COLUMN

コラム
コラム2026年4月24日

ナースコール・スマートフォン連動のメリットとは? ― PHSサービス終了・スマートフォン導入時の注意点も解説

この記事で分かること

  • PHSサービス終了が医療・介護現場に与える影響と、今後取るべき対策
  • ナースコールとスマートフォンを連動させることで、業務効率化やサービス品質がどう向上するのか
  • ナースコール刷新で、PHSからスマートフォンへスムーズに移行するための具体的な注意点
  • 豊富な導入実績を持つOKIのソリューションが、どのように医療現場の課題を解決するのか

PHSの公衆サービス終了に伴い、医療・介護現場では代替策としてのスマートフォン検討が急務となっています。しかし、従来のPHSと同じ感覚で導入を進めると、通信の不安定さや操作性の違いなど、運用面で想定外の課題に直面しがちです。いま求められているのは、単なる通話端末の変更ではなく、ナースコールとスマートフォンを確実に「連動」させ、業務を滞らせない環境をどう構築するかという視点です。

本記事では、2026年現在、移行を検討中の皆さまに向けて、導入前に確認すべきチェックリストや、Wi-Fi・sXGPなどの通信規格選びのポイント、安全な運用のためのセキュリティ対策を解説します。

目次

ナースコールとハンディナース ― その進化の歴史

ナースコールとは、病院などの医療や福祉、介護の施設で病室の患者が看護師や介護士などのスタッフを呼出し、連絡ややりとりをするための仕組みです。その生みの親は、「近代看護教育の母」と呼ばれる、あのフローレンス・ナイチンゲール。ナースコールは、現在ではあたりまえとなった看護師の詰め所であるナースステーションと共に、最初は呼び鈴の形で誕生しました。

このナースコールの仕組み、当初は病室からナースステーションの親機を呼出すものでしたが、巡回が多い看護・介護スタッフの機動性に適したPHSを子機として使用するハンディナースをOKIが1995年に開発、展開し、広く普及しました。PHSはワイヤレスの電波が微弱で医療機器に与える影響が少なく、軽量で電池の持ちもよく通話音質も高いため、まさにPHSはナースコールに最適な通信機器だったのです。

PHSは「Personal(個人の) Handy-phone(ハンディフォン) System(システム)」の略称で、1995年に誕生。通信キャリアと呼ばれる事業社からすると、基地局を新たに建てる必要がある携帯電話に比べて、一般の電話設備がそのまま使えるPHSは、低コストでサービスを開始できるメリットがありました。また、利用者側からしても当時の携帯電話に比べて電波の安定性も通話音質も高く、さらに安価で利用できることなどがウケ、爆発的に普及。「ピッチ」の愛称と共に、個人のみならず法人(企業)での利用も増え続け、1997年には契約件数がピークとなる700万件を突破しました。

しかし、2000年代に入ると携帯電話の利用料金が下がり始め、PHSの契約台数は減少していきます。さらに、インターネット接続や写真、映像の送受信など機能の充実と共に高速化、大容量化するモバイル端末の主流は携帯電話に移り、安定性は高いものの弱い電波を使うPHSは取り残されていきました。
そして2007年にApple社のiPhoneが登場(日本での発売は2008年)。2009年にはAndroid端末も登場すると普及が広がり、「携帯電話からスマートフォン」の流れは加速を続けます。最新の利用率調査では、携帯電話所有者の実に97%が、スマートフォンを利用するまでとなり、高齢世代でも利用者が増えています。

こうした流れに伴い、通信キャリア各社は続々とPHSのサービスを終了。NTTドコモは2008年1月に、アステルは2006年12月に、そして最後まで残っていたワイモバイル(ソフトバンク)も、2023年3月末にサービスを終了しました。
ただし、終了したのはあくまでも公衆PHSサービスであり、施設内に自前でアンテナを立てて使う構内PHSは、継続して利用することができます。

