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導入事例

2015年11月30日

国立大学法人 東京農工大学様

新手法によるGaN結晶成長に不可欠な排ガス処理装置を提供
同一装置で塩素とアンモニアを処理し環境対策に貢献

国立大学法人 東京農工大学様(以下、東京農工大学様)は、産業ガスの国内トップメーカーである大陽日酸株式会社様(以下、大陽日酸様)と産学連携プロジェクトを組み、LEDの基板などに用いるGaN(窒化ガリウム)結晶を成長させる仕組みとして世界初の手法を使った装置(バルクGaN成長用装置)の開発に取り組んでいます。この研究――GaN結晶の成長実験で排出される有害ガスの処理装置(Cl2/NH3スクラバー)を、OKIエンジニアリングが設計・開発。最先端の技術開発における環境対策を支えています。

農学と工学、さらにその融合分野も含めた教育研究活動を特色とする東京農工大学様は、研究重視型の科学技術系大学として“持続発展可能な社会づくり”のための課題解決も重要な使命と位置付け、さまざまな取り組みを行っています。

その一環として、企業や国・自治体など公的機関との連携に早期から力を入れてきました。各省庁が実施する科学研究費補助のための競争的資金への応募、産学連携などを積極的に推進した結果、教員一人当たりの科学研究費や共同研究件数、外部資金比率は日本のトップクラスを維持し続けています。

また、研究力や教育力のさらなる向上を図る策として2013年4月、「研究戦略センター」と「産官学連携・知的財産センター」を統合した「先端産学連携研究推進センター」を設置。研究開発および産官学連携の戦略調整、外部資金の導入促進、知的財産の管理・活用など多岐にわたる活動で、より強力な研究支援を実現しています。

背景・導入目的

GaN結晶を大幅成長させる「THVPE法」の実用に挑戦


東京農工大学
纐纈 明伯 氏

2013年7月に科学技術振興機構(JST)が実施する産学共同実用化開発事業(第1回)に採択された「THVPE法による高品質バルクGaN成長用装置の開発」は、東京農工大学様における産学連携の実績の1つで、現在進行形の研究プロジェクトです。同大学の理事 学術・研究担当副学長で先端産学連携研究推進センター長を兼務する纐纈 明伯(こうきつ あきのり)氏が代表研究者となり、大陽日酸様と共同で装置開発に取り組んでいます。

GaNはLEDをはじめ幅広い用途がある化合物半導体で、その基板結晶の製造方法として最も広く用いられているのが、高温で気体状の塩化物ガスから結晶を成長させるHVPE法(Hydride Vapor Phase Epitaxy:ハイドライド気相成長)です。塩化ガリウム(GaCl)とアンモニアガス(NH3)を原料にして、種基板上でGaN結晶を生成・堆積させていきます。

HVPE法は、結晶の成長速度が速いことなどのメリットがありますが、厚い膜の結晶ができない点が課題とされています。纐纈氏は、「HVPE法では基板結晶に必要な400μm~500μm(0.4mm~0.5mm)程度の厚さまでしか生成できないため、1枚ずつ製造することとなり、どうしても価格が高止まりしてしまいます」と解説します。

この課題を解決すべく考え出されたのが、GaClよりもGaN結晶を大きく成長させられる三塩化ガリウム(GaCl3)を用いたTHVPE(Tri-HVPE)法です。「目標は、THVPE法によって高速成長を実現し、シリコンの結晶引上げに相当するGaNのバルク材製造を実現する装置を完成させることです。これを実現すれば、シリコン基板の製造工程と同じようにスライスしてGaN基板を量産し、安価なコストで提供できるようになります」(纐纈氏)。

とはいえ、その装置開発においては、純度の高いGaCl3ガスの安定的な製造が難しいこと、GaCl3を用いた場合のGaN結晶の成長温度が約1350℃と高いため(GaClは約1100℃)に耐熱・断熱の工夫が必要なことなど、クリアすべき課題が多々あります。大陽日酸 グローバル・イノベーション本部 化合物事業部 技術部の山口晃氏は、「現在は、纐纈先生の指導のもとで検証を重ね、装置の改良・改善に力を注いでいます」と話します。

