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取り組み2023年05月30日

『CINO ism』新体制で挑む「新規事業開発」と「全員参加型イノベーション」

当記事は、2023年6月に取材・執筆されたものです。
当記事に掲載されている所属、役職等は取材・執筆当時の情報です。

OKI藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発担当(左)、 イノベーション事業開発センター 加藤圭センター長(右)
OKI藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発担当(左)、
イノベーション事業開発センター 加藤圭センター長(右)

今回は、2023年度新たに新設された「イノベーション事業開発センター(IBC)」の加藤圭センター長との対談です。加藤センター長はこれまで、2019年度からイノベーション推進部門に関わり、2021年度からは新規事業創出と全社のイノベーション活動を私と共に推進してきました。昨年度までコストセンターだった「イノベーション推進センター(IPC)」から、プロフィットセンターとしてのIBCの具体的なミッションや方針、描くビジョンなどについて語り合いました。

売上目標だけでなく高品質・高信頼な商品の開発・提供も大きな責任

藤原2020年度からイノベーション推進センター(IPC)は、ビジネス開発と研究開発を一体化してイノベーション活動に取り組んできました。この4月の組織改正を機に、新規事業開発の加速および、全社イノベーション推進のさらなる強化を担うため、イノベーション事業開発センター(IBC)として再編成されました。そしてIBCは、事業部門の1つに位置付けられ、新規事業による売上貢献の任を託されました。同センターの部門長となって率直にどんな気持ちですか。

加藤単に数字目標をクリアするだけでなく、高品質・高信頼な商品を開発・提供していく責任もありますから、重要な任務に身が引き締まる想いです。
その一方で、旧IPCの活動では「コンセプト構築まで進めた案件を事業部門に引き継ぐ難しさ」を実感していたので、「Yume Proプロセス」を一気通貫でやり切れる体制になったことに、大きな期待とやりがいを感じています。

イノベーション事業開発センター 加藤センター長
イノベーション事業開発センター 加藤センター長

事業開発経験者をメンバーに加えYume Proプロセス完遂体制を強化

藤原前回の「CINO ism」でIBCの部門構成を紹介しましたが、人員や体制の変化にも触れていきましょう。マーケティング・SE部隊である「ビジネス開発部」には、事業部門や営業部門で新規の事業開発や商品開発を経験した人たちが異動してきましたね。

加藤はい。旧IPCで「コンセプト構築プロセス」に取り組んできたビジネス推進部のメンバーと合わせて、事業部門・営業部門からの新メンバーも加わりました。それぞれの強みを活かし、IBCとして事業化を目指す3分野――REMOWAYヘルスケア・医療物流・地域DXの各チームマネージャーを選出しました。
また、ビジネス開発部と連携して技術開発のマネジメントなどを行う「ソリューション開発部」には、Yume Proを知り尽くした旧IPCの研究開発部から、ロボティクスと行動変容の技術を手がけていたメンバーがアサインされています。彼らは、コンセプト構築における「コンセプトの検証」およびQCDを確保すべく「デザインプロセス」「デリバリプロセス」についても役目を担います。
もう1つの事業を担う「CFB(クリスタル・フィルム・ボンディング)開発部」は、以前からCFBの事業化に取り組んできた部隊をそのまま移し、当部門で腰を据えてYume Proプロセスを完遂していく体制になっています。

藤原新規事業化・製品化には研究開発/先行開発を担う技術本部との連携も必要です。技術本部ではこれまで通り、「Yume Proプロセスを使って研究開発を遂行する」ことを明言していますから、以前と変わらず同じ業務プロセス・共通言語で連携できますね。

加藤新体制では、全社横串の機能をもつ技術本部のリソースを縦串の各事業部が活用していくことになりますし、IBCも技術本部のメンバーとも一緒に活動していきます。同じイノベーションプロセスを共有した上で別々の組織になったことで、それぞれの強みが改めて明確になりました。我々が技術本部の得意なところを活かしながら新規事業化を進めていくことで、スムーズな連携ができるのではないかと思っています。

新規事業は開発段階からグローバル展開を見据える

藤原IBCでは、「新規事業のグローバル展開」もミッションの1つです。OKIはこれまでATMやプリンターで海外事業を行っていますが、イノベーションによる新規事業はゼロリセットで取り組むことになります。どのような展開方法を考えていますか。

加藤前提として「日本で成功してから海外へ進出する」という考え方はもうしません。「社会課題はグローバル共通で、日本に限ったものではない」という仮定のもと、コンセプト構築ができたものは国内と海外で並行してマーケティングを進め、海外でもチャンスがあると分かれば積極的に展開していきます。
具体的な活動については、営業部門の1つとして新設された「グローバル事業推進本部」と連携し、ATM・プリンターその他の海外販売拠点の人たちの協力も得ながら効率的に進めていく考えです。