PHS公衆サービス終了に伴う、医療業界の動向は?
前述の通り、多くの病院などの医療機関、福祉、介護施設ではナースコールにPHSを利用しています。電波環境協議会が2021年5月に行った調査によると、約8割の医療機関がPHSを利用しており、そのうちの86.3%は「今後も継続して利用予定」と回答しています。

このようにPHSが医療現場から高い支持を受ける理由は、前述の

  • 電波が微弱で医療機器に与える影響が少ない
  • 軽量で電池の持ちがよい
  • 通話音質も高い

といった理由に加えて、

  • 長年利用して来て、使い慣れている
  • コスト面や使い勝手などを含めて、これからどうするべきかが分からない

といった理由が考えられます。

先に述べた通り、施設内に自前でアンテナを立てて使う構内PHSは、継続して利用することができます。では、これからも継続してPHSを利用し続けるという選択肢でよいのか、そのリスクを見ていきましょう。

構内PHSを継続利用する場合のリスクとは?
構内PHSを継続して利用する場合のリスクとしては、大きく下記の点が挙げられます。

①PHS端末や基地局の入手が難しくなる
公衆PHSサービスが終了することで、当然市場が縮小します。そのため、PHSの端末や基地局(アンテナ設備)の製造数が少なくなり、入手が難しくなる懸念があります。
※OKIでは構内PHSに関する製造、提供を継続予定ですのでご安心ください。

②旧スプリアス規格に関しては、近い将来に利用できなくなる
最大のリスクが、この旧スプリアス規格製品です。「スプリアス」とは無線設備から発射される電波のうち、本来必要とされる所定の周波数を外れた不必要な電波のこと。国は、電波利用環境の維持、向上および電波利用の推進を図ることを目的として、法律を改正。旧スプリアス規格PHSは当初、「ビジネス向けのものであっても利用は2022年11月まで」となりましたが、その後コロナ禍で移行期限が延長され「当分の間」は利用可能となりました。ただし、いつ終了してもおかしくない状況ですので、旧スプリアス規格のPHSは、入れ替えが必要です。
こうした状況を踏まえ、当然、多くの医療機関では「わざわざコストと時間(期間)をかけて、引き続きPHSを利用するのか?」という議論になることは、必然と言えるでしょう。

ナースコールをスマートフォンと連動させるメリットは?

そこで注目を浴びているのが、プライベートでもビジネス用途でも広く普及し、さらに高機能なさまざまな活用によって音声通信のみならず、コミュニケーション強化や患者や介護対象者の状態の検知、把握が可能で業務効率化効果も高い、スマートフォンによるナースコールへのリプレイスです。

ナースコールとスマートフォンの連動は、従来のPHSのような「音声による呼び出し」以上の価値を、現場に提供します。

  • 駆けつけ判断の迅速化:スマートフォン画面で呼出種別や患者さまの情報を瞬時に確認できるため、緊急度に応じた優先順位付けが可能になります。
  • 情報共有のマルチメディア化:音声だけでなく、チャットによるテキスト共有やカメラ機能による画像の送信などにより、スタッフ間での状況把握がより正確になります。
  • 記録業務の負担軽減:呼び出し履歴と介護記録システムなどを連動させることで、二重入力の手間を省き、現場の事務作業を効率化できます。

OKIのスマートフォン ナースコールシステム連動

これらのメリットを高い次元で実現するのが、OKIのナースコール・スマートフォン連動ソリューションです。

OKIの病院・介護施設向けソリューションは、PBX(DISCOVERY neo2、CrosCore3)、アイホン社/ケアコム社のナースコールシステムと連動し、従来のPHSに加えてスマートフォンをハンディナース子機として利用できます。ナースコールも医療情報閲覧も、スマートフォン1台で実現します。

電話設備であるPBXと固定電話、PHSの製造・販売を行っているOKIのスマートフォンナースコールは、それぞれとの連動性が高いことが大きなメリットです。

  • 内線に加えて外線の発着信もスマートフォン1台で可能
  • PHSハンディナースとの併用も可能

  • ナースコール時に複数のハンディナース子機を一斉に呼び出すことで、迅速な初動対応を支援
  • 呼び出し時には、患者名やベッド番号、患者情報を表示し、さらに緊急度に合わせて着信音やカメラ映像を表示でき、的確に状態を把握できる
  • また、ナースコールシステムとの連動でIPカメラや生体モニターシステム、各種センサーとの連動も可能

