 表彰挨拶をする武田氏(中)(右は大西教授、左は雇用会社の沖ソフトウェア株式会社 皆見氏) |
国土交通省ではテレワーク普及啓発活動の一環として「勤労者のライフスタイル・エッセイコンテスト」を実施し、在宅勤務、モバイルワークなどテレワークを活用した勤労者の新しいライフスタイルの提案をエッセイの形で募集しました。共催は社団法人 日本テレワーク協会、後援は総務省、厚生労働省、経済産業省です。
これに「OKIネットワーカーズ」(OKIグループの重度障害者在宅勤務チーム)の武田昌利氏が応募し優秀賞を受賞いたしました。エッセイでは、1997年の木からの転落事故からリハビリ中のコンピュータ操作の習得や「OKIネットワーカーズ」での活躍、また趣味の音楽のハードディスクレコーディングを通してコンピュータとネットワーク技術がもたらす便利さと楽しさをアピールしました。特にテレワークは通勤困難な障害者にとって希望とやりがいをもたらしてくれていることを自分の体験をもとにリポートしています。
表彰式は、2002年11月29日に表彰式・記念セミナーとして渋谷フォーラム8・ロイヤルホールで行なわれ、審査委員長の東京大学先端科学技術研究センター大西教授より賞状・賞金が授与されました。
  表彰状を抱える武田氏(左)、表彰状(右) |
<エッセイの概要> |
「障害者の在宅勤務での可能性を広げたテレワークと今後の課題、楽しさ」
現在、沖ソフトウェア株式会社の障害者採用を通じて本年4月より在宅勤務契約社員として就労している。主な業務はWebアプリケーション制作、DTP、サーバー設定などである。
1日の業務は就業時のEメール送付に始まり終了時に日報を添付したEメールで終わる。業務上の質問個所などは電話、FAX、Eメールで綿密に連絡を取り合い、社内ネットワークへの参加はダイヤルアップからの認証を通過しイントラネットへの接続となり一般社員と同じ情報を共有することが可能。
5年前から車椅子生活を強いられてきた私が再び1社会人として仕事が出来る喜びは技術革新による新しい産業からの産物といっても過言ではない。97年に木からの転落事故という珍事に見舞われ3年弱に及ぶ入院生活から退院したのはISDN常時接続サービス開始という時期。初めてコンピュータに触ったのもこの時期。親指とマウスで速い入力はむりだがコンピュータの操作自体には幸い影響がなかったため「コンピュータで仕事をもう一度」という目標に有り余る時間をインターネットや各種ソフトウェアの操作習得に向けた。
OKIネットワーカーズはテレワークを開始してから4年目。日進月歩で新しい技術が出現するコンピュータ業界では常にスキルアップが要求される。インターネットなど情報通信ネットワークの発展は、通勤が困難な重い障害をもつ人たちにも、在宅での仕事の可能性をもたらしている。新しいことを学習できる機会をより多く受けられれば、在宅でも十分に技術を高めることが可能となり、更に経験を積むことで今後の成果と成長へ繋がっていく。また教えられる立場にならなければいけないはずである。
コンピュータ・ネットワーク社会の発展から生まれたテレワークは通勤不要などの時間的余裕を生み、そこから得られた知識はコミュニケーションの広がり、生活スタイルにまで大きな変化をもたらした。今後、テレワークが益々成熟していく社会は私のような者にとってまた新たな希望とやりがいをもたらしていくことだろう。
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