OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
「OKI対外接続システム」は、自社内での単独サービスだけでなく他社提供のサービスとも連携してサービスを提供することで、幅広い商品の売買の実現を可能にする、金融機関向けのシステムです。今回、インターネットバンキングサービスや顧客情報システムなど他の既存システムとのAPI接続を可能にする「SDBC」とを組み合わせたゲートウェイシステムとして採用いただきました。
みんなの銀行は、口座開設からATM入出金、振込などすべてのサービスをスマートフォン上で完結できる、デジタルネイティブ世代に支持される銀行サービスの実現を目指して2019年8月に設立され、2021年5月に一般開業しました。勘定系システムはパブリッククラウドであるGoogle Cloud上に構築され、API(※3)を活用した、先進的な次世代バンキングシステムを構築しています。
その実現において課題となったのが、銀行業務サービスを行う上で必須となる対外接続インターフェースの安全かつ早期の構築です。銀行サービスを提供するためには、自行の勘定系システムと、金融機関相互の国内為替取引をオンライン処理する「全銀システム」、クレジットカードを中心とした共同利用型のオンラインシステム「CAFIS」(Credit And Finance Information Switching system)、および提携先金融機関の振込先口座確認に必要な「統合ATMスイッチングサービス」との接続が欠かせません。開業まで約2年という短期での立ち上げを目指す同行には、限られた期間で安定・高品質なシステム連携を実現することが求められました。
株式会社みんなの銀行
デジタルサービスマネジメントグループ
シニアマネージャー
稲倉 直也氏
これを解決したのが、「OKI対外接続システム」と「SDBC」を組み合わせたOKIのゲートウェイシステムです。みんなの銀行 デジタルサービスマネジメントグループ シニアマネージャーの稲倉直也氏は、対外接続システムのベンダーにOKIを選定した理由について、次のように話します。「対外接続は先方の仕様に対する細かな対応が求められ、かつ決済に関与するためミスが許されません。OKIの対外接続システムは金融機関で多くの実績とノウハウがあり、加えて当行の特長であるAPI連携についてもネット銀行での支援実績が豊富。実現のためのパートナーとして最適との判断で、OKIを選定しました」。
こうして2019年4月、みんなの銀行のシステム開発・保守を担う、ふくおかフィナンシャルグループのシステム開発子会社であるゼロバンク・デザインファクトリー株式会社(以下、ZDF)とアクセンチュア株式会社がGoogle Cloud上に勘定系システムを構築し、その対外接続部分をOKIが担うという布陣でのプロジェクトがスタートしました。
今回採用された「OKI対外接続システム」は、従来型のプロトコル変換ゲートウェイ機能に加えて制御機能や電文変換機能、さらに監視や運営機能、業務支援の機能も備えた高機能型接続システムです。全銀システムをはじめとした決済インフラとの連携を容易に実現できることに加えて、永続的なサービス提供と、運営のための行内業務負荷を軽減する効果をもたらします。また、「SDBC」は既存システムとスマートフォン、SNSアプリ間をREST/JSON形式(※4)のAPIなどを用いて中継。金融機関と外部事業者間の安全なデータ連携を可能にする「SDBC for オープンAPI」ソリューションとして、お客様へのスマートフォンアプリを通じた高付加価値サービス提供を安全・短期間で実現します。
株式会社みんなの銀行
システムデザイングループ
シニアマネージャー
小田 隆之氏
みんなの銀行 システムデザイングループ シニアマネージャーの小田隆之氏は、構築プロセスにおけるOKIの役割と対応について、次のように話します。「外部接続システムの開発において、OKIには外部接続に求められる各センター側の細かな仕様対応を吸収いただき、勘定システム側の開発を行うZDF、アクセンチュアとも緊密に連携していただきました。中でも、各種の接続試験フェーズは工数、スケジュールともにかなりハードでした。その間は朝と夕に1日2回、進捗と課題を共有することで、遅滞なく進めることができました」。
ゼロバンク・デザインファクトリー株式会社
Engineering Division
シニアマネージャー
米倉 誠氏
本プロジェクトでインフラ構築を担当したZDF Engineering Division シニアマネージャーの米倉誠氏も「途中、統合ATMスイッチングサービスとの伝送制御試験において電文の仕様における問題が発覚し、原因の究明に非常に苦労しました。OKI側で調査、調整いただき、無事にクリアすることができました」と語ります。
2021年1月からの本番環境での試験運用を経て、みんなの銀行は予定通り同年5月28日に一般開業を迎えました。その後も本システムは大きなトラブルもなく、安定稼働を続けています。
みんなの銀行 アプリ画面
小田氏は本プロジェクトにおけるOKIの貢献を、次のように評価します。「OKI対外接続システムはゲートウェイとしてのプロトコル変換、制御だけでなく、複雑なセンター側との電文を当行のシステムに合わせて変換してくれる機能を備えており、加えて業務支援機能により勘定系で開発する内国為替関連の行員向け操作画面点数も7~8割近く削減できるなど、開発工数と期間の削減に大きく貢献しました。また、開発途中でユーザーおよび行員の利便性を考慮した仕様変更が何度も発生しましたが、その都度OKI側でうまく吸収いただきました。OKIスタッフの皆さんは経験豊富で、仕様に明文化されていない金融業界ならではの暗黙知に至るまでを熟知して対応いただき、安心してお任せすることができました」。
米倉氏は「構築後の保守においてもOKIには常に迅速に、丁寧に対応いただけて満足しています。今後はさらなるメンテナンス性の向上に期待しています」と語ります。
最後に稲倉氏は、今後の展開とOKIへの期待を次のように結びました。「当行では今回構築したシステムをもとに、コンシューマーにご利用いただいている『みんなの銀行アプリ』の金融機能やサービスをビジネスパートナーの皆さま向けにAPIを通じてご提供するBaaS(バンキング・アズ・ア・サービス)を推進しています。その中ではさまざまな機能拡張が求められますので、今後もOKIには金融DXを推進する、さまざまなソリューションやサポートの提供と共創を期待しています」。
2022年3月掲載