このようにスマートフォンをナースコールと連動させることで、単なるPHS音声通話の置き換えとしてだけではなく、医師や看護師、介護士など医療従事者の業務効率化や負担の軽減、チーム医療に欠かせないコミュニケーション・コラボレーションの加速、ES(従業員満足度)の向上につながり、それが結果として医療・福祉・介護サービス向上のCS(顧客満足度)向上につながるとして、医療DXの観点から注目されているのです。

事例紹介

ナースコールをスマートフォンに置き換えるメリットと効果について、OKIが支援した実際の導入事例をご紹介します。

PHSナースコールをスマートフォンに刷新、業務効率向上とサービス向上を目指す

株式会社ニチイケアパレス様

首都圏と関西を中心に居住系の介護サービス事業(約100施設)を展開する株式会社ニチイケアパレス様。新介護支援システム導入など、ICT化を積極的に推進する同社は2023年、首都圏を中心に展開する介護付有料老人ホーム「ニチイホーム」の約30拠点において、OKIのPBXと「Com@WILLソフトフォンスマート」アプリ、無線LANアクセスポイントを導入。全館無線LANの整備とともに、アイホン社のナースコールシステムとも連動し、ナースコール応対と内線通話用のPHSをスマートフォンへ刷新しました。

課題

  • 電話およびナースコール設備が経年劣化し、リプレイスの必要性が高まった
  • 全社的なICT化推進、新介護支援システム導入による、介護記録などの現場改善検討を開始
  • 慢性的な人手不足を補い、業務効率向上と介護サービス品質向上を実現したい

導入ソリューション

@WILLソフトフォンスマート
スマートフォン(iOS/Android™)にナースコール連動用アプリケーションをインストールすることにより、ハンディナース端末として利用することができます。

※Com@WILLソフトフォンスマートのご利用にはOKI製のPBXまたはビジネスホンの導入が必要です。

成果

  • OKI×アイホンの連動により、スマートフォン1台で内線電話、ナースコールとドアホンの応対、介護記録の入力が将来可能に
  • OKI推奨機器でランニングコストのかからない全館無線LANを実現
  • 慢性的な人手不足を補い、業務効率向上と介護サービス品質向上を実現したい

お客様の声

「複数社から提案を受けましたが、アクセスポイント1台ごとに毎年ライセンス料が発生するものも中にはありました。その点、OKI推奨の機器はランニングコストがかからない点が魅力でした。全館無線LANの実現には1拠点当たり約20台、多い施設では50 ~ 60台のアクセスポイントの設置が必要なため、コスト削減効果は非常に大きなものがありました」
「これまでのナースコールは、施設内の職員が所持するPHSの若い番号から順番に呼び出しがかかっていました。今回導入したスマートフォンでは、ほぼ同時に呼び出しがかかるので、毎回同じ人が呼ばれる、あるいは呼び出しが遅いといった不満の声が解消されました。また、スマートフォンのカメラ機能が好評で、入居者様の異変を写真で看護職員と共有したり、レクリエーションの記録を残したりするのに使えて便利など、働きやすさを実感する声も挙がっています」

ナースコール・スマートフォン連動導入前チェックリスト

導入事例でご紹介したような「現場の効率化」を確実に実現するためには、自施設の現状を正しく把握し、課題を抽出することから始まります。検討を具体化させる際には、以下の4つの視点でチェックを行いましょう。

①既存設備のシステム構成と拡張性の確認

現在のナースコール制御装置がスマートフォンとの連動(IPネットワーク対応など)に対応しているか、あるいはシステム全体の更新が必要な時期かを確認します。これにより、部分的な改修で済むのか、全面刷新が必要なのか、投資規模の目安が立ちます。