藤原グローバルビジネス推進本部は、この取り組みを「海外版(グローバル版)Yume Pro」と呼んでいます。「Yume Proプロセスを海外市場で実践する」という意味合いですから、ここでもうまく連携していけそうですね。

イノベーションの全社実践を支える「評価制度」と「加速支援コミュニティ」

藤原IBCのもう1つのミッションが、「全社のイノベーション推進」です。前回の記事でも少し触れていますが、「全員参加型イノベーション」のさらなる実践に向けて、全社IMS第1版を本格運用しブラッシュアップしていくことが一番の命題です。

加藤昨年度末に完成した全社IMSの各種ドキュメントで、目標に掲げた「IMS Ready」の枠組みは作り上げることができたと思っています。ただし重要なことは、「枠組みを使ってどんなアウトプットを出していくか」です。

藤原つまり「実践モード」を全社に拡大・浸透させる"本格フェーズ"をいかに推進するかということですね。すでに社員の多くが研修などを通じてイノベーションに関する知識を習得しており、人事総務部の施策として、幹部社員の年間目標管理シートに「イノベーション」という項目が追加されました。実践=アウトプットに結び付けるための施策や、イノベーションへの取り組みをきちんと評価できる指標・制度の整備も進めなければなりません。

加藤たしかにそうですね。イノベーションへ活動に関する現場の悩みの1つとして「現業が忙しくて新しいことに取り組む時間がない」という声が多くあがっていますが、目標管理の中に「イノベーション」が明確に掲げられるので、そのための時間もきちんと確保されます。そうした業務現場の改革も、人事総務部と連携しながら推進していきます。

藤原イノベーション創出の成功確率を上げるにはビジネスアイデアの質を高め、そのためには加速支援者も育成・拡充していかなければなりません。従来から継続している「加速支援の強化」についてはどういった施策を考えていますか。

加藤昨年度まで「Yume Proチャレンジ」の応募アイデアへの加速支援などに協力してくれていた「Yumeハブ」メンバーや、「実践研修」修了者を集めたコミュニティを作っていました。その「加速支援コミュニティ」を、各社員が持っているビジネスアイデアをバックアップする横通しの組織として再定義します。社員から具体的な相談があれば、コミュニティが受け皿となり、テーマに適した人材やアイデアに共感するメンバーを組織の枠を越えてアサインし、加速支援をしていく仕組みを作ります。
併せて、コミュニティのメンバー個々のスキルや特性をアセスメントし、「このテーマならこの人たちをアサインできる」と提案できるようなチームとしてのポートフォリオも作りたいと思っています。

2030年までに新規事業で売上500億円以上を目指す

藤原新しく発表された「中期経営計画2025」の中には「成長戦略」の具体的な方策とともに、IBCが手がける新規事業分野の方針や計画が記載されていますが、もう少し中長期な視点での目標も聞かせてください。

加藤2021年1月に発表した「イノベーション戦略」では、SDG'sと同じ2030年までの事業創出のロードマップをまとめています。これはIBCが目指すところでもあります。
今年度からの新組織体制は、事業部を再編し、1つの事業部の規模が以前より大きくなっています。IBCも2030年までには、まずは売上500億円以上を目指したいですね。

藤原いいですね。目標を達成するために、まずはこの3年間でベースを固めましょう。そこで重要となるのは、仮説段階から商用化・事業化までのスケジュールを記した線表を徹底することと、お客様の課金ニーズを引き出すための試行錯誤――仮説を持ってお客様のところに通い続けることです。加藤さんには、部門のメンバーがそうした行動をしているか、線表通りに進捗しているか、目標を達成できるプロセスで現場が動けているかをきちんとマネジメントし、成果へとたどり着けるよう導いてほしいと思います。

加藤はい、まずは目の前の計画を実現できなければ将来はないという気構えでマネジメントしていきます。藤原さんもぜひ、折に触れてアドバイスをお願いします。また、お客様との共創に会社全体で取り組むような案件の推進、IBCの活動成果に関する社内外への情報発信などにも力を貸していただければと思います。

藤原もちろんです。IBCの行動や実績が、全社のイノベーション活動を牽引する事例となるのは確かですから、CINO兼IBC担当役員として共にマネジメントしていきます。加藤さんも事業部門の責任者としてどんどん前に出て、一緒にOKIのイノベーションを社内外に積極的にアピールしていきましょう。

藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発担当
藤原執行役員 イノベーション責任者兼イノベーション事業開発担当

(2023年5月30日、OKI執行役員 CINO兼イノベーション事業開発担当 藤原 雄彦)

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