『CINO ism Vol.59』
IMS(Yume Pro)の実践ノウハウを提供し、
お客様とともにイノベーションを加速させる「IMS支援サービス」。
(右)青木聡 部長(イノベーション推進室 IMS企画チーム)
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OKIは、2025年7月にイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準規格ISO 56001の認証を取得しました。そして、同年9月には、OKIのIMS「Yume Pro」の実績を体系化し、実践ノウハウをベースに、企業のイノベーション推進体制の構築をサポートする「IMS支援サービス」の提供を開始しました。
このリリース間もない新サービスについて、藤原常務理事(CINO、CDO兼イノベーション推進室長)、同推進室の青木部長(イノベーション推進室 IMS企画チーム)にお話を伺っていきます。
実践知に基づくOKIの「IMS支援サービス」の強み
――OKIの「IMS支援サービス」がスタートしましたが、他が提供する類似サービスとの差別化ポイントは?
藤原おかげさまで、今年9月のプレスリリース以降、想像以上に大きな反響をいただいています。多くのリアクションをいただけているのは、国内でIMSやISO 56001認証取得を本格的にサポートできるサービスが、まだあまり存在していない証だと感じています。
IMS関連のサービスとして、私たちが把握している限りでは、OKIの「Yume Pro」活動を長年サポートしてくださっている一般社団法人 Japan Innovation Network(以降:JIN)の研修プログラムがあります。JINで提供されているサービスは、IMS理解・構築・成熟を主な目的とした、国際規格に則ったより学術的・実務的なアプローチが特徴ですが、OKIの「IMS支援サービス」は、「Yume Pro」で培ってきたカルチャー改革やイノベーション人材育成のノウハウを活かした、より“実践的な伴走支援”が強みです。目的もスタイルも異なるため、双方のサービスは棲み分けができていると思います。実際、JINとはお客様からのご相談内容に応じ、互いのサービスをご紹介し合うなど、協力関係を築いています。
また、大手メーカーでも類似の支援プログラムを提供しているケースはありますが、それらはIMSとは直接関係のない“デザイン思考による新規事業創出”に特化したものが中心です。そのため、当社のサービスとは競合しないと考えています。
カルチャー改革から始まるイノベーション
――企業の文化改革のために、具体的にどのような支援を行っているのですか?
藤原いま日本は、産業構造が大きく変わる転換期にあります。特に、長年既存事業で成果を上げてきた老舗企業の経営者の方々は、これからどう成長していくべきか、不安を抱えていると思います。OKIも同様で、かつての基幹事業だった交換機、プリンター、ATMといった市場の縮小に直面し、経営トップが強い危機感を持ちました。その上で、受注開発型ビジネスから、デザイン思考を軸とした提案型ビジネスへと転換するために、IMSの導入を決断しました。
つまり、イノベーションや新規事業を生み出すために必要なのは、長年培われた企業文化そのものを変えていくことが必要になってきます。そして、経営層の強い変革の意思を社員全員で共有できるような環境を整えることが欠かせません。私たちは、その仕組みづくりをしっかりとサポートしたいと考えています。
しかしながらいざ改革を推進するとなると、既存事業で成功体験を持つ中堅・ベテラン社員の意識改革を促すのは容易ではありません。私たちも大変苦労しました。2‐3年先を目標に粘り強く伴走支援していくつもりです。
余談ですが、つい最近、渋谷のカフェで学生風の若い男女数名が“デザイン思考による社会課題の解決”について真剣に議論しているシーンに遭遇しました。最近では、デザイン思考やSDGsなどをカリキュラムに組み入れている学校も多いと聞いています。それらを学んだ若い人材が次々に社会に巣立ってくると、日本企業の文化改革も一気に加速すると期待しています。
青木OKIの「IMS支援サービス」では、A)企業文化改革支援、B)イノベーション人材育成支援、C)イノベーション実践支援という3つのメニューを用意しています。中でも、イノベーションの要となるのが企業文化改革です。そのため、企業文化改革支援では、お客様の各組織・各階層のキーマンの方々へインタビューやアンケートを行い、イノベーションに関する現状把握と課題の見える化を行います。そこから、お客様の文化やプロセスにあった効果的な施策にブレイクダウンしていくわけですが、その際にOKIが実践してきたアイデアコンテストやダイアログなど、実効性のある具体的な施策を参考に、一緒に考えていく“コンサル的なサービス”からスタートします。これらは、単なる研修メニューとは一線を画すサービスだと自負しています。
デザイン思考とIMSの融合が生む、実践的なイノベーション支援
――従来の研修メニューと一線を画す「IMS支援サービス」の具体的な特長は?
青木OKIのIMSである「Yume Pro」で得た経験やノウハウを反映し、“より実践的な学び”を提供している点です。
まず、イノベーション人材育成支援では、デザイン思考の基礎を学んだうえで、現場ヒアリングを通じた課題探索や仮説検証など、一連のプロセスをワークショップ形式で体験していただきます。受講者自身が手を動かしながらビジネスモデルの構築まで進めるため、机上の理論にとどまらない実践力が身につきます。
イノベーション実践支援では、お客様の新規事業プロジェクトに対し、IMSやデザイン思考に精通したOKI社員が伴走しながら支援します。事業構想が具体化してきた段階では、共創ワークショップを行い、OKIとの新たな価値創出へとつなげていきます。
藤原このように多角的な取り組みを内包するOKIの「IMS支援サービス」の一番の特長は、新規事業創出を成功させるために欠かせない“企業文化そのものの変革”から伴走していく点です。仕組みづくりだけでなく、カルチャーや社員の意識改革から人材育成やイノベーションの実践まで、トータルに支援できることは、大きな価値だと思います。
リリース直後から想定外の手応え
――リリース後の反響と、今後の事業展望は?
藤原リリースからわずか2カ月あまりで、業種を問わず約20件のお問い合わせがあり、そのうちすでに5件は受注につながっています。冒頭で述べた通り、想定を大きく超える手応えです。今年7月のISO 56001認証取得が、非常に効果的なPRになったのだと感じています。
青木お問い合わせの入り口は、当社社長によるトップセールスから、OKIが主催・共催するイベントへの参加企業様や講演(配信・リアル)をご覧になった企業様などが多数を占めており、想像以上の反響に嬉しい悲鳴を上げている状況です。
サービス自体はスタートしたばかりで、私たちも試行錯誤を重ねている段階ですので、明確な売上目標などはまだ設定していません。今後もプログラム内容のブラッシュアップを続けながら、より高品質なサービスへ進化させていく予定です。
藤原もちろん収益面も大切ですが、このサービスにはそれ以上の効果を期待しています。ご利用いただくお客様には、共通言語で共に新ビジネスを創り上げることになるため、自然と信頼関係が深まり、共創しやすい環境が生まれます。その結果、新しい事業が生まれれば、OKIにとってもお客様にとっても大きなメリットがあります。
また、リリース後には、これまでOKIと接点がほとんどなかった業種のお客様からのお問い合わせも複数寄せられており、新規市場の開拓という点でも期待しています。
私たちは、この「IMS支援サービス」を通じて、お客様とWin-Winの関係を築きながら、共に社会に貢献する新しい価値を創り出していきたいと考えています。
【関連リンク】
・IMS支援サービス:https://www.oki.com/jp/yume_pro/IMS/consulting.html
・プレスリリース:https://www.oki.com/jp/press/2025/09/z25034.html
(2025年12月19日 藤原雄彦 常務理事(CINO、CDO 兼 イノベーション推進室長))





