OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
日本橋本社 建物外観
日本有数の大手総合商社である丸紅株式会社様(以下、丸紅様)は、本社ビル建て替えに伴う事務所移転を機に、電話システムの“自己所有”を見直し、OKIの提供する「EXaaS音声クラウドサービス」を採用。さらに携帯キャリアのFMCサービスを組み合わせ、システム運用の柔軟性向上、トータルコスト削減などの効果を引き出しています。
江戸時代の創業から150年以上の歴史を有する丸紅様は、生活産業、素材、エネルギー・金属、電力・プラント、輸送機の5グループに計18本部を設置し、幅広い産業分野でビジネスを展開。その事業エリアは67カ国・地域におよびます。
丸紅株式会社
情報企画部 総務企画課長
神尾 武美 氏
同社は2016年4月、竣工から40年余りを経た東京・竹橋にある本社ビルの建て替えを前提とした本社事務所の移転を発表。同年8月末に、東京メトロ東西線で2駅離れた日本橋駅に直結する東京日本橋タワーの新オフィスで業務を開始しました。
「本社ビル建て替えの具体的な計画はまだ決まっていませんが、新しいビルが完成すれば事務所も再度移転することになります」と、情報企画部総務企画課長の神尾武美氏は説明します。そのため今回の移転に伴う社内インフラ整備では、先々を見据えた柔軟性のある仕組みに目が向けられ、電話システムについても従来型PBXからIP化、モバイル対応、さらにクラウド化へと大きく舵を切ることとなりました。
丸紅様では早くから業務系や情報系のシステム基盤としてプライベートクラウドを構築し、近年はパブリッククラウドへ移行する取り組みも積極的に進めています。しかしながら電話システムは、「古くなっても日常業務で支障なく使うことができていましたし、入れ替えても機能面が格段によくなるものではないので、更新のきっかけがなかなかつかめませんでした。IP化しようという話もずいぶん前からあったのですが、そのタイミングをつかみかねていました」(神尾氏)。
事務所の移転はまさに好機でした。しかも、本社に先んじて2015年7月に大阪支社の移転が決まっていたことから、将来的な全社規模での電話システムの運用効率化も視野に入れた設備更新を検討することとなりました。神尾氏は「当初はIP-PBXを社内設置することも考えましたが、やはり“設備は持たない”という方針を電話システムにも当てはめることにしました」と、当時を振り返ります。
こうして、まずは大阪支社の新オフィス向けにクラウドサービスを比較検討。端末数が1,000台以下であることから、プライベートクラウドではなく迅速かつ容易に導入できるパブリッククラウドを選択したうえで、従来のPBX環境と端末の操作性が極力変わらないことやサービス内容の柔軟性などを評価し、OKIの「EXaaS音声クラウドサービス」を採用しました。
丸紅株式会社
情報企画部 総務企画課
小菅 馨 氏
本社の移転に向けた電話システムの検討においては、クラウド化を前提としつつも、最重要視したテーマは『ワークスタイル改革を実現するためのモバイル内線の導入』でした。情報企画部総務企画課の小菅馨氏は「具体的にはモバイルキャリアのFMCサービスとiPhoneを活用して、外出や出張時でもタイムリーに連絡が取れるようにすることで、社員が自席に縛られず効率的に働けることを目指しました」と説明します。
したがってシステム選定も、キャリア各社に提案を依頼する一方で、FMCサービスとの連携が可能なクラウド環境の構築について、OKIを含め複数のベンダーに提案を求めました。神尾氏は、「モバイルも含めた総端末数が5,000台超にのぼるので、この規模に適したクラウドをゼロベースから検討しました」と語ります。さらに、本社に導入するシステムによって今後の全社的な方向性が変わる可能性もあると考え、大阪支社でのOKIとのサービス利用契約をひとまず1年にとどめていたことも明かします。
とはいえ結果的には、FMCサービスとの親和性や機能・操作性、加えて大阪支社での実運用によって確認できた信頼性も評価し、「EXaaS音声クラウドサービス」を選ぶこととなりました。
