技術広報誌 OKIテクニカルレビュー

新技術および新商品紹介

お客様と共に築いたグローバル戦略

OKIは2031年に向けて「社会の大丈夫をつくっていく。」をキーメッセージとした、新規事業のグローバル展開を目標に掲げ、グローバル展開戦略による持続的なイノベーション活動(図1)の実行を推進し、安全・レジリエンスな社会インフラ、サステナブルな社会づくりに貢献し続けるグローバル企業として、新たな社会価値の創出に取り組んでいる。本稿ではその取組みについて紹介する。


図1 イノベーション戦略

技術とビジネスのグローバル展開 ~オープンイノベーション&共創ファンド促進~

OKIは、国内で培った現場力、インフラ実装力と先進技術を強みにしたソリューションを持っている。

このソリューションと、全世界14拠点のGlobal Innovation Hub(図2)を活用し、現地パートナーやスタートアップ企業と共創しながら、グローバル社会の課題解決にも取り組んでいる。


図2 主な海外拠点

技術とビジネスの両輪でグローバル展開に取り組むにあたり、オープンイノベーション体制により多様な現地パートナーやスタートアップ企業との連携を進めることとした。

シリコンバレーやベルリンをグローバルな技術共創の中核拠点としてフォトニクス技術やエッジプラットフォームの強化を目指し、さらにグローバルサウス地区、特に80,000社以上のスタートアップ企業および115社を超えるユニコーン企業が勃興するインドをビジネスのイノベーション拠点として、現地スタートアップ企業への共創ファンド活動と連動しながら、現地の社会課題を解決する新たなビジネスモデルの創出にも取り組んでいる。

現地スタートアップ企業が抱える課題に対しては、現場のエッジから運用のクラウドに至るまでを俯瞰的に捉えた上で、最適な課題解決となるサービスプラットフォームの仮説を立てながら実践的な検証を推進している。さらに、各地域の顧客の声に寄り添い、AI・IoTを始めとした最先端技術と現地固有のノウハウを融合し、現地ニーズに合致した新規事業の創出にチャレンジしている。

現場実証からグローバル展開ビジネスの創出へ ~トルコ国鉄との現場実証~

OKIは技術とビジネスの両輪で、現地の人財と積極的に連携している。その1つとして、経済産業省の令和5年度「グローバルサウス未来志向型共創等事業費補助金」に採択された、トルコ国鉄との協力による社会インフラ防災プラットフォームの実証実験がある(写真1)。近年トルコでは、交通ネットワークの拡張や、最新技術による老朽化したインフラシステムの刷新が進められており、鉄道インフラの整備は国家プロジェクトとして位置付けられている。一方でトルコ国鉄では、地滑りやシンクホール(地表陥没)、洪水などの自然災害による鉄道設備への被害が発生しており、これに対応した鉄道設備の維持管理の強化が課題となっている。OKIは電源・配線不要、インフラや災害の現場を遠隔でモニタリングする「ゼロエナジーIoTシリーズ」と衛星画像解析技術を組み合わせたソリューションを提案することで、現地スタッフや大手鉄道会社などと協働して鉄道インフラの遠隔監視と災害リスク予測を実現し、鉄道運行の安全と地域社会の安心を支えるとともに、トルコからAPACへの新たなグローバル展開モデルとなることを目指している。


写真1 トルコ国鉄との現場検証

若手・中堅社員のグローバル人財育成強化

グローバル展開を持続的に進化させるためには人財育成が非常に重要である。

OKIでは、若手・中堅社員に対して、海外派遣や現地プロジェクト参画(写真2)プログラムを提供し、スタートアップ企業との共創活動などの現場実践や、グローバルマインドの醸成を進めている。参画した社員からは「現地で一歩一歩前進する挑戦はOKIの成長基盤になる」「シリコンバレーのスタートアップと協働し社会実装を加速する挑戦に大きなやりがいを感じる」の声があがっている。グローバル現場で課題解決のリアルな経験を蓄積した人財はグループ全体の成長エンジンを担っている。


写真2 若手・中堅社員のインドネシア派遣

まとめ 共創によるグローバル価値創出の未来へ

OKIは、現場力と先進技術を融合させたソリューションを通じて、世界各地の社会課題に挑戦し続けている。インドや欧米をはじめとする重点拠点での取組みは、単なる技術展開にとどまらず、現地パートナーとの共創による新たな価値創出へと進化している。

また、トルコ国鉄との実証実験や若手・中堅社員のグローバル育成など、現場での実践を通じた人財強化も、持続的なイノベーションの原動力となっている。

今後もOKIは、Global Innovation Hubを軸に、地域社会と共に歩みながら、安心・安全で持続可能な社会の実現に向けて、グローバル戦略を深化させていく。お客様との共創を通じて、未来の社会価値をともに築いていくことが、OKIの使命である。

筆者紹介

河村慎太郎:Shintaro Kawamura. グローバルマーケティングセンター イノベーションビジネス共創部
林淳:Jun Hayashi. グローバルマーケティングセンター イノベーションビジネス共創部

用語解説

APAC
「Asia-Pacific」の略称で、アジアおよび太平洋に面する国々・地域を指す広域的な地理的・経済的区分である。
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