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取り組み
取り組み2022年12月06日

社会の大丈夫をつくっていく。お客さまと共に創る明るい未来 「OKI Innovation World 2022」を開催!(前編)

当記事は、2022年12月に取材・執筆されたものです。
当記事に掲載されている所属、役職等は取材・執筆当時の情報です。

オープニングトークで講演する森社長
オープニングトークで講演する森社長

2022年10月12日(水)、OKIのイノベーション活動を発信するイベント「OKI Innovation World 2022」を開催しました。本イベントは、東京ポートシティ竹芝にてリアル展示を行い、会場から講演のライブ配信を行うハイブリッド形式にて開催しました。リアル会場への入場者数は152名の満席(※1)となり、オンラインでの視聴数も1627回(2022年10月12日~2022年11月10日までの視聴回数)とご好評をいただいております。OKIの全員参加型イノベーションは普及モードから実践モードに進み、様々な共創事例が生まれています。今回は、イノベーションとDXの取り組みや事例を、共創パートナーを交えて紹介し、リアル会場では共創事例の展示も行いました。


※1 コロナ対策が十分に行える上での満席。人数制限を行うため、完全招待制

Opening Talk

お客さまと共に創る明るい未来

登壇者:代表取締役社長執行役員兼最高執行責任者 森 孝廣
冒頭、オープニングトークを行ったのは、代表取締役社長 森 孝廣です。森は、2018年より進めているイノベーション・マネジメントシステム(IMS)の国際標準規格であるISO 56002に沿った全員参加型のイノベーションについて語りました。課題は事業化の加速だとし、「普及モードから実践モードに進化するために必要なのは、リーダーの高い志とスピード感の2つである」と訴え、そして、ビジネス化に向けた意識改革と体制作りを進めるなかで生まれたイノベーション事例として、OKIの強みであるAIエッジ技術を活かす「インフラモニタリング(防災DX)」、「高度遠隔運用(リモートDX)」、「異種材料接合技術(CFB)」を紹介しました。また、DX新戦略のフラッグシップファクトリーとして、2022年7月より本格稼働開始した、「本庄工場H1棟」にも言及しました。さらに、「一燈照隅 萬燈照国」という言葉を示し、「多くの現場で培ったノウハウや技術をもってイノベーション活動として磨き上げ、皆様と共創を進めて輪を広げることが『萬燈照国』につながると信じています」と、イノベーションにかける想いを会場に熱く語りました。

Section1

新たな価値を共創する、DXと全員参加型のイノベーションの進化

Section1の様子
Section1の様子

モデレーター:一般社団法人Japan Innovation Network代表理事 紺野 登氏
パネリスト:専務執行役員デジタル責任者 坪井 正志
執行役員イノベーション責任者 技術責任者 藤原 雄彦

続いて、「新たな価値を共創する、DXと全員参加型のイノベーション進化」と題したトークセッションが行われました。登壇したのは、数々のイノベーションの現場を見てきたJapan Innovation Network代表理事 紺野 登氏。そして、OKI 専務執行役員デジタル責任者 坪井 正志、執行役員イノベーション責任者 技術責任者 藤原 雄彦です。

最初に、紺野氏から日本企業のイノベーションとDXについて、説明が行われました。紺野氏は国際経営開発研究所の調査結果を示しながら、バブル崩壊後の日本企業の競争力を奪っている要素はビジネスの効率性であり、経営のシステムが古くなっていると述べました。そして、「2019年にイノベーションのプロセスの国際標準規格ISO 56002が発行され、世界はイノベーション経営に向かっています」と言及。DXを推進するには、顧客体験、組織、事業の順番に変えていかねばならないものの、日本企業は事業から変えようとしていることが課題だと指摘しました。

紺野氏の指摘を受け、坪井は2022年6月に発表したOKIのDX新戦略について解説を行いました。この戦略は縦軸に「ビジネスモデル変革」、横軸に「生産性・競争力強化」を置いた4象限のアプローチで、左側が「内部のDX」、右側が「外部のDX」、下側が「効率性」、上側が「クリエイティブ」となります。坪井は、特に左側と右側が連携する時のキーワードを「外部化」だとし、「内部で持つビジネスプロセスを製品・サービス化してお客様に届けることであり、暗黙知を表出化するという発想です。そして、ここで重要なのは顧客のニーズ深掘りとパートナーとのアライアンスとなります」と共創の大切さを強調しました。