新システムの正式採用を決めたのは2015年12月。この時点で事務所移転のスケジュールはまだ固まっていませんでしたが、構築に向けた準備は着々と進んでいきました。2016年2月には、大阪支社で利用するサービスを本社ビルに延長して作った音声クラウドの疑似環境とモバイルキャリアが用意したFMCサービスのデモ環境を連携させて本格的な検証作業を実施しました。
移転先での現場作業は、正式なゴーサインが出た2016年3月後半からスタートしました。ただ、「当然ながら内装工事の後に設備工事という順番なので、短い期間で作業を行わなければならず、スケジュール管理には特に気を遣いました」(神尾氏)。
新本社事務所のネットワーク設計・構築、固定電話機の設置場所の検討やファンクションボタンの仕様策定など種々の作業を進める一方で、モバイル内線に関しては、移転当日の混乱を極力避けるために既存のPBX環境と連携させる形でFMCサービスの利用を7月から開始しユーザーへiPhoneを配布しました。同時に計40回におよぶ説明会を実施し、モバイル内線への社員の習熟度を高めていきました。
社内の引っ越し作業は2度に分けて行われました。そのため、移行期間は本社ビルの固定電話機、新事務所の「EXaaS音声クラウドサービス」配下の固定電話機、iPhoneと3つの環境を結んで内線通話を可能にする必要がありました。また、社員個々の内線番号および外線ダイヤルイン番号の割り当ては移転後も変更しないこととしたため、新旧のシステム間・端末間での番号移行を段階的に行わなければなりませんでした。神尾氏は、「移転を進める過渡期でも“つながって当たり前”の電話環境をどう維持するかに苦労しました」と振り返り、さらに次のように続けます。「それでもエンドユーザーに迷惑をかけることなく事を進めることができたのは、現場でのきめ細かな作業も含めてOKIがしっかりサポートしてくれたおかげです」。
新本社事務所では「EXaaS音声クラウドサービス」の環境下にIP多機能電話機約1,000台のほか音声会議端末、回線収容装置(W-IPLTU)を介してFAXなどのアナログ端末を収容。FMCサービス用途のiPhoneは、総合職全員と一般職の計約2,400台を配布しています。
また、本社の電話システム更新に合わせて、通話品質の担保を狙いとした音声用IPネットワークも新たに構築。現在、新本社と大阪支社、コールセンターのある多摩センターの接続を完了しています。
「EXaaS音声クラウドサービス」の導入効果について、神尾氏は「システム運用にかかる負荷・コストの削減」を第一に掲げ、「クラウド化・IP化によって日常的な運用が柔軟に行えるようになりましたし、従来は人事異動のたびに発生していた配線張り替え工事や設定変更の手間も一切かからなくなりました」と説明します。そして、このメリットが将来、本社ビル建て替え後の事務所再移転時の大幅な負荷軽減にも結びつくと見通しています。
また、小菅氏は、FMCサービスとの組み合わせによる効果として「iPhoneからも固定回線経由で発信できるので、これまで通常の携帯回線を利用していた時と比べ、通話コスト削減、特に国際電話にかかる通話料の抑制につながっています」と話します。もちろん、内線にモバイル端末が加わったことで円滑なコミュニケーションが可能になり、業務の効率化にも寄与しています。「利用現場では、iPhoneを持つ社員が会議や移動中、休暇などで電話に出られないときに着信転送を設定して、部門の固定電話機で代わりに受けてもらうといった運用面の工夫もしています」と、小菅氏は付け加えます。
「本社がそうであったように、電話システムというのはなかなか刷新するきっかけがつかめないものですが」と、神尾氏は前置きしたうえで、「支社・支店はもとより国内のグループ企業も、個別のPBX環境から『EXaaS音声クラウドサービス』に統合していくことで、運用の効率化とコスト削減効果をさらに高めていきたい」と、今後の展望を語ります。加えて、iPhoneを端末とするFMCサービスに関しても、導入拠点を増やすことでスケールメリットを追求したい考えです。
そして、こうした展開を進める際にも「今回の本社でのシステム更新と同様に、テクニカルな面から導入現場のきめ細かな部分まで、OKIの最適な提案・サポートを期待しています」と、神尾氏は語っています。
2017年4月17日