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取り組み2023年06月10日

『CINO ism』「中期経営計画 2025」を達成する全員参加型イノベーション 代表取締役社長 森孝廣×執行役員 イノベーション責任者 藤原雄彦

当記事は、2023年7月に取材・執筆されたものです。
当記事に掲載されている所属、役職等は取材・執筆当時の情報です。

OKI 森社長(左)と藤原執行役員(右)
OKI 森社長(左)と藤原執行役員(右)

OKIは、2023年5月に「中期経営計画2025」を発表しました。2025年のさらにその先を見据えた新たな価値の創造に向け、Yume Proを活用した「全員参加型イノベーション」の実践をさらに加速していきます。
そこで今回は、経営トップとして「成長への舵切り」を掲げ、OKIの変革に挑戦する森孝廣代表取締役社長執行役員 兼 最高経営責任者を迎え、対談を行いました。対談では、将来事業の創出やイノベーションのグローバル化、それを実現するカルチャー改革について熱い想いを込めて語りました。

中期経営計画2025に込めた想いと、イノベーション実践

「中期経営計画2025」(以下、中計)のテーマを一言で表現すると、「OKIを変えていく」ことです。振り返ると、ここ数年OKIの業績は縮小均衡状態が続いています。コロナショック、サプライチェーン問題により、さらに状況は厳しくなりました。この状況を打破するには、「成長への舵切り」が必要不可欠です。
OKIは企業理念のとおり、「進取の精神」をもって情報社会の発展に寄与する商品やサービスを提供し、世界の人々の快適で豊かな生活の実現に貢献してきました。今こそ、先進的な価値を生みだすOKIのDNAを活かし、新しい事業の創出へ挑戦していかねばなりません。
ただ、「事業の創出」というのは、言うは易し、行うは難しです。一部の天才が成し遂げることはありますが、それは持続的ではありません。そこで、OKIでは2017年よりイノベーション活動を全社で継続してきました。この活動は今回の中計だけでなく、OKIの将来に向けた大きな礎になると信じています。また、今こそ普及から実践への「モードチェンジ」の時です。そうした中で、社内のイノベーション部門の立ち位置も"推進役"から"主体的な事業側"に方向転換し、事業化に向けた活動を加速していきます。
もうひとつ、重視しているのが"カルチャー改革"です。事業を立ち上げ、業績につなげていくことは当然重要です。一方、OKIの縮小均衡状態の背景には保守的な企業カルチャーがあります。イノベーション活動は、カルチャー改革への大きな原動力になるだろうと考えています。物理的な観点での事業と、精神面でのカルチャー改革の両輪で、中期経営計画を実現していきます。

森代表取締役社長執行役員 兼 最高経営責任者
森代表取締役社長執行役員 兼 最高経営責任者

イノベーション事業開発センターの役割

藤原OKIのイノベーション部門は昨年度まで、研究開発と事業開発を融合させたイノベーション推進センターとして活動を続けてきました。今年度からはイノベーション事業開発センターとして、SDGsの達成期限である2030年、そしてOKIが150周年を迎える2031年に向け、将来事業の柱を創っていく実践モードにギアを変えていきます。大きな変化は、真の顧客課題を見つけ、機会を特定し、コンセプトを明確化してから商品化する。仮説立案~商品開発~お客様への納品までを一気通貫で実行していくことです。
イノベーション事業開発センターの役割は、大きく3つあります。
1つ目は、事業創出です。新規事業のアイデアを出すだけではなく、実際に事業を生み出し成果を出していきます。こちらは短期~中長期に向けたKPIも設定しています。
2つ目は、グローバル化です。事業を創出する中で、海外展開も同時に進めます。これはグローバル推進本部と連携していきます。
3つ目は、企業カルチャーを改革することです。全社のイノベーション推進を、これまで以上に強化し、実践に繋げていきます。