DX新戦略について説明する坪井専務
DX新戦略について説明する坪井専務

続いて紺野氏は、「全員参加型イノベーション」についての詳細を藤原に問いかけました。藤原は、OKIのイノベーション活動は、「複雑な社会課題を解決するためには、従来の受注開発型のビジネスモデルのままでは立ち行かない」という経営の危機感から始まったと述べ、ISO 56002に則った3つの文化改革の取り組みを紹介しました。(1)「経営層による文化浸透」として、社長と社員の対話であるイノベーション・ダイアログなどを行っています。(2)「社員の実践支援」としては、ビジネスアイデア実践コンテストであるYume Proチャレンジなどを実施。これまで累計500件を超える応募がありました。そして(3)イノベーション研修として、全員に対して基礎から様々なレベルの研修体制も整えています。

これを受け、紺野氏は「これからは大企業がイノベーションを行わなければならない時代です。そこで重視しているのは3点。1つは、イノベーションマネジメントは体系的に行わなければ持続性がないということ。2つ目は、業務の中に組み込まれていること。そして3つ目は、新しいことは既存事業からの反発が不可避なので、強いリーダーシップが必要だということです。これをOKIの3つの活動に照らし合わせると、(1)「経営層による浸透」が3つ目のリーダーシップに、(2)「社員の実践支援」が2つ目の業務に組み込むに、そして(3)「イノベーション研修」が1つ目の体系化にあたりますね」と、解釈を述べました。

さらに3名はOKIのイノベーションとDXの一体化について議論を展開したのち、今後の想いを語りました。藤原は「外部化したものをなるべく早くお客様にお伝えして、早い段階から一緒に解決に向けて高速回転をさせ、社会実装を進めていきたいです」と、坪井は「DXにおいて、やっと技術とニーズとのギャップが狭まり、社会課題の解決が現実味を帯びてきました。これから取り組みを加速化させていきます」と、それぞれ決意を述べました。最後に紺野氏は「IMSは単なる規則ではなく、国際的な共通言語であり、ものさしです。これを使って、それぞれの企業なりのイノベーションを創っていくことが大切です。ぜひ、DXとイノベーションを進めていただければ」と、セッションを締めくくりました。

イノベーションプロセスによる価値創出と共創事例

講演する前野センター長
講演する前野センター長

登壇者:イノベーション推進センター長 前野 蔵人
次に、OKIイノベーション推進センター長の前野が、IMSに則ったOKIのモノづくりの強化や共創による新たな価値創出について事例を交えて紹介しました。OKIは社会課題解決のために、IMSを実装して活用を進めています。前野は、「実践モードのために重要なのが、IMSの中核にあるイノベーションプロセスの高速回転」と述べ、それを支えるための2つの施策(1)起業のプロをメンターとする実践教育を強化、(2)高速回転する中核人材を支える伴走人材のコミュニティについて話しました。さらに具体的な活動として、中央大学との連携により設立した「AI・データサイエンス社会実装ラボ」や、アントレプレナーシップ醸成を目的とするベンチャー企業への出向プログラムなどに言及。社内の技術やノウハウの活用や、外部パートナーとの共創から生まれた事例を、イノベーションプロセスの段階ごとに紹介しました。

まず、「社内でのコンセプト検証段階」として、「遠隔作業支援システム」「ラベル検査AIシステム」「IoTセキュリティ」「AI行為判定システム」の4つの事例を提示。これらを社内の工場で活用し、同じ会社内だからこそ集まる現場の生の意見を得ながら技術を磨き込み、OKIのモノづくり強化につなげていきます。

次に「パートナーとの共創による検証段階」としては、社会課題に対応する9事例「農害虫発生状況の常時モニタリング(労働生産性)」「橋梁の塩害モニタリング(老朽化問題)」「高度遠隔運用プラットフォーム(労働力不足)」「AI行為判定システム(労働生産性)」「多点型レーザー振動計(労働生産性)」「AIを活用した配送ルートの最適化(環境問題)」「光バイオセンサー(感染症拡大)」「行動変容・階段利用促進サービス(健康問題)」「体育ICTソリューション(健康問題)」を列挙しました。

さらに一歩進んだ「ソリューション開発導入段階」では、3事例「防災DX」「エリア収音マイク」「交通プローブ解析による所要時間推定」を紹介しました。前野は、「こうした多様な共創事例のほかにも、様々なテーマが進行中です。ぜひ、課題をOKIにご相談ください」と視聴者に呼びかけました。

その後、OKIと共創を推進する2社が、それぞれの事例紹介を行いました。

共創事例紹介(1)

