CINO ism

『CINO ism Vol.64』セブン銀行とOKIが取り組む、共創ワークショップによる人財育成と今後の展望 -お客様視点と技術を融合し、イノベーション人財育成が未来の社会価値を切り拓く- 

2026年9月11日

(左) 小泉 温 (OKI 金融ソリューション営業本部 営業統括室長)
(左中)水村 洋一(株式会社セブン銀行 執行役員)
(右中)藤原 雄彦(OKI 常務理事 CINO兼イノベーション戦略室長)
(右) 村松 敦 (OKI イノベーション戦略室 IMS・教育推進チームマネージャー)

全国のセブン-イレブンをはじめ、ショッピングセンターや空港、駅、高速道路のSA・PAなど、28,500台超のATMネットワークを展開するセブン銀行。「ATM+」をコンセプトに、従来の銀行ATMの枠を超え、キャッシュレス決済やネット通販、行政・自治体サービスとの連携、多言語対応、ユニバーサルデザインなど、常に斬新なサービスを創出し続けています。
こうした「お客様視点」の価値創造を目指すセブン銀行と、デザイン思考を活用した共創を通じて社会課題の解決に取り組むOKIは、これまでIMS支援サービスにおける共創ワークショップ(以降:共創WS)を重ね、新たな価値創出とイノベーション人財育成に挑戦しています。
今回は、株式会社セブン銀行 執行役員でATMソリューションやオペレーションを管轄されている水村洋一氏をゲストに迎え、OKIの藤原常務理事(CINO兼イノベーション戦略室長)、共創WS担当の村松敦(イノベーション戦略室 IMS・教育推進チーム)、共創推進担当の小泉温(金融ソリューション営業本部 営業統括室)とともに、両社が共創WSを通じて築いてきた歩みや成果と、今後の展望について話しを伺っていきます。

デザイン思考がつないだ共創の原点

――OKIとセブン銀行が共創を始めた経緯は?
水村:弊社では2015年頃から、ATMを起点に社会課題の解決につながる新サービスや新事業の創出を目指すイノベーション活動「セブン・ラボ」を立ち上げました。その取り組みの一環として、2018年にオープンイノベーションによるアイデア公募を実施したところ、OKIから複数の興味深い提案をいただきました。それをきっかけに、「未来のコンビニATMはどうあるべきか」を両社で議論するようになりました。

藤原:2018年は、OKIがイノベーション・マネジメントシステム(IMS)を導入し、イノベーションを生み出す企業文化づくりに取り組む活動「Yume Pro」を始めた時期でもありました。セブン銀行の活動には、私たちが推進していたデザイン思考との共通点があり、さらにエンドユーザーに寄り添ったソリューション開発を実践されている点にも大きな魅力を感じ、弊社推進窓口(現:金融ソリューション営業本部)メンバーが中心となり、応募させていただきました。

水村:私自身、セブン銀行に入社して以来20年近くATM開発に携わってきましたので、ATMメーカーとしてのOKIの技術力、とりわけ紙幣搬送などメカトロニクス分野の高い技術には以前から信頼を寄せていました。そうした技術力と弊社の発想やサービス企画力を掛け合わせながらアイデアをブラッシュアップしていく中で、「これは新しい価値を生み出せるかもしれない」という大きな可能性を感じていました。

両社の想いが共鳴し、共創WSがスタート

――2020年度から定期開催を続けている両社の共創WSとは?
藤原:その後、OKIでは「全員参加型イノベーション」を掲げ、社員教育の一環として、組織や部門を越えた若手社員が集まり、デザイン思考を用いて新事業や業務改革のアイデアを創出するワークショップを始めました。その取り組みを社外にも広げたのが「共創WS」です。
セブン銀行とは2020年度から、両社から30名程度のメンバーが参加し「ATMを起点とした新たな価値創出」という最初のテーマを継承しつつも、金融だけでなく、美容やヘルスケアなど、市場視点での幅広い分野をターゲットし、新しいサービスの可能性を探っています。

水村:弊社でも、「セブン・ラボ」の活動は、若手社員を中心とした全社的な取り組みに発展させたいと考えていました。その意味でも、OKIとの共創WSはデザイン思考と同時に、OKIが実践されてきた「イノベーションプロセス」を学べる貴重な機会でした。
初回となった2020年度は、ちょうどコロナ禍の真っただ中でした。密を避けるため、運営事務局の配慮で参加者を2つの会場に分け、リモートとリアルのハイブリット形式での実施でしたが、そうした制約を感じさせないほど活発な議論が交わされていたことを、今でもよく覚えています。

村松:私は、共創WSの企画・運営とファシリテーターを担当しています。共創WSでは、両社のメンバーが混成チームを組み、デザイン思考に基づいて現場調査による課題探索からソリューション創出までを行い、議論を深めます。その過程では、ファシリテーターとして参加するOKIのベテラン社員から助言を受けながら、アイデアをブラッシュアップしていきます。
最後は、磨き上げたアイデアを両社の社長にプレゼンテーションします。そこで生まれたアイデアは、その場限りで終わるのではなく、実現可能性も含めて継続的に検討し、新たな価値創出につなげていくことを目指しています。

