OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
日本たばこ産業株式会社(JT)
130以上の国と地域で製品を販売するグローバルたばこメーカー、JTグループ。たばこ事業に加えて、医薬事業と加工食品事業も展開しています。中でもたばこ事業は、ブランドを武器とした自律的な成長に加えてM&Aも活用し拡大。2022年よりスイス・ジュネーブに本社機能を設け、加熱式たばこなどの将来を見据えたイノベーションを続けています。
今回、同社は国内約70拠点の音声基盤をOKIのアプリケーションソフトウェア「Com@WILLソフトフォンスマート」とPBX/ビジネスホンにより全面刷新。従来の固定電話とPHSから、スマートフォンを主体とする仕組みに切り替え、場所に縛られない働き方への変革に、確かな手応えを感じています。
Com@WILLソフトフォンスマート
スマートフォン(iOS /Android™)にインストールすることにより、社内の無線LANまたは社外の携帯網(データ通信)を介して内線通話ができます。保留・転送も可能です。
日本たばこ産業株式会社
国内tobacco IT 次長
西脇 直氏
同社の音声基盤は、工場も含めて全国に展開する約70の拠点ごとにPBXなどの音声設備を設置。自席の固定電話およびPHSが、主要なコミュニケーション基盤でした。
これら従来環境における課題を、国内tobacco IT次長の西脇 直氏は、次のように話します。「従来の音声基盤は設備費・構築費が高く、故障やレイアウト変更などに伴う運用費も都度発生するなど、全体として多額のコストがかかっていました。また、拠点間通話が無料となる電話回線に加えて広域内線も維持しており、一部の利用者はPHSに加えて社給携帯を併用するなどの二重投資も課題でした」。
さらにもう一つの課題が、現行の設備は所属拠点内の音声通話を前提としたものであり、SaaS利用の拡大やテレワーク、社外とのコラボレーションといった働き方の変化に対応できない、という点でした。同社でも近年ではスマートフォンの利用ニーズも高まり、一部で社給しましたが、その利用は限定的でした。同社ではMicrosoft 365およびコラボレーションツールとしてMicrosoft Teamsの活用も進み、全社でのスマートフォン利用促進も求められていました。
これらの課題への解決策として、従来の音声基盤設備が2020年3月より逐次リース満了を迎えることも踏まえて、同社は音声基盤の刷新を決断します。西脇氏は、改訂プロジェクトのコンセプトを「3A:Anywhere(どこでも)、Anytime(いつでも)、Any Device(どのデバイスでも)」と掲げたとのこと。そしてその理由を、「多様化するワークスタイル、コミュニケーション経路や情報へのアクセス手段の多様化への対応として、いつでもどこでも自由でスピードを持ったコミュニケーションの機会を提供し、促進させること。さらに、社外を巻き込んだコラボレーションの実現のために、安心、安全に利用できる音声基盤の提供を目指しました」と話します。
日本たばこ産業株式会社
国内tobacco IT 課長代理
早川 瑞樹氏
そして同社は前述の要件をRFPとして、国内約70拠点を対象とした音声基盤改訂プランを複数社に提案依頼。さまざまな比較検討を経て、2019年11月、OKIのCom@WILLソフトフォンスマートとPBX/ビジネスホンの採用を決定しました。
数ある提案の中からOKIのソリューションを採用した理由を、西脇氏は次のように明かします。「当初はMicrosoft Teams の採用も検討しましたが、外線通話のためのライセンス費が高額であり、断念しました。そして、今回の改訂では社員のコミュニケーション端末をスマートフォンに集約、ダイヤルインの外線発着信および内線通話にも対応しました。固定電話は撤廃するものの、代表や部署ごとの電話、会議室や工場など施設に紐づく固定電話は残ります。また、順次入れ替えを行う間は従来のPHSによる通話も確保しなければなりません。こうしたことを踏まえると、PBX およびビジネスホンと、アプリケーションによるソフトフォンを1社で提供できる提案は、OKIだけでした。各社からクラウドPBXによる提案もありましたが、機能的な制約が多いこと、そして当社の6,000名近い規模感での利用では、コスト面でも非現実的でした」。
国内tobacco IT 課長代理の早川瑞樹氏は、選定にあたってCom@WILLソフトフォンスマートの音声品質も決め手となった、と次のように話します。「全社員が毎日使うものだけに、ソフトフォンの音声品質には特にこだわりました。各社の通話品質を音声品質測定ツールで比較し、もっとも音質が良く、遅延のタイムラグが少ないのがCom@WILLソフトフォンスマートでした」。