②現場における解決優先順位の明確化

「単なる通話端末のスマートフォン化」で十分なのか、あるいは「介護記録ソフトや見守りセンサーとの連動」まで行い、入力業務の削減まで狙うのか。現場スタッフの負担を最も軽減できる「解決すべき課題」の優先順位を整理します。

③施設内の通信環境(電波状況)の把握

RC造の建物や遮蔽物の多いエリアなど、現在のWi-Fi環境で電波が届きにくい場所(デッドスポット)の有無を把握します。これにより、sXGP方式などのより安定した通信インフラが必要かどうかの判断基準が明確になります。

④管理体制と運用ルールの策定見込み

スタッフが使用するスマートフォン端末の除菌方法、夜間の充電場所の確保、紛失時の報告フローなど、導入後の運用ルールが既存の業務の流れに無理なく組み込めるかどうかを、管理面の視点から検討しましょう。

ナースコールにスマートフォンを導入する際の注意点 ― sXGPについて

スマートフォン連動の安定性は、選択する通信規格に大きく依存します。2026年現在、主要な3つの方式を比較すると、以下のようになります。

比較項目 Wi-Fi方式 sXGP方式(自営LTE) 既存PHS併用
通信安定性の傾向 干渉を受けやすい 干渉が少なく極めて安定 音声は安定だが将来性に不安
セキュリティ 設定による対策が必須 SIM認証により強固 閉域網のため安全
導入コスト 既存LAN流用で抑えやすい 専用設備が必要 追加投資は低い

sXGP(Shared eXtended Global Platform)は、PHSと同じ1.9GHz帯の周波数を利用しながら、LTE方式の高速データ通信を可能にする規格です。Wi-Fiのような電波干渉が少なく、病院・介護施設の複雑な建物構造でも安定した通信環境を構築できる特性を持っています。

OKIでは、こうした各規格のメリット・デメリットを踏まえ、お客様の施設の通信環境や運用目的に合わせた最適なソリューションを提案しています。

運用を支えるセキュリティと端末管理(MDM)

安定した通信インフラの構築と並行して、検討を欠かせないのが「情報漏洩」への対策です。多機能なスマートフォンを安全な業務専用端末として活用するためには、以下の2つの対策をセットで導入することを検討しましょう。

MDM(モバイル端末管理)による集中制御

万が一の紛失時に、遠隔操作で端末ロックやデータ消去(ワイプ)を行うMDMの導入は、医療・介護現場において必須のリスク管理です。また、業務に不要なアプリのインストールを制限し、ウイルス感染のリスクを最小限に抑えます。

論理的なネットワーク分離(VLAN)

事務用Wi-Fiや来客用Wi-Fiと、ナースコール連動用の経路を論理的に分ける(VLAN構築など)ことで、外部攻撃への耐性を高めると同時に、通信の混雑による通知遅延を防止します。

まとめ

いかがでしょうか。今回は、PHSサービス終了に伴う医療、福祉、介護現場への影響から、対応策として注目されるスマートフォン ナースコール連動について、事例を交えてその導入メリットと注意点について、解説しました。

OKIはさまざま病院、福祉、介護施設における豊富な導入実績を持ち、ナースコールシステムとの連動はもちろん、固定電話(PBX)、構内PHS、無線LANの構築・リプレイス、sXGPの導入についてもワンストップでサポートします。

各種ご相談や資料請求、さらに詳しいご説明についてはぜひこの機会に、お気軽にお問い合わせください。

この記事に関連する情報(こちらもご覧ください)

編集部
OKI STYLE SQUARE VIRTUAL編集部 医療・ヘルスケア担当
高齢化や医療従事者不足が進む中、OKIはセンシングやデータ活用技術を活かし、遠隔医療システムや行動変容サービスなどのソリューションで社会課題の解決に貢献します。専門家を交えたメンバーが、未来の医療・ヘルスケアのヒントとなる情報をお届けします。
この記事をシェア

RELATED ARTICLES

関連記事

CONTACT

OKI Style Squareに関するご相談・
お問い合わせはこちら

TOP
TOPへ