※イノベーション事業開発センターが取り組む将来事業についてはこちらの記事で詳しく解説しています。

イノベーションのグローバル展開と人材育成

私は、「海外展開=イノベーション」だと考えています。これから10年、20年、さらにその先にもOKIという会社が存在し続けるには、海外展開なくしては考えられません。それは、既存領域であるATMやプリンターの領域ではなく、新しい領域です。それを長期的に試行錯誤をする中で、カルチャーや事業のスタンス・スタイルも変わってくるはずです。それを実現するには、グローバル人材の育成は避けて通れません。グローバルでの事業展開と人材づくりが同期するように、我慢してでも辛抱強く取り組んでいきます。
これまでは国内メインで進めてきたイノベーション活動も、海外拠点を巻き込んで進めていくべきです。これは単純に海外拠点の社員を教育訓練するのではなく、彼らから得られるものを積極的に国内にも取り入れ、相乗効果を生み出して欲しいと思います。文化・風習・考え方・ビジネスモデルがまったく異なる人がイノベーション活動に加われば、多くの刺激を得られるはずです。

藤原OKIはこれまで、SDGsを重視してマテリアリティ(重要課題)を設定してきました。ご存知の通り、SDGsは日本国内だけではなく世界で議論された開発目標です。つまりOKIが取り組んでいる社会課題は、海外でも通用するものがあります。たとえば自然災害、ヘルスケア・医療、物流などの課題は、共通しているポイントがあるはずです。これを、各国・各リージョンでマーケティングして、販売会社とも議論をしながら、機会の特定や顧客の観察を進めていきます。その際は、森さんのお話しの通り、海外拠点のメンバーとも徹底的に議論していきます。

カルチャー改革とイノベーション活動の自分ゴト化

イノベーションを創出する上で、仕組みやプロセスは当然大切ですが、それだけでは足りません。私の経験値からいうと、エネルギーや魂がないところにイノベーションは興りません。カルチャー改革も同じで、仕組みだけでは実現できません。
イノベーション活動がカルチャー改革の原動力だという話をしましたが、そこには「積極性」「創造性」「関係性」の3つのエッセンスが必要だと私は考えています。「関係性」というのは、枠組みを超えたところでの人との関わりのことです。部門、会社、既存の顧客基盤を超え、大きな世界で関係性をつくらなければなりません。こういった活動を行っていくと、自ずとカルチャーも変わっていきます。
これまでの活動により、原理原則であるイノベーション・マネジメントシステム(IMS)は浸透してきました。今後は、それを自分ゴトとして捉えられる社員を増やしていくことが重要です。現場を回ってみると、場所によってはまだイノベーションを自分ゴトとして捉えられず、縁遠いものだと感じている社員もいます。しかし、日常業務の改善活動も広義にいえばイノベーションそのものです。そうした認識を隅々にまで浸透させ、仕組みや制度に魂を入れていけば、全員参加型イノベーションをさらに推進できるのではないかと考えています。

藤原自ら動いていく人材を創るには、IMSの浸透はもちろん、イノベーションの実践者をサポートする「加速支援者」の存在も不可欠です。新しい事業を形にすることは容易ではなく、何度も試行錯誤を重ねていくことになります。だからこそ、伴走する支援者が重要です。私たちとしては、実践モードの中でアイデアをアイデアのままで終わらせないようにしていきたいと考えています。
たとえば「Yume Proチャレンジ」で数年前はブレイクできなかったアイデアも、もしかしたら数年後には市場が求めるようになっているかもしれません。意志を持ってイノベーションを進めようとしている人は、引き上げて一緒にやっていきたいと思います。そのためにも、森さんがおっしゃったようにイノベーションを自分ゴトにできる人の数を少しずつ増やしていきたいですね。

藤原執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当
藤原執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当

経営層と現場社員が直接対話する「イノベーション・ダイアログ」

藤原"自分ゴトにする"という観点では、社長をはじめ、経営層と社員がイノベーション活動や現場の悩みなどについて語り合う「イノベーション・ダイアログ」は社員からの反響も大きいですね。

非常にいい取り組みだと思っています。私が一方的に話をするのではなく、社員との双方向でのコミュニケーションにより、どんなことを考えているのか、どういう課題を感じているのか、教えてもらえる場だと思っています。新しい視点やアイデアなど、勉強させてもらうことの方が多いですね。双方向というのは大きなキーワードですが、1対1ではなくn対nというのが大事だと思います。こうしたコミュニケーションの積み上げこそが、カルチャー改革の本質であり、私がすべきことであると、身に染みて感じています。
こうした活動を、イノベーションという範疇にとどまらず実行し、とにかく社員との対話に時間を割いていきたいです。何をするにしても、想いが通じなければいけないので、そのきっかけとして直接の対話を行い、カルチャー改革の原動力としていきたいですね。

