OKIグループの商品・サービスにより課題を解決された
お客さまの声や、共創への取り組みをご紹介します。
金融機関では昨今、ATMやインターネットバンキングなどの利用増に伴い、個人のお客様に対するセールスやマーケティング活動の見直し、営業店窓口以外でのお客様対応の強化が重要なテーマとなっています。株式会社 千葉興業銀行様(以下、千葉興業銀行様)は、その実現手段として、ATM画面を通じてお客様ごとの属性に応じた情報提供を可能にするOKIのチャネル連携システム「ChannelNavigator2.0」を採用。店舗内外に設置した合計約420台のATMで、各種商品・サービスの案内をはじめとした有益な情報を個々のお客様に効率的に提供する仕組みを構築しました。
千葉興業銀行様は、地域の中小企業支援をモットーに“戦後地銀”の1行として1952年に設立、まもなく65週年を迎えます。以来、60余年にわたり、千葉県内を基盤として個人・法人のニーズや課題に応える多様な金融商品・サービスを提供するとともに、地域社会の活性化に寄与するさまざまな事業にも力を注いでいます。
また、かねてから自行の目指すべき姿として『コンサルティング・バンク』を標榜し、コンサルティング機能強化への取り組みを進めてきました。そして、2016年4月にスタートした新しい中期経営計画「コンサルティング考動プロジェクト2019」では、“コンサルティング考動(地域やお客様の真の課題・ニーズを突き止め、解決への答えを真剣に考え示す行動)の実践”をコア戦略に掲げ、3年後の「コンサルティング・バンクの確立」を目指しています。
千葉興業銀行 個人戦略部
個人企画室 室長
堀内 俊和 氏
「コンサルティング考動プロジェクト2019」では、目標達成に向けた重点課題として営業基盤および人材・組織基盤の強化に取り組んでいます。その1つの施策である組織体系の見直し(営業本部制の導入)によって、個人のお客様への接点強化を図るべく設置された個人戦略部 個人企画室 室長の堀内 俊和氏は、「新たな中期経営計画に臨むにあたって、セグメント戦略をもっとしっかりやっていこうと考えました」と語ります。
個人のお客様に関しては、ATMやインターネットバンキングの利用増によりFace to Faceで接する機会が少なくなったことが課題であり、お客様との接点をいかに増やし、個々のお客様に最適な商品・サービスをどう効率よく勧めていくかが重要なテーマでした。
そこで千葉興業銀行様は、利用率が最も高いチャネルであるATMに着目。ATM納入ベンダーであるOKIに「ATMコーナーに来られたお客様を窓口にうまく誘導する仕組み」について相談しました。それに対してOKIが提案したものが、ATMを通じてお客様へのプロモーションを可能にする「ChannelNavigator2.0」でした。
「ChannelNavigator」は、ATM、コンタクトセンター、インターネットなど金融機関のさまざまなチャネルとCRMシステムを連携させ、各チャネルを通じた情報収集やプロモーションなどマーケティング活動の効率化を実現するシステムです。その機能の1つとして、ATMの画面にお客様の属性に応じた商品やキャンペーン情報、金融機関からのメッセージなどを表示し、画面上のボタンをお客様がどう操作したかのデータを収集できる仕組みを提供しています。
堀内氏は、「ATMを使われているお客様に、その場で適切な情報提供、サービス提案を行えるということに、すぐに興味を引かれました」と振り返ります。また、個人戦略部 個人企画室の瀧口 樹氏は、「画面コンテンツの作成・更新や表示条件の設定を私どもで自由に行えると聞き、これなら効率的でタイムリーなプロモーションが行えると思いました」と語ります。先行導入している他の金融機関にも足を運び、実際の効用も体感することができました。
最終的に「ATMで用件を完結できるお客様を窓口に誘導することに必要以上の労力をかけるよりも、ATMをお客様との接点として有効活用していこう」と判断し、わずか1カ月ほどの2015年7月に、「ChannelNavigator2.0」の正式採用を決めました。
