連携させた事例は、業界初となります。
1号機となる「CP21Z」の設置場所は、スーパーマーケットや多様な専門店、映画館などがあり若年層も多く足を運んでいる大規模商業施設「メッサオークワガーデンパーク和歌山店」(和歌山県和歌山市)に決定。OKIの協力でネットワーク整備や機器導入が進められ、2020年7月29日から新規のATMコーナーとしてサービス提供を開始しました。
「CP21Z」の導入効果について、高橋氏は「ATMコーナーの開設・運用コストは従来よりも明らかに削減されます。通帳や硬貨を扱わない機構で故障率も低いと認識しているので、長期的な管理コストも抑えられると見ています」と説明します。
緒方氏は、「省スペース化によって設置可能なロケーションが増え、お客さまの利便性向上につながること」を成果の1つに挙げたうえで、「通帳レスに対するお客さまの評価やニーズを検証・分析していくには、1号機の実績だけでは難しいので、できれば、ほかのロケーションで運用してみた結果も見てみたいと思います」と、今後の意向を話します。
緒方氏は、「CP21Z」の今後の導入展開に関して次のように説明します。
「インターネットバンキングやキャッシュレス決済の利用増などもあって、ATMの利用件数自体は減少傾向にあります。そのため、店舗外ATMコーナーの新設については立地なども熟慮してより慎重に進めることになります。一方で既設のATMは、設置数の見直しなども行いつつ定期的に更新していきます。このどちらにおいても、省スペースATMが選択肢に加えられることは間違いないでしょう」。
さらに、「ATMがより進化して新たな用途・役割が付加されれば、戦略も設置計画も変わっていきます。地域の発展に貢献できるよう、技術動向にも目を向けて、時代を先取りしていきたいと思います」と、OKIの技術へ期待を寄せます。高橋氏も「金融業界に精通したOKIならではの広い視点で、私たちでは思いつかないような提案をしてほしい」と、OKIへの期待を語りました。
2021年1月掲載