OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
日本郵政グループの持株会社である日本郵政株式会社は、日本全国の膨大な数の施設・郵便局の管理支援を行っています。同社は、図面管理クラウドサービス TerioCloud®を導入し、施設調査、報告書の作成などの維持管理業務の改革と効率化を実現しました。
図面管理サービスTerioCloud
建設業や設備工事業をはじめとするさまざまな企業の図面を扱う現場から紙図面をなくし、タブレット端末でデジタル化された図面を共有することで、現場の働き方を改革するデジタル変革ソリューションです。
【TerioCloud導入による効果】
日本郵政株式会社 施設部は、日本郵政グループが提供するサービスの拠点である郵便局をはじめ、さまざまな施設の設計・工事監理・維持保全を行っています。施設部はグループ各社と協力して、地域に密着し多くの方に愛される郵便局と、そこで働く社員にとって快適な空間を目指し、設計から維持管理までの役割を担っています。
施設部 施設保全グループ
担当部長 土田真一郎氏
施設部 施設保全グループ 担当部長の土田真一郎氏は、従来の業務課題を次のように話します。「当部は全国7エリアの施設センターと連携して、新築物件の設計・工事監理業務の他、既存施設である自社保有数千件をはじめとした、全国2万件以上の郵便局や施設の改修工事の設計・工事監理業務、および維持保全業務の支援を行っています。いずれも現地調査から始まりますが、計画的な改修工事に加えて自然災害時の緊急対応も多くあり、年間を通じ調査業務の負荷が高いことが長年の課題でした。施設ごとに異なる劣化状況をきめ細かく記録するのも手書きで行っていたため、社に戻って報告書にまとめる工数もかなりかかります。こういった課題は、当社だけでなく業界共通の課題です。長年続けてきた業務ではありますが、限られた人員で効率的に業務を行えるよう、改善策を検討していました」。
施設部 DX推進グループ
主任 佐藤宏一氏
同社ではこの課題解決のため、当初、システムの自社開発を検討しました。しかし初期開発および維持管理のコストが高額となることがネックでした。並行して複数社の汎用サービス利用も検討しますが、いずれも決め手に欠けていたとのこと。施設部DX推進グループ主任の佐藤宏一氏はその難しさをこう話します。「施設によって修繕が必要な箇所はさまざまです。そのため、あらかじめ決められた項目を点検し、定型のフォームで報告することを前提としたサービスでは、当社の業務とマッチしません。また、操作が複雑だと社員に浸透せず、業務効率化につながらないのではとの懸念がありました」。
解決策を模索する中、同社はOKIからTerioCloudの提案を受けました。土田氏はこのときの印象を次のように振り返ります。「当グループと取引実績が多数あるOKIの製品である信頼性に加え、操作もわかりやすく動作も軽快で、機能もまさに我々が求めているものでした。ちょうどこの時期、コロナ禍対策として社外での業務継続と外部とのオンライン会議開催のためにタブレット端末を導入していたこともあり、実際に現場で試してみようと考えました」。
試行にあたり、最大の関門が同社の厳しいセキュリティ要件をクリアすることでした。土田氏はこの対応について「当グループは金融機関を擁することから高いセキュリティが求められますので、OKIとは繰り返し打合せしました。開発や維持管理のコストがかからないクラウドサービス利用のメリットを享受したい一方、当社の求めるセキュリティ要件を満足するためには高いハードルがありましたが、市場調査の結果、他社でも需要があったとのことで新機能が実装され、安心して試行開始できました」と話します。
TerioCloud画面
本社での約1年間の試行期間を経て、同社はTerioCloudの本格展開を決定。2020年12月に全国の技術スタッフに計80台のタブレット端末とTerioCloudを導入し、セキュリティ機能のさらなる強化(データ暗号化・専用URL・IP認証機能)を経て2021年4月から本格的な運用を開始しました。
TerioCloudを使っている様子(大手町郵便局前)
導入効果について、佐藤氏は次のように語ります。「TerioCloudは建設業に特化して開発されたこともあり、紙図面とほぼ変わらない使い方ができ、動作も軽快でとても使いやすいと好評です。その上で、撮影時に写真を図面上にプロットして、自作の報告様式にエクスポートできる機能がとても便利です。導入後はこれまで帰社後に時間をかけていた、大量に撮影した現場写真を図面に紐づけてまとめ直す作業が不要になり、業務効率化が実現しました」。ある案件では、帰社後の整理業務(写真整理、図面清書、写真帳出力等)がTerioCloud導入前の約50%削減されたことが報告されています。調査・報告業務全体でも約25%の削減効果がありました。
土田氏は効率化に加えて、安全面での成果も高いと話します。「副次的な効果ではありますが、TerioCloudを活用することで現場の作業スタッフの持ち物が減り、労働安全性が向上しました。現場調査には高所や狭所など危険が伴いますので、ストラップ付のタブレットのみを携帯して調査が行えると、危険度がかなり軽減できます。加えて図面や持ち物の紛失に伴う情報漏えいリスクも軽減しました」。
TerioCloudはクラウドにデータが安全な形で保存されるため、関係各所への情報共有もしやすくなります。また、保存情報をタブレットで利用しやすいため、PCの持ち出しが制限されている同社では今後、新たな施設提案時のプレゼンテーション用途にも活用を検討中とのことです。
最後に土田氏は、今後の展開とOKIへの期待について、次のように結びました。「施設部は膨大な施設群の設計・工事監理・ファシリティマネジメントを行うとともに、150年の歴史を持つ郵政建築という独自ジャンルの建築物のアーカイブ化や、長年にわたり培ってきたノウハウや技術を次世代に継承する役割も担っており、引き続き積極的にデジタルの活用を進めたいと考えています。OKIは営業の方も含めメーカーとしての技術力が高く、打ち合わせもスムーズで安心感がありました。今後もさまざまな情報提供や、有益なサービスの提供に期待しています」。
2021年10月掲載