こうしてOKIソリューションの採用が決定した音声基盤改訂プロジェクトは、2020年3月にスタート。契約および設計プロセスを経て、折しも移転が決定した本社を皮切りに、全国約70拠点を順次、切り替えていくこととなりました。
2020年10月に誕生した東京・神谷町の新本社は、約1,300人が勤務。従業員がテレワークや出社など、働き方や働く場所を自律的に選択できる「ABW(※)」の考え方を採用。新たな事業アイデアやイノベーションの創出を目的として、従来よりもコミュニケーションが図りやすい、オープンな設計となっています。西脇氏は「ABWである執務スペースを移動しやすく、またテレワークなど社外にいるメンバーとも場所に縛られないワークスタイルを志向していますので、この新本社の稼働開始に合わせて音声基盤を刷新したかったのです」と話します。
同社はメーカーであるOKIおよび構築と運用を担当するOKIクロステックと共に、本社をはじめ、全国の拠点での電話の使い方を綿密にヒアリング。そこで重視されたのが、「従来の音声基盤の機能を可能な限り引き継ぐ」ことでした。西脇氏はその理由を「基盤を刷新していくら便利な点があったとしても、これまで固定電話やPHSで可能だった機能が一つでもなくなると、社員から不満の声が高まると考えました。もちろん、この機会に業務フローや回線契約などを見直し、不要なものは削減しましたが、従来の機能は、可能な限り再現したいとOKIにリクエストしました」。
たとえば、代表番号に着信した外線を取り次ぐ、場合によっては隣の島の電話にも応対するケースがありますが、その際のピックアップや保留、転送などが固定電話と同様にスムーズに行えるのも、Com@WILLソフトフォンスマートの特長です。早川氏も「各部署から事細かなリクエストが出て、当初はどこまで再現可能なのか不安もありましたが、OKI チームの皆さんの対応力と技術力はものすごく高く、ほとんど『できません』と言われることがなくて驚きました」と話します。
工場などでよく利用されるPHSを用いた構内放送のページング機能も、Com@WILLソフトフォンスマートは手持ちのスマートフォンから実施可能。西脇氏は「館内放送は昼休みのお知らせなどだけでなく、災害発生時の避難誘導などにも利用されますので、非常に重要です。IP-PBXと連携するCom@WILLソフトフォンスマートであればこうした機能要件も柔軟に対応でき、改めてOKIを選定してよかったと感じました」と評価します。
こうして2022年12月、国内約70拠点への配備が完了。工場を含めた全拠点の社員は、スマートフォンとCom@WILLソフトフォンスマートによる新たな音声通話基盤を、日々のビジネスで活用しています。
本プロジェクトの実施を、早川氏は次のように振り返ります。「計画時点こそ対面でしたが、実プロジェクト期間がまさにコロナ禍となり、OKIとOKIクロステックの皆さんとは連日、Web会議での協議となりました。さらに、緊急事態宣言で拠点への訪問ができず、途中、約9カ月間に渡ってプロジェクトを休止せざるを得ない事態となりました。加えて世界的な半導体不足でiPhoneほか使用機器の大幅な納期遅延や、電子部品を製造する国内工場の火災など、さまざまなトラブルにも見舞われましたが、OKIチームのプロジェクトマネジメントにより各ベンダーと綿密に協議、先行しての発注を実施するなどして、プロジェクトを完遂することができました」。
同社では今後、各社の状況に応じてグループ企業への展開も想定しているとのこと。最後に西脇氏は、本プロジェクトの総評およびOKIへの期待を、次のように結びました。「OKIのCom@WILLソフトフォンスマートを導入したことで、従来の音声基盤の機能を引継ぎつつ、SaaS利用の拡大やテレワーク、社外とのコラボレーションといった働き方の変化にも対応可能な音声基盤の構築という当初目標を達成することができました。設備の維持管理や内線工事といった運用コストの削減という効果も高いのですが、それよりも場所に捉われない働き方の変革に貢献したことが、経営から高い評価を受けました。当社ではコロナ禍の前から、オンライン・オフラインのどちらでも働くことができるハイブリッドなワークスタイルを推進しており、今回の音声基盤の刷新はまさにそのための、確かな足掛かりとなりました。これからも当社は、さらなるチャレンジを続けて行きます。OKIには持ち前の対応力と技術力を活かし、業務効率や生産性を高めるソリューションやサービスの提供に、期待しています」。
2023年8月掲載