ほぼ週刊 CINOのつぶやき(チノつぶ)第39号
「ISO 56002採択」

Innovation management — Innovation management system — Guidanceより
https://www.iso.org/obp/ui/#iso:std:iso:56002:ed-1:v1:en
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イノベーション・マネジメント・システム(IMS)のガイダンスISO 56002採択
イノベーションをシステマティックに高い確率で興すためのマネジメント・システムISO 56002が、6月5日に採択されました。ドキュメントも7月に公開されています。https://www.iso.org/standard/68221.html
イノベーションの原理・原則に関するISO 56000、イノベーション・パートナーシップ構築の手法に関するISO 56003、イノベーション・マネジメントのアセスメントに関するガイダンスISO 56004、IMSの実施を支援するための手法に関するガイダンスとなるISO 56005等でISO 56000シリーズを構成します。
IMSガイダンスとYume Pro
OKIは、ISO 56002策定の動きを睨みながら、2年前からイノベーション・マネジメント改革を進めてきました。今回公表されたISO 56002のドキュメントは、OKIが進めているイノベーション・マネジメント改革と対比させながら、興味深く読ませていただきました。
会社の置かれた環境を踏まえる
IMSガイダンスで、まず出てくるのが、組織の置かれている状況を踏まえなければならないことです。企業や組織といっても百人百様なので、それぞれの組織パフォーマンス、リソースや文化といった内部要因と外部要因が異なります。2017年の夏にOKIのイノベーション・マネジメント改革を始めた時にも、まず、自社の現状と課題を洗い出すところから始めました。ここから着手したことにより、多くの社員の共感につながり、プロジェクトを進める原動力となったと感じています。
トップのリーダーシップとPDCAサイクル
イノベーションは通常のビジネスと異なり、ノンリニアなプロセスであることから、既存の組織や発想方法、パラダイムの抵抗を受けがちです。このため、トップのリーダーシップの下で、ビジョンや戦略を描き、これに基づいた計画を策定することが必要です。中でも、創造や新しいアイデア実行に対する支援を行うといった組織文化改革を行うことが重要であることが、IMSガイダンスの中でも強調されています。
OKIのイノベーション・マネジメント改革においても、まさにこの点を重視しているため、大きな共感を覚えました。
イノベーション創出プロセスとYume Proプロセス
IMSの中には、イノベーション創出活動に関する標準プロセスが規定されています。これは、5つのプロセスとなっていて、①機会の特定、②コンセプト作成、③コンセプト検証、④ソリューション開発、⑤ソリューション展開という段階になります。イノベーション創出は、ノンリニアな活動となるため、必ずしも、①から⑤へ順々に進行していくものではありません。各段階の検証結果で仮説の裏付けが取れなければ、前のステップに戻って方向転換を考えることになります。
Yume Proでは、8段階のプロセスを置いていますが、このIMSガイダンスで示されている考え方と同じ思想で設計されていることが確認できました。
ISO 56002を共通言語に共創活動が進むことを期待
ISO 56002に盛り込まれているIMSのほとんどの内容は、既にOKIのイノベーション・マネジメント改革に織り込まれています。今後、同じ思想に基づくイノベーション・マネジメント手法が広まれば、共創活動もより円滑に進められると期待しています。
昨今、OKIの取り組みを聞かせて欲しいという企業やマスコミからの問い合わせ、シンポジウムやセミナーでの講演機会も増えています。ISO 56002採択をバネに、Yume Proの取り組みをさらに加速させていきたいと思います。
(2019年8月5日、チーフ・イノベーション・オフィサー(CINO)横田 俊之)