共創WSが育む、次世代イノベーション人財 

――共創WSを重ねることで生じた変化は?
藤原:大きな変化は、参加メンバーの年齢構成です。開始当初は、「セブン銀行のイノベーティブな若手メンバーと対等に議論するには、ある程度の経験やスキルが必要」と考え、デザイン思考を学んだ中堅社員を中心に参加してもらっていました。
その後、OKIでは社員教育を継続的に進め、デザイン思考を実践できる若手人財が着実に増えていきました。その結果、参加メンバーの平均年齢も徐々に若返り、現在では両社共に若手社員が中心となっています。

村松:一方、セブン銀行は若手社員が中心に参加頂き、皆さんが主体的に議論へ参加されるので、OKIのメンバーにとっても大きな刺激になっています。お互いの考え方やアプローチを学び合えることも、この共創WSの大きな価値だと感じています。

水村:弊社のメンバーにとっては、OKIからATMや関連技術について直接レクチャーを受けられることも大きな魅力です。技術的な知見を深められるだけでなく、異なる視点で物事を考えるきっかけにもなっています。
また、共創WSへの参加を通じて、新しいサービスや事業を企画する仕事に興味を持つ社員が増え、事業企画部門を志望するケースも見られるようになりました。人財育成という面でも、大きな成果につながっていると感じています。

学びの場から事業化へ、新たな挑戦が動き出す

――直近の活動は、より実践的になっているようですが?
藤原:共創WSを始めた当初の目的は、デザイン思考を学び、実践することでした。そのため、具体的な商品開発よりも、社会課題の探索とコンセプトを創造するプロセスに重点を置いていました。しかし、回を重ねるごとにアイデアの質が高まり、ここ数年は、OKIの社内アイデアコンテスト「Yume Proチャレンジ」へのエントリーを目指そうという機運が生まれています。社外パートナーとの混成チームで挑戦するのは初めての試みであり、共創WSの成果が次のステージへ進もうとしていることを実感しています。

小泉:私は共創推進担当として、2025年度の共創WSから携わりました。「Yume Proチャレンジ」への提案を見据えた非常に実践的な内容で、新しい気づきもあり、参加していて私自身20歳くらい若返った気分になりました。

藤原:このように共創WSから実際の商品化・事業化プロジェクトへ進む段階では、参加メンバーが安心して挑戦できる環境づくりが欠かせません。失敗を恐れずにチャレンジできる心理的安全性を確保しながら、長期的な視点でプロジェクトを支えるマネジメントが重要だと考えています。

水村:共創WSには毎回、弊社社長の松橋とOKIの森社長が参加し、若手メンバーの挑戦に大きな期待を寄せています。参加者にとっても、自らのアイデアや考えを経営層へ直接伝えられる貴重な機会になっています。共創WSの現場に立ち会っていると、弊社のメンバーがサービスの仕組みを考え、それをOKIのメンバーが技術面から支えるという役割分担が自然にできています。互いの強みを生かしながら、活発に議論を交わす姿を見るたびに、両社の相性の良さを実感します。この共創から、近い将来、素晴らしい成果が生まれることを大いに期待しています。

共創から未来へ、両社が描く新たな価値創造

――最後に今後の展望や方針は?
小泉:今後は、アイデアを生み出すだけで終わらせるのではなく、事業化を見据えた実践的なプロセスへと発展させていきたいと考えています。

村松:共創WSを、もっと身近で日常的な取り組みへと広げていきたいと思っています。また、セブン銀行との共創も、若手社員だけでなく、中堅層や経営層を巻き込みながら、階層別から見えてくる社会課題から組織全体で新たな価値を創り出す活動へと発展させていきたいですね。

水村:私たちはこれからも、弊社サービスを利用頂いているお客様視点と市場が求める市場視点で、価値創造を追求していきたいと考えています。AIやデジタル技術の進化によって便利な社会になる一方で、不安を感じる方も少なくありません。だからこそ、OKIの技術や知見と先見性を組み合わせながら、人の気持ちに寄り添い、安心感や温かさを与えられるサービスを生み出していきたいと思っています。

藤原:これからATMは、センサーやカメラを搭載しフィジカルAIによって、自律的にサービスを提供する方向に進化すると想定をしております。しかし、人の困りごとに気づくことは人にしかできません。今後の共創WSでは「人とAIの共存・共創」もテーマのひとつとして扱いたいと思います。

若手社員の熱意が冷めない両社の共創WSは、組織全体を巻き込む動きへ進化しています。デジタル化が進む現代だからこそ、セブン銀行様の「お客様視点」とOKIの「技術力」の融合が、近い将来「社会に安心と温かさを生み出す」と確信しています。「人とAIの共存・共創」を目指す両社の未来に、今後も注目ください。

【関連リンク】
・IMS支援サービス
 https://www.oki.com/global/ja/innovation/imsconsulting/

(2026年9月11日 藤原雄彦 常務理事(CINO 兼 イノベーション戦略室長))

※CINO:イノベーション責任者

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