OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ 彦根事業所内 新工場 S3-5
半導体洗浄装置をはじめ、半導体製造の重要プロセスで活躍する装置を製造する株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズは、2024年1月に同社彦根事業所内に新工場「S3-5(エス・キューブ ファイブ)」が開設し、同社の主力製品である枚葉式洗浄装置(※)を製造しています。
お客さまごとに1つ1つカスタマイズが必要となる同製品は、少量多品種生産という特徴があります。しかしその特徴ゆえ、取り扱い工程や部品が多く、各作業工程における問題点の見える化が難しいという課題がありました。同事業所では新工場設立に伴い、販売パートナーである水戸工業株式会社を通してOKIの「プロジェクションアッセンブリーシステム」を大規模導入。また、株式会社MujinのAGVと同システムの外部連携機能を使って繋ぎ、新工場全体の大きな生産プラットフォームとして、2024年2月より本格稼働を開始しました。
OKIの「プロジェクションアッセンブリーシステム」は、プロジェクションマッピング技術と画像センシング技術を活用し、生産現場における作業ミスのゼロ化と作業結果のデジタルデータ化によるトレーサビリティの確保、ボトルネック工程の可視化を支援する、組立ライン連携IoTソリューションです。スマート工場の実現を支援する「Manufacturing DX」の一環として、OKI自身のモノづくり現場におけるIoT活用実績やノウハウを活かし開発されました。
半導体が社会変革のコアデバイスとして進化している昨今、それを支える半導体製造装置メーカーは、新たな変化にタイムリーに、そして柔軟に対応できるモノづくり環境の整備が求められています。SCREENセミコンダクターソリューションズでは、2024年1月に同社彦根事業所内に新工場を開設し、半導体製造装置の生産能力増強・安定的な供給を目指しています。
株式会社SCREENセミコンダクターソリューションズ
びわこ工場 生産技術部
菊地 航太 氏
同社生産技術部の菊地航太氏は、「新工場開設にあたり、自社における生産現場での課題解決を果たす設備やシステムの導入が必要でした」と語ります。「我々の装置の特性上、非常に多くの仕様に対応するため、少量多品種生産に適したセル生産方式を採用しています。部品の種類や組み立ての順番が仕様ごとに異なることから、各セルの稼働状況の把握に苦労していました。また、ねじやナットなど、一目では見分けの難しい類似部品が多く存在し、正しい部品のピッキングに時間を要していました。その時、OKIのプロジェクションアッセンブリーシステムを知り、課題解決のソリューションとして採用を決めました」。
プロジェクションアッセンブリーシステムを使った組み立て[2分22秒]
菊地氏は、「プロジェクションアッセンブリーシステム」導入におけるポイントをこのように話します。「一番魅力に感じたのは、部品ごとに組み立ての工程を全て履歴として残せる、さらにはそれを動画で残せるところです。そして、他のソフトウェアや工場設備との連携のしやすさも魅力でした。たとえば作業手順書とプロジェクションアッセンブリーシステムを連動させることにより、作業者に対して部品のピッキング作業をタイムリーに指示ができるようになりました。また、プロジェクションアッセンブリーシステムを介して作業手順書とMujinのAGVシステムを連動させることにより、作業進捗に応じた最適なタイミングでの部品の供給が可能になりました。このようにプロジェクションアッセンブリーシステムを中心に、外部システムとの連携により生産性の高い工場にすることができました」と語ります。
株式会社Mujin
営業本部 名古屋営業部
アカウントマネージャー
河合 諒 氏
Mujinは、知能ロボットやAGVを中核に、製造・物流現場へ自動化を導入している総合オートメーションテクノロジー企業です。今回、AGV供給を担当した営業本部 名古屋営業部 アカウントマネージャーの河合諒氏は「今回のようにプロジェクションアッセンブリーシステムのような外部システムと連携させ、お客さまに使い続けてもらおうとすると、足りない機能の追加やブラッシュアップ、不具合の修正、導入前のサポート、導入後のサービスが必要不可欠になります。そのため我々は、お客さまのニーズに応え、使い続けていただくための体制作りに力を入れています」と語り、このようなお客さまの課題に寄り添ったフレキシブルな対応も欠かせない要素でした。
水戸工業株式会社
営業部 第8グループ
グループ長
新村 敏郁 氏
今回、作業台をはじめプロジェクターやカメラといった機器の手配、現地での工事にいたるまでの工程を、これまでもプロジェクションアッセンブリーシステムの販売実績がある水戸工業が対応しました。同社は、建機業界、自動車業界、半導体業界と幅広い領域のお客さまのモノづくり現場をサポートする技術商社です。
導入に至るまでの歩みを、営業部の新村敏郁氏はこのように語ります。「SCREENセミコンダクターソリューションズの生産技術メンバーの方とは、現在の生産設備や生産技術の改善だけではなく、製品に関わる新技術の研究開発現場での課題にも一緒に取り組んでいます。その中で、SCREENセミコンダクターソリューションズ びわこ工場の副工場長様からの"生産改善で成果を上げている工場を見学し、自社の参考にしたい"という要望を受け、OKI富岡工場の見学を提案し、プロジェクションアッセンブリーシステムを見ていただきました。実際に同システムを使った生産現場を見ていただくことで、作業棚のカスタマイズやシステム全体を自社に導入した場合のイメージをいただけたと思います。
その後も、採用に至るまでには仕様の異なる作業台を複数試作。ソフトウェアの機能確認だけではなく、作業台の寸法や工具の配置などを決めるために試作を何度も繰り返し、現場に持ち込みました。我々は、そういった作業台の試作は初めてだったのでプロジェクターやバーコードリーダーといった機器設定など非常に苦労しましたが、OKIの担当の方による迅速かつ丁寧な支援もあり完成させることができました。
採用決定後の導入段階では、機材や材質といった細かな仕様内容を反映していくことや、機材の配置に合わせた配線の最適化、主要機器の1つであるプロジェクターは作業環境に合わせて製品性能を比較し、最適な機種を選定しました。また、今回は非常に納入台数が多く、現場へ搬入後の作業時間を短縮するため、荷姿を工夫するなど細かな配慮も必要でした。このような過程において、我々は仕様の修正指示いただいた点をその場で即座に反映するなど、常にSCREENセミコンダクターソリューションズ様の頭の中にあるイメージを組み立てその場ですぐ"形"にすることに努め、十分な評価・修正・検証を行い今回の導入が完了しました。
そして、今こうして無事稼働が始まったことは、大変嬉しく思っております。運用が進むにつれて新たなカスタマイズのご要望もあるかと思いますので、引き続き支援していきたいと考えています」。
SCREENセミコンダクターソリューションズ 菊地氏とMujin 河合氏に、従来の課題や「プロジェクションアッセンブリーシステム」の魅力を語っていただきました。[7分58秒]
本格稼働が始まった今、菊地氏は本システムの使いやすさの理由をこう話しました。「このプロジェクションアッセンブリーシステムは、(OKIの)生産技術のエンジニアが作ったソフトだということを感じました。同じ目線を持ったエンジニアが作ったソフトであるからこそ使いやすいシステムになっていると思っています」。
また、最後に今後の展開をこう語り締めくくりました。「今回の導入を機に、現場の生産性向上および課題の見える化を進めていきます。新しく出てきた課題に対しては自動機導入などのアプローチで、さらなる作業効率向上・品質向上を狙っていきたいと思っています」。
同システムにおいてOKIは今後、品質証跡の拡充や大規模導入に対する各種設定の簡便化を推進し、生産現場での課題解決に貢献していきます。
2024年4月掲載