千葉興業銀行 個人戦略部
個人企画室 瀧口 樹 氏
9月から着手したシステム開発では、パッケージベースの機能に加え、標準設定では入出金時のみの情報表示を通帳記入時にも対応させるなどのカスタマイズも依頼し、「ほぼ希望に適うシステム仕様になりました」(堀内氏)。2016年2月にテスト、3月に試行を行い、4月から本運用を開始。店舗内・店舗外のATMを順次対応させ、6月初旬までに総計約420台への展開を完了しました。
画面コンテンツは、定期預金や投資信託、ローンなど各種商品の案内、「コスモスクラブ」という会員制ポイントサービスの紹介、ATM利用時の注意情報、取扱いのある宝くじ商品の情報など、2016年9月時点で計19種類を作成・登録。この中から、1カ月ごとに一定数のコンテンツを選定し、独自開発した既存のCRMシステムからのお客様データとリンクさせて適切なコンテンツを画面に表示しています。「毎月のコンテンツ選定は、各商品の担当者の意向、キャンペーン期間かどうか、時宜に適うものかなど、総合的に判断して優先度を決めています」と、瀧口氏は説明します。
また、お客様ごとに提供したコンテンツの履歴はCRMシステムにフィードバックしており、営業店やコールセンターなどにお客様から問い合わせがあった際にも、手元の端末で情報検索しスムーズな対応が行えるようになっています。
「ChannelNavigator2.0」の導入 により、お客様に対して情報提供できる新たな手段が加わったことで、「私どもがやれること、やりたいことの幅も広がりました」と、堀内氏はシステムの導入意義の確かな実感を語ります。瀧口氏も、「一人ひとりのお客様に効率的かつ柔軟に情報を提供できるメリットは非常に大きいと思います。手間とコストがかかるDMの代替として、すぐに設定でき、即効性があり、幅広くアプローチできる本システムの活用できる場面も出てくるでしょう」と語ります。
ATM画面の表示情報は商品・サービス案内にとどまりません。その具体例の1つが、2016年6月15日に千葉県および千葉県警と連携して実施した「STOP!電話de詐欺」キャンペーンです。当日は各営業店での振り込め詐欺防止の呼び掛けとともに、公的年金を受け取っているお客様がATMを利用した際に、還付金詐欺の注意を促すコンテンツを画面に表示しました。この話題はマスコミにも取り上げられ、報道を見た他行から問い合わせも寄せられました。
千葉興業銀行様では、キャンペーン以降も、年金が支給される偶数月の15日に、対象となるお客様のATM操作時に同様の情報表示を継続して行っています。
「ChannelNavigator2.0」の導入効果として一番に期待されるものは、各種商品・サービスの契約増です。この点について、「一部のローン商品の申し込みが伸びているとの情報が担当部門から届いてはいますが、システムの運用開始からまだ間もないので、データに基づいた効果測定はもう少し先になります」と、堀内氏は語ります。
瀧口氏は、ATM画面の表示情報に関して、「現段階ではすべてのATMで共通のコンテンツを提供していますが、当初からエリアや拠点ごとに表示情報を変えられるよう設定してもらっているので、今後は営業店別の案内情報表示なども組み込んでいきたいと考えています」と話します。
一方で堀内氏は、「営業店のスタッフから『(一人のお客様に対する)表示情報が多すぎるのでは』という指摘も受けています。私どもとしては『お役に立つ情報をたくさんお届けしたい』のですが、それが逆効果になる場合も考えて、情報のボリュームを調整する必要があると考えています」と語ります。
さらに、実運用の中で、システムをより有効活用するための機能改善・拡張の要望も生まれています。堀内氏は、「ATMを機軸としてお客様に付加価値を提供するアイデアはどんどん広がっています。それらを具現化する方策について、OKIには今後も、よきビジネスパートナーとして相談に乗ってもらいたい」と期待をかけています。
2016年10月14日