共創による新たな価値創出に向けて

共創に関しては、まだ幅が狭いと思います。オープンに広く情報発信を行っていくには体力も必要ですが、あまり視野を狭めてしまうとイノベーションは起こりにくくなってしまいます。そういった課題は、OKI全体にあると思います。
たとえば、お客様から「これがいいね」と言われると、どうしてもそちらに引っ張られ、自ら可能性を狭めてしまう傾向があります。近いビジネスの実現という観点ではいいのですが、一度そこをぐっと我慢して、引いて全体を見て欲しいです。パートナーシップに関しても、国内だけではなく海外に相手がいないのか、視野を広げてみるだけでも変わってきます。そういった見方で仕事を進めていくと、もっと大きく深く動きやすくなるはずです。

藤原おっしゃる通り、社員それぞれがチャンスを横に広げていくことを考えてもらいたいですね。私たちも、より幅広くOKIのイノベーションについて外に伝えていかねばならないと考えています。そうすれば、既存のお客様ではないところが、我々の価値を見出してくれるかもしれません。今回の中期経営計画2025も含め、社内外にどんどんプロモーションをしていきたいですね。

少し違う言い方をすると、狙いすぎているような気がします。「これだ」という道が1つ見えると、そこに絞りすぎていってしまうのがOKIの傾向です。私はその逆の考えで、これから世の中がどうなるのか分からないし、変わるかもしれないという前提で考えると、もうちょっと広く構えて、プッシュではなくプル型で相手を引き出してパートナーシップを組んでいくことがいいと思います。自分たちの想定しないところに潜在能力や価値が秘めているのではないかと想いを巡らせて発信をしていくと、もっとダイナミックに広がる気がしています。

全員参加型イノベーション"実践"の先に描くビジョン

藤原イノベーション責任者という立場でお話しすると、全社のイノベーション活動は継続し、加速させていきます。20代~30代の若い世代の方々はこの活動に興味を持つ人が多く、自ら考えグループを組み、新しいことを始めている社員もいます。そうした全社活動を進めながら、筋の良いビジネスを見極め、将来のOKIを支える事業を創り上げていきます。2030年、そしてその先の持続可能な企業になり得るための布石を、これから数年の間に打っていくためにも、強い意志を持って事業を成功させていきたいです。

イノベーション活動は、企業経営そのものだと理解しています。そう考えると、「イノベーション活動をするか・しないか」ではなく、イノベーションは企業活動の一環として当然必要なものです。私は、事業・人づくり・カルチャーが三位一体となることが理想形だと考えています。
その中で、必要なことは2つあります。
1つは、イノベーションを推進し難い環境を取り除くことです。
もう1つは、成功事例を出すことです。それこそ、実践モードですね。ただしこれは簡単なことではなく、2~3年で成果が出るとは微塵も持っていません。小さいものでも5年、10年がかりでビジネスモデルを検討しています。OKIがイノベーション活動を始めて5年が過ぎた今、そろそろ世の中に評価される事例を複数創っていかねばなりません。その覚悟を私ももちろん持っていますし、社員にも持って欲しいと思っています。実際、イノベーションには悪戦苦闘がつきものです。もしかしたら、楽しむ余裕もないかもしれません。それでも、心を燃やしてその世界に飛び込むことこそ、自己成長につながりますし、会社の成長も達成できるはずです。もし、社内に賛同者がいなければ、社外に賛同者を求めてもいいと思います。そういったダイナミックな考え方でやり切ることができるリーダーが、OKIの将来を背負ってくれると信じています。

CINOism特別編 対談動画[15分17秒]

対談動画に登場したOKIのイノベーションの取り組みの詳しい解説は以下の記事よりご覧いただけます。

  • 「加速支援者」に関する詳細はこちら
  • 「Yumeハブ」に関する詳細はこちら
  • 「イノベーション・ダイアログ」に関する詳細はこちら

(2023年7月10日、OKI執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当 藤原 雄彦)

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