講演する松山氏
講演する松山氏

登壇者:日本工営株式会社 交通運輸事業本部 チーフエンジニア 松山 公年氏
まず壇上に立ったのは、日本工営株式会社の松山氏です。日本工営は、建設コンサルタントとして、インフラの計画、設計、メンテナンスなどの事業を展開し、途上国を含めたグローバルでのインフラ開発整備を行う企業です。同社とOKIは、橋梁などの構造物のメンテナンスにおけるモニタリング技術について共創に取り組んでいます。

国民の生活・安全・社会活動を支えるインフラですが、災害の激甚化や老朽化、塩害による劣化、少子高齢化にともなう財源や労働力不足にさらされ、メンテナンスに課題を抱えています。日本工営とOKIは、国が主導するモニタリング技術研究組合で共に活動を続け、インフラにモニタリングを適用するための現場実証実験やガイドライン策定を行ってきました。「現場実証実験を積み重ねる中で、OKIさんの『社会の大丈夫をつくっていく。』という理念に共感したことが、今回の共創が始まったきっかけです」と、松山氏は語ります。

通常、インフラ構造物のメンテナンスは、現地に技術者が出向いてデータを取って、それを記録する必要があり、非常に手間がかかっていました。そこで日本工営がセンサーを設置し、OKIの技術でデータを取得・転送・蓄積することで、モニタリングの効率化を図る手法を考案。長大橋と小規模橋梁で実証を行ったのです。まず長大橋では、OKIの無線中継器と太陽光を使うゼロエナジーゲートウェイでデータ転送を行う方法を、そして小規模橋梁では橋梁のいたるところに塩害センサーや加速度センサーを張り巡らせ、クラウドでデータを管理できる体制を実証しました。この結果、橋梁などインフラメンテナンスの効率化・高度化を図るモニタリング技術を構築することができたのです。

松山氏は今後の展望として、「今回は橋梁の事例でしたが、今後はトンネルやダムなど、国内の様々なインフラ構造物に展開していきます。センサーを張り巡らしてデータをクラウドで一括管理するサービスを提供していく予定です。そして将来的には海外展開も視野に入れ、インフラメンテナンスの分野でさらなる共創を進めていきたいと考えています」と熱を込めて語りました。

共創事例紹介(2)

講演する中村氏
講演する中村氏

登壇者:SEQSENSE株式会社 代表取締役 中村 壮一郎氏
続いて、自律移動ロボットの製造開発を行うSEQSENSEの中村氏が登壇。OKIが進める高度遠隔運用での共創について話しました。

SEQSENSEは2017年にスタートしたロボットベンチャーで、警備ロボットを自社プロダクトとして開発しています。主要空港など全国で導入が進み、日本ロボット大賞も受賞しました。確実に使える、動く、仕事をするロボットづくりに徹底してこだわり、現在は病院などで屋内配送ロボットの実証実験も行っています。

「警備業界は、人材不足と高齢化に悩まされています。また東京都内では新しいビルも増え、警備面積も増加しています。こうした課題の解決に向けて、巡回警備など負荷がかかる業務をロボットに置き換えることが、私たちの使命です」と、中村氏は語ります。同社が開発する「自律移動型警備ロボットSQ-2」は視野角が非常に広く、世界最高水準の自律移動性能を誇るロボットです。また、オリジナルのアルゴリズムで最短経路を算出し、効率よく動くことができます。

OKIでは、警備や監視の現場で端末やロボットを連動させ、リアルタイムに監視を行う「高度遠隔運用」の実証をおこなっており、そのエッジデバイスとしてSEQSENSEと共創をしているのです。同社のロボットの自律移動性の高さと、OKIの高度遠隔運用が連動し、どのように監視できるのか、現在OKIの蕨システムセンターにて実証実験を進めています。

「今後は、高度遠隔運用だけではなく、ロボットが安全性を保ちながら動いていくためのデバイスの開発に取り組みたい」と述べる中村氏。「2000年代~2010年代はGAFAをなどソフトウエアの時代でしたが、現在世界のいたるところで課題となっている労働力不足やインフラの問題を解決するには、ハードが不可欠です。しかしハードウエアの世界は本当に難しいと、警備ロボットに取り組む中で痛感しています。特に私たちはスタートアップで体力がありません。そこで、様々なエッジデバイスを持つOKIさんとの共創は、得難い機会です。次の世代の社会課題を解決するものを、一緒に生み出していきたいです」と、未来を見据えた展望を語りました。

後編では、Section 2とSection 3の様子をご紹介します。お楽しみに!!

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