OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
ベイシアグループは、1958年設立の総合スーパー「いせや」をルーツとし、現在では衣食住のワンストップショッピングを提供するスーパーセンター「ベイシア」をはじめ、ホームセンター「カインズ」、コンビニ「セーブオン」、作業服・作業関連用品店「ワークマン」、カー用品店「オートアールズ」、家電量販店「ベイシア電器」などを展開。安易な企業買収や合併などを行わずして急成長を続けている国内屈指の流通小売グループです。
その中核企業である株式会社ベイシア様は、関東・甲信越を中心に138店舗のスーパーセンター「ベイシア」を運営し、“For the Customers(お客さまのために)”の経営理念のもと、サービス向上とロープライス販売を実現することで、多くのお客さまからの支持を集めています。その背景にあるのは同社が取り組んでいる「商業の工業化」。つまり、売り場、バックオフィスを含めた店舗全体業務の自動化です。同社では10年程前に販売パートナーである株式会社ムサシ様を介してOKIのリサイクル型入出金装置「USCOS(アスコス)」を導入。その後も運用の改善などの業務改革を続け、現在は「USCOSⅡ™」とオプションのオンライン機能「ストアパッケージ」と店舗システムの連携により、煩雑な現金管理業務の大幅な省力化を実現しています。
ベイシア様では、流通小売業界の中でもいち早く業務のシステム化に取り組んできました。同社およびグループ全体が掲げる「商業の工業化」を支えるIT化の推進拠点として機能しているのが、1993年に開設された「ベイシア流通技術研究所」です。ここでは、グループ全体の人事・会計などの基幹システムから、店舗単位でのレジ混雑予測システムや自動発注システムなど、業務の自動化・効率化を推進するさまざまなシステムの企画・設計、運用・保守などをサポートしています。
基幹システムなどデータのデジタル化が比較的容易な業務においてはITの導入で自動化が進む一方、各店舗での現金の取り扱いなどといった現場業務の自動化・効率化はなかなか進まないという問題を抱えていました。そこで、流通技術研究所の所長・重田憲司氏は、ある取り組みを始めました。「当初はレジでの現金の過不足(釣銭ミス)を解消するため、自動釣銭機の単独導入を検討していました。先行導入していたカインズを視察し、検討したところ、レジ台数の多いベイシアでは入出金装置と同時導入した方が効率的という判断から、ATMなど現金処理機分野で実績のあるOKIの入出金装置『USCOS』の導入を決断しました」(重田氏)。
店舗の各レジから回収した売上金をバックヤードに設置された「USCOS」に入金し、売上金と釣銭準備金に振り分ける現金自動仕分け機能により、一部を釣銭・両替用としてリサイクル使用することで現金の計数、仕分け、保管、釣銭補充などの手間を削減する仕組みを構築。さらにレジ台数が多いベイシアの特性を考慮して、レジ担当者ごとの入出金作業を専任者による一括作業に変更するといった、適正化・厳正化を実現しました。
執行役員
流通技術研究所 所長
重田 憲司 氏
その後、リサイクル型入出金装置「USCOS」をコアとした現金管理の運用を進めていくなかで、従来、管理者の経験や勘に頼り用意していた店舗の準備金の見直しにも着手しました。
「防犯対策や現金管理の適正化のためにも、極力、店舗内の余分な現金を減らしたいと考えました。そのためには、売上金や釣銭の入出金のタイミングや、その金額など、店舗全体の現金の流れを逐次把握することが必要でした。そこで、その運用の仕組みを模索し、『USCOS』の取引データと店舗の業務システムとの連携をOKIさんに相談したところ、『USCOSⅡ』と、そのオプション機能である『ストアパッケージ』の提案を受け、導入を決めました」と、重田氏はシステム拡張の経緯を語ります。
こうして、最初に「USCOS」を導入してから、現金管理の運用の見直し・改善を経て、現在ではベイシアのほぼ全店で「USCOSⅡ」と「ストアパッケージ」、店舗システムの連携による現金管理オペレーションが行われています。
リサイクル型入出金装置 USCOSⅡ
リサイクル型入出金装置「USCOS」「USCOSⅡ」+「ストアパッケージ」の導入効果について重田氏は次のように語ります。
「最初の『USCOS』の導入により、レジ担当者自身が簡単に入出金できるだけではなく、売上金を投入するだけで現金の仕分けから違算チェックまで自動で行えるため、経理担当者の業務負荷が大幅に軽減されました。工数で算出すると導入前との比較で30%以上の削減です。その後『USCOSⅡ』と『ストアパッケージ』との連携により、店舗内の現金の流れを『見える化』すると同時に、運用面での細かな見直しを継続した結果、売上金の回収や釣銭補充のタイミングなど、現金管理を最適化し、その工数は当初の1/3程度になりました。従来は1日数回行っていた各レジへの釣銭の補充も、現在はほぼ1回で済んでいます」。
金種ごとの増減など、現金の流れを把握することで、店舗内で動きがない「根雪」のような現金の存在も明らかになったとのこと。「その額は、ベイシア全店で約2億円にもなりました。各店舗の余分な準備金を削減できたことによる防犯面でのメリットも大きいです」(重田氏)。さらに、重田氏は導入の副次効果について続けて語ります。「このような店舗運営コストの削減は、お客さまに対して、よりロープライスというカタチで還元できるようになり、結果的には、売上の向上にも貢献できていると思います」。
このような一連の現金管理業務の自動化・効率化は、コスト削減だけではなく、店舗従業員の労働環境の改善にも貢献しました。「レジ担当者や経理担当者が直接現金に触れる機会が大幅に減ったことにより、『心理的なプレッシャーから解放された』という現場の声も届いています」(重田氏)。現在、この現金管理の仕組みは、ベイシアグループのカインズにも採用されています。
同社では、今後、店舗単位での現金管理だけではなく、本部による現金一括管理体制の構築を目指しています。「『誰が、いつ、何の目的で、いくらの現金を入出金したのか?』『あるべき現金と実現金の間に差異が生じていないか?』『もし過不足があった場合、何が原因なのか?』といったことを本部で把握し、運用面での一層の改善を図っていこうと思います」と、重田氏は業務効率化への意欲を口にします。
最後に、重田氏は同社のIT化の方針について、次のように述べます。「今後、業務の効率化やお客さまサービスの向上に資するような情報収集には積極的に取り組んでいくつもりです。OKIさんに対しては、これからも単なるハードやソフトのベンダーとしてではなく、情報の活用法を含めた新しい価値を生み出すパートナーとして大いに期待しています」。OKIは今後も、ベイシア様の共創パートナーとして、同社の業務改革の取り組みに貢献していきます。
「USCOSⅡ」の導入効果について、株式会社ベイシア 執行役員 流通技術研究所 所長 重田様のインタビュー動画をご覧いただけます。
2019年3月4日