1998年12月5日(土)の13時〜15時、沖電気目黒研修センター502号室にて、野辺美栄子さんを講師としてお招きし、手話による体験談話を聞かせていただきました。数ヶ月前フジテレビ系列で放映された、「君の手がささやいているPART2」で、菅野美穂演じる聴覚障害をもちながら、様々な困難を乗り越え、結婚し、子供を育ていくというヒロインのモデルが野辺さんです。
この企画は、ODC(沖デフ・クラブ)の皆さんの発案により実現しました。当日は、沖電気と関連会社の従業員14名が出席しましたが、その中には、5名の聴覚障害を持っている方もいました。
統合デザインセンター・システムLSI開発3部の海老根さんの司会進行のもと、まず、聴覚障害をもつ人(野辺さん)と、視覚障害をもつ人の一日の過ごし方をバリアフリーという観点から作成されたビデオを見ました。健常者には普段あたり前の小さなことが、障害者にとっては大変なバリアになっていることを知りました。
次に、野辺さんのユーモラスで表情豊かな講演が始まりました。野辺さんは、テレビドラマの前に、世田谷の手話教室で出会った漫画家の軽部潤子さんよりの依頼を受け、漫画の主人公のモデルに実名でなりました。これが様々な反響を呼び、ドラマ化に繋がりました。健常者からは感動したという感想が多かったのですが、聴覚障害者には弱々しく感じた方が多かったそうです。野辺さんの講演は続きます。
生後わずか6ヶ月の時に高熱を出し耳が聞こえなくなった話、今はまったく聞こえなくなったが、今7才の長女が生まれた時、少し聞こえたので、補聴器の音量を最大にして産声を聞くことができとっても感動したという話、長女が覚えた最初の手話が「雨」で、洗濯物を干している時、長女が「雨」を知らせてくれた話、6ヶ月前に赤ちゃんが生まれた話、消防署に努めるご主人が結婚前、必死になって「聞こえる世界」に合わそうとしていた野辺さんに「障害は関係なくて、男として、女として付合って行きたいから、そんなに力まなくていい」と言ってくれて肩の荷がおりたという話、ご主人との電話では子供たちが自分に代わって話をしてくれる話、自分以外の健聴者の家族4人(ご主人、長女、長男、赤ちゃん)が言葉で会話をしている時は時々孤独な感じがして寂しくなったりするけれど、手話で話ができるので、結婚する前の父母兄弟との生活よりは、はるかに楽しいという話など、主に生活と家族に係わるエピソードを聞かせて貰いました。
講演が終わった後も、野辺さんが予定を変更してくださり、近くの喫茶店で1時間程、参加者と一緒にいろんな話をして下さいました。
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