実績豊富なOKIエンジニアリングにCl2/NH3用スクラバー開発を依頼


大陽日酸
山口 晃 氏

今回のプロジェクトでは、装置開発のための作業に欠かせない付属装置も導入しています。それが、OKIエンジニアリングが開発した排ガス処理用のスクラバーです。「研究のメインはバルクGaN成長用装置ですが、排ガス処理の仕組みも環境への配慮として非常に重要です」と、纐纈氏は話します。

従来からのHVPE法によるGaN結晶の製造ではHClとNH3が排気されます。いずれの排ガスも水に溶けやすいため、無害化処理は比較的簡単です。しかし、THVPE法で排気されるのは塩素(Cl2)とNH3になり、水に溶けにくいCl2の適切な処理が必要です。纐纈氏は、「NH3用のスクラバーは一般的ですが、Cl2用のスクラバーは汎用製品がないので、どう手当てするかが課題でした」と振り返ります。設置スペースの関係から小型であることや、操作性の良さなども条件でした。

具体的なベンダー選定にあたっては、「まずは排ガスの処理方式について、燃焼式・湿式・乾式の3つの中から導入環境などを考慮して湿式を選びました。そのうえで、当社との連携も含む有害物処理装置の構築・運用実績の豊富さ、柔軟な対応力、アフターフォローの信頼度などを評価し、OKIエンジニアリングへ依頼することを決めました」(山口氏)。


バルクGaN成長用装置(HVPE)

システム概要・導入ポイント

2塔処理に加え操作性や保守の容易性も特徴に

東京農工大学様の要望を受けてOKIエンジニアリングが開発したCl2/NH3用装置は、設置スペースなども考慮し、酸性のCl2とアルカリ性のNH3を1台の装置で処理する“2塔処理”とした点が大きな特徴です。性質の異なる有害ガスの処理は通常、別々の装置を用いて行います。これを同一装置で処理できる構造にしたのは非常に特殊な例といえます。

また、今回はバルクGaN成長用装置の研究開発向けであることから、実験に合わせて薬品補充や廃液処理などを手作業で行うという条件だったため、操作の分かりやすさやメンテナンスの容易性にも十分配慮した設計を施しました。

スクラバーの設計・開発を進める過程では、屋内から屋外への設置場所変更や廃液処理に関する変更(外部業者への委託から施設内での中和・排水へ変更)などがありましたが、OKIエンジニアリングの柔軟な対応もあって計画通りに導入・設置を終えました。「これらの変更によって、結果的にはよりよい環境でスクラバーを運用できるようになりました」と、山口氏は話しています。

導入効果・今後の展望

実用段階を考慮した完成度の高さを評価


Cl2/NH3用スクラバー

Cl2/NH3用スクラバーは稼働から1年以上を経過して、トラブルなく運用が続けられています。装置を操作する学生や教員からの使い勝手に対する評価も上々です。

学内で年1回実施される長時間の工事停電の際も、緊急用電源で問題なく稼働しました。纐纈氏は、「最近は異常気象による突然の停電もあり得るので、非常時の対応をきちんと確認できたのは大きな安心感につながりました」と語ります。

さらに纐纈氏は、「今回のプロジェクトでは実用化後も視野に入れて、研究用というレベルを大きく越えた規模の装置開発に取り組んでいます。そうした趣旨に沿うように、付属装置という位置付けであるスクラバーも実用化を考慮した仕上がりになっていると思います」と評価します。

このプロジェクトの研究期間は2017年度までを予定しています。今後3年半ほどの間に目標達成――THVPE法を用いた高品質バルクGaN成長用装置が実用化されたときには、Cl2/NH3用スクラバーにもスポットが当てられることになるかもしれません。

国立大学法人 東京農工大学様 概要

社名 国立大学法人 東京農工大学
所在地 府中キャンパス 東京都府中市晴見町3-8-1
小金井キャンパス 東京都小金井市中町2-24-16
学長 松永 是
創立 1949年(前身となる内務省勧業寮内藤新宿出張所農事修学場・蚕業試験掛の開設は1874年)
在籍 学生数5,742名(うち学部生3,849名)、職員数650名(うち教員426名)
概要 農学部に5学科、工学部に8学科、大学院には2研究院・3学府および連合農学研究科を設置。農学部は府中市、工学部は小金井市にキャンパスを置く。世界に通用するイノベーション人材の確保・育成に積極的に取り組んでいる。
ホームページ http://www.tuat.ac.jp/

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