OKI×東京大学の交通プローブ解析の共同研究成果が英文ジャーナルIJITに採択
OKIと交通プローブデータ解析で共同研究している東京大学 藤井准教授が第21回ITSシンポジウム2023で発表した論文が、2024年1月9日、International Journal of Intelligent Transportation Systems Research(IJIT)に採択されました。
掲載された論文では、精度向上と計算コスト削減を両立した動的ハイブリッド交通流シミュレーションを車両の流出・流入による複雑な分合流挙動のモデル化を必要とするインターチェンジやパーキングエリアなどの分合流部に拡張し、高速道路における渋滞の再現性向上について紹介しています。本技術により、分合流が生じる複数の路線を跨ぐようなシミュレーションでも高速かつ高精度で交通流を再現することが可能となり、今後シミュレーションを活用した大規模な道路交通網における交通流の最適化が期待されます。



ITSシンポジウム/IJITについて
ITSシンポジウムは特定非営利活動法人ITS Japanが主催し、工学領域にとどまらず社会科学分野をも融合した分野横断的な情報交換の場として、産学官の最先端のITS技術開発を紹介するとともに、若手研究者・技術者や学生の人材育成を目的に2002年より毎年開催されています。IJITはITS Japanが発行するITS全般をカバーする英文ジャーナルで、著名な海外研究者を編集委員に迎え、国内外の優れたITS論文を紹介しています。
藤井秀樹准教授の紹介
東京大学大学院工学系研究科システム創成学専攻 所属
マルチエージェント交通シミュレータADVENTURE_Matesを研究開発
岡山駅前路面電車延伸計画や国体での輸送計画などにおいてシミュレーションによる検証実績多数
論文タイトル/概要
Yo Imai, Hideki Fujii, Kengo Okano, Masaki Matsudaira, Takahiro Suzuki.
Development of Dynamic Micro- and Macroscopic Hybrid Model for Efficient Highway Traffic Simulation
Int. J. ITS Res. (2023).
これまでに著者らは、交通流シミュレーションにおける粒度の異なるマクロとミクロの2種のモデルの適用領域を、渋滞の発生や解消の状況に応じて動的に決定することで、精度を保ちつつ計算コストを下げる動的ハイブリッド交通流シミュレーションモデルを提案した。本研究では、さらにインターチェンジやパーキングエリアで発生する渋滞を正確に再現可能なモデルに拡張・改善することを目的としている。
特にミクロモデルについて、車間に応じた合流や加減速の判断を実装することにより、合流時の車両間の協調行動に対応した。提案モデルの検証では、実際の高速道路合流部における渋滞をシミュレーションによって再現し、渋滞長や渋滞開始・終了時刻が観測値とよく一致することを確認した。本技術を用いたシミュレーションにより、分合流が生じる複数の路線を跨ぐような大規模な道路交通網の応用が可能となり、交通流最適化による渋滞抑制効果の予測への活用が期待される。